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印刷2009/11/30 16:29

連載

海外ゲーム四天王 / 第24回:「Brutal Legend」

海外ゲーム四天王 〜戦うおじさん〜
第24回:今週のヘルイェー!:「Brutal Legend」
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 Electronic Artsから発売中の「Brutal Legend」は,ヘビメタ……もとい,ヘヴィ・メタルをメインテーマにしたファンタジーアクション。ロックとファンタジーという切っても切り離せないテーマを,ロックへの愛で強引に一本のゲームとしてまとめてしまったとしか思えない展開を見せる異色作だ。そんな本作を,前回に引き続きロックへの熱すぎる愛のせいで,原稿が遅れがちになる編集者が紹介しよう。イエー! ピース!

魔法のギターソロで万事解決「Brutal Legend」でメタルの未来のために立ち上がれ!

 

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 親愛なるヘッドバンガーの同志諸君,ブルータル・ビクトリー! 今回の「海外ゲーム四天王」は,前回に引き続き“ノー・メタル,ノー・ライフ”なメタル一直線の人生を送る諸君らのためのゲーム,Xbox 360版「Brutal Legend」を紹介する。今回は本作のゲームシステムにスポットライトを当ててお届けするので,本作をまだ購入していないというメタラーの風下にも置けない不届き者は,しっかりとチェックしてほしい……メタラー?

 不届き者といえば,前回,神聖なるヘヴィ・メタルを“ヘビメタ”と表記するという,とんでもない過ちを犯した本連載担当の松本という男がいたが,この者には神に代わってフライングVでアサルトアタックをかましておいたので安心してほしい。だが筆者はヘヴィ・メタルは当然として,アニメソングも同じくらい好きだ。原稿執筆時のBGMが「秘密推奨!うるとLOVE」だってことは,ここだけの秘密にしておいてもらいたい。

 

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オープニングに登場する現実世界のエディは,ラップ・メタルバンドのローディーだ。ステージを眺めながら苦虫を噛み潰したような顔で,同僚と「メタルは死んだ」「70年代初めに生まれたかった」などとぼやきあって熱いメタル魂をくすぶらせている

 

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 すでにご承知のとおり,本作はヘヴィ・メタル世界に飛ばされた主人公のエディが,斧とギターを武器に大暴れする三人称視点のアクションゲームだ。ゲーム世界は山あり谷ありのオープンフィールドで,ストーリー進行に必須のメインミッションや,各地で受けられるサブミッションをこなす形で進めていく。筆者は勝手に,本作はステージクリア型のアクションゲームだと勘違いしていたので,いい意味で予想を裏切られてびっくり。

 斧は当然,振り回して敵を攻撃するためにあるが,言ってみればそれだけだ。Brutal Legendの世界ではヘヴィ・メタルこそが真の音楽であり,ギターの音色には魔法のような効果が秘められている。エディを操作してのアクションシーンでは,斧による近接攻撃と,最寄りの敵に魔法の雷を落とすギターの遠隔攻撃を使い分けて戦う。

 

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 さらにエディは,ゲーム中に覚えられる魔法のソロをかき鳴らすことによって,さまざまな力を行使できる。その一つが,いつでもどこでもホットロッドを召喚できるギターソロで,エディはこれに飛び乗って広大なヘヴィ・メタル世界を自由自在に走り回れる。ゲームには,このホットロッドを使った見せ場もあり,崩れ落ちる高架道路の上を駆け抜けたり,崩壊するライオンホワイト(ヘア・メタル野郎のボス)の拠点から命がけの脱出を決行したりといった,大迫力のカーアクションが楽しめる。

 

 マシンガンなどを取り付けてホットロッドをチューンアップすれば,フィールドをうろちょろしている目障りなモンスターを走行中にバリバリと撃ち殺すなんてことも可能になるが,忘れてはならないのがカー・ラジオ(みたいなもの)の存在だ。ホットロッドにカー・ラジオを取り付けると,それ以降,ドライブ中にいつでも好きなメタル・ミュージックをBGMとして流すことができるのだ。何はともあれ,真っ先にやっておきたい改造と言っていいだろう。

 

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ホットロッドの強化はオジー……じゃなかった,メタルの守護者が報酬と引き換えに行ってくれる。ここでは,エディの斧やギターのパワーアップなども可能なので,何度も通うことになるだろう

 

 そして本作にはもう一つ,アクションゲームとしては異色ともいえる,大胆なゲームシステムが用意されている。それが,味方のヘッドバンガー軍団を指揮して戦う,RTS風の集団戦闘だ。ゲーム中にはボスと1対1で戦うシーンもないではないが,ライオンホワイトとの決戦を行う場面では,ほぼ毎回,このRTS風の軍団戦が行われると考えて間違いない。軍団戦では,対戦フィールド上にあるお互いのステージを破壊することが目標となる。

