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バットマンそっくりさんと,ジョーカーそっくりさんが戦う「Gotham City Impostors」を紹介する,今週の「海外ゲーム四天王」
「F.E.A.R.」シリーズで知られるデベロッパ,Monolith Productionsが制作した「Gotham City Impostors」は,かの有名なゴッサム・シティを舞台にバットマン好きのちょっと貧乏くさいコスプレマニアと,ジョーカー好きのちょっと貧乏くさいコスプレマニアが決死の戦いを繰り広げるという,なんで本人ではないのかというツッコミを入れずにはいられないオンライン専用FPSだ。
そんな本作を,実はコスプレも行けるというライターの朝倉哲也氏が紹介する。
ゴッサム・シティは今日もてんやわんや
悪が栄え犯罪がはびこる街,ゴッサム・シティ。人々が助けを求めて,サーチライトを空に向け,一条の光が夜空にコウモリの姿を映し出す。しかし,そのサインに呼ばれて現れたのは,バットマンのコスプレをしたバットマンフリーク達だった! なんだそりゃ?
というわけで,今週の「海外ゲーム四天王」は,ジョーカーフリークのコスプレ野郎(女性含む)とバットマンマニアのコスプレ野郎(女性含む)がゴッサム・シティを舞台に大暴れする,アメコミ好きのゲーマーに勧めていいのか悪いのか悩んでしまうオンライン専用FPS「Gotham City Impostors」を紹介しよう。
「Gotham City Impostors」公式サイト
開発は,「F.E.A.R.」や「F.E.A.R. 2: Project Origin」で知られるMonolith Productionsで,あの大御所がこれを作ったというのが,まず最初のビックリポイントだ。対応機種はPCのほかPlayStation 3とXbox 360で,ダウンロード専用タイトルとして,2012年2月7日(Xbox 360版は2月8日)にリリースされた。
本作は,上にも書いたように,バットマンとジョーカーのニセモノ達(Impostors)が,それぞれの勢力に分かれてゴッサム・シティで銃撃戦を繰り広げるというもので,言ってみればバットマンとジョーカーになりたくてなりたくてたまらない連中が,周囲の迷惑も考えずに町中でドンパチやるというわけだ。回を重ねるごとにシリアスさを増してきた,映画版バットマンとは,まるで雰囲気の違うところが潔い。
スクリーンショットを見てもお分かりのように,コスプレといっても,コミケで見かけるような本格的なものではない。ダンボールで作ったバットマンのマスクをつけたヤツがいるかと思えば,突き出た下腹を隠そうともしないポッチャリ型のバットマン(もどきね)や,白塗りメイクをした超マッチョなジョーカー(何度も言うが,もどきね)といった連中が大挙して登場するので,彼らの貧乏くささがまずおかしい。
使用できる武器はマシンガンやショットガンなどの銃器や,ロケットランチャーやグレネードといったFPSでは一般的な武器。それに加えて壁や天井に向けてワイヤーを発射し,それを巻き上げることで一気に移動できる「グラップライン」や,忍者が使う手裏剣など,個性豊かでギミック満載のガジェットも用意されている。
本作にはシングルプレイ向けのキャンペーンモードはなく,基本的にオンライン専用だ。用意されているゲームモードは「Team Deathmatch」「Fumigation」「Psych Warfare」「Challenge」,そして「Initiation」の5種類。
Team Deathmatchは,バットマンチームとジョーカーチームが倒し合うという,FPSでは一般的なマルチプレイモードだ。
Fumigationは,マップの数か所に設置されたガス発生器を使ってガスを街中に充満させるというもの。バットマンチームがガスを充満させると,どこからともなくコウモリの大群がやってきて,敵プレイヤーを攻撃してくれる。また,ジョーカーチームが発生器を稼働させると,致死ガスとなってバットマンチームはバタバタとやられてしまうというダンドリだ。
Psych Warfareは,町に設置された洗脳機を起動させるためのバッテリーを奪い合うというもの。洗脳機を動かすと,敵側プレイヤーは武器が使えなくなり,素手で戦うはめになってしまう。洗脳機は,起動するまで時間がかかるので,まずは敵に先んじてバッテリーを確保し,洗脳機が稼働を始めるまでの間,敵側プレイヤーから機械をガードしなければいけないのだ。
Challengeは,マップに置かれたターゲットを破壊したり,高所に設置されたチェックポイントを,グラップラインを使って通過したりして,オンラインでそのタイムを競うというモード。
Initiationは,チュートリアルモードで,マシンガンを使った射撃訓練に加えて,ブーメランの使い方や,グラップラインを使って高い場所へ一気に上がる方法などが練習できる。新人のバットマンマニアであるプレイヤーが,自分の能力を示してチームの先輩に認めてもらうという設定になっており,チュートリアルなのになかなか面白い。
マッチの勝敗やキル数に応じて経験値やコインが獲得でき,それによってプレイヤーレベルが上がり,今まで使えなかった武器がアンロックされたり,ゲーム内アイテムが購入できたり,武器やコスチュームのカスタマイズができたりなどというRPG要素もあり,ゲームに対するモチベーションを高めてくれる。
ゲームの舞台となるマップは,ゴッサム・シティの各所で,繁華街や裏通り,スラム街といった市街地マップが中心。Monolithのゲームらしく,グラフィックスは非常にきれいなのだが,マップが全般に薄汚れた感じになっているため華やかさはあまりない。
なおXbox LIVE Arcadeでは,有料のダウンロードコンテンツとして,100種類を超えるコスチュームが用意されているようだが,PC版では現在のところSteamで9種類のみと,ちょっとさびしい。
オンラインのプレイヤー数が少なめなのは,専用タイトルとして厳しいかも知れない。筆者がプレイしたのは日本時間の週末の夕方だったが,Team Deathmatch以外のゲームモードは,プレイヤーが少ないためにまったくスタートしないという状況だった。
悪ふざけやブラックジョークに満ちた,キワモノ度満点のゲームなのだが,さすがにMonolithタイトルらしく,FPSとしての基本部分は非常に良くできているだけに残念な話だ。
「Team Fortress 2」に似たプレイ感があるので,こういったタイプのFPSが好きな人なら気に入るかもしれない。ちなみに,プレイするにはGames for Windows LIVEのアカウント(登録は無料)が必須となので,この点には注意が必要だ。
■■朝倉哲也(ライター/四天王)■■
アクションゲームからMMORPG,アドベンチャーからストラテジーまで,なんでもプレイする雑色系ライター。年季の入ったPCゲーマーでもあったが,最近はコンシューマ機のゲームもプレイするようになったので,そのオールラウンダーぶりをますます強くしている。
- 関連タイトル:
Gotham City Impostors
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