インタビュー
まずは抜本的な負荷対策を――「戦国IXA」プロデューサーに新章について聞いた。新章での1-8ワールド統合は見送りに
その一方で本作は,不正対策やサーバーの負荷といった問題も少なからず抱えている。新章では,そうした問題の解決を優先するために,統合に関して一つの決断が行われたようだ。今回,運営プロデューサーである高橋祐介氏に,現在のIXAの状況や,新章で導入される新要素について詳しく聞いてみた。
「戦国IXA」公式サイト
1-8ワールド統合は責務。サーバーの負荷問題を抜本的に解決したあとで必ず行う
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。昨年はアカウント数が100万を突破するなど,IXAのサービスは好調が続いているという印象ですね。
おかげさまで,多くのプレイヤーの皆さんに遊んでいただいて,登録者数もまだ伸びています。2013年3月末にはワールド40が新規オープンし,こちらには初めてIXAをプレイする方が大勢集まっています。
また,5月ごろに新章となる6章が,年末には7章が開始になる予定ですので,新規プレイヤーの方はもちろん,長くプレイされている方にも新しい楽しみをご提供できると考えています。
4Gamer:
新章について,たっぷりとお聞きしたいのですが,その前に,現状について教えてください。まず,いまでこそ数は減りましたが,RMTの業者ではないかと思える英数字が羅列された城主だったり,RMTを促すような書状が届いたり,ゲーム内でプレイヤーが不快に感じる光景は,まだ残っていますよね。
高橋氏:
そうですね。RMT業者対策についてですが,アカウントの利用停止措置もしくはそれ以上の対処を行った件数は,かなりの数に達しているんです。しかし,以前のインタビューでもお話ししましたが,利用停止措置を行ってもゲーム内にそのアカウントの城自体はしばらく残ってしまうので,プレイヤーの皆さんからは何もしていないように感じられてしまいます。
ですが,プレイヤーの皆さんからの通報を含め,不正を発見したらしっかりと対処していますので,そこはご安心ください。
4Gamer:
オンラインゲームのサービスを続けていく限り,不正利用者への対策はずっと取り組んでいかなければならない課題ですね。
高橋氏:
ええ。イタチごっこになることもありますが,継続していくべきものとして,今後も監視は強化していきます。具体的にどう強化するかは,抜け道を探されてしまう可能性があるので公表できません。ただ,さまざまな行動履歴から,RMT業者や不正利用者と思われるアカウントを見つけ出すような内部システムはしっかりと組んでいます。
4Gamer:
もう一つ,前回のインタビューでお聞きした,サーバーの負荷問題についてですが,こちらの進展はあったのでしょうか。アクセスが集中する合戦開始の時間帯は,まだ重くてまともに部隊を配置できない状況もあると思えるんですが。
高橋氏:
いまもメンテナンスのタイミングで,ゲーム内の処理を変更するなど,負荷の軽減を狙っていろいろな対策を講じています。以前よりは多少なりとも改善されているのですが……。
4Gamer:
負荷対策は,まだ万全ではないと。
高橋氏:
万全ではないと言いますか,ゲーム内をアップデートするたびにデータ量は増えていますので,まだまだ改善を重ねて行く必要があるかと思っています。ですので,本来であれば次章でサーバー1-4と5-8の8ワールド統合を行うタイミングだったのですが,統合を見送ることにしました。
4Gamer:
次章で“統合なし”というのは驚きです。私自身も本作を遊んでいますが,現役プレイヤーとしては,当然統合されるものだと思っていましたから。
高橋氏:
プレイヤーの皆さんが統合を楽しみにしていることは重々承知しているのですが,現状での統合は皆さんにご迷惑をおかけする可能性が高いんです。もちろん1-8ワールドの統合は,実現したいと思っています。そのため,毎週,毎月対策を講じ,7章開幕のタイミングでは統合を実現すべく,さまざまな解決策を導入しようと考えています。
4Gamer:
具体的にはどのような負荷対策を?
高橋氏:
プログラムの見直しなどがメインにはなると思います。サーバー機器などのハード面は現在もそれなりに充実させているのですが,さらに充実させることも視野に入れています。
4Gamer:
想像した以上に,大規模なアップデートになりそうですね。
高橋氏:
これによりプレイヤーの皆さんに快適にプレイしてもらいながら,プレイヤーから求められていることを実装していきます。そして2013年末の7章開始時には,快適なプレイ環境を土台にした,新たな戦国IXAがお見せすることを目標としています。
4Gamer:
1-8ワールドの統合は7章に合わせて行われるのでしょうか,それともそれ以降に?
