インタビュー
メイド服やスク水はデフォ!? アニメ好きスタッフが日本向けに作ったオンラインアクションRPG「ティアラ コンチェルト」開発会社にいろいろ聞いてみた
2012年12月19日から12月27日にかけて行われたデバッグテストに続き,1月29日からクローズドβテスター募集が開始されている(関連記事)。4Gamerでは,本作について,開発元である香港のゲーム制作会社「Firedog Studio」(火狗工房)の主要スタッフであるCOO Gabriel PANG氏,キャラクターデザインなどを担当するAki LI氏,ならびに,ガマニアで同作品の運営ディレクターを務める金子朋嗣氏へのインタビューを行った。デバッグテストでの手応えや,今後の展開,また,もともと同人誌を作るために集ったという開発会社Firedog Studioの裏話など,さまざまな点について聞いてみた。
背景となるストーリーは三部作を予定。アニメ好きな人にも遊んでほしいオンラインアクション
本日はよろしくお願いいたします。まず,本作の概要について教えていただけますか。
Gabriel PANG氏:
ティアラ コンチェルトの世界では,もともとあった大きな大陸が崩壊してしまい,残ったのは浮遊する島々と,そこにある城など,わずかな場所だけとなっています。そして,その世界では音楽が魔法の力を持っています。プレイヤーには,そんな背景を持つファンタジーワールドで世界崩壊の謎を追って遊んでいただきたいと考えています。
システム的な特徴としては,MORPGとアクションゲームが結びついている点が挙げられます。スピード感,爽快感のあるアクションを体験していただきたいというのが本作の目標ですね。
それと,開発会社である私達,Firedog Studioは,一貫してアニメ調のゲームを作っていまして,もちろんそれは本作にも反映されています。アニメが好きな日本のプレイヤーさんにもぜひ遊んでいただきたいと考えています。
本作の戦闘はノンターゲッティング形式のようですが,これはスピード感のあるアクションを目指した結果ということでしょうか。
Gabriel PANG氏:
それもありますが,どちらかというと,ノンターゲッティング形式のほうが直感的で分かりやすいだろうという考えからですね。
4Gamer:
世界観的に,崩壊した世界とか,浮遊島といったモチーフには非常にアニメ的な要素を感じます。
Gabriel PANG氏:
実はティアラ コンチェルトのストーリーは三部作として考えているんですよ。企画立案時にはアニメ映画の計画もあって,その主人公は,先日のデバッグテストでもご覧いただいたシエルとバトーだったんです(関連記事)。結局,アニメ映画の話はなくなってしまったのですが,その関係で,ゲームのほうのキャラクターとして登場することになったんです。
我々Firedog Studioの制作する作品には,アニメ的なカットシーンが多用されています。本作でもそれは同じで,プレイヤーの皆さんに注目していただきたい部分ですね。
4Gamer:
先ほど三部作とおっしゃいましたが,このティアラ コンチェルト自体が大きな流れの一部ということでしょうか?
Gabriel PANG氏:
今のところは本作の中でアップデートを行い,最終的に三部作として完結させたいと考えています。しかし,大幅なアップデートによって本作のシステムに限界がきたり,または技術的に大きく向上した場合には,別の作品としてリリースする可能性もなくはないですね。
4Gamer:
構想としては壮大なバックボーンが用意されているということですね。
Gabriel PANG氏:
そうですね。長く楽しんでいただける作品になっていると思います。
もともとは同人サークル!? 日本製のアニメ好きスタッフだからこそできる日本向けの作品
4Gamer:
開発元であるFiredog Studio自体について,お聞かせ願えますか。
Firedog Studioは,もともと香港で1994年に立ち上げた,同人誌を発行するサークルでした。1999年にアニメ調のゲームの開発を開始しており,2002年から2003年にかけては,日本でもリリースされた「愛神餐館」(邦題「ビストロ・きゅーぴっと」。PC,Xboxで発売されたお料理恋愛SLG)を発表しています。2005年から2006年にかけてもう1作品,日本では未発売のゲームを開発し,その後,2007年からティアラ コンチェルトの開発をスタートしました。2010年にはガマニアグループの一員となり,現在に至ります。
4Gamer:
となるとオンラインゲームとしては初作品となるわけですね。開発上,苦労した点,または,現在苦労している点などはありますか。
Gabriel PANG氏:
開発期間が比較的長いのも,初のオンラインゲーム作品だからといえますね。ティアラ コンチェルトでチャレンジしたかったことが2点ありまして,一つは弊社で初めてのアクションゲームだということ。もう一つは初めての多人数で遊ぶオンラインゲームであるということです。それまで家庭用ゲーム機向けしか開発してこなかった我々にとっては,大きなチャレンジでした。
4Gamer:
Firedog Studioの所在地は香港ですが,国外におけるティアラ コンチェルトの状況というのはどうなっているのでしょうか。
実は,ティアラ コンチェルトに関しては日本市場を最優先で開発してもらっているんですよ。ですので,実際にプレイヤーさんに触ってもらうのも,先日のデバッグテストが世界初ということになります。もちろんサービスインも日本が一番最初の予定です。
4Gamer:
なるほど。ではそのデバッグテストの手応えはいかがでしたか?
