スペイン時間2018年2月21日,Qualcommは,スタンドアロン型VRヘッドマウントディスプレイ(以下,VR HMD)のリファレンスデザイン「
Snapdragon 845 Mobile VR Reference Design」を発表した。
Snapdragon 845 Mobile VR Reference Design。ゴーグル部分前面には,モーションおよびポジショントラッキング用のステレオカメラを備える。左側面には,タッチパッドのようなものもあるようだ
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このリファレンスデザインは,Qualcomm製のハイエンド市場向けSoC
(System
-on
-a-
Chip)である「
Snapdragon 845 Mobile Platform」(以下,
Snapdragon
845)を中核としたVR機器向けプラットフォーム「Snapdragon 845 Mobile VR Platform」を採用したものだ。Snapdragon 845の性能アピールイベントにおいて展示されていたリファレンスデザインに名前が付いた,という理解でいいが,ともあれVR機器メーカーは,このリファレンスデザインを基にすることで,スタンドアロン型VR HMDを容易に開発できるというのがQualcommの主張だ。
こちらはSnapdragon 835を使ったVR Development Kit。ゴーグル前面の上側に見える2つのレンズがポジショントラッキング用カメラで,下側にある四角い箱のような部分が,Leap Motionの技術を使ったハンドトラッキング用センサー部だ
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Qualcommは,現行世代のハイエンドSoCである「
Snapdragon 835 Mobile Platform」(以下,
Snap
dragon
835)でも,開発者向けのVR HMDキット「VR Development Kit」をリリースしていた(
関連記事)。今回のリファレンスデザインは,そのSoC部分を最新のSnapdragon 845ベースに変更したうえで,デザインも実際の製品に近づけたものと理解していいだろう。
Qualcommによれば,Snapdragon 845に統合されたGPUコア「Adreno 630 visual processing subsystem」(以下,Adreno 630)は,Snapdragon 835のGPUコア「Adreno 540」と比べて,グラフィックス性能と電力効率が30%向上しており,ディスプレイスループットは2倍に達しているという。
また,新たに「Adreno Foveation」なる視線追跡技術を導入し,ユーザーの視線を追跡してVR映像の描画に反映させることも可能となったそうだ。
Qualcommのプレスリリースには,Oculus VRやHTCによる歓迎のコメントもあるので,VR業界を牽引するこれら2社が,今回のリファレンスデザインを基にしたスタンドアロン型VR HMDを投入する可能性はありそうだ。とくにOculus VRは,スタンドアロン型VR HMD「
Santa Cruz」(開発コードネーム)を開発中で,開発者向けキットを2018年中にリリースの予定である。Santa Cruzの製品版が,Snapdragon 845ベースのVR HMDになるという可能性は,大いにあり得るのではなかろうか。