プレイレポート
見た目以上に骨太な「スーパーモンキーボール3D」を発売前に遊んでみた。アクションパズルにレースに格闘,対戦もできるという“てんこ盛り”のゲームだ
もちろん本作は,裸眼立体視に対応しており,スライドパッドのほかにニンテンドー3DS本体のモーションセンサーを利用した操作が可能となっている。
起伏のあるステージ上で主人公のおサル達が入ったボールを“コロがし”,バナナを取りながらゴールを目指すという,シリーズでおなじみの「モンキーボール」モードのほか,8匹のおサル達がマシンを駆ってコースを疾走する対戦レースゲーム「モンキーレース」,対戦バトルアクション「モンキーファイト」と,合計で3つのモードを用意し,それぞれに注力した作りになっているのが特徴だ。
また“3D”ということで,“飛び出す絵本”という世界観を採り入れられている。全部で7つのワールドは,それぞれの背景や仕掛け,BGMなどがワールドごとに異なっている。
今回は,発売前にニンテンドー3DSの実機とROMで試遊させてもらったので,そのプレイレポートを掲載しよう。また,今回の試遊に際して,本作のプロデューサーであるセガの馬場保仁氏が立ち会ってくれたので,馬場氏のコメントも併せて掲載している。
「スーパーモンキーボール 3D」公式サイト
操作方法は,スライドパッドでのアナログ操作と,モーションセンサーを使った,本体を傾ける操作の2系統が用意されている。「3D立体視を楽しむならスライドパッドがお勧めです」という馬場氏のアドバイスを受けて,まずはスライドパッド操作でプレイを開始。
オーソドックスな操作方法ながら,スライドパッドを動かした方向になめらかにボールが転がっていくのは気持ちがいい。画面が“3D”になったことでゴールやバナナの位置関係も分かりやすく感じられ,また,取ったバナナがビュンビュン手前に飛んでくる演出や,背景のゲートや柱を通り抜ける演出は,3D立体視と相性が良いものになっていると思われた。
“奥に進んでいく”というデザインのゲームなら,すんなり3D立体視に対応できたのではと馬場氏に聞いてみると,実はそうでもないとのこと。
また今回は,ニンテンドー3DSの画面で“奥行き感”を演出しているので,画面の手前で何かをやっても,視点がそこを向いていません。なので,あまり効果がなかったんですよ。
描き割りのレイヤーのようにモノを何層にも分けて,それを邪魔にならない程度に配置していくことで,やっと“立体”として感じられるんだな,と気づいたんです。
今まで以上に,眼の焦点や視線の向きまでしっかり考えて調整しなければならないことには,地味ながら大きな苦労がありましたね」(馬場氏)
スライドパッド操作でひとしきり遊んだので,次にモーションセンサーでの操作を試してみた。
こちらはニンテンドー3DS本体を傾けることでボールが転がるという操作で,iPhone版と基本的に同じ操作スタイルなのだが,ニンテンドー3DSの立体視とはいまひとつ相性が良くない。画面正面から視線がずれると“立体”に見えなかったり,ぶれて見えたりしてしまうのだ。
当然ながら,モーションセンサーで操作するときは,本体と顔の距離/角度を一定に保ったままでないと3D立体視で楽しめないということで,プレイスタイルとしてはあまり推奨できるものではない。
この点を馬場氏に聞いたところ,当然開発中も認識していたことではあるが,「傾けてコロがしていくという直感的な操作は,モンキーボールにとっては絶対に面白いから残すべき」という考えのもと,実装に至ったという。こちらは,3Dスライダーを調整して,プレイヤーの見やすいレベルでプレイしてもらうのがお勧めとのことだ。
たとえば,木箱中でボールを転がして迷路を進むオモチャがあるが,まさにあの感覚で,アーケードゲームというかエレメカに近い“体感する”手応えを身をもって感じられる。
ゲームを進めると出てくる“ガードレールの少ないステージ”などでは,スライドパッドで操作したときの数倍の緊張感が味わえる。モンキーボールのゲームデザインにマッチした操作であるとともに,ニンテンドー3DSのセンサー部分に関係する新機能をじっくり体験できるのである。
