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「デッドライジング2」のゴア表現は世界共通に。「CASE 0」のデモプレイも披露された,ゾンビ盛りだくさんのイベント「脳涼!SAVE THE ZOMBIE DAY」をレポート
これは,2010年7月24日公開の映画「ゾンビランド」と,2010年9月30日にカプコンから発売予定の“ゾンビパラダイス”アクション「デッドライジング2」(PlayStation 3/Xbox 360/PC ※PC版は2010年内発売予定)のコラボ企画で,1985年から2005年まで毎年秋に開催されていた,「東京国際ファンタスティック映画祭」を1日限定で特別に復活させたイベントである。
ちなみに,なぜ“SAVE THE ZOMBIE”なのかというと,「認知度は最高のくせに最近あまりパッとしない、このままでは絶滅してしまいそうな“ゾンビ”を守る」というのが,このイベントのお題目となっていたからである。
本イベントでは,映画「ゾンビランド」および映画「屍病汚染 DEAD RISING」が先行上映されたほか,カプコンの稲船敬二氏をはじめ,いとうせいこうさん,鈴木亜美さんといった豪華ゲストが登場してのトークセッションが行われ,イベントを盛り上げた。
また,このイベントは事前募集に当選した人のみが参加できる招待制のイベントだったのだが,来場者は全員ゾンビに扮して参加するという,一風変わった趣向が凝らされていた。
本稿では,そんなゾンビだらけのイベントの模様をお伝えしよう。
「デッドライジング2」のゴア表現は全世界共通に!
稲船氏は開口一番,ゾンビメイクをした来場者達を見て「みんなゾンビで嬉しいですね(笑)」とコメントし,会場の笑いを誘った。続けて,「僕もゾンビが大好きで,ゾンビ映画さえあれば,もうそれでいいと思っているんで」と,自らのゾンビ好きをアピール。
さらに,稲船氏自身がプロデューサーを務める「デッドライジング2」について,「前作は国内版と北米版では表現が違っていたのですが,今回は国内版と北米版の違いはありません。全世界共通なので,どこでも吹っ飛びます!」とコメントした。
※「デッドライジング2」はCERO:Z(18歳以上のみ対象)タイトルです。
映画の内容については「普通の映画みたいに,1800円を出して観てもらうには心許ないんで(笑)」と謙遜しつつ,「『デッドライジング2』を買ってもらう人に観てもらう映画としては,ちょうどいい内容になっています」とコメントしていた。
また,「『屍病汚染』に関しては,ゾンビ好きの人に分かってもらえる映画にしたかったんで,誰かに任せて綺麗な映像を撮るという感じではなかったですね。『デッドライジング』は俺が作ったんだ,だから映画も俺がやる! という気持ちで作りました」と,制作にかけた意気込みをアツく語っていた。
「屍病汚染 DEAD RISING」 Web他で2010年日本公開予定(※Xbox 360先行配信) (c)CAPCOM CO., LTD. 2010 ALL RIGHTS RESERVED. |
ちなみに,Xbox LIVEとWebサイト「TAPE IT OR DIE」において配信予定の映画「屍病汚染」は,諸事情により泣く泣くカットした場面もあるそうだが,会場で上映された「屍病汚染」は,稲船氏の表現したいことをすべて詰め込んだ,ディレクターズカットになっているとのこと。まさに,この日集まった,ゾンビが大好きなゾンビ達に用意されたスペシャルプレゼントといえるだろう。
吉田さんは撮影の際,車椅子に乗る場面が多いため,車椅子に乗る練習から始めたと語っていた。
なお,作中ではFPS(一人称視点シューティング)の視点で描かれている場面が多いとのこと。稲船氏曰く「吉田君なんだけど,吉田君じゃない感じなんですよね。カメラマンさんが吉田君みたいな。あと,その間,吉田君は演じないんだけど,演じなきゃいけないっていう,すごく難しい演技をしなきゃいけなかったんです。ですが彼は見事にやり遂げてくれました」と,撮影時の裏話を披露した。
稲船氏は「『屍病汚染』は,本当に怖いのはゾンビじゃなくて人間という,ロメロ監督がずっと作ってきたゾンビ映画の思想を受け継いで制作した作品です。ゾンビよりも醜い人間,そして,その中で如何に正常を保って生き延びていくか,ということを描きたかったんです」と話した。そして,「僕はこの作品を映画という視点では作っていないです。ゲームなのか映画なのか,一体どっち? という視点で作っていますので,映画要素よりもゲーム要素が一杯詰まった映画だと思ってください」とコメントしていた。
