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[CeBIT]Intel,単体GPUとSandy Bridge側GPUコアの併用を可能にするGPU仮想化技術「Virtu GPU Virtualization」をアピール
そのなかでも4Gamer的に最も注目したいのは,2011年3月3日の記事でもお伝えした「Virtu GPU Virtualization」だったが,ともあれ,話題の豊富なカンファレンスの内容をまとめてみることにしたい。
「Virtu GPU Virtualization」で
単体GPU利用時もCPU統合型GPUの機能が使える
Jeff Austin氏(Director, Desktop Processor and Platform Marketing, Intel) |
LucidLogixのVirtu GPU Virtualizationが第2世代Core iシリーズに最適化されていることを説明 |
IntelでデスクトップCPUやプラットフォームのマーケティングを統括するJeff Austin(ジェフ・オースティン)氏は,LucidLogix Technologiesが開発した,ソフトウェアベースのGPU仮想化技術が,第2世代Core iプロセッサに最適化されていると紹介する。
つまりこの技術を使えば,これまで単体グラフィックスカードを利用した場合に有効化できなかった,動画エンコードを高速化できる「Quick Sync Video」や,Intelが“コンテンツ配信システム”として訴求する「Intel Insider」を利用できるようになるというわけだ。
氏は,このVirtu GPU Virtualizationに対応したマザーボードが,2011年第2四半期中に市場投入されると予告している。
ちなみにこのVirtu GPU Virtualization,マザーボードベンダーによると,NVIDIAのSLIと同様にライセンス認証制を採用しているとこのこと。つまり,ライセンスを取得したマザーボードでないと動作しないわけだ。また,利用可能なGPUも,現時点ではGeForce 200/400/500シリーズとATI Radeon HD 4000/5000シリーズに限られているという。Radeon HD 6000シリーズの検証は終わっていないとのことである。
Intel 6シリーズチップセットに関するアップデート。B3ステップの出荷は順調に進んでいるという |
セキュアなログインを実現する
ワンタイムパスワード「Identity Protection Technology」
IPTを使ったSteamへのログインデモ。Steamが第2世代Core iシリーズを検知し,IPTを有効にしているとのメッセージが下に表示される |
IPTは,オンラインショップや企業のVPNなどにアクセスするときに,サーバー側とクライアント側で,認証サービスを提供する企業が発行したワンタイムパスワードを共有することで,よりセキュアなアクセスを実現するというもの。
今回はSteamを用いたデモが行われたが,オンラインゲームのログオン周りでも採用されるようになれば,アカウントハック問題に対する解決策となるかもしれず,期待したいところだ。
Intelは,VeriSignやVASCO,Symantecと協力し,この技術を2011年後半にも,ノートPCなどに搭載できるようにするとしている。
一体型PCに向け,マザーの“高さ”を半分に
高さが従来の半分となるマザーも
Intelが「Lifestle Platform」対応製品と位置づける低消費電力版CPUのラインナップ |
AIOでは,本体の薄さが重要になることから,I/Oインタフェース部の“背の高さ”を従来の半分とし,AIOに組み込みやすいMini-ITXマザーボードなども,標準プラットフォームとして提唱していく意向だ。これにより,大小PCベンダーが,AIOのアップグレードやバリエーションの拡充をしやすくなると,Austin氏は述べている。
GIGA-BYTE TECHNOLOGYの薄型Mini-ITXフォームファクタ採用マザーボード。Intel H61 Expressを搭載する |
薄型Mini-ITXマザーボードを採用し,18.5インチディスプレイを備えたGIGA-BYTE製オールインワンPC「GS-AH6G3N」 |
Oak Trailこと次世代Atomを披露
採用製品の登場はもうすぐ
Karen Regis氏(Director of Consumer Client Marketing, PC Client Group, Intel) |
氏は,「拡大するタブレット市場に向け,次世代AtomプロセッサとなるOak Trailをまもなく投入する計画だ」と述べ,採用製品の例として,富士通製の10.1型タブレットPC(※名称未公開)を紹介した。
まもなく市場投入されるという,Oak Trailこと次期低消費電力版Atomの特徴 |
Atom搭載タブレットのパートナーが増え続けているとアピール |
Oak Trail搭載の富士通製10.1インチタブレットPCが披露された |
側面にHDMI出力を備えていることが確認できた |
着脱式のバッテリーを搭載。背面にカメラを装備するのも確認できる |
Netbookは,さらに薄く進化すると,同社のリファレンスデザインを紹介 |
Netbookは,日本以外の地域で顧客満足率が高いとして,今後もNetbookの高性能化に努めていくとのこと。
そこでIntelは,より高性能なNetbookを実現するために,「Atom N570/1.66GHz」を市場投入するほか,いままでのNetbookよりも薄い製品や,Chrome OSを搭載したNetbookを採用するとしている。
Netbookとタブレットの出荷台数予測を記したスライド。Intelは,Netbookも堅調な成長を続けると見ている |
Netbookに対する満足度は,日本以外の国で良好だという。逆にRegis氏から「なぜ日本人はNetbookに不満を持つのか?」と問いかけられる場面も |
タブレットPCとNetbookは,用途によって棲み分けができるとアピール |
新世代のNetbookとして,より高性能になったAtom N570や,14〜17mmの薄さを実現する新しいフォームファクターが登場してくると説明 |
「Intel Wireless Display」を利用した
ワイヤレスサウンド技術も公開
Regis氏はこのほかにも,「Intel Wireless Display」(WiDi)のアーキテクチャに関するアップデートを行った。ゲームとはあまり関係ないが,WiDiベースで,サウンドデータのみを伝送する「Intel Wireless Music」を2011年後半に実現できる見込みとのことだ。
公開されたWireless Music対応アダプタ(レシーバ)は,Logitech製の試作機で,今年の秋口には30ドル程度で買えるようになるという。
2011年後半にはIntel Wireless Musicで手軽に音楽やストリーミングラジオなどを楽しめるようにするとのこと |
LogitechのIntel Wireless Music対応デバイス |
以上,こまごまと発表された内容をまとめてみた。Virtu GPU Virtualizationだけでなく,アカウントハック対策としてのIPTも,なかなか興味深いとところである。Intelが予告したとおりのスケジュールで登場し,期待どおりに動いてくれることを期待したい。
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Intel 6
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