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「クロヒョウ 龍が如く新章」体験会が実施された“2010神宮外苑花火大会”で,名越稔洋氏にショートインタビューを実施
本作は,男の世界を描いたセガの人気アクションアドベンチャー「龍が如く」シリーズの初の携帯ゲーム機版である。主人公・右京龍也という“少年”から見た巨大歓楽街・神室町の物語が描かれるという新たなテーマを掲げ,通信対戦など携帯機ならではの試みにもチャレンジしている。
ブースではキャバクラ譲に扮したコンパニオンをお相手に,「クロヒョウ」の通信対戦バトルを楽しむことができた。
「クロヒョウ 龍が如く新章」公式サイト
またこの日は,「龍が如く」シリーズの総合監督である名越稔洋氏が会場を訪れており,合同ではあるがインタビューをする機会を得た。本稿では,合同インタビューの模様をお伝えしよう。
――花火大会でのゲーム体験会という珍しい形になりましたが,その感想を聞かせてください。
意外とないタイプの体験会ですけど,「クロヒョウ」の発売は9月のまだ若干暑い頃だと思いますし,こういう熱気溢あふる所でパワーをいただきながら,一気にリリースまでいい形で迎えられたらなと。そういう意味では,いい弾みをもらえそうですし,たいへん嬉しい限りです。
――今回は,「クロヒョウ」のウリの一つである通信対戦でのバトルを試遊できましたが,バトルについてのこだわりを聞かせてください。
名越氏:
バトルというか,基本的に絶対あるはずの体力ゲージがないゲームです。
いわゆる対戦格闘ゲームのゲージの削り合いは,それはそれで楽しいんですけど,“ケンカ”というのはどこがゴールかなんて元々ないですし,相手が負けを認める,もしくはくたばると終わるというニュアンスなんで,ゲージがデジタル的にゼロになったら勝った・負けたというのは,しっくりこなかったかなというのがあったんです。
モーションもわりとあえて雑というか,大振りだったり,綺麗なモーションというよりは,力の溢れるモーションをすごく意識していましたし,それに見合うシステムを作りたいなと。
試しに1回ゲージを取ってみたら,あとどれだけ向こうの体力が残っているのか,どれだけこちらの体力が残っているのかが分からない,という面白さがあったんです。
もちろん,そのままだと困るので,疲れている様子などから「あ,もうちょっとでいけそうだな」とか分かるようにしました。
デジタル的な駆け引きじゃなくて,一種の心理戦だったりとか,ひょっとしたら,一緒にやりあっているときにブラフみたいなものが意外と有効だったりとか,そういう場面もあるかもしれません。そういう意味では本当に,今までにない賑やかな感じの,ケンカしている感じというか,独特なものが「クロヒョウ」では出せたかなと
通信対戦もそのシステムがかなり生きていますから,4人でやってもタッグバトルでやっても,ゲージのないエネルギッシュさが生きてきているのかなと。今までの既成概念を一回忘れて,「クロヒョウ」ならではのバトルを楽しんでもらえたらなと思います。
――バトルに負けたら「土下座」「チーム解散」といった要素もありますが,なぜそういった要素を入れたのでしょうか?
今までの設定にも紐づいてきますけど,街で戦った相手とは勝った負けたがあって,そのあとに何かすることができます。たとえば“何か”をもらったり,相手がなかなか歯ごたえがあって珍しい技が使えるとか気に入れば仲間になることで許してやったり,あとはムカつくんでトドメを刺しちゃう,なんてのもあります。
それはいくつか選べるようになっていて,まさに自分が強い男になったからこそ得られる不良の権限みたいなもので,ゲームの中でそれを楽しんでいただければなと思います。
仲間は50人まで集められるんで,取捨選択しながらチームを組んで,チームの名前も決めて,友達同士でチームバトルが遊べます。
また,選抜メンバーで戦うだけじゃやっぱり面白くないので,負けたら謝りますし,負け方がひどければ土下座するといったように,相手をいかに,精神的に懲らしめるような勝ち方をするか,ちょっと燃えるようなところがあると思います。
チームを賭けるバトルにした場合は,負けた方はチームをその場でデータ的に解散させなきゃいけなくなるシステムもあります。
また一から出直しみたいな感じになるのも,また“不良のゲーム”ならではですし,ケンカバトルというものを中心に,いろいろなものが彩られています。
若い子達だけではなく,学生の時代はかなりワルかったでしょう皆さんも,そのへんを思い起こして,バカバカしくもエネルギッシュな,そしてヤンチャなバトルっていうものを楽しんでもらえたらな,と思います。
――それらの要素は,主人公が桐生ではなく,右京龍也という少年だからこそ生まれたものなのでしょうか?
名越氏:
桐生は基本的に無口なんで,いかにシンプルに何かを伝えるかという良さがありますし,シナリオでも,やはりそこを上手く魅力を出そうとします。
右京龍也はベラベラ喋るわけではないですけど,桐生に比べたら全然喋りますし,余計なことも言いますし,その言葉で色々な目に会ったりします。そういう主人公としてこそできたものですね。
バトルにしても,スマートに戦うのはやっぱり似合わないので,そういうケンカバトルというものを上手く表現していきたい,というのが一番の願いですね。
あと,対戦格闘ゲームって,10代20代の子は昔に比べたらだいぶ減っていたり,僕らが15年くらい前に当たり前にできた“昇竜拳”を今の10代って意外と出せなかったりという事実を知ったんです。
やはりストイックなバトルって今はあまり欲しくないのかなとか,そういうものを全部含めて,やっている最中にいろいろと考えたのが,今回のバトルシステムが組み上がっていくプロセスだったんです。
まだリリースもしていないですけど,もしこれが受け入れられたら,また新しい時代が幕開けできるかなと。「もっとこういうことも進化していきたい」みたいな引き出しは持っているので,ぜひ楽しんで,感想を聞かせてもらいたいですね。
――「龍が如く」シリーズは,これまでもプロモーションで新しいことに挑戦してきましたが「クロヒョウ」でまだ新しいプロモーションは予定されていますか?
名越氏:
予定はしていますし,「龍が如く」ではやらなかったこともやります。
具体的にはまだ言えないんですけど,「龍が如く」もいろいろと着飾ってきて,たとえば,劇場版映画はやったけどコミック化はやらなかったよねとか,あえてやらなかったものもあるんですよ。本当は,もっと解禁していってもいいものがたくさんあったけど,今まで大事にして安売りしてこなかったというか,納得したものから順々に手を出していったんですね。
たとえば映画は,CGと実写の違いがあるからその部分はどうしようかなとこっちは悩んでいましたけど,同じ動画という意味では基本的にニュアンスは似ているし,作法が一緒ということは,表現は近くまでできるし,面白味はそれなりに出せるだろうと。
「龍が如く」シリーズ全般ですけど,もし次に何か手を出したときに,そこが単に広まるからとか,面白そうだからとか,儲かるからとかじゃなくて,「今までこだわってきたけど,こういう理由で多分これはきっといいものができる」って納得したものは,徐々に広げていこうと思っています。
「クロヒョウ」からまた新しく解禁して増やす予定もあるので,それがどういうものかっていうのは,期待していてもらいたいです。
――ありがとうございました。
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