Cooler Masterは,COMPUTEX TAIPEI 2010で,PCケースの新たなフラグシップモデルとなる
「HAF X」や,ゲーマー向けマウス
「CM Storm Inferno」(以下,Inferno)など,新製品を公開した。
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HAF X |
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Inferno |
エアフロー重視のPCケース「HAF X」
量産版がその姿を見せる
4-wayのマルチGPU構成を取るべく,拡張スロット用ブラケットを9スロット分確保
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HAF Xは,GIGABYTE TECHNOLOGYやEVGAがハイエンドマザーボードの独自規格として推進している「XL-ATX」への対応を図ったフルタワーPCケース。拡張スロットを計9本分備え,さらに前面パネル部へ230mm角の赤色LED内蔵ファンを搭載して,拡張スロット部へ的確に外気を送ることにより,ハイエンドグラフィックスカードによるマルチGPU構成へ万全の対応を図ることができるという。
側板を開けたところ。前面パネル部と側板部のファンにより,外気をグラフィックスカードまで送れるようになっている
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本製品は,2010年3月に開催されたCeBIT 2010で
プロトタイプが公開されていたが,COMPUTEX TAIPEI 2010に登場した量産モデルでは,前面にUSB 3.0ポートを引き出せるようになるなどの改良が加えられている。
筐体背面上部に,液冷ホース用とは別の穴が一つ空いており,付属のUSB 3.0ケーブルにより,インタフェースを本体前面に引き出せる
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HAF Xの本体サイズは230(W)×590(D)×550(H)mmで,重さは14.35kg。ドライブベイは5インチ×6,3.25インチHDDベイ×5という構成になっているが,面白いのは,フロントベゼルを簡単に脱着でき,さらに,6基中2基を,Serial ATA接続によるリムーバブルストレージのドックとして利用できるようになっていることだ。
前面ファンからのエアフローを電源ユニットへ直接送れるよう,底面にカバーが用意される |
対応マザーボードと組み合わせたときにホットスワップを実現するためのインタフェース |
5インチドライブベイは,標準で3.5&2.5インチストレージデバイスの取り付けに対応している |
Cooler Masterブースには,HAF XのAMDエディションも展示されていた
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ファンは,前出の前面230mm角のほか,天板に200mm角×1,背面に140mm角×1,側板に200mm角×1を標準搭載。天板にはオプションでもう1基,200mm角のものを取り付けられる。さらに,グラフィックスカード用に外気を効率よく導入できるよう,エアダクトが用意され,このダクトにも120mm角ファンを取り付けられるようにもなっていたり,「ATI Radeon HD 5970」など,カード長の極めて長い製品を固定するためのホルダーが付属していたりというあたりからは,ハイエンドのゲーム用PCに向けた配慮がいろいろと窺えよう。
Cooler Masterブースでは,現在開発中の次世代ハイエンドPCケースが展示されていた。ここでは,EVGA製のデュアルCPUマザーボード「Classfield Super Record 2」を使って,「GeForce GTX 480」搭載グラフィックスカードの4-way SLIをデモ。拡張スロットはなんと10本分用意されている
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「FPS向けではなく,オンラインゲーム向けだった」
Infernoは,強力なマクロ機能を搭載
CM Stormブランドのゲーマー向けマウス第2弾となるInfernoについて,CM Stormブランドの開発を担当するTerry Chou氏は,CeBIT 2010のタイミングで「FPSにおける使い勝手を最優先したマウス」と
述べていた。この記事上で筆者は,あまりFPS向けの機能がないと指摘したが,Chou氏いわく
「疲れていて,FPSと言い間違えた(笑)。実際にはMMOゲーマー向けの製品だ」。
……いきなり方向性ががらっと変わったことになるが,本製品をあらためて紹介すると,MMOゲームをターゲットに,マクロ機能を充実させたワイヤードマウス,ということになる。
Sentinel(左)と並べてみたところ。奥行きが見るからに短くなった
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本体サイズは75(W)×120(D)×36.8(H)mmで,同83.6(W)×135(D)×40.0(H)mmだったCM Stormブランドの第1弾
「CM Storm Sentinel」(以下,Sentinel)と比べると一回り小さい。これは「つまみ持ち」と「かぶせ持ち」の両方に対応できる形状を目指した結果とのことだ。
