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ゲームクリエイター名越稔洋氏が本音を語る? 「TOKYO FM WONDERFUL WORLD」生収録の模様をレポート
WONDERFUL WORLDは,タレントの小山ジャネット愛子さんがパーソナリティを務める番組で,毎回さまざまなゲストを迎えてのトークが展開される。
今回は同番組の1コーナーである“TOKYO ENTERTAINMENT”に,ゲストとして「龍が如く」シリーズの総合監督であるセガの名越稔洋氏が出演した。本稿では,生放送の概要と放送後に行われた合同インタビューをお届けする。
劇的3時間SHOWとは,「JAPAN国際コンテンツフェスティバル 2009」のオリジナルイベントで,名越稔洋氏のほか,市川亀治郎さん/田口浩司さん/高橋靖子さん/高橋智隆さん/糸井重里さん/弘兼憲史さん/木村大作さん/武部聡志さん/佐藤可士和さんという10人の大物ゲストが,それぞれ3時間ものライブトークを行うというもの。
なお,名越氏の出演は10月12日の17:00〜20:00予定となっている。事前応募の当選者のみが入場できるイベントではあるが,入場は無料だ。現在第2次応募を受付中なので,興味のある人は応募してみよう。
それでは,WONDERFUL WORLD生放送のトークから,名越氏の注目発言を中心にその概要をお届けしよう。なお,放送中に「龍が如く」シリーズの生まれた経緯などの話が出ていたが,そのあたりは「こちら」のインタビュー記事に詳しいので,ここでは割愛する。
名越稔洋氏のオフィシャルブログ「とりあえず乾杯デショ。」
――龍が如くは,アクションゲームとしての楽しさはもちろんですが,さまざまなミニゲームも魅力ですよね。これはどういったところから生まれたのですか?
最初からミニゲームを入れようとしたわけではないんです。もともと龍が如くは,現代の日本を舞台にした作品を作りたいというコンセプトから生まれました。またその過程で生まれた舞台が繁華街でした。今までは,実際の街を実体験できるゲームってなかったので,街でできることを詰め込んだ結果,ミニゲームが多くなったというわけです。
――実際に東京の街を見て回ったりしたんですか?
名越氏:
はい,してます。普段から街を見て回っていると,いろいろな発見があって面白いんですよね。興味はあったけど,実際には入っていない場所に入ってみたりとか。実際,そういう発見がゲームとして使われたりもしています。
――名越さんは,大学では映画の勉強をなさっていたと伺ったんですが,どのような理由でゲーム業界にこられたんですか?
名越氏:
大学での映画の勉強はすごく役に立ちました。でも当時はマーケット的にも厳しく,就職も大変でしたね。ただ,好きなことをやらないと,続かないなっていうのはありました。もちろんゲームが好きでしたが,大学のときはお金がないというものあって,あんまりゲームは買えなかったんです。それでも,やってみたいと思いました。ちょうど技術的にも,ゲーム業界は過渡期を迎えていて,ただ単に遊ぶものから,魅せるものに変わっていきました。
そんな中,ゲーム業界なら大学で学んだことが応用できるかなと思い,ゲーム業界に入ったんです。そこからは,ゲーム作りに夢中で,気がついたらいつのまにか20年って感じですね。
――ちなみに映画はどんなものがお好きですか?
名越氏:
日本の空気感が出ているような作品が好きですね。最近はワールドワイドを意識した映画がたくさん出てますけど,海外の人間のように振る舞ったものを作るのは,ちょっと不自然かなって気はしますね。
中には,わびさびとか,独特な部分だけが取り入れられている作品もありますよね。ダイナミックな部分だけでも,日本の良さっていうのはアピールできると思うんです。それをゲームで表現できれば最高ですね。
――龍が如く4では,参加される声優さんもぞくぞくと発表されてますね。やはり声優さんが印象づける影響って大きいですか?
名越氏:
龍が如くって,声優さんもいるんですけど,俳優さんが多いのが特徴ですね。俳優さん独特の演技っていうのがあって,声優さんとはまた違った魅力があるんですよ。それがCGにも大きな影響を与えています。
ただそれに加えて,声優さんも山寺宏一さんや小山力也さんといった名高い方にお願いしていますので,そちらの部分も魅力です。
――龍が如く4の詳細は,東京ゲームショウで明らかにされるわけですが,待ちきれない方もいると思います。そんな方に,龍が如く4の魅力を一言で表現するならどんな感じですか?
名越氏:
言いたいことを言ったら全部喋っちゃうんで(笑)。龍が如く4のネタって,実は前々から僕の引き出しにはあったんですよ。ただそれをいつ出そうかなって思っていたんです。
そういう意味では,僕が今までやりたかったことって,実はこれ(龍が如く4)なんじゃないかなって感じています。
――10月に行われる劇的3時間SHOWなんですが,オファーが来たときはどんな感じでした?
