インタビュー
5年目に突入した「ファンタシースターオンライン2」の運営陣にインタビュー。これからのPSO2はどうなるのか,現役アークスがたっぷり聞いた
今回,そんなPSO2の運営陣へインタビューを行い,4年間の思い出や今後に向けての展望を聞いてきた。なお,現役アークスとしてプレイヤー目線から質問や要望を飛ばす展開にもなっている。それをしっかりと迎え撃ってくれたのは,以下の皆さんだ。
4Gamerの「ファンタシースターオンライン2」サテライトサイト
「ファンタシースターオンライン2」公式サイト
PSO2 4年間の思い出
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。さっそくですが,PSO2が5年めに突入した今の心境はいかがでしょうか。
そうですね,この4年間はあっと言う間で,まだ通過点だなという気持ちです。もっとも,順調に5年めを迎えたわけではなく,HDDデータ削除やDDoS攻撃といった大変なこともありました。ですが,ユーザーの皆さんに支えられて,ここまで来れたのはとても嬉しいことです。
PlayStation 4版がサービスインして同時接続数が13万を突破したり,アニメになったり,小林幸子さんとコラボしたりと,今でも話題を提供できる状態にあるのも,ありがたいことです。気が付いたら,セガを支えるタイトルの1つになっていました。
4Gamer:
自分はしばらく休んでいた期間があったのですが,その間もPSO2の話題はよく耳に入ってきました。では,4年間で最も思い出深いエピソードがあれば,聞かせてください。
酒井氏:
サービスインの瞬間ですね。今でもしっかり覚えています。有明コロシアムでイベントを開催できたことも良い思い出です。「ここまできたぞ」みたいな。今度(8月13日開催)の>「アークスフェスティバル2016」で,もう4回目になるんですけど(笑)。
濱﨑大輝氏(以下,濱﨑氏):
私は「EPISODE3」のバランス調整ですね。弱体化を含めてバランスを取るもので,最初で「バチッ」と決めたかったんですが,そうもいかなくて。でも,なんとかユーザーの皆さんから不満が出ないところに着地できたことが印象深いです。
中村圭介氏(以下,中村氏):
「幻創戦艦・大和」のクエスト実装で,同時接続数が13万を超え,過去にない数値が出たことに驚きました。僕たちもそこまでは想定していなかったので,数字を見て「ホントに?」となりました(笑)。
4Gamer:
確かにサービスイン直後ならばともかく,4年目の時点はなかなかないケースでしょうね。幻想戦艦・大和は作り込みがすごくて,「わー,大和坂だー」などと言いながら,主砲塔の破壊をしました。
濱﨑氏:
開発チームと酒井のこだわりが山盛りに詰まったクエストになったと思います。
酒井氏:
どの時代の大和をモチーフにするか,考証をどれくらい入れるか,といったところがこだわりの部分です。「最終時の大和の甲板は黒塗りだった」という考証もあるじゃないですか。でも黒塗りだと大和っぽくないから,「デッキタンにしておこう」みたいな。
4Gamer:
そういえば,幻想戦艦・大和は新規プレイヤー向けのため,難度が低めと感じています。今ではすっかり,エクスキューブを稼ぐクエストになっているのですが,「徒花」のように強化されるのでしょうか。ハギト社長が「今度は2隻で懺悔の時間だ!」とか。
濱﨑氏:
2隻はちょっと難しいですね(笑)。
酒井氏:
好評なので,何か考えたいですね。ユーザーから「もっと強い敵を!」という要望ももらっていますし。アップデートが詰まっているので,すぐには難しいですが。
4Gamer:
「ファイナルファンタジーXIV」(以下,FFXIV)とのコラボクエスト「境界に彷徨う漆黒の騎士」のようにHP回復制限があったり,“徒花さん”みたいな舐めプレイしていると床ペロになったりするクエストは欲しいと思います。
濱﨑氏:
確かにそうなんですが,同時接続数13万突破という状況からも,ライト/ミドル層がこれまでにないほど増えていることが分かります。コアゲーマーだけでなく,いろいろな層から意見をもらっていますので,様子を見ながらの調整になるでしょう。
