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  • アトラス
  • 発売日:2011/07/28
  • 価格:6279円(税込)
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悪魔を使役し,世界の終末を生き抜け。“ニンテンドーDS最後の傑作”になるかもしれない「デビルサバイバー2」のレビューを掲載
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印刷2011/07/30 12:29

レビュー

正当進化を遂げた各種システムと,前作以上に尖った世界観/ストーリー展開に注目

デビルサバイバー2


画像集#001のサムネイル/悪魔を使役し,世界の終末を生き抜け。“ニンテンドーDS最後の傑作”になるかもしれない「デビルサバイバー2」のレビューを掲載
 アトラスは7月28日,ニンテンドーDS用ソフト「デビルサバイバー2」を発売した。本作は同社の看板タイトルである「真・女神転生」の流れを汲む,シミュレーションRPGシリーズの最新作だ。
 前作「女神異聞録デビルサバイバー」で高い評価を得た基本システムを引き継ぎつつ,さまざまな新要素も追加されている。キャラクターデザインにヤスダスズヒト氏,侵略者デザインに鬼頭莫宏氏,そしてBGMに伊藤賢治氏を起用するなど,他作品ではなかなか見られない豪華クリエイター陣の共演も,大きな魅力となっている。
 本稿では,そんな同作を実際にプレイした感想を交えつつ,ゲームの魅力を紹介していこう。

「デビルサバイバー2」公式サイト



前作を踏襲しつつ,より強化された戦闘システム

新たなる敵“セプテントリオン”に立ち向え


画像集#005のサムネイル/悪魔を使役し,世界の終末を生き抜け。“ニンテンドーDS最後の傑作”になるかもしれない「デビルサバイバー2」のレビューを掲載
 本作の舞台となるのは,未曾有の大災害に見舞われた日本だ。悪魔と謎の侵略者“セプテントリオン”が出現し,各地で暴れ回るという極限状態の中で,13人の“悪魔使い”による“葛藤と選択”の物語が描かれる。「女神異聞録デビルサバイバー」と同様,世界の終末まで残り7日間というタイムリミットの中でプレイヤーがとった行動により,物語が変化するマルチストーリー/マルチエンディングシステムが採用されており,緊張感溢れるプレイを,繰り返し楽しむことができる。隔離された東京という閉鎖空間を舞台としていた前作に対し,本作では大阪や名古屋といったさまざまな都市で戦いを繰り広げることになるので,ストーリー展開もよりスケールを増している印象だ。
 なお,前作と今作の間に,ストーリー的なつながりはまったくないので,前作をプレイしていなくてもゲームは問題なく楽しめる。

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左から主人公,ダイチ,イオ。ゲーム開始直後から操作することになるメインキャラクター達だ
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 マップ上のキャラクターを操作するシミュレーションパートから,ターン制のコマンドバトルへ移行するという,戦術性に富んだ戦闘システムは本作でも健在。加えて,敵の弱点を突くことで連続行動が可能になる“エクストラターンバトル”も受け継がれている。戦闘が非常にテンポ良く進行する半面,プレイヤー側が弱点の突き合いに敗れると,一瞬で全滅させられる恐れもあるという,シビアな難易度はそのままだ。とくにストーリー後半では,無効/反射属性の敵や,テトラカーンやマカラカーンといった反射魔法を使う敵が増えてくるので,非常にスリリングなバトルが楽しめる。

画像集#027のサムネイル/悪魔を使役し,世界の終末を生き抜け。“ニンテンドーDS最後の傑作”になるかもしれない「デビルサバイバー2」のレビューを掲載
 また,任意に指定した敵を倒すことで,そいつが所持しているスキルを奪い取る“スキルクラック”システムも継承されており,相変わらず戦闘に飽きさせないスパイスとして上手く機能している。「デビルサバイバー」シリーズの悪魔使いは基本的に,独自のスキルをまったく持っておらず,その代わりにスキルクラックで手に入れたスキルを自由に付け替えることができるのだ。ただし,複数人に同一のスキルを付けるのは不可能で,その辺の組み合わせを考えるのもまた,本作の醍醐味の一つなのである。


シリーズならではの魅力と新要素の融合

これが新たな“デビサバ”ワールドだ


マッカで悪魔を競り落とす“デビルオークション”や,登録した悪魔をいつでも喚び出せる“悪魔全書”,そして悪魔同士を合体させてより強力な悪魔を生み出す“邪教の館”などが,携帯電話のアプリとして使用できるという設定になっているのがユニーク。ちなみに前作では,ニンテンドーDSに似た携帯ゲーム機「COMP」(Communication Player)の改造機でそれらの機能にアクセスした
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 データ面でのボリュームアップも,デビルサバイバー2の見どころの一つだ。登場悪魔数は前作と比べて約2倍となっており,プレイヤーはパーティ編成やバトルで嬉しい悲鳴を上げることになる。前作でも100種類以上の悪魔が登場し,プレイヤーはそれらをデビルオークションで競り落としたり,悪魔合体で強化したりして仲魔にしていたわけだが,そんな悪魔が倍近くに増えるというのだから驚きだ。外見も能力も異なる200種類近いユニットを,自由自在に操れるシミュレーションRPGなどそうそうあるわけではないわけで,この点に関しては,メガテンファンでなくても凄みを感じる部分なのではないだろうか。

