インタビュー
下克上がテーマの新たな合戦とは?「戦国IXA」運営インタビュー。10〜11月のアップデートでさまざまな問題にも対応予定
待望の姫武将カードが!
武将カードに隠しスキルが追加できる新合成も登場
このほか,10月〜11月のアップデートとしては,どういった要素が導入されますか?
岡山氏:
プレイヤーのみなさんには,武将カードが手に入る戦国くじが好評でして,取引も非常に活発化しています。ですので,お気に入りの武将に,何かをアドオンしたりだとかいったシステムを入れようと考えています。
4Gamer:
武将に関して,何か手が加えられるわけですね。どのようなものになるのでしょうか。
岡山氏:
まずは,武将にスキルを追加できるようにしようというものです。現在は,武将が持っているスキルのレベルを上げることはできますが,違うスキルを付けたり,特定のスキルが発動する確率を上げたりといった選択肢はありません。そこで,せっかく育てている武将達を,より強化できるような形にしてあげようということで,“スキルの追加合成”というものを導入します。
4Gamer:
なるほど,そうするとこの武将にあのスキルを付けて……いや,やっぱりあのスキルなら……と妄想も楽しくなりますね。
岡山氏:
実は,それだけではなくて,今までその存在を公言していませんでしたが,いろいろな隠しスキルを持っている武将が存在します。
4Gamer:
それは,今も隠しスキルとして発動していたりするんですか?
岡山氏:
いえ,発動するのはアップデート後になります。今後は,そういった隠しスキルも追加できる対象になってくるので,武将カードには面白いスキルや,いぶし銀的なスキルだったり,発動率が低いスキルだったりするけど発動したら熱いよねというスキルをつけていこうと考えています。
4Gamer:
どんなスキルがあるのか,武将カードを育てるのが楽しみになりますね。ちなみに,例えばどういった組み合わせで合成すれば,隠しスキルが追加されるのでしょうか。
藤井氏:
スキルの追加は,合成したときに数%の確率で発生する形になります。そして,スキルを付けたいほうのカードと同じスキルを,合成するカードが持っていた場合に隠しスキルが出てきたり,違うスキル同士であれば,そのスキルが追加されるといった感じです。
なので,余分なカードが持ってるスキルを,自分が育てたいカードのスキルに付けられるようになるわけです。ちなみに,こっちのスキルは付けたくなかったのにという場合もあるので,もちろんメインで持っているスキルは消えませんが,スキルの削除機能も一緒に入れます。
4Gamer:
それなら,欲しいスキルが付けられるまでいろいろ試せそうですね。
藤井氏:
そういうわけです。これに加えて,結構難度が高いですが,レベル20ごとのランクアップっていう合成もありますので カードの強さ自体は最初はみんな同じですが,自分の好きな武将に好きなスキルを付けて,好きなスキルとランクを上げていくという,プレイヤーごとのオリジナリティのある遊び方ができるようになります。
岡山氏:
この仕組みを追加することで,プレイヤーのみなさんに,武将カードをもっと育てようと思っていただければと思っています。これまで,この武将のスキルは良いんだけどコストが高いから,レギュラーにできないということがありました。そのため,コストが低いけど強い武将を一人レギュラーにおいて,コストを調整しながら部隊を組んでいるという状況でした。ですが,スキルを追加して武将をより強くすることで,コストが高くても,レギュラーメンバーに入れれば,部隊の強化に繋がる者も出てくるのではと考えています。
4Gamer:
コストと強さだけではなく,スキルの良し悪しもカードを選ぶ基準になってきそうですね。では,アップデートで新しいカードは登場するのでしょうか。
カードは月初に1回を目指して追加していく予定です。先ほど少しお話しした,面白いスキルを持った武将と,プレイヤーさんからの要望が多かった女性武将のカードを,10月頭と11月頭にそれぞれ10枚前後ほど追加していこうと考えています。
4Gamer:
追加される姫武将は何人くらいになりますか。
李 潤玉氏(以下,李氏):
そうですね,うーん,数名ですね。戦えるレベルの姫でないと出せないので数は限られてきますが(笑)。
4Gamer:
それは,聞いたことがあるような姫ということに?
