連載
【ヒャダイン】「戦国無双4」のやりすぎで,高橋名人に思いを馳せる
ヒャダイン / 音楽クリエイター
ヒャダインの「あの時俺は若かった」 |
第28回「『戦国無双4』のやりすぎで,高橋名人に思いを馳せる」
ども。忙しくさせてもらっております。休み? 何それ? おいしいの? そんな中でも,やはり息抜きは必要です。息抜きといったら,やっぱりゲームでしょう。過去の記事で書いたかもしれませんが,僕はやりこみ型なので,ひたすら同じゲームでレベルを上げまくるという癖があります。
……これはヤバイ。最高傑作が出ちゃいました。あの辛口でおなじみの大手通販サイトのレビューでも☆が乱れ打ち! 実際にプレイしてみると,その理由は分かります。もうね。批判しようにもスキがないんです。
まず3から4になるにあたって,新機能が大幅に追加されております。従来のシリーズが好きだった人間にとって,新機能というのはどうしても「改悪」という言葉がちらついたりして身構えてしまうものですが,こんなにも前作までの良いところを最大限に生かしつつ,新機能を詰め込むことができるんだ! と感心してしまうレベルです。
そんな新機能の一つである「神速」は,高速で雑兵をざくざく巻き込みながら倒していくという機能。チャージ攻撃と同じく△と□の組み合わせでアクションも変わる!! これが爽快痛快!! 雑兵もそこまで堅くないのでザクザクいけます。これでストレス解消!!!! 1000人斬り余裕!!!!
でも今回のストーリーは,地方ごと! すなわち各地方の史実に関わる人物を,そのステージで操作可能という仕組みになったのです。キャラクター同士の絡みも選択キャラによって変わる! 歴史の勉強にもなるぞ!
さらに,プレイヤーによる新武将作成モードも潤沢です。顔つきから体格,武器,衣装まで細かくカスタマイズできます。新武将による冒険も細かく作られていて,声優さんが細かいセリフまできっちり網羅しております。
あと,あれだ。武器のレベルアップ方法も斬新に改善されております。あるキャラがゲットした優良武器を,ほかのキャラの武器に精錬できるというフレキシブルぶり! レベル1から修羅武器でざくざくいけちゃったりするわけです。
だからといって,プレイヤーを甘やかすだけにはなってません。地獄モードの敵火力は相当なものですし,ミッションをこなさないと兵力が弱まらない「強化エリア」の存在もでかい。これ,ガイドマップ上では赤く表示されるのですが,ここに出てくる敵が鬼畜。本多忠勝に一発くらうだけで即HPゲージ真っ赤。目利武器で戦闘に出てもなかなか修羅,猛攻,勇猛,克己がそろった武器は出ず,やり込み魂を刺激してくれます。
あとね。あとね。クリエイターとして凄いな! と尊敬するのが,使い回しがほとんどない,というところです。過去の作品と同じ名前のステージでも,使い回すことなく新しく作り上げているのです。これって凄いことですよ。「プレイヤーも前と同じステージは変化がないほうがいいでしょう」という判断だってできたはずです。でも,あえて一からグラフィックスを作り上げるコーエーテクモゲームスさんの気概! 豪華声優陣のセリフも録り直していますし,この労力に拍手を贈りたい!
まあ,地獄以上の難度がなかったりはするっちゃするのですが,そんなのいいんだよ!! この50名を越える武将達をレベルマックスにするだけでも十分楽しめます。さらにレア武器ゲットなどを考えるとどんだけダシが出るんだ,戦国無双4!!! 最高すぎるぜーーーーーーーーー!!!!
