レビュー
緊張感溢れる真剣勝負が楽しめる,SNKプレイモアの看板シリーズ最新作
サムライスピリッツ閃
SNKプレイモアは2009年12月10日,Xbox 360用3D剣戟対戦アクション「サムライスピリッツ閃」(以下,サム閃)を発売した。本作は2008年にアーケード版として登場した同名作品の移植作で,Xbox LIVEを介した通信対戦や,アーケード版では使用できなかった中ボスの“ドラコ”とボスの“ゴルバ”が,特定条件を満たすことで使用可能になる点など,コンシューマ版ならではの要素が追加されている。往年のサムスピファンはもちろんのこと,興味はあるけどまだ未プレイという人にもぜひ遊んでもらいたいタイトルだ。
本稿ではそんなXbox 360版サム閃の概要を紹介しつつ,同作の魅力をお伝えしていこう。
サムスピシリーズはその後も,続編や外伝などが次々に発売され,初代から16年が経過した現在では,20タイトル近くもの関連作品がリリースされている。
今回紹介するサム閃は,2005年にアーケードで登場した「サムライスピリッツ 天下一剣客伝」から数えると,実に3年ぶりの新作ということになり(サム閃のアーケード版は2008年に登場),“3Dのコンシューマ向けサムスピ”としては,1999年12月に発売された「サムライスピリッツ新章 〜剣客異聞録 甦りし蒼紅の刃〜」以来の作品となる。
3Dだからこそ味わえる,“軸”を利用した新たな攻防が
“大斬り”や“一閃”の魅力を引き立てている
まず注目してもらいたいのが特殊動作だ。特殊動作は大きく分けて,投げ(Y),後方投げ(Y←),上段弾き(←+Y),下段弾き(斜め下+Y)の四つに分類できる。投げは,決まればかなりのダメージを与えられるだけでなく,武器攻撃との二択を迫ることもできるので,揺さぶりをかけるという意味でも積極的に使っていったほうがいいだろう。
一見地味な感がある特殊動作だが,これらを熟知しているか否かで戦局が大きく変化するし,格闘ゲームの醍醐味である“駆け引き”を存分に味わうためにも,ぜひ習得しておきたい要素だ。
サム閃を語る上では,軸移動も忘れてはならない。軸移動とは,ニュートラル状態(何もしていない状態)で方向キーの↓,または↑を入力することで,軸をずらしながら移動できるシステム。
軸移動を駆使することによって,相手にフェイントをかけたり,正面からきた縦斬りなどを避けつつ反撃に転じるといったアクションも可能。不意の攻撃に注意しつつ,ここぞという場面で使っていきたい。
また,サムスピといえば“怒ゲージ”も大きなポイントだ。怒ゲージとは相手の攻撃を食らうことで溜まっていくゲージのことで,これがMAXになると“怒爆発”が発動できるようになる。怒爆発状態になると攻撃力がアップするだけではなく,爆発状態のときにしか使えない,専用の必殺技が出せるようになる。ただ,怒爆発はゲージが消えるまでの数秒しかキープできないので,イザというときまで取っておいたほうがいいかもしれない。なお,怒爆発した瞬間は一瞬だけ無敵となり,相手の攻撃を受け付けない(一部例外あり)ので,追い込まれたときを見計らって発動してみるのも立派な戦略だ。
サム閃には切り札ともいうべき要素がある。それが“一閃”だ。これは体力ゲージが点滅しているとき,1ラウンドに1度だけ使えるというレアな技で,戦局を一気にひっくり返すほどの威力を秘めている。,
発動時のスキが大きく当てずらいのが欠点だが,ヒットさせればカッコイイ演出が入り,相手に大ダメージを与えるだけではなく,何やらとんでもない偉業を成し遂げたような気さえしてくる(大袈裟なようだが,実戦で当てるとそれくらい嬉しい)。チャンスがあれば積極的に狙っていこう。
大斬りといっても必殺技ではなく,サムスピシリーズにおいては通常攻撃に分類されるのだが,これが実に恐ろしい威力を秘めている。初期の作品では,怒ゲージMAX状態で大斬りがヒットすると,体力の半分近くを奪われるというケースもザラにあったほどだ。
前作「サムライスピリッツ 天下一剣客伝」では,若干威力が控えめに設定されていた印象を受けるが,本作ではシリーズ初期の凶悪な大斬りに戻っている。往年のファンであれば,本作をプレイしたとたんに,当時の興奮(恐怖?)が蘇ってくるに違いない。
ちなみに本作の大斬りは“縦大斬り(B+X)”と“横大斬り(A+B)”の2種類があり,威力では縦大斬りが勝っているが,発生スピードでは横大斬りが勝っているという特徴がある。
また,一見かなり使えそうな気がする大斬りだが,先述した軸移動や弾きによって,逆に手痛い反撃を食らってしまうこともあるので多用は禁物である。
「大斬りとか一閃もいいけど,俺は連続技をバシバシ決めたいんだよね」という考えの人もいるだろう。そんな方にはぜひとも空中コンボを極めてもらいたい。空中コンボはダメージが多いだけではなく,魅せ技としても使えるので,プラクティスモード等で納得いくまで練習し,実戦で披露するといいだろう。
とまあ,上記のことからも分かるように,サム閃は攻撃一辺倒でどうにかなるほど甘くはない。一撃の威力が怖いからこそ,相手の行動を先読みしながら,軸移動や弾きを効果的に使うことが重視されるゲームシステムだ。
連続技が重視される昨今の格闘ゲームの中では,かなり異質な作品ともいえるが,これこそがサム閃でしか味わえない独自の魅力であるともいえるだろう。
キャラクター人気にも定評があるサムスピ
ナコルル,いろはに続く新たなアイドルは鈴姫!?
本作では,総勢26名(ボス含む)のキャラクターが登場する。旧作からは,覇王丸,牙神幻十郎,ナコルルといったお馴染みのキャラクター13人が登場するが,ほかはすべて新規参戦キャラクターに入れ替わっている。新キャラクターはなぜか海外勢が多く,どいつもこいつも個性的(クセのある?)なヤツらばかりだ。
そんな新キャラクターの中でもおそらくダントツで人気なのが,メインキャラクターの一人である鈴姫。4Gamer読者にもお馴染みの,総合ゲーム情報誌「ゲーマガ」では,鈴姫閃翔絵巻という連載コーナーが設けられていたり,ゲーマガ特製の鈴姫フィギュアも発売されたりなど,その人気はサムスピシリーズのアイドル的存在であるナコルルやいろは(天下一剣客伝に出演)にも並ぶ勢いだ。
ただ筆者を含め,昔からのサムスピファンであれば,過去作からの登場キャラクター数に物足りなさを感じるのではないだろうか。次回作が出るならば,旧キャラの復活に大いに期待したいところだ(個人的にはレラの復活を希望します)。
過去のシリーズ作とは異なる新たなサムスピだが
“魂”はしっかりと受け継がれている
またそれらに加え,軸移動や,打ち上げ技からの空中コンボなどが,サムスピシリーズに新たな化学反応を起こしている。より立体的なバトルが可能になったことで,プレイヤーがとり得る戦術のバリエーションが格段に増えており,より奥深い対戦が楽しめるのだ。
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