4Gamer:
なるほど。まずはライト/ミドル層に強くなってもらわないと,難度の高いクエストを実装するのは難しいですね。ゲーム内に武器強化や防衛戦の動画が流れるのも,そうした目的のためですか。
酒井氏:
防衛戦の映像は動画コンテストのものですが,急に流れてびっくりしたかもしれませんね。
中村氏:
武器強化には分かりにくい部分があるので,新規の人向けに動画を用意しました。
濱﨑氏:
防衛戦の解説動画は非常に分かりやすく,開発チーム内の得票数も多かったんですよ。
4Gamer:
なるほど。解説動画が流れ始めた時期に,ちょうど防衛戦の難度が下がったのですが,そういう背景があったんですね。
濱﨑氏:
少しずつ慣れてきたり,強くなったりしているからでしょう。長く遊ばれている人向けの高難度クエストは,もう少し待ってください。
酒井氏:
ええ,ちゃんと考えていますよ。
これからも“この路線”を継続
4Gamer:
4周年を迎え,FFXIVとのコラボをはじめ,ゴジラや小林幸子さんとのコラボも発表されましたが,1人のプレイヤーとしてもライターとしても「ぶっ飛んでるなあ」という印象です。いいぞ,もっとやれ路線ですね。
酒井氏:
ありがとうございます(笑)。
4Gamer:
こうなってくると,今後の展開がすごく気になります。
酒井氏:
サービスインからEPISODE3までで,PSO2としての流れはある程度できました。アニメがあって,地球が登場して,面白いコラボもあってと,これまでにない要素が入ってきたことで,PSO2の可能性が広がったと思います。「ここまでやるんだ」という認識が,プレイヤーにも生まれたんじゃないかなという気がします。
逆にPSO2だからこそ,ここまでのことができるわけですから。「10年を目指す」ということは,こうして展開の可能性を広げるのも必要だと思うんです。
4Gamer:
ラスベガスのボスエネミーとして「自由の女神」が出てきた時点で,なんともセガらしさを感じました。
酒井氏:
「こんなことをするオンラインゲームはほかにないだろう」と狙っている部分はあります。「斜め上」と言われようとも,これからも変わらずに攻めていきたいですね。同じものを作っていくのは簡単ですが,右肩下がりになりがちです。PSO2では,僕らにしかできないことをしていきたい。
4Gamer:
小林幸子さんとのコラボは「どれだけ気合いを入れてるんだ……」と思いました。
濱﨑氏:
コラボはいつも全力投球。そこまでやらなくてもいいレベルの気合いを入れていますよ(笑)。
酒井氏:
小林幸子さんとのコラボに関しては,最初のデザインの仕上がりが面白系になっていたんです。大スターに対して,「それは失礼だ」とデザイナー達に諭して,考え直してもらいました。真面目に作って,その結果としてぶっとんだ面白いものにならないといけないと。
4Gamer:
「ヨーコソ・アークス」は,普通に聞いてもすばらしい演歌です。私の母が小林幸子さんのファンなのですが,どこから情報を得たのか,CDを買ってこいと言われています。
酒井氏:
「ネオ演歌」という表現でお願いしたんですけど,キレイに歌い上げてもらいました。プレイヤーだけでなく,もしPSO2を知らなくてもすばらしい歌になったと思います。
中村氏:
「徒花」や「アルティメット」というゲーム内で使われているフレーズが入っているので,アークスならニヤッとできますし,アークスでなくても意味は通じるでしょうね。「ダークファルス」は分からないかもしれないですが。
4Gamer:
母にはひと通り説明しました。
酒井氏:
小林幸子さんにも説明しました(笑)。
4Gamer:
「千本桜」のライブ映像では,「“足なんて飾りです”的な某ロボットっぽいな」と思ったら,指からビームが出て……しばらく笑い転げてしまいました。ほどよくロビーには平成ゴジラもいますし。
酒井氏:
