インタビュー
長く楽しめるゲームにするために,自分も楽しめて納得ができるゲームを提供したい――サービス2周年を迎えた「戦国IXA」の新プロデューサーに今後の方針などを聞いてみた
5章は10月に実装。UIの刷新と合戦の新たな遊びに注目
複数アカウントの対策も進行中
4Gamer:
そうしたサーバーの負荷対策もそうですが,プレイヤーの多くが気になっているのは,やはり今後のアップデートだと思います。こちらに関してはいかがでしょうか。
10月に5章を実装する予定です。5章では,大きく分けて2つの要素を考えていて,まずはUIの改善を行う予定です。8月1日のアップデートで,秘境探索において,まとめて複数部隊を選択できるような改善を入れましたが,それ以外のUIについても,順に改善していこうと思っています。
4Gamer:
どういった部分が改善されるんですか?
高橋氏:
まだお約束できる段階ではありませんが,9月にまた若干のUIを改善して,10月の段階では,部隊編成や兵士の簡易編成などのUIを変更する予定で開発を進めています。とくに部隊編成についてはプレイヤーさんからのご要望も非常に多かった部分で,もう少し編成しやすいような仕組みになります。
4Gamer:
お,それはありがたいです(笑)。つまり,順に改善というのは,5章に向けてという意味なんですね。
高橋氏:
そうです。2つ目は,合戦にもう1つ“遊び”の要素を加えようと思っています。内容は,今まさに開発を詰めている段階ですので,詳細は少しお待ち下さい。
4Gamer:
その“遊び”というのは,どういった意図で追加されるのでしょう。
高橋氏:
積極的に参戦できる人とできない人の違いや,出城の位置の違いなどで,プレイヤーさんによって合戦の活性度に差が出ています。
合戦については昨年実装した「東西戦」も含めて,プレイヤーさんに楽しんでいただいているんですが,もう少し別のアクセントを加えることで合戦自体を活性化させて,参加するプレイヤーさんの数を増やしたいんです。
4Gamer:
合戦によっては,「兵が減っているから今回は休もうかな」といった理由で,戦いに参加する意志がないこともありますよね。そういったときにも「参戦しておこう」と思えるようなきっかけになるものなんですか?
高橋氏:
いえ,あまりにもその遊びが中心になるとゲーム性が変わってしまうので,「遭遇すればラッキー」くらいのアクセントになればと考えています。
4Gamer:
ゲームの中心になるものではないと。ともあれ,どんな内容になるのか,続報を楽しみにしていますね。
高橋氏:
あと,合戦のマッチングについては投票方式をやめようと思います。
4Gamer:
それは,どうしてですか?
高橋氏:
投票方式では,極端に有利/不利の差がついたり,投票操作のようなことが起こっています。ですので,オートマッチングで各国がバランス良く戦えるような仕組みを考えています。
4Gamer:
投票操作というのは,1人が複数のアカウントを用いてということですね。
田所氏:
そうです。例えば織田家にいる人が,アカウントを上杉家にいっぱい作って,上杉側から織田票を大量に入れてしまう。発見次第BANしてはいますが,そういったことも過去にありました。
4Gamer:
そもそも,合戦相手を投票で決めることには,どういった意図があったんですか?