李氏:
ええ,全員聞いたことがあると思います。なぜ,姫武将カードがこの時期になったかというと,そもそもこんなに男性プレイヤーばかりになると思わなかったんですよ。
(※編注:10月1日の「こちら」の記事に濃姫を含めた追加武将カードの情報を掲載中! お見逃しなく。)
岡山氏:
すべての絵のクオリティは,女性にも受けるものというプライオリティを置いてコントロールしていたつもりなんですが,戦国っていうキーワードが先行すると,どうしても男性が多くなってしまいますね。
女性に受けて,男性に嫌われないものをずっと意識していました。前評判では,mixiやツイッターなどで「これはやってみよう」「この絵は好み」「〜〜(武将)が好み」といった女性の意見が多くて嬉しかったんですが,現在のプレイヤーの割合を見てみると,「おや?」という感じで(笑)。
4Gamer:
前評判に比べて男性が圧倒的に多かったと(笑)。
李氏:
男性は世界観であるとか,武将の名前とステータスが分かれば,絵がなくてもプレイしてくれるとは思っていたのですが,結果的には思いのほか気に入っていただけたようです。
また,いま絵を描いてもらってる人のTwitterやホームページ,ブログから飛んできて,ゲームを始めましたと言っている人も多いので,そういうファンの人も引き続き喜んでもらえるのですから,どんどん新しいカードを出していかないとと思っています。
4Gamer:
ちなみに,すごく素朴な疑問ですが,新カードが追加されたあとは,カードの排出バランス,確率などは変わるんですか?
岡山氏:
もちろん変えています。単純に追加しただけだと狙ったカードが出にくくなるだけなので,そうならないように工夫します。最初に取った施策は,カードの入れ替えというものです。
4Gamer:
リアルのトレーディングカードだと,第1シーズン/第2シーズンとかのパックがあって,それを買ってある程度は自分の狙ってるカードを引きあてようとしますよね。ほしいカードがあるから,そのシーズンを箱買いしようとか(笑)。一方のオンラインゲームのカードでは,あまりそういう話は聞かないですよね。
李氏:
最初はパック売りをやってみようという意見もありましたが,バランスが崩壊しそうだというので,そこの調整がむずかしいのもあって今はやっていません。それこそ,本当にお金をつぎ込んだ人が,めちゃくちゃ強くなってしまいますから。
4Gamer:
たしかに,そういったバランス面の問題はありますね。
岡山氏:
その救済策がカードの取引かなと思っていて,銅銭を溜めて狙ったカードが取引きに出てくるのを待って,出たら競り勝って手に入れる,というのが人によっては楽しみ方にもなっていると思います。
4Gamer:
なるほど,そこはオンラインゲームらしい要素で,というわけですね。
李氏:
ほかには,クエストの追加も行います。既存のものは思った以上に早く終わってしまいました。
4Gamer:
たしかにプレイヤーには,ちょっと物足りないかなというボリュームだったかもしれません。
クエストについては,まだ全部決まった話というわけではないのですが,合戦に参加して攻撃/防御で自分の兵を消化して,相手の兵を削ったときの報酬や成果をやや少な目にして,それよりも城を落とした後などのポイントに,重点を当てています。
これは,相手の兵を削って経験値を得るのではなく,相手の城を落とすことで,また次の行動が起こしやすくなるという形にしたいためです。これに伴って,豪族兵の代わりになる兵の,補充クエストというのを考えているところです。
4Gamer:
それは定期的に受けられるクエストですか。
岡山氏:
合戦ごとにリセットされるクエストにしようと考えています。それと,放置城対策のあとに,新たにワールドに入ってくるプレイヤーについてですが,そのワールドの既存プレイヤーに対して,内政はいつか追いつけるとは思っていますが,毎週起こる合戦はずっと追いつけない可能性があります。
そこで,自分の城を一回は守れるくらいの兵力がなんとなるように,チュートリアルで配布される兵士とバランスをとりながら,途中から入ってきた人にもアドバンテージになるようなクエストを考えています。
4Gamer:
なるほど。このクエストのアップデートも,10月か11月になるわけですか?
岡山氏:
先ほどの合戦の話と合わせて,どっちが先になるかというのは,今調整しているところですが,11月末までには一通り入れていこうと考えています。
4Gamer:
アップデートの回数でいうと,10月1回/11月1回というイメージで良いでしょうか。
岡山氏:
大きいアップデートは1回1回になると思いますが,細かな調整は適時,入れていきます。
初期ワールドのシーズン終了まで残すところ約4か月
シーズン終了後の展開はどうなるの?
アップデート後,戦国IXAについて,今後の展開について教えてください。
岡山氏:
今後の展開としては,内政施設もそろそろキャップが見えてきた人も多くなってきましたので,施設のレベル上限キャップを開放させていただこうと思っています。
4Gamer:
建物自体の追加っていうのはありますか?