歌詞の「光線銃で打ち抜いて」と言うフレーズからの発想で,必然的にあのようになりました。桜も千本とはいかないまでも,一気に咲いていくという演出が欲しくて,「ビームと組み合わせたら」という演出ですね。
残念ながら,ゴジラはリソースの関係でライブ中は見えなくなってしまうんですけど。
新要素について
4Gamer:
ここからは直近のアップデートについてお聞きします。まず,8月10日に実装された「アークスリーグ」はどのような狙いがあるのでしょうか。
中村氏:
新しいランキングの仕組みです。現状の「インタラプトランキング」は,同じシップの数万人が相手になるので,「モチベーションが上がりにくい」「自分には関係ない」という人がいると思います。
4Gamer:
そうですね。トップクラスが1分前半の記録を叩き出していると,「お,おう」といった感じでスルーしています。
中村氏:
もう少し気軽に参加できるランキングイベントがあったらいいな,ということで最大20人という少人数のものを用意しました。相手は最大19人,目標もクエストに出てくるエネミーを倒すというものなので,「もうちょっとで1位を狙えるんじゃないか」といったノリになるのではないかと。
4Gamer:
なるほど。グループ分けはランダムですか。
中村氏:
ランダムですね。ただ,初心者が上級者と同じグループになると勝てないので,最大到達レベルが近い人同士が同じグループに割り振られるようになっています。景品にはSG(スタージェム)も用意しているので,ログインしたときに,とりあえずチェックしてもらいたいですね。
4Gamer:
新マップのラスベガスは固定マップです。PSOシリーズとしては珍しいと思いますが。
中村氏:
ラスベガスという街を思い浮かべると,象徴的な場所が多いので,作り込んだ箱庭的なマップにしました。また,固定ですが3種類のマップに昼夜があるので,実質6種類になります。
4Gamer:
スクリーンショット撮影が捗りそうです。難度はどれくらいでしょうか。
濱﨑氏:
フリーフィールドくらいですが,ライドロイドに乗るライディングクエストでスコアを稼ごうとすると,固定メンツでプレイしたり,練習したりと難度は高くなります。ただ,失敗することはないので,普通に遊んでもいいですし,スコアアタックでやりこんでもいい。遊び方が広がるはずです。
4Gamer:
ホバリングしたり,搭乗しながら攻撃したりすると楽しそうです。
濱﨑氏:
A.I.Sを実装したときのように,ガラリと操作感が変わります。高低差のあるマップで試行錯誤を繰り返してください。「これ,何ゲーだよ」って感覚になると思います(笑)。
4Gamer:
最初,“某世紀末覇者”と誤読してしまった新ペットの「シンクロウ」も発表されています。実際,サモナー人気はどうなっていますか。
中村氏:
実装以降,一定数をキープしている感じですね。
4Gamer:
クラスボーナスがおいしいのでようやくカンストしたのですが,ペットの強化でいろいろと吹っ飛びました(苦笑)。
濱﨑氏:
サモナーを常用となるとペットの数が多く,ラムダグラインダーが吹っ飛んでいくし,キャンディーを集めたり,圧縮したりと大変であることは把握しているので,今後改善していく予定です。
ちなみに,シンクロウはアクション性が高く,ちょっとカッコイイ系のペットになっています。
4Gamer:
今後のペット展開も,生物寄りなのでしょうか。メカっぽいペットを期待したいのですが……。
濱﨑氏:
まずはペットらしいものから揃えていって,ちょっと路線の違うシンクロウを用意してみたのですが,メカっぽいものは予定にないですね(笑)。
復帰勢からのあれこれ
4Gamer:
さて,続いてはプレイヤー視点でお話を伺いたいと思います。
3月に復帰してから,のほほんとプレイしていて感じたのが「火力過多がスゴイ」。ずっと遊んでいるプレイヤーの火力が高くなっていて,現状の難度では退屈しているのではないかと思うのですが。そのあたり,いかがでしょうか。
