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  • 発表日:2009/03/03
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GalaxyのデュアルGTS 250カード「GEMINI」は,2010年の新製品としてありやなしや
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印刷2010/05/12 11:24

レビュー

2010年に登場のデュアルG92カードはありやなしや

Galaxy GF PGTS250 GEMINI/2GD3

Text by 宮崎真一


GF PGTS250 GEMINI/2GD3
メーカ−:Galaxy Microsystems
問い合わせ先:info@galaxytech.jp
価格:未定(※2010年5月12日現在)
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 2基のGPUを1枚のグラフィックスカード上に実装する,いわゆるデュアルGPUソリューションというものには,「ATI Radeon HD 5970」「GeForce GTX 295」(以下,GTX 295)に代表されるGPUベンダーの公式製品と,カードベンダーが独自に開発してきたオリジナル製品の2種類が存在する。Galaxy Microsystems(以下,Galaxy)から国内発売が予定されている「GF PGTS250 GEMINI/2GD3」(以下,PGTS250 GEMINI)は,後者の新製品だ。
 製品名から想像が付くとおり,PGTS250 GEMINIは,「GeForce GTS 250」(以下,GTS 250)2基を1枚の基板上に搭載し,カード上で「NVIDIA SLI」(以下,SLI)接続する製品だ。

PGTS250 GEMINIが搭載するGTS 250 GPU。刻印は「G92-426-B1」だった
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 GTS 250は,「GeForce 9800 GTX+」のリネーム品であり,つまりはフルスペック版「G92」コアのGPUである。NVIDIA的には2世代前のGPUであり,さすがに古くさい印象は否めないのだが,それを2基搭載した新製品は,2010年春のグラフィックスカード市場で,存在感を示すことができるのか。
 Galaxyの販売代理店であるエムヴィケーから「5月中の発売予定」として貸し出しを受け,テストを終えたところで「発売延期になってしまった」(同社)という連絡があるなど,国内発売のスケジュールは未確定だが,せっかくなので,そのポテンシャルを明らかにしてみたい。

 ちなみに本製品,Galaxyのお膝元である香港では,1499香港ドル程度で販売されているという。税制やロジスティクスの違いがあるので,「為替換算した金額=日本での予価」にはならないことをお断りしてから述べると,1499香港ドルは,おおむね1万8000円程度である。


オリジナルデザインの基板にG92×2とnF200を搭載

動作クロックはリファレンスよりも抑えめに


(GTX 285とカードデザインが同じ)「GeForce GTX 275」カード(上)およびカード長が200mmを下回るGTS 250カード(下)と並べてみたところ。クーラーのデザインが異なるため,カード長以上にPGTS250 GEMINIは大きく見える
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 「GeForce GTX 285」(以下,GTX 285)のリファレンスデザインと同じ,実測約267mm(※突起部除く)のカード長となるPGTS250 GEMINI。シングルGPU仕様のGTS 250カードだと,長さが200mmを下回るモデルも存在しているだけに,並べてみるとさすがに大きな印象を受ける。

 カード全体を覆うGPUクーラーはツインファン仕様。その動作音は,筆者の主観であることを断ったうえで述べると,さすがに静音とはいえないレベルだった。「うるさい」と目くじらを立てるほどではないが,静音性に関しては,あまり期待しないほうがよさそうである。
 なお,PCI Express外部給電コネクタが6ピン×2という仕様であることや,SLIブリッジコネクタを搭載しないこと,補強板を兼ねるガイドレールが取り付けられていることが,外観上の特徴といえるだろう。

PCI Express外部給電コネクタは6ピン×2。メモリチップがカード背面に配されたりはしていない
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 GPUクーラーを取り外してみると分かるのは,クーラーユニットが3ピース構造になっていること。2基のGTS用にアクティブなクーラーが二つ,電源部と,PCI Expressブリッジチップ「nForce 200」を冷却するパッシブクーラーが一つ組み合わせられており,冷却にはかなりの配慮がなされているようだ。

3ピース+カバーという構成のGPUクーラーを取り外したところ。電源部は6+2(6+1+1?)構成のように見える
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 なお,nForce 200のリビジョンはA3で,これはGeForce GTX 295などと同じ。メモリチップは,Samsung Electronics製のGDDR3「K4J10324QD-HJ1A」(1.0ns品)を採用していた。

「NF200-SLI-A3」刻印の入ったnForce 200チップ(左)と,GDDR3メモリチップ(右)。GPU 1基当たり8枚で容量1GBを実現する。メモリインタフェースは256bitだ
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 TechPowerUp製のGPU情報表示ツール「GPU-Z」(Version 0.4.2)で動作クロックを確認してみると,値は下記のとおり。

  • コアクロック:675MHz
  • シェーダクロック:1620MHz
  • メモリクロック:2200MHz相当(実クロック1100MHz)

 これに対して,エムヴィケーから4Gamerに寄せられたPGTS250 GEMINIのスペックシートだと,動作クロックは,

  • コアクロック:675MHz
  • シェーダクロック:1620MHz
  • メモリクロック:1800MHz相当(実クロック900MHz)

