プレイレポート
新キャラ(恋愛対象含む)の増量や“フェイトシステム”の強化などにより,PS2版が大幅パワーアップ。「グローランサーIV オーバーリローデッド」インプレッション
本稿では,実際にプレイした印象を交えつつ,オーバーリローデッドで追加された新要素と,本作の魅力をお伝えしていこう。
「グローランサーIV オーバーリローデッド」公式サイト
オーバーリローデッドでは新規キャラクターや恋愛要素が追加されたほか,キャラクターが本来たどるべき悲しい運命を回避する,「フェイトシステム」も強化されている。もし,PS2版のストーリー展開に不満を抱いていたという人は,オーバーリローデッドでストーリー展開を,自分の行動や選択で変えてみるといいだろう。
リアルタイムミッションクリアシステムがゲームのキモ
歯ごたえのある戦闘バランスは,一度ハマるとクセになる
本作のバトルには,一般的なコマンド選択式のRPGとは違い,刻一刻と変化していく状況下で戦況に応じた指示を出していくという,シミュレーションRPGのようなシステムが採用されている。パーティメンバーに指示を出し終えると,敵味方が一斉に行動を開始するという感じで,ちょっとしたリアルタイムストラテジー(RTS)のような要素も含まれており,バトル中はさまざまな状況に的確な判断を下す必要がある。仲間1人1人に指示を出しながら,バトルをより良い方向に進めていく戦術的な面白みは,本作最大の売りと言えるだろう(ただし,メニュー画面を開くとゲーム進行が一時的に停止するので,操作が忙しいわけではない)。
以上の説明から,決して生ぬるい難度でないことはうっすらと理解してもらえるだろうが,逆に言えば,一般的なRPGでは味わえないスリリングなバトルを楽しめるということでもある。実際にプレイしてみると,戦闘システムの評価がシリーズを通して高い作品だということが,あらためて実感できるはずだ。
グローランサーシリーズといえば,リアルタイムミッションクリアシステム(RMC)も忘れてはいけない。これは,「戦闘もシナリオの一部」という思想の元に生まれた,グローランサーシリーズを代表するシステムで,イベント〜バトルという一連の流れを区切ることなく,1つのシーンとして描いているのが特徴だ。まさに,“ノンストップドラマチックRPG”を謳う作品ならではのこだわりが見え隠れするシステムなのである。
なおRMCシステムでは,戦闘ごとに「敵の侵入を阻止せよ」「○○を守れ」といった,さまざまな条件がプレイヤーに課される。これらの条件が達成できなかった場合,主人公/仲間の死亡に関係なくゲームオーバーになってしまうのだ。
とはいえRMCシステムは,決して無理難題を押しつけているわけではない。ゲームに不慣れな人手も,敵,味方,守護対象キャラクターの位置関係や,味方のスキル性能などをしっかり把握し,無駄と思われる行動をそぎ落としつつトライ&エラーしていけば,間違いなくクリアできるよう調整されている。実際にプレイしていると,「あれだけ苦戦していたのに,ちょっとしたヒラメキでこうもあっさりと……」という場面に多々遭遇し,そのたびに大きな達成感,満足感が味わえるのだ。
ちなみに,本作のバトルはRMCだけでなく,敵シンボルと接触することで発生する通常のバトルも用意されているので,経験値やお金をコツコツ稼ぎたいという人も安心してほしい。いくらバトルの戦術性が高いゲームとはいえ,味方の総合戦力があまりにも低ければ,勝てる戦にも勝てないものだ。とくに,本作で初めてグローランサーシリーズに触れるという人は,フィールドでのザコ戦で修行を積んでおこう。
前作では攻略できなかったキャラクターがついに解禁!
ここからは,オーバーリローデッドから追加された注目の要素を紹介していこう。ファンが気になるのは,やはり新規キャラクターの追加だろう。本作では,使い魔D-MD型(CV:日笠陽子),トリシア(CV:寺本來可),メリーヌ(CV:志村由美),シンシア(CV:平田宏美),パメラ(CV:櫻井智),マグナス(CV:鈴木達央)の6人が新規キャラクターとして追加されている。
使い魔D-MD型 |
トリシア |
メリーヌ |
シンシア |
パメラ |
マグナス |
ちなみに使い魔は,ゲーム序盤に発生するイベントの選択肢で種類が決まる。新キャラであるD-MD型が気になるという人は,なるべく彼女の性格に合った事務的な答えを選ぶといいだろう。普段はあまり感情を表に出さないD-MD型だが,親睦を深めていけば意外な一面が見られるので,ぜひ確認してもらいたい。
使い魔は,自室にあるドールハウスでパワーアップさせることができる |
また,PS2版では攻略できなかった女性キャラクターが,新たに攻略対象となっているのも,前作経験者にとっては嬉しい要素だろう。前作で,お気に入りのキャラクターが攻略対象でなく,悔しい思いをしたという人は,ぜひとも本作でリベンジ(?)を果たすべく,意中のキャラクターにガンガンアプローチしてほしい。
もちろん,それに伴いキャラクターの個別エンディングも増えているので,やり込み要素,リプレイアビリティ共に大きく増している。バトル以外の部分にも“遊べる”要素が盛り込まれている点も,本作の魅力の一つと言えるだろう。
派手さはないが,確かな遊びごたえを与えてくれる良作
しかしそれでも,「グローランサーIV オーバーリローデッド」には「良作だ」と感じさせてくれる魅力が備わっているように思う。戦闘システムそのものの面白さや,キャラクターの魅力を引き立てる休暇システム/恋愛要素などが,壮大なストーリー展開にうまく溶け込んでおり,プレイしていて止めどきの判断が難しいゲームだった。
グラフィックスに重きの置かれた最新のRPGに比べ,本作は地味な印象を受ける作品かもしれないが,内容的には実に真っ当な,遊びごたえのある作品である。戦術性が高く,やり込み要素も満載なので,じっくり腰を据えて遊べるRPGを求めているゲーマーに,本作をオススメしたい。
「グローランサーIV オーバーリローデッド」公式サイト
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