「CASE 0」は途中までなら無料でプレイ可能
稲船監督の映画「屍病汚染 DEAD RISING」DVD化も発表
なお会場ではDVDジャケットのイメージカットも公開されたのだが,稲船氏によれば,こんな“カッコいいシーン”は劇中にないそうで,「昔,エロビデオを借りたとき,ジャケットの素晴らしさと中身のひどさに愕然としたのを思い出しました(笑)」と自虐的にコメントして,会場の笑いを誘っていた。
「CASE 0」は,主人公のチャック・グリーンが,「デッドライジング2」の舞台となるフォーチュン・シティを訪れる3年前のストーリーが描かれた作品で,Xbox LIVEのみで提供されるダウンロード配信専用コンテンツとなる。まだ正式発表はなされていないが,稲船氏によれば,配信時期は「デッドライジング2」発売の1か月ほど前,価格は500円程度を予定しているとのことだ。
なお本作は,いわゆる“体験版”的な意味合いも含まれており,物語の途中までは無料でプレイできる。最後までストーリーを進めるには課金が必要になる,という形式になるそうだ。
デモプレイは,稲船氏が解説しながら,ゾンビに扮した開発スタッフが操作するという形が採られた。なお,プレイ中の写真撮影はNGだったので,文章のみでの説明になる点はご容赦いただきたい。
デモプレイ中は,バットに釘を組み合わせた“釘バット”など,「デッドライジング2」の新システム「コンボ武器」で戦う様子なども披露された。
さらに,チャックにビールをたくさん飲ませると,気持ち悪くなって嘔吐するのだが,稲船氏によれば,これを利用してゾンビを転ばせることもできるとのこと。
なぜXbox LIVE限定配信なのかという質問に対して稲船氏は,「デッドライジング」はXbox 360で始まったタイトルであるという“特別感”が,その理由であると答えていた。
続いて行われた第2部では,ゾンビ・ファッション・ショー「トーキョー・ゾンビコレクション」が行われた。こちらは,力の入った特殊メイクでゾンビに扮した日活芸術学院 俳優科の学生達を,いとうせいこうさん,鈴木亜美さん,そして稲船氏の三名が審査員として評価し,優勝者を決めるという催し。
全部で4人のゾンビが登場し,それぞれのキャラクターに合わせたパフォーマンスで審査員達にアピール。どのゾンビも十分気持ち悪くて素敵だったが,最終的には4人の中でもひときわ異彩を放っていた“サマーゾンビ”が優勝した。
「ゾンビランド」 公式サイト:http://www.zombieland.jp/ 7月24日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー! ※ほか都内の公開館 ■池袋テアトルダイヤ ■ユナイテッド・シネマ豊洲 (c)2009 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC ALL RIGHTS RESERVED. |
そして本イベントの締めとして,映画「ゾンビランド」が上映されたのだが,その内容は来場者のみのお楽しみということで,本稿では割愛させていただく。映画の内容が気になる人は,7月24日の封切日以降,ぜひ映画館に足を運んでほしい。
その代わりといってはなんだが,トーキョー・ゾンビコレクション終了後に行われた,稲船氏と鈴木亜美さんの合同インタビューの模様を最後にお伝えしよう。
鈴木さん:
血糊を付けてケガをさせていただけるのでしたら,ぜひ出演したいですね(笑)。
――もし現実世界でゾンビにばったり出くわしたらどうしますか?
鈴木さん:
飛び蹴りして戦いますね(笑)。
――稲船監督としては,鈴木さんをどのような血まみれメイクで出演させたいと思いますか?
稲船氏:
そうですねぇ。ぜひ,鈴木さんが血まみれメイクで汚れていく様子を見たいなと思いますね。「屍病汚染」でもそうなんですけど,綺麗な女性を汚していくという部分にすごく魅力を感じるんで(笑)。
――Xbox LIVEで「デッドライジング2:CASE 0」と「屍病汚染」が配信されますが,マルチプラットフォームとして発売されるPlayStation 3には何か特典はありますか?
