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[COMPUTEX]Microsoft,Windowsの幅広いエコシステムをアピール。Xbox 360やWindows Phoneとの連係も
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印刷2012/06/09 00:00

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[COMPUTEX]Microsoft,Windowsの幅広いエコシステムをアピール。Xbox 360やWindows Phoneとの連係も

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 台湾時間の2012年6月6日,Microsoftは,COMPUTEX TAIPEI 2012において「Microsoft FORUM 2012」と題したイベントを開催した。同イベントでは,Microsoftによるパートナー向けのメッセージを中心に,同社の次期OS「Windows 8」に関するいくつかのトピックが紹介されている。今回はそのあたりをまとめて紹介してみたい。


パートナー各社にMicrosoftエコシステム選択のメリットを語る


 COMPUTEX TAIPEI 2012開催直前の6月1日にはWindows 8の最後のβ版リリースである「Windows 8 Release Preview」(以下,Windows 8 RP)が公開されているので,すでに手持ちのPCにインストールしてみたというユーザーもいるかもしれない。また,Windows 8 RPでは,ARM版Windows 8こと「Windows RT」も初めて提供が開始されており,実際,会場のいたるところでWindows RT採用のタブレット端末が展示されていた。

Steve Guggenheimer氏(Corporate Vice President, Original Equipment Manufacturer Division, Microsoft)
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 登壇した,MicrosoftでOEM事業を担当するSteven Guggenheimer副社長は,ステージ上に大量に陳列されたWindows 8採用機器を紹介しつつ,「なぜMicrosoftのエコシステムなのか?」をパートナーとなる聴講者に向け説明した。
 スマートフォンやタブレットが爆発的な勢いで販売台数を増やし,PCの影が薄くなったといわれる昨今,PC業界の覇者であるIntelとMicrosoftは依然としてPCがITの重要な位置にあることを強調し,そのメリットを前面に押し出している。

 Guggenheimer氏がパートナーらに語る「他社にはないMicrosoftと協業するメリット」とは,エコシステムの幅広さにある。例えば現在のスマートフォンやタブレットブームの火付け役となったAppleは,PCに該当するMacから,iPhone,iPod touch,iPadまで各種製品カテゴリを揃えているが,デバイスメーカーは1社のみ。協力各社は,サプライチェーンの一部として参加しているに過ぎないわけだ。Androidはそれよりも自由度が高いものの,カテゴリ的にはPCの領域をカバーしておらず,ビジネス的な実績も少ない。
 一方,Microsoftは,あくまでコアとなるOSを開発するベンダーであり,実際の収益はOEMパートナー各社らによって支えられている。これはハードウェア部分の事情だが,同時にソフトウェアについても実績があり,やはり依然として一番大きなビジネスチャンスがあるのはMicrosoftのエコシステムであるというのがGuggenheimer氏の主張だ。

デバイス開発から製造,販売までを網羅したMicrosoftのエコシステム。特定製品やカテゴリで固められたAppleやAndroidよりも選択肢の幅が広く,パートナー各社にとって大きなビジネスチャンスになっているという
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2012年はWindows 8以外にもさまざまな発表があるとGuggenheimer氏は宣言する
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 過去1年半ほどのMicrosoftのイベントでは主にコンシューマ製品であるWindows 8にフォーカスが当てられてきたが,ここ最近では「企業用途に向けたWindows 8」が語られる機会が増えており,Windows 8をベースにした「Windows Server 2012」や,リニューアルされたクラウドサービスの「Windows Azure」の話が出始めている。さらに,Windows 8そのものを企業ネットワークで活用する例も提示され始めており,今後数年先のリプレイス需要を見据えた展開となっているわけだ。

 今回のMicrosoft FORUM 2012でも,いままであまり語られることのなかった「Windows Embedded」について,いくつか紹介が行われている。
 Windows Embeddedとは,その名のとおり組み込み向けWindowsの統一ブランドであり,系統としては既存のWindowsをベースにした「Standard」と,Windows CEから派生したリアルタイムOS系の「Compact」の2種類が主に存在する。
 Microsoftは今回,Windows 8をベースにした「Windows Embedded Standard」にCTP(Community Technology Preview)版が登場したことをアナウンスしている。CTP版は開発者向けβ版の一種であり,Windows 8の特徴であるMetroスタイルのアプリが利用できるほか,タッチ関連の新機能をサポートするなど,新OSの機能を組み込みOSで利用できるというメリットがある。

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これまでの発表会ではあまり触れられなかった組み込み向けWindowsについて言及もされた。写真の車は,Windowsベースの車載システム「SYNC」を備えているとのこと
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組み込み向けの「Windows Embedded」には,既存のWindowsをベースにした「Standard」と,Windows CEから派生した「Compact」の2種類がある


Windows 8採用タブレットやWindows Phone,Xbox 360などの連携をアピール


Windows 8の新機能となる「ピクチャーパスワード」。指定した写真に「点のポイント」「線をなぞる」といったアクションを3つまで設定でき,これをパスワード代わりにできるというものだ
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 続いてGuggenheimer氏は,「Re-imagining」をキーワードにデザインが一新されたWindows 8による新しいユーザー体験がどのようなものかを紹介している。Windows 8にはいくつかの新機能があるが,今回のステージではWindows 8 RPで強化されたSkyDrive連携や,「Windows Store」をアピールする場面が目立っていた。
 とくにSkyDriveでは,ローカルフォルダのようにクラウド上のファイルを操作できたり,相手と写真を共有する際のテンポラリの画像置き場として機能したり,あるいはSkyDriveを介してリモートPCのファイルを操作できたりと,Windowsにとってこれまでにない重要な機能になっているとアピールする。
 Windows Storeでは,Windows 8 RP公開のタイミングでアプリが追加されたほか,各種アップデートが行われていると解説。台湾に出張兼観光に来たという設定で,各種アプリやOSの検索機能を使って旅行プランを立てるというデモが行われた。