Gabriel PANG氏:
いろいろなご意見をいただけました。なかには厳しい意見や批判もありましたが,発表からずっと待ち続けてくれていた方もいらっしゃったりして,とても嬉しかったですね。現在は,いただいた意見をもとに改善を加えているところですので,ご期待いただければと思います。
4Gamer:
プレイヤーのなかには,まずはキャラデザインが最重要という方もいらっしゃったと思いますが。
アバターのデザインなどは非常に好評で,嬉しく思っています。実は自分を含めてFiredog Studioのスタッフたちは,小さい頃から日本のアニメや漫画の影響を受けていて,自然に制作したものが日本向けに合致していたんですよ。
4Gamer:
海外製のゲームですと,日本の最近の流行との“時差”的なズレが感じられることもありますが,本作にはそれがほとんど感じられませんよね。最近の日本のアニメや漫画なども研究されていたということでしょうか。
Aki LI氏:
昔からずっと日本のアニメや漫画が好きなんですよ(笑)。
4Gamer:
なるほど。最近のお気に入り作品などはありますか?
Aki LI氏:
今は「ROBOTICS:NOTES」ですね。今回,日本に来たので,しっかりテレビ放送を見ました(笑)。
4Gamer:
以前のインタビューで,学生服やスクール水着といった衣装も作っていきたいとおっしゃっていましたが,開発は進められているところでしょうか?
Aki LI氏:
はい。メイド服,セーラー服,スクール水着はもう作っていますよ。
Gabriel PANG氏:
上司から指示すら出されていないのに,いつのまにか制作がスタートしているんですよ(笑)。
4Gamer:
エルフ女性が最初にもらえる服もセーラー服とランドセルで,狙ってるなぁと感じました。
Gabriel PANG氏:
アバターアイテムに関しては,正式サービスイン後にもどんどんバリエーションを増やしていくつもりでいます。ティアラ コンチェルトは,東京ゲームショウ2010で出展した際に,プレイヤーさんにもちらっとお見せしましたが,そのときから注目してくださっていた方もいらしたみたいなんです。ありがたいなという気持ちと同時に,お待たせしてしまっていて非常に申し訳なく思います。
操作性の問題点を全力で改善中。好評のキャラデザインはよりバリエーション豊かに
2012年12月中旬に行われたデバッグテストに関して,報告サイトでも発表されていますが,とくに評判がよかったもの,逆に悪かったものというはどこになりますか?
