イベント
[E3 09]自信があるからこそのナンバリングタイトル! 「FINAL FANTASY XIV」開発陣インタビュー
[E3 09]どうなる「ファイナルファンタジーXIV」? E3 2009でのQ&Aセッションレポート。16点もの最新画像もお届け!
田中弘道氏(以下,田中氏):
4年ぐらい前ぐらいから企画構想自体はあったのですが,その段階ですでにFFXIVとして作ろうという話をしていたのです。
―――4年前から「14」だったわけですか。
田中氏:
ええ,14です。もちろんその間に,13だけじゃなくて14が作られていれば,15になっていた可能性はあったわけですが(笑)。
最初にオンラインタイトルとして「ファイナルファンタジーXI」(以下,FFXI)を作ったときに,ファイナルファンタジーシリーズでMMORPGを作るのであれば,サブタイトルで「FFワールド」だとか「オンライン」と付けるよりは,正統派としてナンバリングしようとFFシリーズとしてのルールを決めたからです。もちろん今回は,単にそのルールを踏襲しただけでなく,自分達の本気度を示すために,ナンバリングしたという側面もあります。
ただし,それが作っていく過程で,いわゆるナンバリングタイトルにふさわしくない出来になったのであれば,僕らはいさぎよくナンバリングを諦めるという話はしていました。まあ,がんばって作ったので,ナンバリングしました。
―――FFXI-2ではなく,FFXIVということで,今回はエオルゼアという新しい世界が舞台になりましたが,世界観はどのような感じになるのでしょうか。わりとヴァナディールに似通った文化を持っていると思ってよろしいでしょうか。
河本信昭氏(以下,河本氏):
まず,先に説明しておきますが,ヴァナディールというのは,世界全体を指す言葉ですが,エオルゼアというのは,地方の名前なんです。ただし,この場所をメインにやっていこうと考えています。そして世界全体としては「ハイデリン」という名前があります。
世界観としては,FFXIとはまた別のものになると思います。「ファイナルファンタジーX」や「ファイナルファンタジーXIII」などSFの要素を取り入れた作品もありますが,やっぱり王道のファンタジーを作ろうという思いを持ちつつ,FFXIとはまた違った形のファンタジーを提供できると考えています。
―――小型の飛空挺のようなものがトレーラーには出てきますので,かなり世界が変わるのかなという印象を受けましたね。
田中氏:
いまは鋭意開発中という段階ですので,一般の方々に見ていただいても問題のないレベルに仕上がるタイミングは,僕らにもまだ見えていないところがあります。ですので,開発状況次第でしょう。
―――正式サービスのときの課金形態はどのようなものを予定していますか。
田中氏:
FFXIは月額課金ですが,FFXIVに関してはPlayOnlineを使わないでスクウェア・エニックスIDで色々な決済システムに対応しようとしています。そこでベースになるのが,30日課金なんです。
いま北米でも30日単位のアニバーサリー課金が主流になっているので,そちらでやっていこうと思っています。
―――ちなみに,ほかのオンラインゲームで多いアイテム課金のようなものを導入する予定はありますか。
田中氏:
当面はアニバーサリー課金しか考えていません。
河本氏:
そうですね,やっぱり基本はアニバーサリー課金であって,それ以外のものに関しては,ユーザーさんが納得できるものができるのであれば考える,といったレベルの話ですね。
―――ジョブや種族に関して,あらためて説明してください。
田中氏:
FFXIで使用していたアバターをFFXIVでも使用できるよう検討しているのですが,それにはFFXIのコミュニティをFFXIVに取り込みたいという狙いがあります。
アバターはプレイヤーの分身だと思っていますので,FFXIVには種族的な共通点を残そうと考えたのです。FFXIVのエオルゼアという世界観の中では,例えばガルカではないだろうし,新しい定義の中で,見た目は一緒なんですが,全然違う種族名が用意されます。
―――タルタルとかミスラとかに相当するものも,当然出てくるわけですね。
田中氏:
はい,そうなります。FFXIにいた5種族に相当するものはFFXIVにも出てきますが,それは全然別の存在です。
河本氏:
見た目は似ていますが,呼ばれ方が別になっていくと考えてください。
―――種族の数は五つですか。
それはまだお知らせできません。また,ジョブに関してですが,我々としてもFFXIがこれだけ長く遊ばれているのは,ジョブシステムの存在が大きいからだと思います。ですから,あのコンセプトを持ち続けて,かつ拡大したいですね。ただし,FFXIのジョブシステムとはまったく異なるものになると思ってもらっていいでしょう。