名越氏:
名前からして3時間なんだろうなと。ただ,今までトークするときに「しゃべり足りないな」って思ってた部分もあったんです。でもいきなり3時間っていうのはすごいな(笑)。
まあ,どこまで語れるかは分からないですけど,今までゲーム業界で語られてなかった,日々考えていることを話したいですね。
ゲーム業界って,メディアのエンターテイメントとしての価値観を大きく担っている業界だと思うんで,その中で,本音を交えながら,将来ゲーム業界で働くという夢を,いろんな人に持ってもらえるような話をしたいですね。
――ゲーム業界を目指している人に,アドバイスを求められることもありますよね。
名越氏:
多いですね。現場でもありますし,学生さんにも言われます。ゲームが好きっていうのは,その時点でクリエイターになる基本的な権利を持っていると思うんです。
ただ,その中でも,すべてを投げ打ってでもそこに身を投じる覚悟がありますか,ということを問いたいですね。これはどんな仕事でも言えることです。やっぱ中途半端じゃ済まされないと思いますし,現場は命賭けてやってますので。
――名越さんにとってゲームとはどんな存在ですか?
名越氏:
僕にとっては,すべてですね。いいことも悪いことも,「これってゲームにならないかな」って考えちゃいますし(笑)。
生収録のあと,名越氏の囲み取材も行われたので,以下にそのときの模様も掲載しておこう。
名越氏:
何回か出させていただいたんですけど,どこを見ていいか分からない感じでした(笑)。でも最近は慣れてきて,少しずつ喋れるようになりました。いい経験だったと思います。
――こういったオープンスタジオですと,視線が気になったりすることもあると思うのですが,その辺はいかがでしょう?
名越氏:
僕も昔は「あれ誰だ?」って見る側だったんですけど,今は見られる側に変わって感慨深いものがありますね。多分今日は,「あれ誰だ?」って見て,首を傾げて行ってしまう人が続出しただろうなって思ったんですけど,実際そのとおりでした(笑)。
――劇的3時間SHOWの出演を決意されたきっかけは何だったのでしょうか?
名越氏:
僕は,基本的にやれることはすべて受けようという姿勢です。いろんなことに興味がありますし,時間が経てば,言いたいこともどんどん増えてくるので,メッセージを生で伝えられる場所があるというのは嬉しいですね。
あと,3時間のトークというのは経験がないので,これをやったらまたいい経験になるなと。
――劇的3時間SHOWではいろいろなクリエイターさんがゲストで出演されますけど,ゲーム業界以外でこの人の話を聞いてみたいという人はいらっしゃいますか?
名越氏:
佐藤可士和さんとか,糸井重里さんはしっかり聞いてみたいですね。
――劇的3時間SHOWを期待している方に,収録で話されたこと以外に,もう少しメッセージをいただけたらと思うのですが。
名越氏:
僕は,常にユーザーさんの反応をチェックしているんですね。またスタッフの中から,今回仕様をこうしたとか,企画的にはこうしたとかいう話も聞きます。
当然,自分達の主張もありますけど,ユーザーさんの意見も気にしているので,そういった部分は丁寧にやっているつもりです。毎回そうなのですが,今回(龍が如く4)はとくに気を使っています。またドラマ部分も壮大な尺の割には飽きない展開になるよう工夫しています。
まあ,毎回このコンテンツ(龍が如く)は自信を持ってやっているので,今回も自信はあります。期待していてください。
――先日行われた,キャバ嬢オーディションの感想をお聞かせください。
名越氏:
とてもいいと思いました。スケールは大きくなくても,リアルに面白い人が集まったと思います。たかがキャバクラといえばそうなるんですけど,すごくしっかりしたものになったなっていうのはすごく感じました。
実体験を元にしたシナリオというのもすごく面白そうですし,それをどう再現しようかなっていうのを今考えています。
――東京ゲームショウ2009の見どころはどこでしょう?
名越氏:
龍が如く4の魅力が,しっかりと伝わるトレーラーをシアターで上映します。色々な意味で,龍が如くというものの正体を含めて,新しい展開を期待してほしいですね。
僕のステージもあるので,そのときはもっとはっきりしたことが言えると思います。ぜひステージを見に来てください。
――ありがとうございました。
名越氏のゲームに対する考え方やゲームに対する情熱が,今回の収録からは確かに伝わってきた。東京ゲームショウ2009のステージや,10月12日の劇的3時間SHOWのトークでは,もっと踏み込んだ内容が聞けるのは,間違いなさそうだ。そんな名越氏の想いを確かめられるだけでも,これらのイベントに足を運ぶ価値はありそうである。
ともあれ,9月24日〜27日に開催される東京ゲームショウ2009(一般公開日は26,27日)での名越氏の発言に,まずは注目したいところだ。4Gamerでも数々のレポート記事を掲載していくので,お楽しみに。
- 関連タイトル:
龍が如く4 伝説を継ぐもの
- 関連タイトル:
龍が如く3
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