稲船氏:
PS3のほうは特に考えてはいないんですけど,ゲーム内容に関しては両機種まったく同じ内容なので,どちらもかなり楽しめるものになっています。
――「デッドライジング」では海外版と国内版で表現に違いがありましたが,「デッドライジング2」では同じになるという発言が,イベント中にありました。「デッドライジング」で何か変わったからなのでしょうか? それとも,レーディング機構が変わったからなのでしょうか?
稲船氏:
レーディングってすごく難しくて,僕らもずっと働きかけていたんですけど,世の中もいろいろと変わってきているので,ゲームの暴力表現に対する考え方も変わってきているんだと思います。
ちなみに韓国では,前作「デッドライジング」に関しては許可が降りなかったんですけど,今回は許可が降りましたからね。なので,世界的に考え方が変わってきてるんだと思います。そういう意味では両方が変わったんじゃないでしょうか。
――「デッドライジング2:CASE 0」から本編への持ち越せる要素はありますか?
稲船氏:
はい,あります。レベルや武器は引き継げます。ですので,「CASE 0」である程度レベルを上げておけば,本編が楽になると思いますよ。
――「デッドライジング2:CASE 0」は,どれくらいの時間遊べるボリュームになるんでしょうか?
稲船氏:
遊ぼうと思えばいくらでも遊べますけど,CASEを追っていって,最後まで進めていったら,早い人でも3時間くらいはかかると思います。ですので普通にやったら4〜5時間くらいじゃないでしょうか。
――今回は首や手が取れるといった欠損表現や,前作ではできなかった過激な表現がたくさん入っているようですが,公開されているほかには,どのようなゴア表現があるのでしょうか?
稲船氏:
今回は,真ん中から切れば真ん中から,というように,刃物を振り下ろしたところから切れるんですよ。あと,ノコギリと掃除機を組み合わせた武器を使えば,切り刻みながら吸い込んだり,花火を口に突っ込んだら木っ端みじんになったり,とにかく,ゾンビファンが痛快だと思う要素は全部入れたつもりです。
今回は海外で作ってるんで,海外のスタッフとのやり取りが多いんですけど,彼らは日本人以上のアイデアをドンドン出してくるんで,さすが欧米人だなって思いますよ。さすがに,僕ら以上にゾンビ慣れしてますよね(笑)。
――今回チャックが嘔吐しますが,これは「ストリートファイターII」以来じゃないですか?
稲船氏:
カプコンは先駆けてますよね。「ストII」でゲロ出して,またゲロやるのかと。あと,カプコンは結構ゴキブリも出しますからね。ゲロとゴキブリは得意ですよ(笑)。
――「デッドライジング2」にはCO-OP(協力)モードがあるそうですが,CO-OPではチャックが4人出てくる形になるんですか?
稲船氏:
そうですね。1人でプレイしていて,どうしても倒せないサイコとかが出てきた時に,友達を呼び出せば違うチャックが出てくるんですけど,皆さん,好きなようにチャックをカスタマイズしていると思うんで,同じ見た目にはならないと思いますよ。
――たとえば「Left 4 Dead」など,海外メーカーが作っているゾンビゲームもありますが,稲船さんが一目置いているようなゾンビゲームはありますか?
稲船氏:
「Left 4 Dead」はすごく良くできていると思いますよ。僕は,ゾンビは歩いてるほうが好きなんですけど,「Left 4 Dead」に関しては走らないとダメですよね。シューターは走らないと絶対に面白くないと思いますよ。
やはり,銃で戦うと銃が完全に勝っちゃうんですよ。それに負けないようにするにはゾンビを走らせるしかない。あと,「Left 4 Dead」は“走る”ということをきちんと恐怖にしてる部分も評価できますよね。
いわゆる“ゾンビゲーム”というタイプのものでも,「Left 4 Dead」は,“ゾンビが人間を狩る”ゲームですよね。でも「デッドライジング」は,人間がゾンビを襲うゲームなんです。
コンボ武器を作って,ゾンビがいっぱいいる場所を探しに行くっていうのとかは,まさにその象徴ですよね。
なので,現在「デッドライジング」のライバル関係にあるゾンビゲームっていうのは,どこにもないと思っています。だから「デッドライジング」目線で見た場合に限って言うなら,一目置くゲームは今のところないです。
――ありがとうございました。
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