DirectX 11 SDKのテッセレーションデモを実行しているGPU名に注目。AMDはずいぶん前から,「RV870」という言い方をしなくなっていたが,今回,新たな開発コードネーム「Evergreen」が公式に登場した
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COMPUTEX TAIPEI 2009の2日め,AMDはHall 1に近い多目的施設に報道関係者を集め,同社が開発を進めているDirectX 11世代のGPUによる,世界初のライブデモを公開した。
ここで用いられたのは,TSMCの40nmプロセスで製造されたGPU,
「Evergreen」(エバーグリーン,開発コードネーム)を搭載するシステム。DirectX 11 SDKのテッセレーション機能を動かせて見せた。まずは,下のムービーをご覧いただきたい。
DirectX 10世代のGPUでは,1fpsも出なかったデモが,DirectX 11世代のGPUでは,滑らかに動いているのが分かるはずだ。
テッセレーションデモの様子を撮影したところ
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Rick Bergman氏(Senior Vice President, AMD)
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AMDでGPUおよびCPUの開発を統括するRick Bergman(リック・バーグマン)氏は,ライブデモに合わせて,「2009年後半に,DirectX 11世代のGPUを市場投入する」と宣言。DirectX 11への移行によって,ゲームやビデオアプリケーションのパフォーマンスやクオリティが飛躍的に向上すると,次世代製品への自信を覗かせた。
Evergreenシリーズが採用する第6世代のテッセレータは業界標準になったとするスライド
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また同氏は,ATI Technologies(※当時)が,2002年の「Radeon 8500」において,テッセレーション機能を「TruForm」として実装した歴史を振り返りながら,Xbox 360(=Xenon),ATI Radeon HD 2000/3000シリーズ,そして現行世代のATI Radeon HD 4000シリーズと,一貫してテッセレーション技術に磨きをかけてきたと強調。「次世代GPUに実装される第6世代のテッセレータは,DirectX 11で業界標準として認められるようになった」として,AMDがDirectXの進化に大きく貢献してきたことをアピールする。
「DirectX 11によって,GPUコンピューティングやマルチスレッディング処理が標準化することで,アプリケーションの移植も進む」(Bergman氏)。
旧ATI Technologiesより続く,ATI Radeonにおけるテッセレータの歴史
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ちなみにDirectX 11では,テッセレーションの標準サポートや新たな命令セットが追加されるほか,GPUコンピューティングを実現するDirectX Compute
Shaderや,マルチスレッディング処理,HDR圧縮などの新機能が追加される。
そんな新機能への最適化を進めてもらうべく,AMDは今月から,主要ゲームデベロッパやソフトウェアベンダーに対してDirectX 11 GPUの提供を開始し,アプリケーションの最適化で,NVIDIAを先行する。
ISV(独立系ソフトウェアベンダー)に向けたDirectX 11世代のGPU提供を6月から始めると予告された。これを受け,Emergent Game TechnologyやRebellion,Codemasters,EA Phenomicから,DirectX 11によるテッセレーションやマルチスレッディング処理,GPUコンピューティングを活かしたタイトル開発が表明された
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Bergman氏は,この大きな進化を「ジャンプ」と位置づけており,DirectX 11への移行を機に,グラフィックス市場におけるリーダーシップを奪還する構えだ。
公開されたDirectX 11のウェハ。TSMCで取れたファーストシリコンだという
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※初出時,台湾取材班と編集部の間で情報伝達の不備があり,本文に誤解を招く表現があったことをお詫びします。