 増えたのは悪魔の種類だけではなく,もちろんスキルも増量されている。中でも注目したいのは“上位種族スキル”だ。本作では,マップ上で味方と自分の位置を入れ替える“瞬転の舞”や,チーム全員の攻撃が一度だけクリティカルになる“凶化”といった“種族特有スキル”が,ランクアップすることでより強力な上位種族スキルへと変化するようになったのだ。上位種族スキルの中には,エクストラターン発動中に再度敵の弱点を突くことで“ダブルエクストラターン”を発生させ,計3連続行動を可能とするという強力な上位種族スキルを持った悪魔も存在する。弱点を突き手早く敵を無力化しなければ,逆にこちらが瞬殺されてしまうこともある本作において,その有用性は計り知れない。

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 デビルサバイバー2の世界観を彩る侵略者“セプテントリオン”についても,あらためて紹介しておこう。この侵略者達は悪魔とは別の存在で,筆者は最初,非常に新鮮な印象を受けた一方で「こんな大怪獣みたいなの,メガテンの世界観を壊さないか……?」と心配に思ったのだが,実際にゲームをプレイしてみるとまったくの杞憂だった。“世界の終末”を体現したかのような容姿や行動から,何とも言えない不気味さを漂わせるセプテントリオンは,「悪魔の跋扈する日本」を舞台とする本作の世界観を壊すことなく,悪魔以上の存在感を放っている。
 また戦闘面でも,セプテントリオンの力は圧倒的な存在感を持っており,マップ全体を巻き込む範囲攻撃をしかけてきたり,無限増殖したりとかなり手強い。早いタイミングで行動パターンを読んで行動しないと,取り返しのつかないダメージを受けてしまうこともしばしばある。セプテントリオンとの初戦では,一度は全滅する覚悟で,挑む前に必ずセーブをしておこう。

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行き着く先は一つじゃない

自らの手で未来を選びとれ


 プレイヤーの行動によっては主要キャラクターでさえ死亡してしまうという,アトラスらしい容赦のないシステムは,本作にも受け継がれている。今回は友人の死に様が見られるというサイト“ニカイア”から送られてくる“死に顔動画”をヒントに,仲間達の死を未然に防ぐことが可能だ。
 本作は,ストーリーを進めるアドベンチャーパートと,戦闘を繰り広げるバトルパートによって構成されている。アドベンチャーパートで時計のマークがついたイベントを選択すると,ゲーム内時間で30分が経過するという具合なのだが,限られた時間の中でどこへ向かい,誰と会うかによって,その後の展開が大きく変化する。死に顔動画を確認後,モタモタしすぎていると,現場に駆けつけた頃には時すでに遅し……なんてこともあるので,慎重な行動を心がけたほうがいいだろう。まぁ見方を変えれば,あえて助けず見殺しにすることもできるということだが……それが今後の物語にどのような影響を及ぼすか,よく考えよう。

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 さらに,本作では“縁(えにし)システム”という新要素が追加されている。主人公が仲間達と絆を深めることで,戦闘に役立つ能力を獲得するという内容だ。絆を深めた相手が属性耐性を得たり,悪魔合体で特殊な悪魔を生み出せるようになったり,スキルクラックを共有できるようになったりと,縁がランクアップするたびに,新たな能力が発現する仕組みになっている。誰に会いに行くかだけでなく,選択肢にも注意してプレイしたほうが良いだろう。

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 そして,メガテンシリーズに慣れているファンなら予想していたことだろうが,本作でも終盤になると,思想の異なる仲間達と対立することになる。最終的にプレイヤーは,誰と運命を共にするかという葛藤に苛まれることになるのだ。あるいは,どの思想にも賛同せずに,自由な生を選ぶ道もあるかもしれない。
 すべてはプレイヤーの選択次第。終末の時に,後悔のない答えを選びとってほしい。

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“DS最後の傑作”になり得る挑戦的な作品


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 「女神異聞録デビルサバイバー」の魅力をそのままに,あらゆる面がブラッシュアップされた本作。基本システムに関しては前作で完成されているので,劇的に変化した要素はないものの,上位種族スキルや縁システムの追加や悪魔の増量によって,遊び応えは大きくパワーアップしている。
 また,鬼頭莫宏氏のデザインによって生み出されたセプテントリオンという敵の存在が,本作に独特の個性を加えている点にも注目だ。アトラス作品としては初めて,音楽を伊藤賢治氏が担当していることといい,メガテンシリーズの中でもかなり挑戦的な作品に仕上がっていることは間違いない。個人的には,その試みすべてが作品の魅力を高めていると感じた。
 ゲーム開発が次世代機へ移り変わろうとしているなか,本作は“DS最後の傑作”になり得るタイトルなので,シミュレーションRPGに抵抗がないゲーマーは,ぜひとも購入を検討してみてほしい。

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