先ほどの話になりますが,EPISODE4とPS4版のタイミングで新規のプレイヤーが増えているので,意図的に難度を上げていないところはあります。ただ,かつてはライトと言われていたプレイヤーもミドルになってきて,コアへの推移も進んでいます。ミドルからコア向けのコンテンツは準備していますので,そこで高くなった火力を披露してほしいですね。
4Gamer:
全体向けと特定層向けコンテンツを住み分けていく感じですか。
中村氏:
そうですね。底上げは進んでいると思うので,徐々に引き上げていきます。
4Gamer:
武器の強化にしても気づくとラムダグラインダーがなくなっていたり,ユニットを強化していたらメセタが吹っ飛んでいたりと,蓄えがない新規プレイヤーにはキツい状況だと感じます。個人的には復帰してからラムダグラインダーがなくて,★13武器の強化が大変でした。
濱﨑氏:
ラムダグラインダーの入手経路は増やしているのですが,すぐになくなってしまいますよね。なんとかしたいところですが,バランス調整が難しい部分でもあります。ユニットについては,新世武器と同じ仕様にする予定はないのですが,強化が大変なので別の対策を考えています。
4Gamer:
そうなると,やりこんでいる人向けのコンテンツは当分ないということでしょうか。
濱﨑氏:
今年の後半には,コア層にも向けたアップデートを追加していく形になります。コア向けのクエストなどを秋あたりに投入していく予定です。
先日,タイムアタッククエスト「闇の痕跡」をミドルからコア向けに用意してみたのですが,皆さん,予想以上にうまくて,コアなプレイヤーの中でも差が出ているというデータが出ました。そこで,コア層が長く楽しめる要素も準備しています。
キャラクリのお時間です
4Gamer:
ここからは偏った質問や要望をぶつけたいと思います。というのも,エステ関連なのですが。
酒井氏:
あの記事,面白かったです(笑)。
4Gamer:
ありがとうございます。公式Twitterで拡散してもらえるとは思いませんでした(笑)。
酒井氏:
濃い話になりそう。
4Gamer:
まずは顔パーツの位置変更について,目と鼻と口を独立して動かせるようにはできないのでしょうか。バランスを取っていくと,どうしてもアゴが長くなってしまうんですね。
酒井氏:
具体的ですね(笑)。
中村氏:
確かにアゴの調整は難しいですね。顔パーツの調整が連動しているのは,パーツ編集時に顔の造形を破綻させないためで,個別調整にするとよほどデッサンに自信がある方でないと整合性の取れた顔を作るのが難しくなると思います。
EPISODE4でキャラクリはかなり手を入れていて,アクセサリー調整を含めたキャラクリの幅は広がったと思うんですが,「まだ足りない」「もっとこうしたい」というご意見は届いています。今後もキャラクリの進化は考えていますので,楽しみにしていてほしいですね。
4Gamer:
正座してお待ちしています。
あとは,エステ内とフィールドで表示されるグラフィックスを統一してほしいのですが,これは難しいのでしょうか。
中村氏:
PC版の「設定6」であれば,モデルとテクスチャは同じですですが,ライティングが場所によって違うため,異なっているように見えてしまうのではないでしょうか。
エステ外の立ちポーズだと,顔が少し下を向いているので,顔への影の落ち方がエステ内の通常ポーズとは変わります。エステ内でも,ほかの場所でどう見えるのかを確認できるように,フィールドテストやモーションテストなどを実装しています。
たとえば,モーションテストの「立ちポーズ」はエステ外で立っている時と同じポーズなので,こちらで編集をお試しいただければと思います。
4Gamer:
確かにロビーだと,ちょっとアゴを引いているので,エステ内の立ち方とはシャドウの入りが変わりますね。あとは,キャラクターの拡大率でも雰囲気が変わります。
エステ内のようにアップで撮影したい場合は,フリーカメラで撮影していただければと。
4Gamer:
フリーカメラも気になる部分というよりは,個人的な要望がたくさんありまして,もっと尖ったものにならないのかなと。「メインライトが動かせるぞ」みたいな。
中村氏:
クエストの全体に影響を及ぼすものなので,難しいかもしれません。