その新しいシステムのキーになるのは「武器」です。武器をメインに,成長の仕方であったり,戦いの方法が変わるようなものですかね。ジョブシステムのコンセプトを拡大する方向で,武器の要素を取り入れたいと思っています。
―――戦士やナイトという,FFシリーズ伝統のジョブというのは,なくなるのでしょうか。
河本氏:
同じものにはならないと思ってもらったほうがいいでしょう。
―――では,上級職があるとか,そういうレベルの話でもないというわけですね。
河本氏:
ええ,そうなります。
田中氏:
そうそう,今回は経験値レベル制ではありません。ではなんなのかというと答えづらいのですが,何か別のシステムであると思ってください。
―――ジョブしかり,レベルしかり,まるっきり変わった新しいシステムが採用されるわけですね。
河本氏:
はい,そうです。
―――アバター以外に,FFXIとの関連性というのはあるのでしょうか。
田中氏:
基本的にはないと思っていただいて問題ありません。ただし,いまFFXIをプレイしている人が,将来FFXIVに移るときに,例えば友達と離れたくないという要望は出ると思うので,名前を引き継げる仕組みを検討しています。
河本氏:
成長したデータを引き継ぐといったことはいっさい考えていません。ですが,コミュニティはなんとか維持できるような仕掛けを用意したいですね。たとえば,今日は一緒にFFXIを遊ぼうかとか,もしくはちょっとだけFFXIで,その後FFXIV,といったことができるようにしたいと考えています。
田中氏:
理想としては,FFXIで遊んでいる人がFFXIVから友達を呼んだり,その逆ができるという仕組みですね。初期のアイデアとしては,FFXIのモグハウスから出ると,FFXIVのエオルゼアに行くといった,多次元的なものを考えていました。ですが,なかなか難しくて,諦めました。
―――では,リンクシェルやフレンドリストなど引き継げると思っていいのでしょうか。
河本氏:
そうですね,出来る限りそういったことができるように検討しています。
―――武器がポイントになるということですが,アクション要素が追加されるといった,ゲーム性の変化というものはあるのでしょうか。
河本氏:
戦闘のシステム自体もFFXIとはかなり変わったものになると思います。どちらかというと,リアルタイム性を重要視する方向にはなっていくと思いますが,それをアクションとは呼べないですよね。いわゆるアクションではないです。ただし,やることや考えることが増えていく戦闘にしないと,長い間楽しんでもらえないですからね。ただ,初心者の人はそこまで意識しなくても簡単に楽しめるようなものにするつもりです。もっと高度な戦い方をしたい人は,タイミングなど,さまざまなことを考える必要が出るといったシステムを目指しています。
FFXIもアクションではないですけど,タイミングや位置取りなどを考えることが必要だったと思います。そういった方向性を,難度を上げないレベルで考えていきたいです。
―――FFXIVのウリとなる要素はズバリなんでしょう?
河本氏:
キーワードとして「成長」という言葉をあげさせてもらいましたが,つまりは,成長をするための仕組みのことだと思ってください。どうしてもFFXIの最初の頃は,敵をプルしてきて倒して……という行為を続ける必要がありましたが,やっぱり長時間やっていると,つらく感じる人も出てきます。そういったことがなくなるように,こちらからクエストなどを提供していって,気がついたら成長していてほしいと考えています。
もちろんFFならではのカットシーンがあり,ストーリーもあるのですが,それだけではなくて,自然に成長していってもらう。そうすることでまた人とも出会えるし,より楽しめるようになるでしょう。そこを一番,楽しんでほしいですね。
―――ソロプレイでも,多人数プレイでも,それぞれの楽しみ方が用意されるということですが,今回はソロプレイをより意識しているのでしょうか。
河本氏:
そうですね,ソロプレイを意識している部分はあります。ただ,ソロプレイができるように作ってしまえばいいというわけではないと思います。一番は先ほどいった成長の中で,自然に人と出会えるように,パーティを組めるようになってもらいたいです。また,今日は何をすればいいんだろうと思わなくてもいいように,こちら側から提供する,いわばおもてなしの心ですね。
ただしパーティプレイをしたときに,全員で殴って,全員で回復してという状況は好ましくないです。ですから,しっかりと役割分担をできるようにするつもりです。
―――今日はFFXIを,明日はFFXIVをプレイする。といったスタイルができるようにサポートされると考えていいですか。
河本氏:
どこまでできるかは分かりませんが,ライトユーザーにも楽しんでもらいたいとも思います。今日はFFXIVで遊ぶのはここまででいいやと思ったら,FFXIVができるような,選択肢は用意したいですね。
―――トレイラーに飛行物体のようなものが登場していましたが,SF要素は入っているのでしょうか?