 

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 RTSといえば,ユニットを生産するための資源が必要になるが,本作にも実にバカげた設定の“資源”がある。それが,地下から溢れ出るファンの魂(?)だ。ファンの魂はファン・ゲイザー(Fan Geyser)と呼ばれる場所から噴水のように噴き上がっており,ここに魔法のソロで物販ブースを建設すると,満足したファン達の魂が自軍のステージに流れ込み,代わりにステージからじゃんじゃんヘッドバンガー共が飛び出してくるのだ。これを考えた人は天才か,かなりのアホかのどちらかに違いない。当然,敵軍もファン・ゲイザーを狙ってくるので,戦闘が開始されたら近場のものを速攻で確保しておきたい。

 

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 軍団戦でもエディを操作して敵軍に斬り込むことはできるが,所詮は多勢に無勢であり,ヘッドバンガー軍団をうまく指揮しなければ勝利は望めない。ゲーム中盤以降,エディは軍団戦のあいだだけ背中に翼が生えた悪魔のような姿になり,自在に空を飛べるようになるので,上から戦場の様子を見つつ,味方のヘッドバンガー軍団を一時的にパワーアップさせるギターソロでバックアップしたり,タイミングを見計らって攻撃や退却を指示したりといった裏方に徹することになる。

 

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 正直なところ,純粋なアクションゲームを期待して本作を手に取ったプレイヤーにとって,この軍団戦は蛇足というか,なんとも微妙な感じではある。巨大なボスとの一騎打ちなどをメインにすえて,もっとスカッと楽しませてほしかったところだが,これもまたハチャメチャを絵に描いたような本作らしい個性の一部だと思えば,納得できないこともない……かも。この点でやや画竜点睛を欠くきらいがある本作だが,バカバカしさ全開の設定を最後まで力技で押し通してしまったノリとへヴィ・メタルへの愛情こそが本作の核であり,メタルを愛するすべての人にプレイしてほしい一本だ。

 

今週のメタル・コラム:メタルは死なず! 21世紀に蘇るヘア・メタルバンド
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ご覧のとおりのフワフワヘアと,セクシーさを通り越して見ているこちらが恥ずかしくなる穴だらけのカットTに豹柄のスパンデックスというルックスは,どう見ても明らかにダサいSTEEL PANTHER。アルバムの邦題も「鋼鉄の雌豹」と,これまたダサいが,音は文句なしにカッコいい。こんな作品が2009年にリリースされたこと自体が驚きだ

 本作のオープニングでもエディが嘆いているように,ヘヴィ・メタルは割としょっちゅう“死んだ”ことになっているが,2000年代に入ってからは,また少しずつヘヴィ・メタルに追い風が吹き始めている。この流れを後押ししているものの一つが「Guitar Hero」シリーズの爆発的大ヒットだ。ゲームで初めてヘヴィ・メタルに触れた若いリスナーによってその素晴らしさが“再発見”されたことに加え,1990年代を席巻したグランジ/オルタナブームへの倦怠感から,古き良きヘヴィ・メタルに対する見直しが進んでいるのだ。あの頃のヘヴィ・メタルも,いま思えばカッコよかったよねってなもんである。

 そんな中,いま最も注目を集めているバンドの一つがANVIL……もいいのだが,個人的にはLAメタル・スタイルの王道を行くルックスとパフォーマンスで一気に注目度を高めているSTEEL PANTHERを推しておきたい。SLIPKNOTのコリー・テイラー,ANTHRAXのスコット・イアン,THE DARKNESSのジャスティン・ホーキンスなど,多数のゲスト・ミュージシャンを迎えて制作された彼らの1stアルバム「FEEL THE STEEL」は,キャッチーなメロディと切ないバラード,18禁ワード連発の歌詞とテクニカルなギターなど,LAメタルのすべてが詰め込まれたメタルファン必聴の一枚だ。RATT,POISON,DEF LEPPARD,EXTREMEあたりが好きな人は,ぜひ手に取ってみていただきたい。間違いなく気に入るはずだ。一度は“死んだ”とされた,こうした王道メタルバンドに,再び注目が集まるようなったことを素直に喜びたい。

 

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■■ginger(編集者/メタラー)■■
 この調子で,演歌とファンタジーが融合した「津軽海峡クエスト」とか,フォークソングとファンタジーが融合した「ファイナル・ハリー・ベラフォンテ」とかをデベロッパのDouble Fine Productionsに期待したいものだという編集者。アニソンとファンタジーの融合なら,比較的簡単なような気がするけど,どうだろう?
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    Brutal Legend

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