となっている。さらに,NVIDIAのGTS 250リファレンス仕様だと,

  • コアクロック:740MHz
  • シェーダクロック:1836MHz
  • メモリクロック:2200MHz相当(実クロック1100MHz)

なので,コアクロックとシェーダクロックはリファレンスより低く,エムヴィケーの資料と同じ。メモリクロックはリファレンスと同じだが,エムヴィケーの資料よりは高いということになる。
 ちなみに,搭載するGDDR3メモリチップは先ほど紹介したとおり1ns品なので,スペック上の最大動作クロックは2000MHz相当(実クロック1000MHz)。その意味でPGTS250 GEMINIは,メモリのみ,メーカーレベルのクロックアップがなされているわけだ。
 なお,GPUに負荷がかからないアイドル時だと,動作クロックはコア300MHz,シェーダ600MHz,メモリ200MHz相当(実クロック100MHz)まで下がることを,GPU-Zから確認できている。

GPU-Z実行結果(左)と,エムヴィケーから提供された資料(右)。動作クロックに違いがある
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SLI非対応のRampage FormulaにPGTS250 GEMINIを差した状態のスクリーンショット。2基のGTS 250は認識されるのだが,NVIDIAコントロールパネルにSLI関連項目が表示されない
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 ところで,上に示した資料で,動作条件に「SLI対応マザーボード」がある点に気づいただろうか。Galaxyによれば,「ハードウェア的には,機能上,フルにSLI動作するのだが,ドライバの都合で,SLI対応マザーボード以外では利用できない」という理由で,このような仕様になっているのだそうだ。
 そこで,ASUSTeK Computerの「Intel X48 Express」搭載マザーボードで,SLI非対応の「Rampage Formula」で試してみたところ,果たしてNVIDIAコントロールパネルにSLIの設定項目は表示されず,SLI動作は実現できなかった。GTX 295なら,マザーボード側がSLIをサポートしていなくても利用できるのと比べると,この仕様を,大きなマイナスと感じる人は少なくなさそうだ。
 本製品の利用を考えているなら,マザーボードがSLIをサポートしているかどうか,今一度確認が必要だろう。


GTS 250シングルカードおよび

GTX 285,HD 5850と比較


Maximus III Formula
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
実勢価格:2万6000〜2万9000円(※2010年5月12日現在)
画像集#014のサムネイル/GalaxyのデュアルGTS 250カード「GEMINI」は,2010年の新製品としてありやなしや
 テスト環境はに示したとおり。標準的なGTS 250カードとして,リファレンスクロックで動作するLeadtek Research製の「WinFast GTS 250 V2 512MB」を編集部で用意したほか,SLI動作でどの程度まで性能がブーストするかを見るべく,ASUSTeK Computerから貸し出しを受けたGTX 285搭載カード「ENGTX285 TOP/HTDP/1GD3」と,AMDの「ATI Radeon HD 5850」(以下,HD 5850)リファレンスカードも比較対象として用いることにする。
 ただし,ENGTX285 TOP/HTDP/1GD3はメーカーレベルのクロックアップが行われたモデルなので,今回は動作クロックをリファレンス相当まで下げて用いることをあらかじめお断りしておきたい。

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 テストシステムのCPUは「Core i7-870/2.93GHz」だが,“効き具合”の違いが生じるのを避けるため,負荷に応じた自動オーバークロック機能「Intel Turbo Boost Technology」はBIOSから無効化している。一方,「Intel Hyper-Threading Technology」は有効のままだ。
 なお,テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション9.2準拠となる。


よくも悪くもGTS 250×2のカード

総じてGTX 285と同程度の3D性能を発揮


 さっそく,「3DMark06」(Build 1.2.0)から見ていこう。結果はグラフ1,2に示したが,PGTS250 GEMINIの示した数字は,SLI動作の特性を色濃く反映するものとなっている。
 「標準設定」の1024×768ドットといった,グラフィックス描画負荷が非常に低い条件だと,GTS 250シングルカードとのスコア差はわずか12%しかないが,4xアンチエイリアシング&16x異方性フィルタリングを適用した「高負荷設定」の1920×1200ドットだと,差は62%にまで広がっている。
 PGTS250 GEMINIのスコアが,GTX 285のそれを上回る傾向を示し,HD 5850とほぼ同じレベルに達している点にも注目しておきたい。

画像集#016のサムネイル/GalaxyのデュアルGTS 250カード「GEMINI」は,2010年の新製品としてありやなしや
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 グラフ3,4は「Crysis Warhead」のスコアをまとめたものになる。
 PGTS250 GEMINIは,標準設定の低解像度帯を中心に,GTX 285やHD 5850と同等レベルのスコアを示せているが,一方,標準設定でも1920×1200ドットではスコアが落ち気味で,高負荷設定になると,GTX 285との差が最大で40%にまで開いてしまう。Crysis Warheadは,メモリ周りの要求がシビアという点を踏まえるに,HD 5850が128.0GB/s,GTX 285が158.9GB/sというメモリバス帯域幅に対して,256bit接続&動作クロック2200MHz相当の同70.4GB/sしかないという事実が,高いグラフィックス負荷環境で,大きくマイナスに作用しているのだろう。

