プレイレポート
「メタルギア ライジング リベンジェンス」を発売前にじっくりプレイ。メタルギアの魅力と壮快なアクションが融合した傑作だ
イベントの模様はすでに,こちらの記事でお伝えしているが,本稿では,2日間のBOOTCAMPを通してじっくりと遊び込んだ本作のプレイムービーと,プレイレポートをお届けする。
※一部暴力シーンやグロテスクな表現が含まれているほか,序盤に登場するボスキャラクターとの戦闘シーンがあるため,ご注意の上ご鑑賞ください
これまでのシリーズとは大きく異なる“攻撃的”なゲームシステム
さて,まずは基本情報をおさらいしておこう。
今作は元々「METAL GEAR SOLID RISING」というタイトルで2009年に開発が発表され,従来のシリーズ同様,KONAMIの小島プロダクションによって開発が進められていた。しかし,後にプラチナゲームズを開発に迎えることが決定。それに伴い,タイトルもメタルギア ライジング リベンジェンスへ改題された。
主人公は,「METAL GEAR SOLID 2 SONS OF LIBERTY」(以下,MGS2)や「METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS」(以下,MGS4)に登場した雷電。彼は強化骨格に身を包んだサイボーグで,驚異的な身体能力と高周波ブレードを武器に戦っていく。時代設定はMGS4の4年後で,サイボーグや無人機などが戦場に広く普及しているのが,前作との大きな違いだ。
当然,雷電の戦う相手もほとんどがサイボーグであるため,従来のシリーズの麻酔銃やCQCによる気絶といった小細工は通用せず,文字通り「一刀両断」するしかないのである。
メタルギアシリーズ最大の特徴といえば,敵に見つからずに進むステルスアクション(従来のジャンル名で言うところの「タクティカル・エスピオナージ・アクション」)だが,今作は,これまでになく“攻撃的”なゲームになっている。
従来のシリーズでは,特定のボス戦などを除けば,ほとんどの敵と交戦せずにエンディングまで進めることができた。しかし,今作では,そもそも真正面から敵とぶつかり合う場面が多く,雷電が用いるアクションや武器なども“隠れる”ためではなく“倒す”ためのものが中心となっている。「自由切断」「斬奪」といったキーワードが象徴するように,今作は敵を倒すことの壮快さが大々的にフィーチャーされているのだ。
自由切断と斬奪について,もう少し詳しく説明しておこう。
雷電のメインウェポンである高周波ブレードは,弱攻撃,強攻撃のほかに,「斬撃モード」による攻撃が可能となっている。この斬撃モードを使うと,効果中は敵の動きが遅くなり,その間にプレイヤーが狙った太刀筋で自由に刀を振るって,敵や障害物を切り刻むことができるのだ。思い通りにスパッと敵の身体が斬れるのは大変に気持ちが良い。
そして,この自由切断と重要な関わりをもつのが斬奪である。敵にトドメを刺す時に斬撃モードに切り替えると,敵の身体に赤いカーソルが表示される。そしてこのカーソルに合わせてうまく「斬」りつければ,敵の体内から自己修復ユニットを「奪」うことが可能だ。この斬奪は,成功させると,敵を倒すとともに,雷電の体力と燃料電池を全回復できる。いかに敵から自己修復ユニットを奪いながら進めるかが,本作の攻略において非常に重要な鍵となるだろう。
ちなみに,最初は成功させるのが難しい斬奪だが,慣れてくると周りのサイボーグ兵士が敵ではなく,“歩く回復アイテム”に見えてくる。とくにボス戦で雷電の体力が減っている時など,サイボーグ兵士が増援で出てくると思わず「やった!」と親指が立ってしまうほどだ。
また,敵と真っ向から戦うだけでなく,従来のメタルギアシリーズのように,戦略的に身を隠しつつ進んだほうが良い場面もある。というのも,通常,サイボーグや無人機などと交戦した場合,ある程度ダメージを与えてからでないと斬奪はできないのだが,相手に気付かれることなく背後や頭上に忍び寄ると,一撃でトドメを刺せるうえに斬奪まで可能な「ニンジャキル」を発動できるのだ。
いかに雷電が超人的な身体能力を持っていて,斬奪までできるとはいえ,敵に囲まれて集中攻撃を受けると苦しい戦いになる。正面からやり合うのが面倒な相手の場合,ニンジャキルを成功させられるかどうかで,進みやすさが大きく変わってくるわけだ。
体験版からの変更点をチェック
アシスト機能の利用やカスタマイズなどが可能に
体験版には基本操作のチュートリアルが用意されているものの,今作は独自のアクションが多く,なかなか操作に慣れず難しく感じた人もいるかもしれない。しかし,実際の製品版ではFILE01の前に,プロローグ的な内容のFILE00が存在しているため,体験版よりも緩やかに難易度が上がっていく印象である。
また,チュートリアルの内容自体も,製品版と体験版とで大きく異なっている。製品版では,移動や基本攻撃の方法から少しずつ順を追って学んでいけるため,アクションが苦手な人でも遊びやすくなっているのではないだろうか。