高橋氏:
まず,我々としては1-8ワールドの統合は責務だと感じています。ただ,先に負荷対策が必須ですし,万全な対策をしたうえで統合を行うことが重要だと思っていますので,まだ確実なお約束はできませんが,7章で統合を行うのがベストだと考えます。
合戦のバランスと遊びやすさを見直す「生産施設関連の調整」
4Gamer:
分かりました。では,6章について詳しく教えてください。
6章は,ゲーム内のバランス調整をメインにアップデートしていきます。合戦で攻撃国側が勝ちやすくなっているバランスだったり,ゲームを進める中でより遊びやすくなるような“調整”ですね。負荷対策を含め,細かな変更点は数多くありますが,大きなアップデート項目としては,「内政関連」「武将カードの育成」「新兵種の追加」の三つになります。
内政関連につきましては,いままで城主レベルを上げていくと,レベルに応じて所有できる所領(施設を建設できる拠点)の数が増えたり,上位の施設が建築可能になったりしていましたが,このバランスを見直しています。
4Gamer:
どのような調整が行われるのでしょうか。
高橋氏:
例えば現在は,最初に所領の数が増えるのは城主レベル4で,次はレベル12です。しかし,実際にプレイしているとレベル4から12までが意外と長く感じます。ですから,所領が得られるレベルを5,10……と一定間隔にして,プレイヤーのモチベーションを保てるようにします。
4Gamer:
確かに2期目,3期目と続けていくと,内政が面倒に感じることもあるんですよね。かといって,所領の獲得は兵士を生産する合戦の基盤となる要素なのでないがしろにできませんし。
高橋氏:
ただ,レベル30で所領が最大になるというトータルバランスは変わりません。こういった内政の変更に合わせて兵士の生産コストも見直します。序盤から合戦を楽しんでもらいたいので,初級の兵士などを作りやすくします。
4Gamer:
これまでだと生産コストの問題で,合戦自体を休んで内政に注力したりすることが多かったんですよね。それが,比較的早い段階から兵をぶつけ合えるようになるのは嬉しいです。
高橋氏:
早い段階から合戦に参加できれば,これもモチベーションにつながると思います。あと下位施設から上位施設へ,一定のレベルを保ったまま建て替えられるようなシステムも導入する考えです
4Gamer:
下位施設を壊さずに,そのまま上位施設に変更できるわけですか。レベルを保ったままの建て替えが可能になるなら,下位施設のレベルを上げる意味も出てきて,序盤から生産資源が貯まりそうですね。
高橋氏:
資源が貯まればその分兵士を作れるので,さらに序盤から合戦へ参加しやすくなるでしょう。ただ,下位施設のレベルをそのまま上位施設に引き継げるわけではありません。どの程度の引き継ぎになるかは調整中です。
また,本領や所領の背景はどれも同じでしたが,本領の背景を選択できるようにしたり,所領は村落/支城を建築すると新しい背景に変化したりします。生産効率には直接関係はありませんが,視覚的にも楽しんでもらいたいですから。なお所領は,これまでの村落と砦の2種類から,村落と支城の2種類に変更しました。そして,先に述べた攻撃国側が有利である点にも関係してくるのですが,村落と支城の役割は明確に分けています。
4Gamer:
村落と支城で,どういった違いがあるのでしょうか。
高橋氏:
資源ボーナスの施設である山林奉行所や大舎人座などは村落にしか建てられなくなります。一方,足軽兵舎や厩舎といった訓練施設や,陣屋などの軍事施設は支城のみといった具合です。村落は生産,支城は軍事施設に特化した所領になります。また陥落時の戦功にも違いがあって,支城は本領と同じようにレベルを上げると防御ボーナスが付きますが,その分,攻め落としたときの与戦功が大きくなります。逆に村落は,得られる戦功を控えめに設定しました。
4Gamer:
なるほど。村落が陥落したときの戦功が減れば,いまの攻撃国側が有利な状況はある程度緩和される……かもしれないですね。砦に比べて村落はもともと落ちやすく,プレイヤーがアクティブではないタイミングを見計らって攻撃し戦功を稼ぐ,いわゆる“空き巣”狙いが多いことも攻撃国側が有利な一因になっていましたから。村落は資源の生産力を高める効果があるので,攻め落とされても復活させておきたいですから,その繰り返しになっていたんですよね。
高橋氏:
もちろんそれがすべてではありませんが,国の勝利を大きく左右する一因にはなっていましたので,バランスの調整が必要だと感じていました。また,長屋/陣屋の仕様も変更し,一つでも2万といった多くの兵士を持てるようにします。このほか,調整が必要だと感じていた釣堀なども調整を加え,トータルでより良いバランスが保てるようにします。
4Gamer:
いろいろなバランスが変わるんですね。開始当初はその把握が大変そうです。
高橋氏:
これらは新章開始のタイミングに公式でアナウンスしますが,細かな変更点が多いので気にしておいていただければと思います。
ランクアップ時のデメリットをなくし,「カードを育成していく楽しみ」を提供
4Gamer:
「武将カードの育成」にも変更が入るとのことですが,どういったものになるのでしょうか。
5章開始時のアップデートで,ランクアップ時のHP回復速度を変更しましたが,我々としては「武将カードを育てる楽しみ」をプレイヤーの皆さんにもっと提供したいと考えています。その一つとして,6章からランクアップ時のメリットを増やす方向で調整しています。
具体的には,現在ランクアップするとHPの回復速度が遅くなっていたところを,レベル20以降は回復速度が変わらないようにします。かつ,ランクアップすると指揮兵数が増加します。
4Gamer:
現状でもランクアップすると,任意の兵科の統率ランクを上げて,実質的に指揮兵数を増やせますよね。それとは別に,指揮兵数が増えるんですか。
高橋氏:
そうです。まだ調整段階ですので,どのくらいの兵数が増えるのかまではお話できないのですが,レアリティとコストに応じた成長曲線を描くように考えています。
このランクアップのメリットについては,バランス的に導入をとても悩みました。ですが,現在プレイされている方々のデータを見ていると,スキルが最高のレベル10まで育っている方が大勢います。そこで育成を止めてしまうのは,プレイヤーの皆さんにとっても,もったいないと考えました。
4Gamer:
回復速度が遅くなることから,あえてランクアップさせないことがセオリーになっていましたから。
高橋氏:
そうですね。その傾向は確かに多く見られます。ゲームデザインとしてはランクアップをするところまでを考慮して設計されていますので,使いにくい環境になっていることは少々残念だと思っていました。今後,違った武将カードのバリエーションを考えていくことも必要だと思っていますが,まずは,現状でお持ちいただいているカードの育成部分を強化していきたいというのが狙いです。
ただ誤解のないように言っておきますが,新しく加わるランクアップ時のメリットは,通常の武将のみを対象としていて“剣豪”は含みません。
4Gamer:
育ちきった剣豪は驚異的な攻撃/防御力を持ちますから,現状の1日に1〜2回使える程度がいいでしょうね。通常の武将が,ランクアップでどこまで強くなれるのか。楽しみです。
高橋氏:
調整に関しては今回だけというわけではなく,現在のプレイヤーの皆さんがどういったプレイをされているのかといったデータを抽出しながら,今後どのように変更していくのかをシミュレーションしていきます。生産施設の件についても同様で,ゲームバランスに関してはこれからも調整していく予定です。
あとバランスとは直接関係はないのですが,合戦報告書に5個以上のスキルが表示されるように変更します。
4Gamer:
それはなぜですか。
高橋氏:
これはプレイヤーの皆さんから意見が多く寄せられている部分で,報告書に5個しかスキルが表示されないため,電光石火や義兵進軍といった100%発動のスキルを付けていると,それだけで報告書が埋まってしまうことがあったためです。これをスキルが表示される順番を変えた上で,10個まで報告書に載るようにします。
4Gamer:
発動したすべてのスキルは載せられないのでしょうか。盟主戦などでは膨大なデータ量になってしまいそうですが。
高橋氏:
すべてのスキルを載せてしまうと,相手に手の内がすべて見えることになります。駆け引きに関わる部分でもありますので,スキルの表示に関してはまずは10個表示から始めて,状況を見ながら調整していきます。
攻防共に使えるよう「オールマイティな上位兵種」が登場
4Gamer:
では,最後の「新兵種の追加」についてですが,どんな特徴を持った兵種になるのでしょうか。
現状では不遇とされる兵種があり,全体的にパラメータを見直してきました。そうして上位の兵種が揃ったあとの状況を見ていると,プレイヤーさんの多くは攻撃のときは騎馬鉄砲,防御は鉄砲足軽をメインにして激しく戦っています。そこに戦略性を持たせたいという意図で,いわゆる“万能型”の新兵種を追加することしました。
4Gamer:
位置付けとしては,上位の兵種になるんですか。
高橋氏:
はい。上位兵種で,能力は騎馬鉄砲と鉄砲足軽の中間,攻撃にも防御にも使えるものにしています。当然,攻撃では騎馬鉄砲に及ばず,防御では鉄砲足軽に及びませんが,盟主戦で攻撃兵を消耗した,合流攻撃を受けて防御兵がいなくなったというような状況で,攻防どちらにも使っていけるのが強みになると思います。