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各種Webサービスとの連携もWindows 8における魅力的な新機能の1つ。SkyDrive連携により,エクスプローラ感覚でクラウド上のストレージを操作できる
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台湾でのイベントということで,台湾に旅行に来たという設定でガイドアプリを紹介。こうしたアプリを手軽に入手できるのがWindows Storeのメリットだ

 そのほか,Microsoftエコシステムの重要なピースとして,「Windows Phone」「Xbox 360」(Xbox Live)が紹介されている。ただし,両者ともあくまで軽く説明された程度。Windows Phoneについては,「まだ話すタイミングではない」とし,Xbox 360については同時期に米国でE3が開催されていることもあり,そちらに話題を譲ったようだ。

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壇上では,Windows Phoneを使って,旅行先でカメラ映像を自動翻訳するアプリのデモが行われた。2012年末以降に登場が噂される次期Windows Phone「Apollo」(開発コードネーム)については,まだ詳細を明かせないという
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Windows Phoneを使ってXbox 360を制御していたほか,Windows 8タブレットからXbox Liveへアクセスし,動画コンテンツをテレビに表示するといったXbox LiveとWindows 8の連係デモが行われた


Windows 8とWindows RTの今後を考察する


ノートPC型とタブレット型に変形できる東芝製ノートPC
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 今年のCOMPUTEXでは,Ultrabook向けのデュアルコア版Ivy Bridgeを搭載したPCが多数発表されていたが,これらの製品は同時にWindows 8対応もアピールしているケースが多い。Windows 8対応を前提に,タッチ操作をサポートし,一般的なノートPCの“クラムシェル”形状ではなく,キーボードの着脱が可能なタブレット端末だったり,タブレット形状にできるコンバーチブル端末だったりが多かった印象だ。
 Intel自身もタッチ対応を押し出しているので,タッチパネル対応製品が今後増えそうだ。筆者が予想するに,Windows 8では以下のようなトレンドが段階的に進むのではなかろうか。

  • タッチパネルの採用ベンダーが増え,実装コストが減る
  • ユーザーがタッチ操作に抵抗がなくなり,タッチ操作に対応した端末を選ぶようになる
  • タッチ非対応のノートPCを選ぶメリットが少なくなると,よりPC全体におけるタッチ対応端末の比率が増える

 もちろん,Windows 8はキーボードとマウスでの操作もできるように設計されているが,Metroスタイルアプリで想定されている操作の多くはタッチ操作を前提としたものだ。ゆえにWindows Storeに登録されるアプリにタッチ操作を中心としたものが増えてくると,ユーザーはタッチ操作対応端末を選ばざるを得なくなる。こうした変化がどのくらいで起こるのかはわからないが,おそらくそう遠くない2〜3年後にはPCでのタッチ対応は当たり前のものとなるだろう。
 また,Windows 8タブレットでは加速度センサーや近接センサー,GPS,NFCなど,各種センサーへの対応が推奨されている。実際に今回のCOMPUTEXで発表されたWindows 8タブレットの多くはそういったセンサーを搭載しており,今後登場するMetroスタイルアプリでもセンサー搭載を前提したものが増えてくるだろう。タッチ操作同様に,こうしたセンサー搭載も端末選択の目安になると考えられる。

Qualcommがデモを行っていたSnapdragon S4搭載のWindows RTタブレット
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 Windows 8についてもう1つ気になるのは「Windows RT」の存在だ。前述のようにWindows 8 RPリリースのタイミングで初めて一般提供が開始されたOSであり,COMPUTEX TAIPEI 2012では同OSを搭載したARMタブレットを多数見かけることができた。だが,実際に筆者らが手にとって触ることは禁じられており,詳細は依然不明のままである。
 Windows RTがリリースされるタイミングでは,「Tegra 3」,「Snapdragon S4」,「OMAP」(おそらくOMAP 4)といった3種類のプロセッサがリファレンスデザインとして採用されることが決まっている。
 Qualcommによれば,「Snapdragon S4」を搭載したタブレットが初のLTE対応Windows RT機としてリリースされるとのこと。CPUコアの動作クロックは不明だが,Snapdragon S4のリファレンスデザインは1.5GHz駆動となっており,Tegra 3でも同様であるため,動作クロックについてはこのあたりが規準になると見られる。搭載メモリ容量は2GBで,これは「Windows RTの標準容量」(Qualcomm)だという。つまり現行のAndroidタブレットに多少メモリを増量すればWindows RTがスムーズに動作するというわけだ。

 2012年末の発売が予想されるWindows 8。Windows RT採用製品も登場は同時期と見られている。今後アップデートされていく情報に注目しておきたい。

Snapdragon S4搭載のWindows RTタブレットでは,「Vendetta Online」という3Dゲームがスムーズに動作していた(写真左)。写真右は,システムプロパティを表示させたところ。デュアルコアプロセッサで,搭載メモリ2GBだった
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