金子氏:
まず,評判のよかったものはキャラクター全般になります。見た目の可愛さ,グラフィックスデザインに関しては高評価をいただいています。アバターアイテムも好評だったのですが,逆に,アバターアイテムを使わずに,キャラクターの装備のままでプレイしている人もわりと多かったんですね。それだけキャラの造形が気に入っていただけたのかなと思っています。また,モンスターとの戦い,ゲームバランスに関しても比較的よい評価をいただけました。
ただ,一方で評判の悪かった部分に関しては,操作性全般とスピード感の2点になります。
4Gamer:
操作性というと,具体的にはどんなことでしょうか。
金子氏:
本作はアクション性の高い作品ですので,やはりプレイヤーさんがこれまで遊んできたアクションゲームで採用されていたような,馴染みのある操作系がほしいといったご要望が多かったですね。
そのなかでも多かったのは,デバッグテストではTPS視点で攻撃アクションを行ったときに,画面内のキャラクターの向きに関係なく,カメラ視点の前方側に攻撃を行うという仕様になっていたのですが,そこに違和感を感じるというものでした。
また,序盤はどうしてもスキル数が少なく,攻撃モーションがいつも同じで単調に感じるというご意見もいただきました。
スピード感に関しては,アクションごとにワンテンポずつ動作が停止するため,それが積み重なって爽快感が損なわれるという結果になったようです。例えば,エフェクト発動の際にワンテンポ動作が停止し,敵から攻撃を受けてダウンした際も復帰時間が若干長めだったりと,いろいろな点でのキャラの動きの停滞が積もり積もってしまったんです。
4Gamer:
確かに,走っている途中でジャンプするという動作でも,着地でいったん停止してから走り出すのが気になりました。
金子氏:
はい。そういったテンポの悪さが目立ってしまっていたんです。ですが,そういった点はクローズドβテストに向けて全力で改善を行っていて,だいぶ形になってきています。
4Gamer:
プレイしていて気になった点がもう一つあったんです。見た目は通り抜けられそうな場所,とくにNPCのそばなどで,自キャラが引っかかってしまうという現象ですが,あれはどうなっていますか?
金子氏:
はい。引っかかりの場所に関しては,発生場所が多く,一つ一つ手作業で調整を行っていかねばならないというのが正直なところなんです。
Gabriel PANG氏:
キャラクターの種族によって大きさが異なるため,すべて調整を行うのは手間がかかってしまうんですね。その点の改善はクローズドβテスト時にはちょっと間に合わないかもしれません。
4Gamer:
エルフの女の子が小さくて可愛い半面,ビーストの男性は体格がよくて迫力があります。そういった造形,見た目にこだわりたいという意思が優先しているという感じでしょうか。
Gabriel PANG氏:
そういう面もありますね。例えば,アバターアイテムや服装に関しても,デザイン的にはほぼ共通のものですが,体格によってすべて微調整を行っているんですよ。
クローズドβテストは2月6日から開始予定! オープンβテスト,正式サービスインは3月か!?
4Gamer:
1月29日からクローズドβテスターの募集が行われていますが,今後の予定はどうなっていくのでしょうか。
クローズドβテストに関しては,2月6日から1週間程度を予定しています。クローズドβテストでは,先日発表させていただいたPvPシステムのほかに,オークションシステムも実装予定となっています。ただ,今回のテストでは前回のデバッグテストでご意見をいただいた,システムの根幹に関わるスピード感の向上などに注力したいと考えています。まずその部分をしっかりと作り込み,そのうえで,そのほかのシステムを実装していったほうがいいだろうということになったんです。
4Gamer:
感覚としてはデバッグテストにPvPとオークションシステムを加えた改善版という感じでしょうか。
金子氏:
そうなります。ただ,デバッグテスト時にご意見をいただいた,キャラクターメイキングにおけるさらなるカスタマイズもOBTにて実装予定です。具体的には身長の調整や胸の大きさの調整なども実装されます。
4Gamer:
いわゆる「おっぱいスライダー」というやつですか(笑)。では,その後の予定についてはいかがでしょうか。
金子氏:
クローズドβテスト後は,いただいたご意見をもとに再び調整を進める予定でして,オープンβテストは少し先になりそうです。また,サービスインの時期については,2013年の第1クォーター……だいたい3月内という予定になると思います。
4Gamer:
運営形態としては,やはり「基本無料のアイテム課金」という形ですか?
金子氏:
はい。その予定です。
4Gamer:
課金アイテムとしてはどんなものをイメージされていますか。
金子氏:
プレイヤーさんにお金を使っていただくかどうかという点においては,好みもあるでしょうから,やはりアバターアイテムということになりますね。キャラクターの可愛さはご好評をいただいていますが,もっともっと力を入れていきたいです。お気に入りのキャラクターを,好みのアバターアイテムでドレスアップしていただければと思っています。
また,ボイスに関しても,もっと量を増やしていく予定です。どの程度かは未定ですが,最初から選択できるボイスと,課金によって選択できるボイスを導入する予定です。
もう一つの軸としてはゲーム内で使える消耗品ですね。ティアラ コンチェルトでは回復職が存在しません。アクションゲームですので,敵の攻撃を食らわなければHPを回復させる必要はないのですが,逆にいうと,一般的なMMORPGのように,ダメージを受けながらも突き進むという戦闘スタイルは取りにくくなっているんですね。
通常,HPを回復させるには,ゲーム内で手に入る回復アイテムを使用しますが,どうしても足りなくなってしまってゲーム進行が頓挫してしまいそうだという人向けに,回復アイテムなどの消耗品も課金アイテムとして販売しようかと考えています。
4Gamer:
なるほど。ゲーム内で手に入る回復アイテムと,課金アイテムとして購入できる上級な回復アイテムという感じでしょうか?