河本氏:
世界の細かい設定についてはまだ言えない部分が多いです。ぜひトレイラーを見ていただいて,いろいろと想像してみてください。
関連記事:「ファイナルファンタジーXIII」E3で公開された最新ムービーが公式サイトで公開
田中氏:
デザイナーがアートワークの方向性として最初に考えたのは,ハイファンタジーを目指そうというのが根底にあったようです。いわゆる中世ファンタジーではなく,もう少しモダンな感じになると思います。
―――音楽についてお伺いします。植松さん(植松伸夫氏)の復帰の理由とサラウンドサウンドへの対応について教えてください。
田中氏:
復帰とはとらえていませんね。ファイナルファンタジーシリーズは植松さんのものだと思っているので。今回も最初にお話を持っていったのですが,忙しい方なので全部はやってくれないと思っていたんです。ただ,実際に聞いてみると「たまには全部やりたい」といってくれました(笑)。
―――では,植松さんが全曲を担当したんですね。
田中氏:
ええ,そうなります。またサラウンドに関しては5.1chをベースにしています。ただ,オンラインの場合ADPCMでの配信が厳しいので,代替になるものを模索中です。
―――トレイラーには,水生生物が登場しますが,あれはリヴァイアサンでしょうか。
河本氏:
ええと,重要な存在であることは確かですが,まだ詳しくはお話できません。
―――また,魔道士がバリアのようなものを張るシーンがあります。これまでにない新しい要素が垣間見られますね。
河本氏:
カットシーンとしての演出というのはあるのですが,そういったバトル要素などは,象徴的な形で盛り込んでいます。
―――“象徴的”ということは,いろいろあると考えてよさそうですね。あと,最後にチョコボが登場したので,そういう部分は世界観的な引継ぎなのかと思いました。
河本氏:
先日行われたSCEAさんのカンファレンスでトレイラーを流して,チョコボが出てきた瞬間が,一番会場が沸きましたね。「本当にファイナルファンタジーなの?」と思っていた人が多かったようですが,チョコボが出たことで,FFと認識したようです(笑)。
ただ,そういった存在なだけに,FFXIと同じチョコボは出せないなと思っています。
―――戦闘は一対多ではなく,多対多になるとおっしゃっていましたが,その“多”というのが,どれくらいの規模になるのか教えてください。
河本氏:
もちろん,大規模戦闘というのも考えてはいます。ただ,“1体をタコ殴り”はもうそろそろいいかな,という思いがあります。敵もパーティを組んできて戦うようにしたいと考えています。
―――そうすると,敵が連携するといったことも考えられるのでしょうか?
河本氏:
ええと,今はまだご想像にお任せします(笑)
―――PC版の推奨スペックや対応OSはどのようなものになるのでしょうか。
田中氏:
いろいろと試してはいるのですが,βテストの段階で主流になっているOSを含めて,ユーザーの動向を見極めたいと思っています。現在ではオープンな状況です。ただ,FFXIよりは高スペックになると思います。ただし,MMORPGは長く遊ばれるものなので,5年後に普通といわれるスペックを一番上に持ってくると思います。
―――サーバーのキャパシティについてはどのくらいを想定しているのでしょうか。
田中氏:
基本設計はFFXIとほぼ同じなので,ワールドの最大同接者数の目標は5〜6000というところをベースに考えています。あとはワールドサーバー数を,ユーザーの規模に応じて増やしていきます。
―――ワールド数はいくつくらい用意してスタートするつもりですか?
田中氏:
こればっかりはまだ分からないですね。まずはβをやってからですが,FFXIを超えたいというのはあります。
―――FFXIVを発表したことで,FFXIのユーザーさんに少なからず影響が出ていると思います。それに対してはどのようなお考えでしょうか?