楽しめるかどうかのポイントは,いかに自分の見やすいレベルに調整するという部分だろう。個人的には,どうしてもうまく調整できないのであれば,3Dスライダーで3D立体視をオフにしても遊んでもいいと思うほどだ。
スライドパッドとモーションセンサーという,操作系統が2つあることで気になったのが,操作によってステージの難度などが変わるのではないかという点だ。その点については,操作系統ごとに別途調整を行っているそうだ。
「それぞれの操作時,一部のステージではコース内のオブジェクトの配置やガードレールの場所などを変えています。曲がるときや加速するときなどは,操作によってまったく感覚が違いますからね。コース自体は変えずに,オブジェクトの場所を変えることでバランスを調整しているんです」(馬場氏)
モンキーボールモードでは,7ワールド×10ステージ+αが用意されている。操作方法によって感触が違うステージもあるとのことなので,スライドパッドとモーションセンサー,2通りの操作方法で遊べば,2倍とまではいかないかもしれないが,かなり楽しめるのではないだろうか。
また,バナナをすべて取ってクリアするという目標や,ゲームプレイの条件によって手に入る“コレクション”の要素など,やり込み的な要素もあるので,1人でじっくり遊ぶには十分な内容といえるだろう。
冒頭で触れたように,本作にはあと2つ,「モンキーレース」「モンキーファイト」というモードがある。既存シリーズでは多数のミニゲームを収録するというスタイルだったのだが,今回はモンキーボールモードと同じ扱いのメインモードが,あと2つ用意されているのである。
これが3D立体視でプレイするのにピッタリの内容だと感じられた。ライバル車との車間距離はもちろん,コースに置かれた各種ギミックの場所などの認識のしやすさは抜群だ。
また,通信対戦モードは,馬場氏とセガの広報担当者,そして筆者の3人で対戦させてもらったのだが,やってみるとこれが実にアツい。多少腕の差があっても,アイテムやコンピュータが操作する敵車の影響などでそれが縮まるというか,ワイワイガヤガヤと楽しめるゲームバランスになっているのだ。
画面上に現れるバナナを奪い合いながら敵と闘いつつ,最終的にタイムアップ時にバナナを一番多く持っていたプレイヤーの勝利となる。こちらも,最大4人までの通信対戦が可能だ。
バトルにおいても,ゲームのチューニングには余念がない。8匹+αのキャラクターはそれぞれタイプ別に分かれており,弱攻撃・強攻撃・必殺技と別の技が用意されている。また,パラメータの違いやキャラの特性なども設定されており,格闘アクションとして十分楽しめる完成度となっていた。
「スーパーモンキーボール 3D」は,ビジュアルやキャラクターの見た目から,どうしても低年齢層向けと取られてしまうが,実際に遊んでみると,細かなところまでケアが行き届いた,広い層に向けられたタイトルであることに気付く。
「モンキーボール」モードのモーションセンサー操作は,小さい子供でもすんなりゲームに入り込めるだろうし,筆者のような体感ゲームやエレメカなどで育った世代には,グッとくるものがあるだろう。
ニンテンドー3DS本体と同時発売でなかったのは本当に惜しいところだが,価格も安めに設定されており,個人的には,ニンテンドー3DSで最初に楽しむ1本として,これからお勧めできるタイトルだと思う。
最後に,馬場氏からのメッセージを掲載して,本稿の締めとしよう。
「“誰にでも楽しめる”と欲張ってしまうと特徴が減ってしまうんですが,ファミリーのみなさんから尖ったゲーマーの方まで,それぞれの層が持つ観点から触っていただいて楽しめる内容になっていると思います。また,新しいギミックをたくさん使っているゲームなので,ニンテンドー3DSという新ハードを楽しむ上でのベンチマークとして遊んでいただければ幸いです」(馬場氏)
「スーパーモンキーボール 3D」公式サイト
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