ニュース
IDF 2010 Beijing基調講演レポート。Intel,AVX&マルチスレッドへの最適化を訴える
IDF 2010 Beijingの会場となった国家会議中心(Beijing China National Convention Center) |
David(Dadi) Perlmutter氏(Executive Vice President and General Manager, Intel Architecture Group, Intel) |
そのオープニングを飾る基調講演に登壇したのは,同社でIntel Architecture Groupを統括するDadi Perlmutter(ダディ・パルムッター)上級副社長だ。
「当初,『特定のアプリケーションソフトを走らせるための箱』だったPCは,インターネットの普及で,ライフスタイルを変えるまでになった」と,話を切り出したPerlmutter氏。インターネットに接続されるデバイスも,これまでの一般的なPC製品だけでなく,テレビやスマートフォン,タブレット端末,デジタル掲示板など,その裾野を拡大し続けており,2015年には100億台以上の機器がインターネットに接続できるようになるという予測を披露した。デバイスの数だけ見れば,世界の総人口である約68億人(2009年7月現在,アメリカ合衆国統計局推計)を超えるインターネット接続デバイスが普及することになるわけだ。
なお,ゲームに関しては,「Trinigy Engine」と名付けられたエンジンのデモが紹介されたので,紹介しておきたい。下に示したのがそのデモだが,Havok.comによる物理シミュレーションも組み合わされ,マルチスレッド処理へ相当最適化されている模様。これを6コア12スレッドCPU「Core i7-980X Extreme Edition/3.33GHz」で実行し,その“余裕”が示されている。
Sandy Bridgeのウェハを公開しつつ
AVXやマルチスレッドへの最適化を訴えるIntel
Intelが2011年第1四半期に市場投入を計画しているSandy Bridge世代では,CPUダイにグラフィックス機能を統合し,AVXの追加など命令セットの拡張も施される |
Sandy Bridgeアーキテクチャの特徴。1クロックあたりの処理性能が向上するほか,CPU内部のデータ転送幅が広がり,レイテンシも低減される |
Sandy Bridgeでは,動作クロックあたりの命令処理性能が向上するだけでなく,CPU内部のバスインタフェースなども見直され,データバス帯域幅が拡大。同時にレイテンシも抑えられ,性能向上につながるという。また,CPUコアだけでなく,統合されるグラフィックス機能も大容量のキャッシュを使えるようになって3D性能が向上する,より洗練された「Intel Turbo Boost Technlogy」とパワーマネジメント機能がサポートされるといった内容も明らかになっている。
Sandy Bridgeで拡張されるAVX(Advanced Vector eXtentions)の実装例としては,Dayang社のWei Deng氏(Vice President & Chief Technology Office, Dayang Technology Development)がビデオフィルタリング処理のデモを披露。中国の110mハードル選手である劉翔氏のビデオを使い,ユニフォームの中国国旗部分を認識し,ぼかし処理を入れるというデモを,AVX実装環境と非実装環境で比較し,「AVXを実装することで,複雑な処理において,処理性能を大幅に引き上げられる」とアピールした。
Perlmutter氏は,「Sandy Bridgeの開発は順調に進んでおり,第4四半期には量産開始になる」という見通しを示し,さらに,Sandy Bridgeアーキテクチャに基づくモバイルCPU搭載のノートPCも公開してみせた。「これまでのノートPCでは処理が難しかった医療用の解析ソフトでも,Sandy Bridge世代では十分なパフォーマンスが得られる」と語った氏は,より多くのデベロッパに,Sandy Bridge世代に向けたソフトウェアソリューションを開発してほしいと訴えている。
James氏の基調講演における話題の中心は,2月にスペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2010」においてIntelとNokiaが共同発表したLinuxベースのオープンプラットフォーム「MeeGo」。ただ,ゲーム関連でも,Intelのパラレル処理最適化ツール「Intel Parallel Studio」を使って,中国のネットワーク市場で大きな影響力を持つTencentのオンラインRPG「QQ仙侠伝」を,マルチコアCPUに向けて最適化するデモが披露された点はお伝えしておきたい。
デモの内容は,「Core i5ベースのノートPCで,統合型グラフィックス機能のみを用いる環境において,さまざま視覚効果を加えながらも,フレームレートを向上させられる」というもの。マルチコア&マルチスレッドへの最適化を進めれば,グラフィックス機能が強力でないノートPCでも,よりリッチな画面でゲームをプレイできるようになると,デベロッパに最適化を訴えていた。
- 関連タイトル:
Core i7・i5・i3-2000番台(Sandy Bridge)
- この記事のURL:
(C)Intel Corporation