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[GDC 2014]Intel,第5世代Coreプロセッサ「Broadwell」や次期ハイエンドCPU「Haswell-E」などの概要を公開。Pentiumの20周年記念モデルも
今回は,気になるその内容をまとめてお伝えしたい。
Broadwell世代ではソケット版CPUにもIris Pro Graphicsを導入
まずはデスクトップPC向けBroadwellからだ。Broadwellの市場投入時期は依然として明らかになっていない一方で,第4世代Coreプロセッサと同様の「Un
念のため述べておくと,Haswell世代のデスクトップPCにも,Iris Pro Graphicsを統合した製品は存在する(関連記事)。しかし,それらはいずれもBGA1364という特殊なパッケージを採用しており,マザーボードに直付けされる仕様となっていた。それに対し,Broadwell世代では,ソケット版も用意されるというわけである。
最近のIntelはグラフィックスドライバのアップデートに本腰を入れつつあるようにも見える(関連記事)。それだけに,Broadwell世代でエントリークラスのグラフィックス機能に選択肢が増えることは歓迎できそうだ。
次期Core i7 Extreme Editionは8基のCPUコアを集積し,DDR4メモリコントローラを搭載
続いては,長らくLGA2011プラットフォームが続いている,ハイエンドデスクトップPC向けCPUだが,Intelは,冒頭でも紹介したHaswell-E世代の次世代モデルを2014年後半に投入すると予告している。Ivy Bridge-E世代の「Core i7-4960X Extreme Edition」(以下,i7-4960X)が,ようやくトップエンドの座を最新世代のマイクロアーキテクチャを採用するCPUへ譲ることになるわけだ。
Haswell-Eにおける最大の特徴は,Intelのデスクトップ向けCPUとして初めて8基のCPUコアを搭載する点にある。i7-4960Xでは6基だったので,2基増えるわけだ。
また,ある意味でCPUコア数が増えることよりも重要なのが,DDR4メモリコントローラを搭載する点である。こちらはIntel初どころか,PC用CPUとして初めての試みだ。ただし,i7-4960Xと同じようにクアッドチャネルアクセスをサポートするのか,どの速度クラスをサポートするのか,最大でどの程度のメインメモリ容量を実現できるのかといったところは明らかになっていない。
なお,対応チップセットは「Intel X99」になるとのことだが,こちらも詳細は今のところ不明である。
ちなみに,次期Core i7 Extreme Editionは,2003年に登場した初のExtreme Editionである「Pentium 4 Extreme Edition」と比べ,約20倍の性能を発揮するそうだ。11年で20倍というのは,なかなか感慨深い。
新パッケージ採用の改良版Haswellでオーバークロックがしやすくなる?
Haswell世代CPUにも,改良された製品が登場する。それが新しいUnlocked版CPUとなる「Devil’s Canyon」(開発コードネーム)だ。登場時期は2014年中頃とされている。
Devil’s Canyonでは,CPUコア本体とヒートスプレッダの間にある「Thermal Interface Material」(TIM)が改良されるほか,パッケージに使う素材も変更されるとのことだ。
これらはいずれもCPUの放熱に深く関わるものなので,Devil’s Canyonにおける改良は,CPUのオーバークロック動作を容易にするためのものと理解していいだろう。具体的にどれくらいの変化があるのかは言及されなかったが,CPUのオーバークロック動作を楽しむ人にとっては朗報かもしれない。
ただし,この新しいHaswellを利用できるのは,新しい「Intel 9」シリーズチップセット搭載マザーボードになるとのこと。既存のHaswell対応マザーボードでは利用できない可能性が高そうだ。
デスクトップPC向けCPUではもう1つ,これも冒頭で簡単に紹介したが,Pentiumプロセッサの登場20周年を記念した特別版「Pentium Anniversary Edition」が,やはり2014年中頃に登場予定であることも明らかになっている。
今のところ,Unlocked版であることと,Intel 8&9シリーズチップセットに対応することくらいしか情報はないのだが,30代以上のPCゲーマーなら,かつてPentiumのお世話になったことがあると思われるだけに,気になる人は少なくないだろう。続報に期待したい。
デスクトップ版Smart Connect「Ready Mode Technology」も登場
ここ数年のIntelは,ノートPC向けやモバイル端末向けのCPUを重視する戦略をとっていた。最近の話題はほとんど,Ultrabookや2-in-1デバイスだったと述べていい。
その一方で,デスクトップPC向けCPUだと,新製品こそコンスタントに投入されてはいたものの,何かの方向性を打ち出すということは,積極的に行われていなかった。
そうした数年来の傾向を反省したのかどうかはともかく,IntelはデスクトップPC分野でも成長の余地がある分野を再検討し,以下に示す4つの方向性を打ち出してきた。
- ディスプレイ一体型PC(All-in-One)の普及を加速
- マニア向け(Enthusiast)の製品分野を最大化
- ビジネスユースでは超小型デスクトップPCの普及促進
- 新規分野を開拓
IntelがデスクトップPC向けCPUに関する発表をGDC 2014に合わせて行ったのは,PCゲーマーこそがハイエンドPCのユーザー,つまりEnthusiast層だと認識しているからだろう。オーバークロック動作向けのDevil’s Canyonは,(PCゲーマーがオーバークロックを好むかどうかはともかく)その層を狙った典型的な製品というわけだ。
一方,ディスプレイ一体型PCや超小型デスクトップPCといった分野では,ノートPCで培った技術の応用が利く。そこでIntelが今回発表してきたのが,「Intel Ready Mode Technology」だ。
簡単にいえば,Ready Mode Technologyは「Intel Smart Connect Technology」(関連記事)のデスクトップPC版といったもの。対応するハードウェアとソフトウェアを使うことで,アイドル時の消費電力を削減したまま,アプリケーションはネットワークと通信して情報を更新したり,メディアファイルを共有したりできるようになるという。
この機能には,Haswellで導入された省電力ステートを利用しているとのことで,実現するにはHaswell世代のCPUと,Intelのデザインガイドに沿ってアイドル時の消費電力を最適化したマザーボードが必要になる。
そうなると,省電力よりも性能やレスポンスの高速さを重視するゲーマー向けマザーボードでは,対応できない(しない)可能性もありそうに思える。
正直にいえば,Intelが示した「デスクトップPC市場における成長分野」に,目新しい話はない。Ready Mode TechnologyもSmart Connect Technologyの焼き直しだ。ただ,長らく「放置」と言っても過言ではない状態に置かれていたデスクトップPC分野で,Intelが何らかのてこ入れを必要と考えているのは確かだろう。これから続々と登場する見込みのデスクトップPC向けCPUに合わせて,デスクトップPC市場で目に見える動きが出てくることに期待したい。
Intel 公式Webサイト
- 関連タイトル:
Core i7・i5・i3-4000番台(Haswell)
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Core i7・i5・i3・M(Broadwell)
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