4Gamer:
メインライトはマップ全体に適用されているということですね。それでは,ロビーアクション「端末操作」の光源のように,任意に置くことはできないでしょうか。頭の後ろにスポットを置きたい,と思うことが多々あるのですが。
酒井氏:
カメラライトもそうですが,「端末操作」の光源はポイントライトで影はできません。影ができるのはメインライトだけで,そのほかは明るくなるだけです。
4Gamer:
なるほど。光源の効果は期待できないということですね。
あとは,スクリーンショットのときだけでも比率を3:2にしたいです。解像度を動的に変更するのは難しいと思うので,黒帯が入るくらいでいいのですが。
酒井氏:
それはどうしてですか。
4Gamer:
16:9の比率でキャラクターを縦に撮ると,どうしても縦長になりすぎるからです。さらに言えば,スマホのカメラではおなじみのグリッドラインも欲しいところです。黄金比の計算もしやすくなりますし,被写界深度の変更機能も……。
酒井氏:
めちゃくちゃ細かい(笑)。
濱﨑氏:
プレイヤーの中には,スクリーンショットを切り抜いて,背景だけをぼかして被写界深度を演出している人もいますね。ただ,それを常時適用すると,クエストなどでは描画が重くなって,環境によってはアクション性に影響が出るかもしれません。
4Gamer:
いえ,スクリーンショット専用モードみたいな感じにしていただければ。フリーカメラのときだけ有効になれば,個人的には十分です。
中村氏:
今後の課題にします(笑)。
4Gamer:
色調トーンカーブが実装されましたが,ユーザープリセットを開放できないものでしょうか。
酒井氏:
色調トーンカーブは,デザインディレクターの水野(暁一氏)がそれぞれのフィールドにあったベストな調整を施しています。「これがベストだ」と自信満々でした。
4Gamer:
ああ,カラーキャリブレーションしたパネルで見たら,すごく色が気持ち良かったのは,そういう背景があったんですね。
グラフィックス面の改善に関しても,面白いお話があれば聞かせていただけないでしょうか。
中村氏:
PS4版のサービスインに合わせて,グラフィックスを改善していますが,どういう絵作りをするのかを相談する中で,「単純に設定5の拡張ではなく,全然違うレベルを目指すべきだ」と,酒井を交えて方針を確認しました。どうしたら,モデルを変えずに上のレベルにいけるか,シェーダーやライトで工夫を重ねて,20くらいのグラフィックス項目を改善しています。
とくにブルームとトーンカーブ,セルフシャドウが効いています。最初はセルフシャドウがなかったんですけど,東京ゲームショウ(2015年)の後に「やっぱりいるんじゃないの」と,ごねていたら入りました(笑)。
中村氏:
大変でした。最初はセルフシャドウでキャラクターの顔や体に真っ黒い影が落ちて,ちょっと怖い感じになってしまって(笑)。試行錯誤して,肌がきれいに見えるように調整しました。カメラライトを入れたのも、肌がきれいに見えるようにですね。
4Gamer:
キャラクターが自然に浮き上がる感じがいいですね。ただ,被写界深度のパラメータは変更したいところです……。
スクリーンショットの話題なのでお聞きしますが,NVIDIAから発表されたスクリーンショット機能「Ansel」に対応する予定はありますか。
中村氏:
どこでも360度見渡せるように作っていないので,あとから対応するのは何かと大変かと思います。もちろん新しい技術はチェックしているのですが,いまのところ,Anselの対応予定はありません。
4Gamer:
それでは,VR対応はいかがでしょう。
酒井氏:
テストは行っているのですが,酔わずにプレイできるまで持っていくのは,現状のリソースの中で対応するのは厳しいと判断しています。ロビーだけでも……と考えたのですが,やっぱり酔う。アクションしながらは,無理だと思います。
4Gamer:
Virtual DesktopでPSO2を遊ぶことがありますが,ちょっとプレイすると酔いますね。ただ,エステルームだけの対応でも構いません!