Sentinelだと,重心が後ろ寄りで,つまみ持ちしづらかったが,その点,Infernoは重心が本体中央に寄っており,ずいぶんとクセが少なくなった印象を受ける。
本体前後中央付近をつまんで持ち上げても,傾いたりしないInferno。センサーユニットは中央より若干前よりの位置にある
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トラッキング解像度設定のインジケータが用意される
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スペックに情報は,
CeBIT 2010の時点からアップデートされており,トラッキング速度100IPS,最大加速50G,ポーリングレート1000Hzとなった。トラッキング解像度はデフォルトで875/1625/2375/3250/4000DPIが設定されるが,提供される設定変更用ユーティリティソフトを利用することで,解像度設定はカスタマイズ可能だ。
専用の設定変更用ユーティリティソフト
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また,このユーティリティソフトを用いると,スクロールホイールの前後回転速度を別々の設定値に指定できるほか,左右メインボタンとセンタークリック,スクロールホイールよりもマウスの“山頂”方向に近いところへ用意されたボタン×3,左右メインボタンの外側にそれぞれ1個ずつ用意されたボタンと,左サイドボタン×3の,軽11ボタンをカスタマイズし,マクロを割り当てられるようにもなっている。
マクロ関連の機能は非常に充実。ループの時間設定も含め,「ここまでできて大丈夫か?」というものにまで手が届いてしまう
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ボタンのカスタマイズ内容は,プロファイルとして管理するようになっており,1プロファイル当たり8パターンをマウスに登録して,切り替えながら利用でき,さらにプロファイルは四つ管理できる。
マクロは,単機能やコンビネーションキー,スクリプトを登録でき,特定の行動をループさせるスクリプトでは,時間設定を行うこともできるという。経験値稼ぎなど,単調な動作を「寝ている間にスクリプト実行させる」という,いわゆるオートマウス的な動作も,「物理的には可能」(Chou氏)。「外部ソフトウェアツールの利用が規約で禁止されているゲームタイトルを前にしても,マクロ設定をマウス本体に保存でき,“そういう機能を持ったマウス”として利用できる」とのことなので,日本で登場した場合は,いろいろ物議を醸しそうだ。
このほか,Cooler Masterは,電源ユニットやCPUクーラーの新製品も展示されていたので,紹介しておこう。
80 PLUS Gold認証を取得した,Cooler Masterの新世代フラグシップ電源ユニット,Silent Pro Goldシリーズ
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まず,電源ユニットでは,独自コンポーネントの開発により,87%以上の電源変換効率を実現し,80 PLUS Gold認証を取得した電源ユニット
「Silent Pro Gold」シリーズを発売する。
Silent Pro Goldでは,電源内部で電圧変換を行うトランスとヒートシンクを一体化することで25%ほど小型化するとともに,放熱性を高めることで電圧変換効率を高めたとのこと。また,トランスで生成された電圧を12Vや5V,3.3Vに変換するICを,電源基板ではなくヒートシンク上に搭載することで,トランスと電圧変換ICの距離を短縮し,変換効率向上に役立てたと,Cooler Masterの電源ユニット製品担当者は説明している。
12Vシングルレールデザインを採用することで,ハイエンドグラフィックスカードによるマルチグラフィックス環境でも,電源の12V出力容量が原因となる互換性問題を避けるというのもウリ。Cooler Masterでは,800W,1000W,1200Wの3モデルを市場投入する意向だ。
Silent Pro Goldに搭載されるヒートシンク一体型トランスフォーマー。放熱性を高めることで小型化を実現している |
Silent Pro Goldの最上位モデル「Silent Pro Gold 1200W」は,最大96Aの12V出力をサポート |
またCPUクーラーでは,サイドフローの大型クーラー
「V6 GT」の量産モデルを披露。7本のヒートパイプを備え,静音性を追求した
「Hyper B6」や,日本では風神シリーズとして知られるGeminiシリーズの最新モデル
「Gemini 85」も公開されている。
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TDP 200W以上にも対応するV6 GTの量産モデル。6本のヒートパイプをVの字上に配置することで,エアフローを効率化しているという |
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静音動作を志向したHyper B6。7本のヒートパイプを採用するとともに,ベース部にもヒートシンクを搭載し,放熱性の向上を図る |
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Gemini 85は,120mm角ファンを搭載するトップフロー仕様ながら,全高を115mmに抑えたのが特徴。ファンは140mm角モデルへの交換も可能だ |