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本当の“8ビットテイスト”を知りたいならこれを遊べ。XBIG「まもって騎士」の魅力をプレイムービーとともに紹介
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印刷2010/05/28 16:30

レビュー

「懐かしい」だけのゲームだと思ったら大間違いの秀作アクション。古代祐三氏のサウンドも必聴!

まもって騎士

Text by Alexander服部


「昔のゲーム」の面白いところを忠実に再現!


画像集#016のサムネイル/本当の“8ビットテイスト”を知りたいならこれを遊べ。XBIG「まもって騎士」の魅力をプレイムービーとともに紹介
 Xbox 360で遊んでいるゲーマーにとって,ダウンロード専用タイトルといえば,XBLA(Xbox LIVE アーケード)のコンテンツが真っ先に連想されるだろう。しかしXbox 360では,マイクロソフトが無償で提供するXNA Game Studioを使って制作された“Xbox インディーズ ゲーム”もオンライン販売されており,Xbox LIVE マーケットプレースからダウンロード購入できる。
 Xbox インディーズ ゲームは,一般的な商業作品と比べればクオリティ/レーティングチェックが緩く,基本的に低価格で提供されている。「普通の商業作品より面白いじゃないか」というものから,明らかに一発ネタ風のタイトルまで,数多くのタイトルがラインナップに含まれているのだ。
 世界中のさまざまなクリエイターが,さまざまな思惑でソフトを開発/配信しているXbox インディーズ ゲーム群の中に,キラリと光る秀作が隠れているかもしれないと,ワクワクしながら日々チェックしている人も少なくないのではないだろうか。

画像集#001のサムネイル/本当の“8ビットテイスト”を知りたいならこれを遊べ。XBIG「まもって騎士」の魅力をプレイムービーとともに紹介

画像集#017のサムネイル/本当の“8ビットテイスト”を知りたいならこれを遊べ。XBIG「まもって騎士」の魅力をプレイムービーとともに紹介
 今回紹介するのは,「まもって騎士」というXbox インディーズ ゲームだ。ネーミングからして昭和の香りが漂う同作について語る前に,オールドゲーマー,いやオッサンゲーマーに伝えておきたいことがある。このゲームの開発/販売会社の代表およびサウンド担当は,あの“YK-2”である。このYK-2という単語に激しく反応してしまったなら,今すぐ「まもって騎士」を購入してしまっても何ら問題はないだろう。

「まもって騎士」公式サイト


 ちなみにYK-2とは,本作の開発メーカー エインシャントの代表取締役,古代祐三氏の別名。「ザナドゥ」や「イース」といった日本ファルコムのゲームサウンドで,あまりにも有名な人物だ。最近では,「セブンスドラゴン」や「世界樹の迷宮III 星海の来訪者」「ドラゴンボールオンライン」などにも関わっているので,多少ゲームに詳しい人ならば,一度や二度は名前を見かけたことがあるはずである。また,まもって騎士の公式blogにも書かれているように,「YK-2マン」という形で,ゲームにもちらっと登場したりする。

画像集#011のサムネイル/本当の“8ビットテイスト”を知りたいならこれを遊べ。XBIG「まもって騎士」の魅力をプレイムービーとともに紹介 画像集#012のサムネイル/本当の“8ビットテイスト”を知りたいならこれを遊べ。XBIG「まもって騎士」の魅力をプレイムービーとともに紹介

 20年以上前からPCをいじくり,当時からゲームを堪能してきている筆者のようなオッサンゲーマーにとっては,氏の楽曲は特別な意味合いを持つ。知らない人が聞いたら奇妙に思えるかもしれないが,古代祐三氏がサウンドを担当した作品は問答無用で購入する,という筋金入りのファンも,決して少なくはないのだ。

 そのエインシャントが,“8ビットテイスト”というテーマを掲げてXbox インディーズ ゲームに投入したのが,5月15日(土)に配信開始となった「まもって騎士」だ。
 画面写真や動画を見てもらえれば分かるだろうが,ファミコン時代におそらく誰もが経験しているだろう「カセットに息を吹きかけて接触不良を何とかする」部分まで再現されている,レトロゲーム愛がたっぷりつまった作品である。
 個人的には,思わず顔を赤らめてしまうほど懐かしい公式サイトのデザインもあわせ,力の入れ具合が変な方向に向いているような気がしなくもないが,昔はそういうメーカーが多かったことを何となく思い出す。このカオスなエネルギーこそ,レトロゲームの魅力のひとつでもあるのだ。