元々は,各国の盟主が「次はどこと戦おう?」とやり取りするような,コミュニティの一環として考えていました。実際にワールドによっては,そういった使われ方をされていますが,多くのワールドで,なかなか投票されなかったり,先ほどの例のような使われ方をされたりといった状況がみられます。
また,防御側での合戦がずっと続いて「攻撃したい」と不満に感じるようなこともあるので,なるべく攻撃側と防御側がバランス良く選択されるようにしたいと思いました。
4Gamer:
せっかく複数アカウントの話も出たので,その対策状況についてもお教えください。IXAのようなタイプのゲームでは,プレイヤーが不満に感じるポイントの代表的なものだと思うのですが。
高橋氏:
これもお伝えするのが難しい部分なのですが,複数アカウントに対しては,まず利用停止という措置を取らせていただいてます。さらに,停止したアカウントの調査/確認を行い,しっかりと確認が取れたものから1つ1つ城を削除するという流れを取っています。
4Gamer:
とすると,アカウントが停止になった時点では,ゲーム上には城が残っているんですね。なぜ,すぐには消さないのでしょうか。
高橋氏:
仮に誤って城を消してしまった場合,復活させるのがものすごく大変で,大きなトラブルに発展しますから。
4Gamer:
たしかに……どんな場面でも削除は取り返しがつかないケースが多いので,慎重に行いたいですね。アカウントへの対応も削除ではなく,停止が基本ですし。
高橋氏:
また,具体的に「このアカウントを停止しました」といったアナウンスもできません。
4Gamer:
すると,対策自体は行われていても,プレイヤーからはそれが直接は見えない,感じられないという状況になりそうです。
高橋氏:
そうですね。例えば,RMT業者によるアカウント数がかなりの量になっていることを把握していますし,つい先日も,数千件単位でBANしました。同様に,複数アカウントについても毎日監視体制を敷いて,特定できたものに関しては排除を進めています。
4Gamer:
そういった業者などのアカウントが数千件単位で存在しているとなると,「実質的なアカウント数は100万IDを超えていないのでは?」と邪推する声もありそうですが……。
高橋氏:
いえ,そういったアカウントを除外しても,100万IDを軽く超えているんですよ。
4Gamer:
そうだったんですね。僕もIXAはプレイヤーとしてけっこう遊んでいましたが,「複数アカウント対策をしていないんじゃないか?」といった声はけっこう多かったような印象があります。
高橋氏:
やはり対策が見えないというところで,そういったご意見をいただいています。ですが,先ほどお話ししたように把握できていますし,日々新しい監視体制を導入してますので,今はかなりのペースで対策できています。
4Gamer:
分かりました。では,ほかに5章で予定されている新要素はありますか?
高橋氏:
現時点ではあくまで検討中の要素ですが,カードのランクアップについても調整を考えています。せっかくランクアップの仕組みがあるにもかかわらず,ランクが上がるとHP回復が遅くなるなどで,「ランクアップしたカードは負け」という風潮になっています。ですので,これを検討項目として調整を進めています。
4Gamer:
おお,それは嬉しい。クエストなども新しいものが追加されるんですか?
高橋氏:
クエストやカードの種類についても,けっこうな数を用意しています。新しいシーズンに突入した時点でプレイヤーさんに「ここが変わったね」とか「こういう風にしてほしい」といったご意見をいただいて,また新たにいろいろと改善していければと思っています。
スマートフォン版もPC版ともども好調
今後のテーマは「全国行脚」?
4Gamer:
ここ数年で一定の市場が確立され,最近では人気タイトルが絞られてきて,淘汰の時代なのかなという印象を受けます。そうした中で,IXAはプレイヤーからの支持が抜きんでていると思うのですが,その理由はどこにあるのでしょうか。
まず,戦国時代を背景にしていることだと思います。ゲームに限らず,アニメにしてもライトノベルにしても,戦国武将の名前が広く認知されている昨今の状況もあるんでしょう。そういう意味では,良いタイミングで戦国というコンテンツをブラウザゲームとして扱えたということだと思います。
もうひとつは,リアルのコミュニティがすごく強かったんじゃないかと思っています。
4Gamer:
と言いますと?
高橋氏:
IXAには,社会人のプレイヤーさんがかなり多いんです。例えばですが,多くのサラリーマンの方々は,一定の年齢を超えるとゴルフをやり始めますよね。仕事に全然関係ない日常会話でも,ゴルフの会話ができないと話についていけない――みたいなことは往々にして起こっていたと思うんです。
4Gamer:
業種にもよりますが,何か共通の話題がないと困るというのは,確かにありますね。
高橋氏:
IXAも,その「ゴルフのようなもの」になりつつあるように思っているんです。僕が個人的に付き合いのある方も,お仕事で付き合いのある方も「会社の仲間うちで遊んでいる」といった話をしてくださることがすごく多いんですよ。「誰かがやっているから」というきっかけで始めていただくケースが多くて,ネットだけのつながりや,ゲームだけのつながり以上に,リアルの人間関係から広がっているようなんです。
4Gamer:
たしかに,IXAで僕が一緒に遊んでいるのも,リアルで付き合いのある方々が中心でした。仕事で関わりのある方々にお誘いを受けて,「まあやってみようかな」と軽い気持ちで始めたんですが,けっこうハマって(笑)。
高橋氏:
ゲーム内の合戦の時間を「午前10時から深夜2時まで」と区切っているのも,社会人プレイヤーが遊びやすいと感じられる理由なんだと思います。
田所氏:
例えば「トラビアン」型だと,一度やられちゃうともう復活できませんよね。それに比べると,ライトなプレイヤーも入りやすい環境になっています。
4Gamer:
トラビアンやブラウザ三国志をガッツリ遊んでいたけど,「もうこれには付いていけない」と思ったところに,ちょうどIXAが出てきた……そんな印象でしたね。
高橋氏:
そうですね。
4Gamer:
その意味でも,IXAの狙いどころは凄いなと思っていました。あえて制限を設けるという発想ですが,当時のトラビアンやブラウザ三国志をやっていた人からは,合戦の時間が限られていることへの,批判があったように記憶していますから。ちなみにプレイヤーの年齢層は,学生の割合は少なめなんでしょうか?