岡山氏:
そこはちょっと……(笑)。
4Gamer:
お? なにかいろいろと考えている……みたいな含みが見えますが。
岡山氏:
そうですね,いっぱいやりたいことはありますが,タイミングを見て……ですね。出し方は少し工夫しようかなと考えています。
あと今後の展開といえば,結局のところは,シーズンの終わり(サーバーリセット)をどうするのかという話になります。ワールド1や2のサーバーに関しては,8月に開始して6か月後の,2月始めにはまずは終了のタイミングがきます。
シーズン終了時には,国の順位が決まり,そして個人の活躍具合が評価されるというのは決まっています。これに応じてプレイヤーに賞品が配布されるわけですが,このときに貰えるアイテムの一部についてもすでに決まっています。
4Gamer:
どんなものが貰えるのでしょうか?
岡山氏:
天カードが当たりやすい,天上くじ/天下くじというチケットをお贈りします。現在はこのチケットを,どういう活躍をした人達に,どういった形で渡そうかということが課題の一つになっています。
4Gamer:
なるほど。一般的なブラウザゲームと同様に,カードは原則引き継げる要素で,城主レベルなどがリセットされるといった形になるのでしょうか。
藤井氏:
そうなります。引き継げるのは基本的に,武将カードと金で,銅銭はなくなります。
4Gamer:
シーズンが終わるということで気になるのが,サーバー統合であったりとか,あるいは1サーバーで遊んでるデータを,2サーバーに持って行って遊べるのかというあたりについては,どうなるのでしょうか。
岡山氏:
そこは,プレイヤーのみなさんのアクティブ具合を見て,最後に判断しようと考えています。
統合に関しては具体的に申し上げられませんが,放置城の処理/対策によって,アクティブプレイヤーが入れ替わる形で遊んでいれば,ワールド1はワールド1のままリセットをかけたほうが良いのかもしれません。最終段階でアクティブがどのくらいなのかを見極めたうえでやっていきます。
岡山氏:
あと,こちらからお伝えしておきたいこととして,戦国IXAは文字通り,戦国時代を背景に動いているゲームです。しかし,史実をすべて優先させているゲームではありません。
そのため,いろいろなプレイヤーの方から,この年代にこの武将が出てるのはおかしいとか,中でも一番言われるのが最初に出てくる四つのカードについて,時代背景がおかしいんじゃないのかというご指摘をいただいています。
4Gamer:
なるほど,たしかに歴史を題材にしたゲームではそういった指摘はありますね。
岡山氏:
戦国IXAでは,なるべくプレイヤーのみなさんが納得する形での,“戦国オールスターゲーム”にしていきたいと考えています。そして,その中でいろいろなプレイヤーの方と戦国談義をぶつけあえれば楽しいかなと,思っています。
4Gamer:
戦国のIFの世界ですよね。もし,信長の時代に,その何十年前のあの武将が居たらみたいな。
岡山氏:
そうです。完全に史実に添って遊ぶのではなく,戦国に出てくる登場人物達を背景に,お祭騒ぎができるゲームになればと思っています。
なので,これから登場するカードなどは,時代としては今の時代を中心に,ちょっと前の時代の有名な武将カードも考えながら進めていこうと思っています。
4Gamer:
実は,最初に戦国IXAの話を聞いたときに,1550年くらいから始まって,1610年くらいに終わるみたいな感じで,10年ごとを六つに割って,6か月でリセットというのを想定しているのかなと思っていました。そういうわけではないんですね。
当初の予定だと6か月のリセットごとに,時代を進めていこうと思っていました。例えば今は織田信長が主軸で,第2シーズンは豊臣秀吉で,最終的に徳川家康というように流れて,それぞれイベントで,大阪夏の陣とか,関が原みたいなものを想定していました。ですが,今のゲーム全体の流れを見ていると,リセットごとに時代が変わると,そもそも国がなくなったりと,大きな変動が起こるので,必ずしもそういうリセットは入れない方が良いかもしれないという判断になりました。
4Gamer:
たしかに,時代の移り変わりで国の在り方も変わりますね。
李氏:
逆に,サーバー内の時代を動かすのではなく,例えばですが,豊臣秀吉をメインにしたサーバーを1から作るということはできます。
4Gamer:
なるほど。時代背景がそれぞれ異なったサーバーというのは面白いかもしれません。
李氏:
ともあれ戦国IXAは,カードのイラストやステータスは,スクウェア・エニックスが戦国を背景にしたゲームを作ったらこうなりましたというくらいで受け取ってくれればと思います。例えば,足利義明と織田信長は同い年くらいなので,そもそもこんなビジュアルにはならないよと,いろいろ突っ込みどころがあるものですから。