実を言うと,筆者自身も最初は思うように雷電を操作できず,少々手こずってしまった。中でも覚えるのに苦労したのは「シノギ」のアクションだ。シノギは,敵の攻撃に合わせてアナログスティックとボタンを入力することで,その攻撃を高周波ブレードではじき返して無効化できるというもの。ほとんどの攻撃を防げるだけでなく,敵に隙を作って反撃を行うことも可能なため,これをうまく使うことがゲームを進める上で必須といっても過言ではない。マスターすればきわめて強力なのだが……難点は,これがなかなかに難しいことだ。
そのためか製品版では,どうしてもシノギが苦手だという人のための救済措置として,難度をEASYでプレイする場合に限り,シノギのキー入力を簡略化する「イージーアシスト」機能が用意されている。体験版で苦戦したという人も,イージーアシストを使えばなんとかなるはずだ。
ほかにも,今回のBOOTCAMPでプレイして,体験版には無かった要素がいくつか確認できた。
その最たる例が,雷電のカスタマイズである。本作では,敵の撃破やステージクリアなどの報酬として「BP」を得られるが,体験版ではこれを消費する要素がなかった。だが,本編ではこのポイントと引換えに,雷電の武器やステータスなどをパワーアップしたり,新たなスキルを獲得したり,雷電の外見を変更したりできるのだ。
また,製品版では数々のやり込み要素が楽しめるのもポイントだ。例えばシリーズ恒例の「VR MISSION」は,今作ではマップ内に配置された端末を調べることでアンロックされていく。体験版を何度もクリアしたという人も,製品版のFILE01ではあらためてマップ内をじっくりと探し回りながらプレイすると良いだろう。
ほかにも,自由切断で敵兵の左腕を切断して収集したり,マップ内に隠された特定のアイテムを探したりなど,MGS2のドッグタグやMGS3のケロタンのようなコレクション要素も確認できた。
もう1つ,製品版で楽しめるやり込み要素が,ステージの節目ごとに表示される「COMBAT RESULT」だ。プラチナゲームズが開発した「BAYONETTA」(PlayStation 3/Xbox 360)と同じようなシステムと言えば分かりやすいだろうか。クリア時間や斬奪回数などに応じて,S〜Dランクの評価が与えられ,FILEの最後には,そのステージで獲得したリザルトの合計で最終結果が表示される。全ステージSランク取得を目指すのも一つの楽しみ方といえよう。
一周しただけではまるで遊び尽くせないボリューム。“メタルギアらしさ”を味わいつつ,じっくりと楽しみたい
今回筆者は,BOOTCAMPが行われた2日間でエンディングに到達できたが,全体を通して強く感じたのは,アクションゲームとしての歯応えだ。筆者がメタルギアシリーズを遊ぶとき,難度はいつもNORMALを選ぶのだが,同じNORMALモードでも,今作はこれまでのシリーズ中もっとも苦戦した(無論,そもそものゲームシステムが大きく異なるため,簡単に比較できる話ではないのだが)。
といっても,難しくてプレイが苦痛に感じられたわけではなく,むしろ,何度コンティニューしてでも再挑戦したくなるようなバランスになっている。今作では,ステージ内の随所にチェックポイントが設けられており,ゲームオーバーになってもその直前からすぐにやり直せる。なかなか倒せないボスであっても,戦っているうちにコツが掴めてくるので,少しずつ上達が実感でき,なんとか倒してやろうという気になるのだ。
逆に,シリーズ未経験者が遊んだ場合はどうなのかというと,ストーリーをより深く楽しみたければ,過去作(とくにMGS2,MGS4)を遊んでおいたほうが良いだろう。ただ,プレイしていなければまったく理解できないような内容ではなく,そもそもアクションゲームとしての完成度が非常に高いので,メタルギアシリーズを遊んでいないからと敬遠せずに遊んでみることをおすすめしたい。
何より筆者自身,本稿を書いているうちにまた遊びたくなって,今もうずうずしているのだ。大抵のゲームは一度クリアしただけで満足してしまう筆者だが,こと本作に限っては,たった1周だけではとても遊び足りない。
以上のように本作は,従来のシリーズとは大きく異なるアプローチでありながら,メタルギアらしさが存分に味わえる一作となっている。小島プロダクションとプラチナゲームズ,両者の持ち味が一体となったコラボレーションといえよう。発売日まであと1か月弱。筆者もファンの1人として,2月21日を楽しみに待ちたい。
「メタルギア ライジング リベンジェンス」公式サイト
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メタルギア ライジング リベンジェンス
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