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[CEDEC 2009]AMD,DirectX 11対応GPUによるテッセレーションデモなどを公開
冒頭,土居氏は,AMDがGPUとx86 CPUのソリューションを持つことの強みと,AMD(および旧ATI Technologies)による,1GHz CPUから始まる世界初の系譜を披露した。1TFLOPS GPU,DirectX 10.1対応,DirectX 11対応(未発表)と,いささか食傷気味ではあるのだが,DirectX 11対応GPUはそれらのなかでも快挙であるのは間違いない(DirectX 10対応などについては異論のある人のほうが多いかもしれないが)。
また,同社のATI Radeon HD 4000(以下HD 4000)シリーズの戦略を挙げ,1TFLOPSを実現したATI Radeon HD 4850および現状で40nmプロセスで作られているATI Radeon HD 4770が非常に重要な役割を持っており,次世代のGPUへつなぐ意味でも貢献していることを強調していた。HD 4000シリーズは,DirectX 10.1に対応しており,DirectX 11との橋渡し的な位置を占めるGPUとなっている。DirectX 10以降の世代のGPUなので,いわゆるGPUコンピューティングにも対応できる。AMDではそれを「ATI Stream」という名前で推進しており,すでにさまざまな分野で活用されているという。
問題はDirectX 11世代のGPUである。土居氏によると「まもなく発表」とのことで,かなり完成度を上げつつあることが窺える。時節柄,Windows 7の発売に合わせての発表も十分ありうる話だろう。「まもなく」発表されるデスクトップ向けDirectX 11 GPU,そして来年には普及型ノート用のGPUもDirectX 11対応となるという。
そして,ついにDirectX 11世代のGPUによる実働デモが公開された。内容はDirectX 11 SDKのサンプルのようで,DirectComputeを用いた(用いることもできる)High Definition Ambient Occlusion(ハイディフィニション アンビエント オクルージョン:以下HDAO)とテッセレーション処理のデモである。
HDAOというのは,凹凸を考慮した柔らかな陰影がつく処理の高級版みたいなものである。とりあえず動画を見てほしい。途中の白っぽいのはアンビエントバッファを可視化したもの。動画公開の制限時間が合計15秒以内ということなので,8秒弱にまとめてみた。最初が通常表示で70fps程度,DirectCompute使用フラグを立てると100fpsちょっとという感じだ。
DirectComputeでは,CPUとGPUのリソースをともに利用できる。DirectX 10.1+OpenCLのデモでは,CPUによる演算とGPUによる演算を切り換えながら実行しても,まったくラグなしでHavok Clothの処理を実行できる様子なども紹介されていたのだが,DirectX 11のDirectComputeではさらにシームレスな負荷分散ができるためさらなるパフォーマンスの向上が期待できるとのこと。AMDでは「The Future is Fusion」の合い言葉のもとにCPUとGPUを統合した製品を目指しており,統合された環境ではさらに効率的な処理ができると期待している模様だ。
ちなみにCOMPUTEXのときのデモでは「HARDWARE」の部分は「EVERGREEN」とコードネームで表示されていたのだが,今回は「FUTURE CARD」となっている。中身は見せてもらえなかったが,DirectX 11対応GPUの動作しているPCの写真だけでも掲載しておこう。
とにかく,次世代GPUのフィーチャーであるテッセレーションなどを使用したサンプルプログラムもかなりのパフォーマンスで実行されていることは確認できた。「まもなく」という言葉を信じて,次世代製品の正式発表に期待したい。
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ATI Radeon HD 5800
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DirectX
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