中村氏:
エステネタが続きますね(笑)。
4Gamer:
自分のキャラはいつも宇宙で1番かわいく,進化していってほしいのです。
酒井氏:
VRは2枚で描画しているため,やはり解像度の低さがネックになります。
濱﨑氏:
対応するなら,限定的になるでしょうか。
酒井氏:
そこにコストをかけるなら,通常のアップデートを進めたほうがいいと考えますね。
4Gamer:
なるほど。話は変わりますが,チームやフレンドリストの上限数に変更はありませんか。
チームメンバーはチームルームに全員入れるようにというポリシーがあり,チームルーム側の収納制限で100人が上限となっています。チームルームが100人まで入れるようになっているので,しばらくは難しいですね。現状の上限数(100人)に達しているチームが少ないということもあります。
フレンドリストの拡張は,要望として届いています。足りない人は足りないようです。
4Gamer:
被ブラックリスト数も表示してほしいと思うのですが。
濱﨑氏:
どうしてまた……。あ,0人なら胸を張れますね。
4Gamer:
そうです。もしブラックリストに入ってしまったら,「何がいけなかったのかな」と考えますし。あまりにも多かったら,壮大に凹みますが。
酒井氏:
考えてみましょう(笑)。でも,期待はできないと思ってください。
4Gamer:
アクション面では,先日の「PSO2放送局」で「ショートエスケープ」などの追加が発表されましたが,今後もスキルリングは増えていきますか。ガンスラッシュのモード切替時にパリングができると嬉しいのですが。
濱﨑氏:
プレイ感覚を変化させる要素は,今後も増やしていきます。ただ,ガンスラッシュのパリングは,しばらくなさそうですね。
4Gamer:
そうですか……。
濱﨑氏:
開発チームでも検討したことはあるのですが,「強くなりすぎるのでは?」ということで見送りました。
4Gamer:
それでは,もう一つだけ。テクターにウォンドPAがほしいのですが,いかがでしょうか。その場でボコボコと殴り続けるような感じで,まったく動けないものでも構いません。
酒井氏:
それは,どうしてですか。
4Gamer:
通常のエネミーは,ゾンディールで集めればいいのですが,ボス戦だとわりと暇になると感じています。
濱﨑氏:
ラスベガスでドロップする「フォーム」シリーズの武器を潜在能力解放すると,通常攻撃で飛び道具が出るようになるんですよ。あれ,意外に面白いんでPA風に遊べると思います。
4Gamer:
遠回しに「いつか,どこかで」という回答ですね……。
5年めのPSO2はどうなる?
4Gamer:
それでは,プレイヤーから寄せられている要望の中で印象的なものがあれば教えていただけますか。
酒井氏:
面白いものも来ていますが,要望は要望なんですね。バランスを考えると,そのすべてに応えるのは難しいです。もちろん,要望からそのエッセンスを受け取ることもありますし,あまりに多いようであればデータと付き合わせて検討します。
中村氏:
代表的なところでは「コレクトファイル」ですね。「★13がドロップしないから」とプレイをやめてしまった人が増えてきたので,コレクトファイルで最低保証を付けることにしました。これで★13が手に入りやすくなったのですが,今度は「レア武器を探す楽しみがなくなった」という意見が寄せられています。
4Gamer:
「★14はドロップだけにしてほしい」といった内容ですか。
中村氏:
そうですね。でも,それだと本末転倒になってしまう。実際,そういう意見ばかりかというと,そうでもないんです。全体のデータを見ながら,方針を決定しています。
だから,「こういった意見が多い」というのはありますが,そこからさまざまなデータを見て,さらに先を見据えて機能やアイテムの実装を検討しています。
酒井氏:
プレイヤーの皆さんに「分かってくれ」とは言えませんが,「どうしてこれを実装するんだよ!」というのも,先を考えてのことなんです……。
中村氏:
言ってるじゃないですか(笑)。
先ほど触れた「彷徨う漆黒の騎士」でも,「難し過ぎる」と「簡単過ぎる」という意見があり,取捨選択が難しいところです。
酒井氏:
全体のクリア率は僕らしか取れないデータなので,それを見てクリア率が低いままなら,見直しをするといった感じです。
4Gamer:
ちなみに,オーディンの失敗率はどうですか。ごくたまに斬鉄剣を食らいますが。
中村氏:
野良だと「たまに失敗するかな?」くらいの割合ですね。
酒井氏:
戦闘不能になる率は,ほかのクエストより「少し高いかな?」というくらいですよ。
4Gamer:
それは意外ですね。巨神ファルス・ヒューナル戦で6人くらい床ペロしていたり,機神ゼータ・グランゾが出てくると床ペロがじわじわ広がったりするのはよく遭遇します。
中村氏:
ムーンアトマイザーで復活させてもらうので,感覚がマヒしているのかもしれません。
4Gamer:
“殴りテクター”で遊ぶことが多いのですが,「もうムーンはないぞ」というシーンは確かに増えました。
ちなみに,オーディンはコラボ期間が終わったらどうなるのでしょうか。
濱﨑氏:
期間終了後もフリーフィールドやパラレルエリアを彷徨ってもらいます。
酒井氏:
忘れた頃に遭遇して,「おおっ」となるかもしれませんよ。
4Gamer:
ソロで遭遇すると,大変ですね……。
ところで,FFXIV,ゴジラ,小林幸子さんと続いてきた怒涛のコラボ展開ですが,今後の予定はいかがですか。
濱﨑氏:
いったん区切りですね。
酒井氏:
コラボばかりしてると,何のゲームか分からなくなるよね(笑)。
中村氏:
最近,とくにそうかもしれませんね。FFXIVの曲が流れ,ロード画面にはミコッテがいて,ロビーでも映像が流れていますし(笑)。
4Gamer:
では,アークスフェスティバル2016の開催(8月13日)が迫っていますので,見どころをお願いします。
酒井氏:
やはり,“地球親善大使”の小林幸子さんの生ライブですね。ゲームの境界を超えて,リアルでもライブです!
4Gamer:
衣装もゲーム中のままですか。
酒井氏:
結構近いものを目指しています(笑)。衣装の3面図を渡して,先方に作ってもらっているので,どうなっているのか。さすがに空を飛んだりはしません。どう落とし込んでくるかも見どころですね。
中村氏:
ほかにはステージイベントやコミュニケーションエリアの設置,設定画の展示,ダンスを練習できるコーナーもあります。コスプレ&クラフトコンテストにも期待してください。
酒井氏:
物販も新作が盛りだくさんで,「ヨーコソ・アークス」のCDも販売します。午後からは専用の販売ブースも用意する予定です。
4Gamer:
「ヨーコソ・アークス」はすぐに売り切れそうな気がするのですが。
酒井氏:
お昼から来ても,大丈夫な数を用意していますよ。
濱﨑氏:
16:00以降も開催しているので,コミケが終わってからでも参加していただけます。
4Gamer:
PSO2放送局のレギュラー陣が交代するということで,アークスフェス2016が最後の出演になりますね。
酒井氏:
我々も長く一緒にやってきたので,正直,寂しいのですが,ラストのアークスダンスフェスで明るく送り出してあげたいと思います。あと,PSO2放送局は続けていくので,安心してください。
4Gamer:
最後に5年めに向けての意気込みをお願いします。
濱﨑氏:
やっと4周年,これから5周年に向かっていくわけですが,勢いが落ちたと言われないように,全力で走っていきます。今回,「新体験」として実装するコンテンツだけでなく,これまで実装したものも含めて,総合的によいものにしていきたいです。
中村氏:
これからも,EPISODE4では「新体験なコンテンツ」を増やしていくのですが,ライト/ミドル層が増えてユーザーの幅が広がっているので,より多くのプレイヤーが楽しめるコンテンツも出していきたいと思います。
酒井氏:
約7か月,EPISODE4をやってきて,PSO2の世界観が広がったと思います。ポテンシャルが広がった,と言えるかもしれない。それを引き継ぎつつ,5年10年と続けて,常に驚きと楽しさを与えられるようなものを目指したいと思っています。それを楽しみにプレイしてください。
また,8月13日にはアークスフェス2016に来ていただき,「境界を超えるRPG」というものを体験してほしいです。これからもよろしくお願いします。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
そういえば,「シン・ゴジラ」が劇場公開されましたが,ゴジラファンの酒井さんは何かやりたくなっていませんか。
酒井氏:
庵野監督らしい,すばらしい映画になっていましたね。また何か機会があれば考えたいです。ただ,あのゴジラにはアークスでも勝てるかどうか……。まずは,今回のゴジラコラボを楽しんでいただければ!
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