金子氏:
うーん,あまり性能に差をつけすぎてしまうのも,ゲームバランス的に問題が出てくると思うんですね。消耗品に関しては,ゲーム内で入手できるものと大きな差をつけるつもりはないんです。
課金アイテムとして購入できる最大の目的は,回復アイテムを買うゲーム内マネーが尽きてしまい,生産で作り出すための材料も足りないという八方塞がりな状況を打開するためという感じですかね。
4Gamer:
あくまでも非常用,保険であると。
金子氏:
はい。
4Gamer:
ところで,回復職がいないということで,パーティを組んで戦う際はどんな感じでゲームが進んでいくイメージなのでしょうか。
ティアラ コンチェルトでは,「アクション要素を楽しんでほしい」という観点から,回復職を導入していません。ファイター,レンジャー,チューナーといった各職業に関しては,プレイヤーさんが自由に選択し,メンバーの組み合わせやスキルをアレンジして,戦いやすい戦法を見つけていってほしいですね。
4Gamer:
同じ職業でも,選択するアビリティによってキャラの方向性が違ってくる「アビリティシステム」(関連記事)が発表されていますね。
Gabriel PANG氏:
ファイターは防御力が高く,チューナーは攻撃力が高い,そしてレンジャーはスピードが速いという基本的な特性はあります。現在はこの3職業を中心にしつつ,回復はアイテムに頼るという仕様で遊んでいただく感じになります。ただ,ご意見によっては,今後変更する可能性もないわけでははありません。
4Gamer:
もしかすると,今後,回復職的な新職業が追加される可能性なども?
Gabriel PANG氏:
今後,回復が必要になってくる場面も出てくると思いますが,それが回復職の追加という形になるかどうかはまだ未定です。もしかしたら回復スキルを追加するという形になるかもしれません。
4Gamer:
デバッグテストをプレイさせていただいた範囲ですと,戦闘を行う場合はMO形式で4名までの参加になっていましたが,今後MMO的な仕掛けが追加される可能性はありますか。
Gabriel PANG氏:
ほかのゲームでいうところのギルド的な「楽団システム」がありますが、この楽団に参加することで,将来的には浮遊島を移動できるシップの材料を制作できるようになります。そのほか,コミュニティ関連の要素で追加するシステムをいくつか検討しているところです。
金子氏:
コミュニティ関連に関しては,ゲーム内がチャンネル制になっているという仕様もあって,同じマップにいてもパーティを組みにくいというご意見もいただいています。クローズドβテストではパーティ検索システムを実装する予定です。将来的には楽団結成も含めて,コミュニティ関連のフォローをしていきたいと考えています。
また,現在は4人パーティが最大ですが,一つのダンジョンに3パーティで入り,それぞれが攻略を行い,ラスボス戦で合流してレイド的な協力戦を繰り広げるといったシチュエーションも導入していく予定です。ただし,実装時期はまだ未定で,正式サービス以後になると思います。
4Gamer:
分かりました。では最後に,クローズドβテストに向けた意気込みをお聞かせください。
Gabriel PANG氏:
まずは,タイトル発表から長いことお待たせしてしまい,申し訳ありません。クローズドβテストでは,デバッグテストでいただいたご意見を考慮して,可能な限り改善させていただいています。今後もご要望などがあれば,できるだけ応じていくように努力しますので,まずはぜひ遊んでみてください。
デバッグテストではアバターに関してとくにご好評をいただき,とても嬉しく思っています。今後ももっとバリエーションを増やすべく頑張っていきますので,ティアラ コンチェルトの応援をよろしくお願いします。
4Gamer:
やっぱり,「ティアラ コンチェルトがヒットしてアニメ化」,という流れが目標でしょうか?
Gabriel PANG氏:
ええ,もともとやりたかったことなので,ぜひそうなってほしいですね(笑)。
4Gamer:
期待しています。本日はありがとうございました。
「ティアラ コンチェルト」公式サイト
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