高橋氏:
いわゆるオンラインゲームの中では,比較的少ないかもしれません。
田所氏:
比較的というか,圧倒的に少ないですね(笑)。
4Gamer:
社会人が多く遊んでいるというのは,データ的な裏付けがあるんですか? たしかに,実際に遊んでいても社会人が多い気はしていますが。
田所氏:
アンケートを取ったことがあるんですが,一般的なゲームに比べて,IT系の仕事をやっている人の比率が明らかに高いです。さらに言うと,会社役員や経営者の方の比率もほかのゲームより高い。アクションゲームなどが好きな方よりも,リアルに近い“経営”的な感覚でゲームを遊ばれているプレイヤーさんが多いのではないかと分析しています。
4Gamer:
IXA(ブラウザゲーム)は,コンシューマゲームともPC向けオンラインゲームともソーシャルゲームとも違う,独特のポジションに立っているように感じますね。
高橋氏:
そうですね。ただ,2周年を迎えた今の段階でも,かなりのプレイヤーさんが付いてきてくださっているというのは,戦国IXAというブランド自体がプレイヤーさんの中に根付いてくれたということだと実感しています。
4Gamer:
4月にはスマートフォン専用ゲームとして「戦国IXA 千万の覇者」(iOS / Android)もスタートしていますね(関連記事)。
高橋氏:
スマホ版はゲーム内容もスタッフも違いますが,戦国IXAのブランドで別タイプのゲームとして出させていただいたところ,プレイヤーさんからはご好評をいただいています。どういう形かは未定ですが,PC版とスマホ版とで連携したイベントなどもやりたいと思っています。
4Gamer:
両者のプレイヤー層に違いはあるんですか?
田所氏:
我々が見ている限りでは,層は近いです。スマホ版をプレイされている方の1〜2割くらいは,PC版のプレイヤーではないかと思います。
高橋氏:
もっといるんじゃないですかね。というのも,PC版の同盟チャットで「極出た! ……スマホ版で」みたいな発言を,よく目にするので(笑)。
一同:(笑)
4Gamer:
イベントで言えば,PC版では2周年ということで,記念イベントがスタートしてますね。
高橋氏:
はい,昨年は「戦国くじ 祭」として火チケット3枚でくじを1枚を引けるようにしていましたが,今年は専用のチケットを用意して,期間中に合計10回引ける仕組みです。くじの内容は去年とほぼ同様で,排出停止になったカードと,「特」と「極」と「上」が入っています。
4Gamer:
ゲームのアップデートや負荷対策などのほかに,今後予定されているものはありますか?
高橋氏:
全国行脚するくらいの規模でイベントに参加していきたいと思います。自治体さんと戦国を絡めた地域活性というものに,もっと協力したいんですね。プロモーション的な意味もありますし,プレイヤーさんにも戦国好きな方が多いので,ぜひ協力できたらと。
「あづち信長まつり」に参加したときも,「東京から車で5人で乗り合わせてきました!」って,わざわざ東京の住所の書かれた身分証明書を出された方がいて,ビックリしました(笑)。「信長の命日の翌日に安土城のお膝元でIXAのイベントがあるといったら,来るしかないと思って!」と。
4Gamer:
理由自体もすごいですし,その理由で5人集まるというのがまたすごい……。
高橋氏:
いやあ,僕自身,現場にいて嬉しかったです。
“熱い”プレイヤーさんが多くて,そうやって声をかけてくださるのは非常に嬉しいですし,コミュニケーションを取ることで,「どういうプレイヤーさんが,どうやって遊んでくださっているのか」が分かるのは大きいと思います。
今後,プレイヤーさんとコミュニケーションを取ったり,プレイヤーさんの声に対してお応えしたりといったことに,もっと取り組んでいきたいですね。
4Gamer:
プレイヤーの熱意が反映されて,ゲームがもっと盛り上がっていくことに期待しています。本日はありがとうございました。
「戦国IXA」公式サイト
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