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 続いては「Left 4 Dead 2」の結果である(グラフ5,6)。Crysis Warheadほど,極端にメモリ食いというわけではないLeft 4 Dead 2を前に,PGTS250 GEMINIでは,SLIの恩恵が大きく出ており,標準設定の高解像度や高負荷設定時に,GTX 285のスコアを安定的に上回っている。

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 シェーダプロセッサ数とテクスチャユニット数によってスコアが大きな影響を受けやすく,いきおい,GPUを複数基搭載するマルチGPU構成のメリットがはっきりと出やすい「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,Call of Duty 4)だと,PGTS250 GEMINIはHD 5850やGTX 285を圧倒した(グラフ7,8)。シェーダプロセッサ数で128基×2で,GTX 285の同240基を上回り,さらにコア&シェーダクロックもGTX 285より高いPGTS250 GEMINIが,それに応じたスコアを示しているわけだ。

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 続いて,「バイオハザード5」のテスト結果がグラフ9,10だが,ここは3DMark06と同様,SLIらしい結果となった。標準設定の1024×768ドットだとGTS 250比104%ほどと,スコアに違いはほとんどないが,標準設定で解像度が高くなっていったとき,GTS 250がどんどんとスコアを落としていくのに対し,PGTS250 GEMINIは,HD 5850やGTX 285と同じレベルを保てている。
 高負荷設定だと,GTX 285から多少離されるものの,GTS 250シングルカードに対する優位性は変わらずだ。

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 標準設定における検証のみとなる「ラスト レムナント」も,傾向自体はバイオハザード5と同じ(グラフ11)。PGTS250 GEMINIは,1920×1200ドット設定で最大56%のスコア差を,GTS 250に対してつけている。

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 パフォーマンス検証の最後は,DirectX 9モードで実行した「Colin McRae: DiRT 2」(以下,DiRT 2)のスコアになる。結果はグラフ12,13にまとめたとおりだが,やはり,高解像度&高負荷設定に強いという,SLI動作らしい結果が見て取れるだろう。
 なお,HD 5850は,レギュレーション9.2準拠だとスコアが低めに出るので,このスコアは参考程度に捉えてほしい。今回はグラフバーの色を変更し,区別してある。

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GTS 250比で150〜170Wも消費電力が上昇

アイドル時の低消費電力も期待薄


 デュアルGPU構成で気になる消費電力もチェックしてみよう。いつものように,ログを取得できるワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を計測してみた。
 OS起動後30分間放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時として,スコアをまとめた結果がグラフ14だ。

 正直,予想以上に消費電力が大きい印象である。アプリケーション実行時におけるシステム全体の消費電力はざっくり400W前後で,GTS 250シングルカード搭載時比150〜170W,GTX 285搭載時比でも65〜85W高い。nForce 200を搭載するなど消費電力面では不利なPGTS250 GEMINIだが,それにしてもこの数字はインパクトが大きいと言わざるを得ないだろう。

画像集#029のサムネイル/GalaxyのデュアルGTS 250カード「GEMINI」は,2010年の新製品としてありやなしや

 これだけ消費電力が大きいと,GPUコアの温度も気になるところだ。今回は,室温21℃の環境にバラック状態で設置したシステムにおいて,3DMark06の30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともどもスコアを取得することにした。その結果がグラフ15だが,さすがに2連ファン仕様の大型クーラーには効果ありといったところか,GPU温度は,GTX 285と同程度にまで抑え込まれている。

PGTS250 GEMINIについては,搭載するGPU,2基それぞれの温度を示しています
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一にも二にも価格次第

デメリットを補えるほど魅力ある価格設定を望む


 国内発売時期,価格とも未定なので,現時点で最終的な評価を下すことはなかなか難しいのだが,仮に香港市場と同程度の価格で市場に登場するのであれば,DirectX 10世代であるとか,消費電力が高いとか,マザーボードを選ぶとかいったデメリットを払拭できるだけのコストパフォーマンス的メリットを持った製品になるのは間違いない。姿を消しつつあるGTX 285カードが,依然として3万円台の値付けになっており,HD 5850も最安で3万円弱という価格設定になっている(※価格はいずれも2010年5月12日現在)という状況にあって,2万円を下回る価格で登場してくれば,なかなかに魅力的な存在となるはずだ。
 しかし,これが2万5000円程度ということになると,マイナスポイントや制限が目立つようになって,とたんに魅力は失せてしまう。

 その意味でPGTS250 GEMINIの浮沈を握るのは,一にも二にも価格設定だ。それ次第で,かなりおもしろい存在のカードになるだろう。
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    GeForce GTS 200

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