4Gamer:
たしかにそうですね(笑)。
李氏:
内容的には戦国ファンタジーみたいな感じですが,こういった問い合わせが多いのも,戦国系のゲームの宿命なのかなと思っています。
4Gamer:
あくまでゲームとしてデフォルメされた世界ですね。では,最後に4Gamer読者に向けて,今後の抱負などコメントをお願いします。
李氏:
カードのイラストについてですが,これからも,スクウェア・エニックスや,出版のほうの作家さんといった,あっと驚くような作家さんに書いてもらいます。カードの追加は気合を入れて続けていきますので,よろしくおねがいします! そして,姫武将カードにご期待ください。
今まさに合戦システムの開発の真っ只中なのですが,FEZの実績もあるように,スクウェア・エニックスの多人数対戦ゲームでいけてるよねっという形にもっていけるように,このゲームをまだまだよくしていきたいと思っています。
みなさんの遊んだ感想やアドバイス,アイデアは良いヒントになっていますので,引き続き開発ブログでもお問い合わせ窓口でも良いので,ご意見/ご要望を送っていただけるとありがたいです。
4Gamer:
大手企業としては,ブログなどで非常にオープンにやっていますよね。
藤井氏:
あれは,やりすぎっていう話もあって,いつか上から言われるんじゃないかとドキドキしながらやってます(笑)。
岡山氏:
ですが,大事なことだと思います。
藤井氏:
そう,プレイヤーの声が一番ですよね。
4Gamer:
プレイヤーさんの反応を見ていると,不安はいっぱいありますが,話は聞いてくれているよね,という部分がわりと聞こえてきますね。
岡山氏:
運営の課題にしているつもりなのですが,やはり世に出てしまったゲームというのは,我々だけの財産だけではなくて,参加しているプレイヤーのみなさんと我々の共有財産のようなものだと思っています。ですので,我々だけで完結することは絶対に許されないと考えています。
藤井氏:
やはり6か月間,とくに最後の1か月は,合戦でみんなが盛り上がってほしいですね。そこで,次のシーズンはどこでやろうかみたいなコミュニケーションが生まれて,さらに次のシーズンでは,みんなが同じ国に戻ってきて,同盟を組んで「1から頑張るぞ!」となる。そういうゲームにしていきたいなと思っています。
そこを目指していくためにも,直近でやらなければいけないことと,終わりに向けてどういう盛り上げ方をしていくかというプロモーションとを組み合わせて,みんなで考えながら進めていかなければなりません。そして,公式ブログなどのプレイヤーの声が直に聞けるという強みを生かすことです。
Twitterを含めて,いろいろな窓口でプレイヤーからの意見/要望/お叱りがありますが,そういうのを持ち寄って,プレイヤーはこう言ってるけど,本当にどうすればいいのかというのを,みんなでいろいろ出し合いながら進めて,長くやっていただけるゲームになるように頑張ります。
4Gamer:
本日は,ありがとうございました。
今回の取材で感じたのは,スクウェア・エニックスという大手企業にありながら,とにかくプレイヤーからの意見をしっかりと受け取ろうとする柔軟な運営方針だ。
公式ブログを見てみると,そのコメントはわりと辛辣な意見が少なくはなく,プレイヤーが悪いと感じた部分に対しての発言が飛び交っている状況は,企業の公式ブログにはあまり見られない光景のような気がする。本稿の始めにも書いたように,炎上と呼べるもの,炎上に発展しかねないコメント欄も多い。
やりようによっては,コメント欄を付けずに,それこそ問い合わせ窓口のみの対応もできるし,むしろそちらの方が企業としては珍しくはないだろう。とくにスクウェア・エニックスという看板を上げている以上,いわゆる“攻撃”の発生確率も格段に高いはずだ。
そんな中であえてオープンにしていることが,戦国IXA運営の誠実さと言えるのかもしれない。もちろん,すべての意見/要望に応えることは不可能だと思われるが,今回の複数アカウントの報告や苦情,放置城についての問題など,ブログなどの反応から,プレイヤーがいま何をもっとも問題としているのかをダイレクトに受け取り,それに対応していこうという姿勢は,プレイヤーからも支持されるのではないだろうか。
とはいえ,プレイヤーの声に本当に応えられるかどうかは,これから実施されるアップデート次第と言えるだろう。プレイヤーからの声をうまく生かせられるかどうか,戦国IXA運営チームの手腕に期待して待ちたい。
(9月7日収録――)
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