と,まあ感動ひとしおでプレイしまくっていたのです。ところがある日,目覚めると「なんか,左手の親指が痛い。前腕筋もゴリゴリしてる……。手首をまわすとガリガリと音がなる……」。やべえ。やり過ぎた。左アナログスティックを力いっぱいゴリゴリやり過ぎた。だって,急いでミッションをこなすために移動ボタンであるL3はシャカリキに動かしちゃうでしょう。しゃかりきコロンブスですよ。
そんなこんなで,回復するまでゲームができない体になってしまいました!! 悲劇!! まじで悲劇!!! だって気分転換しようと思ってリビングに行ったら,目の前にPlayStation 3はあるのに遊べないんです。膀胱パンパンでトイレの前に連れて来られて,おしっこするな! って言われてるような責め苦(たとえが汚い)。
3日ほどして「もういっかなあ」と思って2時間ほどプレイしたら,翌日またアウトー。ふわあ。だめだこりゃ。ということで,この記事執筆段階で一週間プレイしておりません。つらい。あ,決して戦国無双4が危険なゲームってことじゃなくて,僕が一日に何時間も連続してプレイしてしまったからです。完全に自己責任。
で,ゲームで遊ぶにもフィジカルな強さが必要だということに思い当たったとき,一人のレジェンドを思い出しました。そう高橋名人です! 知らない人はいないとは思うけれど,世代がかなり移り変わったのでここで高橋名人についてご説明させていただきたいと思います。
高橋名人,本名は高橋利幸さん。ハドソンの元社員なのですが,その高いゲームプレイング能力が話題となり,1980年代後半には一躍人気者に。とくにシューティングゲーム「スターフォース」での「16連射」でキッズの憧れの的となりました。当時,自動連射機能付きのコントローラは流通しておらず,シューティングゲームで連射ができるというだけで,それはもうステータスだったのです。
当時を知らない方々は,「ただ連射ができる人じゃないか」と思うかもしれませんが,本当に大スターだったんですよ! というのもパフォーマンスが素晴らしく,16連射をする姿はまるで高速で秘孔を突くケンシロウのよう! そういえば当時はジャンプ黄金期,「北斗の拳」もはやってたなあ。
しかも高橋名人,16連射オンリーではありません。「コロコロコミック」では「ファミコンランナー 高橋名人物語」という自身をモデルにした漫画が連載されていました。さらに,美声を活かして歌手デビューまで。
さらにさらに,自身がモデルになったアクションゲーム,「高橋名人の冒険島」が大ヒット(実際ゲームとしても素晴らしかったのです)。それをベースにしたアニメ「Bugってハニー」が地上波で放送され,主題歌は甘い歌声の高橋名人が担当。そして,今度はBugってハニーのゲーム版まで発売されておりました。
そのうえ「GAME KING 高橋名人VS毛利名人 激突!大決戦」なる映画も作られ,そこで高橋名人は,16連射でスイカを破裂させるというエキセントリックなパフォーマンスまで披露していました。このように,あらゆるメディアを股にかけた活躍を見せてくれていたのです。
その一方,「コントローラにバネを仕込んでいた!」とか「実は死亡していた!」など,今にして思えばよく分からないデマが流されたりと,とにかくいろんな話題を振りまいていた高橋名人。最近はニコニコ生放送などでよくお見かけしますね。
さてさて。今回,自分もゲームをやり過ぎで指を故障してみて,当時の高橋名人に関していろいろと妄想してしまいました。
全国各地でちびっ子が見つめている中,小さいボタンをひたすら連射する毎日。特定の筋肉のみを酷使して,本当は腱鞘炎でドクターストップがかかっている状態。「このままいけば,あなた,一生ゲームができなくなりますよっ!」という厳しい言葉が脳裏にこびりついているけれど,目の前の子供達の笑顔,そして自分はハドソンの社員。社運がかかっているわけだ。そして日ごとに加熱していく高橋名人ブーム。もう引くに引けない状況で,今日も体を酷使する。
もう筋肉は限界だ。終演後,トイレで馬用の麻酔を打つ毎日。嗚呼。なんというメディアの犠牲者! 流行の迷子! なんと切ないお話でしょうか。今こそ映画化するべきだよ!! 積木くずしの続編的なアプローチで映画化するべきだよ!!
あ,なんか,左手の痛みが愛しくなってきた。皆さんもゲームのやり過ぎには気をつけましょう。
■■ヒャダイン(音楽クリエイター)■■ 最近のヒャダイン氏は,5月21日に発売される,郷ひろみさんの99枚目のシングル「99(ナインティナイン)は終わらない」をプロデュース。さらに,5月27日に発売される椎名林檎さんのセルフカバーアルバム「逆輸入 〜港湾局〜」では,「プライベイト」の編曲を担当しています。どちらも要チェック! |
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(c)2014 コーエーテクモゲームス All rights reserved.
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