ただこれは開発側が考える使い方で,実際にどのように使われるのか。我々としても楽しみにしています。プレイヤーの皆さんは,我々の想定をはるかに上回る遊び方を見せてくれますから(笑)。
4Gamer:
どのような手触りなのか楽しみです。ところで上位兵ということは,対象になる兵科が2種類あると思うのですが。
高橋氏:
兵科は弓兵と兵器で,スキルは鉄砲です。弓騎馬よりも速度は遅いですが,槍兵,弓兵,騎馬の3すくみの外側に置かれていて弱点がなく,鉄砲の強力なスキルが活用できるので,内部テストでは結構強かったです。この新兵種の登場によって,脚光を浴びる武将が出てくるかもしれません。
4Gamer:
兵士のバリエーションという意味で,面白そうな存在になりそうですね。
高橋氏:
そうなってほしいです。また新章では,恒例の天カードの一部入れ替えが行われるのですが,新しい天カードの中にはこの新兵種を意識して作ったものもあります。色々な意味で“新しい”天カードが出たり,上/特/極でそれぞれで登場している武将が天に格上げになったりしていますので,期待してください。
4Gamer:
とても気になります。何かヒントはないですか(笑)。
高橋氏:
新しい天カードは女性で,実は大殿にはなりません。上/特/極で出ている武将は,弓が得意なあの方で,完全な新勢力になります。昨年12月の太秦戦国祭りに出展したときに名前は出ていますので,分かる人ならようやくきたかと思われるでしょうね(笑)。
4Gamer:
むむ,誰だろう……公式の発表が楽しみです。
それにしても,6章はかなり盛りだくさんの内容になるんですね。前回の5章におけるユーザーインタフェースの改良はありがたかったですが,新要素が「影武者」だけでやや寂しいと感じていましたから。
高橋氏:
ええ。ですから6章は,情報をじっくりと確認してから遊んでほしいです。
ユーザーインタフェースの改良については,好評をいただいており,ホッとしています。一方で,5章の開幕ではプレイヤーの皆さまにご迷惑をお掛けしました。しかし,イベントで影武者を使ったときは,上位のプレイヤーさんを中心に,かなりの方が遊んでくださいましたので,一定のアクセントにはなったと思います。イベントとして,影武者の位置にとあるキャラクターを配置するなんてこともできますので,何か面白い仕掛けを今後やっていきたいですね。
4Gamer:
期待しています。
さて,6章の新要素を一通りお聞きして,新章では合戦に変化が生まれそうだと思いました。ただ,最近の合戦では国が「勝つ」という意味は希薄になっているのが気になります。国の勝利よりも,個人や同盟のポイントを優先する風潮はありますよね。
高橋氏:
個人や同盟でのポイント争いも面白さの一部ですが,国別での対抗戦ですので,やはり“国が勝利するため”にプレイヤー同士が協力するのが理想ですね。勝つことに貪欲になってもらいたい気持ちはありますから,新章では勝った国だけが引ける「特別なクジ」を用意しています。
4Gamer:
それは,これまでの戦勝国が得られる「炎クジ」や「火クジ」とは違うものなんですか。これらは,いささか魅力に欠ける部分がありましたので。
高橋氏:
特別なクジからは,炎クジで手に入れられる最高のレアリティよりも上位のカードが出ることも……あったりします。
4Gamer:
なるほど。というか,それって“天”ですよね。いろいろと大丈夫なんですか?(笑)
高橋氏:
具体的なことは控えさせていただきますが,そういったチャンスをモチベーションとしてプレイしていただくことも,いいのではないかと思っています。ただ,簡単に手に入ると期待されるとプレッシャーになってしまうのですが……。これをキッカケにして,同盟を超えた国内でのコミュニティが活発になり一体感が出て欲しいですね。
4Gamer:
分かりました。では最後に,4Gamer読者に向けてメッセージをお願いします
高橋氏:
今年5月の6章,そして年末に予定している7章に向け,着々と準備をしています。先ほどお話をしたように,1-8ワールドの統合を一つの目標にして,ゲーム内の負荷を筆頭に,プレイヤーの皆さんにご迷惑をお掛けしている箇所を徹底的に改善します。
もちろん,ただ統合をするだけではなく,5章,6章のデータを分析し,さらにプレイヤーの皆さんのご意見を参考にしながら新しい要素を追加して,末永く遊んでいただけるような環境を作っていきます。プレイヤーの皆さんから寄せられるご意見を真摯に受け止め,2013年も頑張っていきますので,今後もよろしくお願いします。
また,今年はコラボも数多くやっていきたいと思っていますので,そちらもお楽しみに。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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