時代は移り変わっても,ゲームの面白さの本質は変わらない


 「まもって騎士」というゲームを簡単に説明すると,襲いかかってくるモンスター達から姫を守る,画面固定のアクションゲームである。見た目がシンプルなだけでなく,ゲームのルールもシンプルである。襲いかかってくる敵をひたすら倒し続けることでステージクリアとなり,姫が一定のダメージを受けるとゲームオーバーになる。プレイヤーが選べるキャラクターはファイター/ニンジャ/アマゾン/メイジの4種類で,それぞれ異なる攻撃方法や,敵の攻撃を防ぐバリケードなどを駆使しつつ,姫を死守するのだ。

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 ゲームそのものはシンプルだが,絶妙なゲームバランスが生み出すプレイの奥深さはかなりのものである。姫を守るバリケードを壊されないように走り回るのか,遠距離攻撃を駆使して敵が近づく前に殲滅するのか,あるいは細かく姫を動かしつつ戦うのか。「攻撃やバリケードを駆使して迫り来る敵から姫を守る」という単純なルールのなかにも,考えなければならないことは山ほどあるのだ。
 このゲームには,出現する敵の数が多いのに,主人公キャラ達が同時に相手にできる数が少ないという特徴があるので,持てる技術と知力をフル活用しなければ,姫を守りきることなどできない。この“忙しさ”を楽しいと思えるかどうか,そういう意味ではプレイヤーを選ぶゲームといえるのかもしれないが,目的が明快なだけに攻略法を練りやすく,じつに遊びがいがある。

 ここに登場するお姫様,ちょっとそっちの気があるのか,敵が連続して倒されると興奮してハートマークを出す。このハートが実はとても大事なのだ。ハートはステージクリア後のパワーアップ,バリケードの設置,バリケードのパワーアップなどに使用できるほか,“ラブフラッシュ”という緊急回避技(強力な範囲攻撃)の発動にも必要となる。つまり,ハートをいかに効率よく集めるが,ゲームの攻略に深く関わってくるのだ。
 ハートを集めるには,敵を連続して(コンボで)倒したり,大型の敵を倒したりする必要がある。ゲームになれてきたら,ステージをクリアすることだけでなく,いかにうまくハートを集めるかということに対しても意識を向けてみよう。



意外とクセのある4種類のキャラクターが

リプレイアビリティをさらに高める


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 本作は昔懐かしい,ステージクリア型のアクションゲームで,地形や登場敵キャラクターは,ステージごとに決まっている。しかし,操作するキャラクターがファイター/ニンジャ/アマゾン/メイジのどれなのかによって,戦い方/守り方が大きく異なってくる。
 たとえばニンジャは足が速く,当然,登場した敵を速攻で撃破していくようなプレイが得意なのかと思いきや,実は飛び道具を使えないので,敵が増えてくるゲーム終盤では,姫の近くから離れられなくなってしまう。一方,遠距離攻撃が得意なメイジは,強力な魔法で敵を次々とやっつけられそうだが,遠距離攻撃は障害物の影響を受けやすく,常にアウトレンジを守って戦うことは難しい。
 そういったキャラクターごとの特性を把握しておかなければ,終盤ステージに近づくにつれ,姫を守ることが非常に難しくなってくる。プレイヤー自身が経験を積み,キャラの個性を戦いに生かせるようになると,コンボを延々とつないだり,バリケードを一つも壊されることなく姫を守ったりなど,美しいプレイが可能になるというわけだ。

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 ゲームに慣れるまでは,イージーモードで遊びつつ,キャラクターごとの戦い方を学んでいき,自信がついてきたら,コンボ数の限界やハイスコアにチャレンジしてみるといいだろう。



Xbox インディーズ ゲーム注目のきっかけになり得る秀作


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 8ビットテイストを前面に押し出したXbox インディーズ ゲームということもあり,ストーリー的なボリュームや,グラフィックス面での高級感には欠ける「まもって騎士」。しかし,プレイヤーの技術と知識が如実に反映されるゲーム展開や,操作キャラクターごとに大きく変化する攻略法,そしてゲームミュージック界のカリスマ,古代祐三氏が手がけた,レトロ感溢れるBGMの数々など,「240マイクロソフトポイントでは安すぎる」と断言できる作品である。
 Xbox インディーズ ゲームは玉石混淆だが,「まもって騎士」のように,明らかに値段以上の面白さを秘めたタイトルも,なかには存在する。Xbox インディーズ ゲームに興味がなかったという人も,ぜひ本作をきっかけに,インディーズ ゲームを注目してほしい。そして,エインシャントというデベロッパの次なる“ダウンロード販売ソフト”の登場にも,大いに期待したいものだ。

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