田中氏:
当然,両方遊ぶというのは時間的に厳しくなるとは思いますが,FFXIVに関しては時間的な制約があるなかでも楽しめるシステムを用意しているので,並行するのは苦ではないかもしれません。ただ,FFXIはスタートから7年が経ち,技術的にも拡張が厳しくはなってきています。ですからどこかでFFXIVへ自然に移行していく状況にはなると思います。
―――開発を担当された立場からすると,乗り換えてほしいという希望はありますか。
田中氏:
それはあくまでもユーザーさんの選択だと思っています。FFXIを続けたい方は,ぜひそのまま遊んでいただくのが一番いいでしょう。
河本氏:
やっぱり,FFXIがスタートしたときは,インフラやハードウェアのハードルがいまよりもかなり厳しかったので,当時遊べなかった人も多いでしょう。そんな人達にもぜひFFXIVをプレイしていただき,MMORPGの楽しさを知ってもらいたいですね。とくにファイナルファンタジーが好きという人達に届けたいという思いが強いです。
―――キャラクターの成長がレベル制ではないというお話がでましたが,ではどういったものなのでしょうか。
河本氏:
レベル制ではないですが,ジョブシステムのコンセプトを引き継ぐので,FFXIと似通った部分もあると思います。どこまで言っていいのか分かりませんが,たとえば,その日その日で切り替えて遊んでもらえて,かつそれを成長させたら,今度はこっちを育てるといいことがあるかも,といったところです。
―――例えば,「ウルティマオンライン」のような,スキル制のシステムになるのでしょうか。
河本氏:
完全なスキルシステムというわけではありませんので,まったく新しいものと考えてもらったほうがいいと思います。
―――2010年にサービス開始ということですが,ということは,来年βテストが始まって,来年中に正式稼動というイメージでよろしいでしょうか。
田中氏:
発表した2010年というのは,正式サービス開始のタイミングなので,それに先んじてβがスタートします。他社さんの動向だと「World of Warcraft」はβテストが9か月ですとか,かなり長めでしたが,そこまではいかないと思います。
―――FFXIのユーザーさんは期待半分,心配半分というところがあると思います。そんなユーザーさんにメッセージをお願いします。
田中氏:
FFXIはユーザーさん達に,いいゲームへと育てていただいたので,これからもずっと続けていきたいと思っています。FFXIVは,それとはまた違うコンセプトのベクトルで作られているので,また新たな楽しみ方を提供できると思います。ぜひ楽しみにしていてください。
河本氏:
FFXIはFFXIVにとって,最大の友達であって,最大のライバルだと思っています。そういう意味ではそれを友達にするか,ライバルにするのかは私達が決めることではなく,ユーザーさんに決めてもらうしかないと思っています。そのためにはぜひ見ていただいたうえで,いろいろと判断してほしいです。
どうやったら,両方とも成長していけるのかをユーザーさん達と一緒に考えていきたいと思います。
―――プロデューサー,ディレクターとしてFFXIVにかける意気込みを聞かせてください
田中氏:
満を持してお披露目することができたのですが,MMORPGはサービスインしたところがスタートですので,そこから先の5年なり,10年なりというところをユーザーさん達と一緒に作っていきたいです。ぜひ楽しみにしていてください。
河本氏:
コンセプトとして成長や新しいストーリーがあります。ですが,それらよりも大切なのが「場」を作ることだと思います。新しい場を作るということが,FFXIでも相当大変だったように,FFXIVも厳しくなるのはすでに実感しています。それでも5年,10年と楽しんでいただける場を作るということに注力してがんばっていきたいです。
FFXIの現役プレイヤーの中には,FFXIVの発表によって不安を覚えた人もいるだろう。だが,田中氏と河本氏の言葉を聞いて,かなり安心できたのではないだろうか。とくにFFXIVは,短い時間でも楽しめるように設計されるようなので,並行して遊ぶのもそれほど難しくはなさそうだ。
今回のインタビューでは,FFXIVの全貌はほとんど見えてこない。だが,ついにFFシリーズにおける2作めのMMORPGが,本格的に始動したのである。
まだ具体的なスケジュールが発表されていないが,正式に発表された以上はサービス開始に向けて情報公開が行われていくはずだ。いろいろと想像しながら続報を待とう。
- 関連タイトル:
FINAL FANTASY XIV(旧)
- 関連タイトル:
ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア
- 関連タイトル:
ファイナルファンタジーXI
- 関連タイトル:
ファイナルファンタジーXI
- 関連タイトル:
ファイナルファンタジーXI
- この記事のURL:
キーワード
(c)2010 SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved.
※SQUARE ENIXおよびSQUARE ENIX ロゴ,ファイナルファンタジー/FINAL FANTASYは,日本およびその他の国における株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングスの商標または登録商標です。
※エオルゼア/EORZEAは,日本およびその他の国における株式会社スクウェア・エニックスの商標または登録商標です。
(C)2010-2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
(C)2002-2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
LOGO ILLUSTRATION:(C)2002 YOSHITAKA AMANO