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  • 発売日:2012/10/25
  • 価格:PS Vitaカード+PS3追加キャラパックコード同梱版4990円
    ダウンロード+PS3追加キャラパック同梱版4400円
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「ストクロ Ver.2013」「ヴァンパイア リザレクション」で新たなステージを迎えるカプコン格ゲー。「格闘秋祭り」会場で“その先”について綾野Pに聞いてみた
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印刷2012/11/02 00:00

インタビュー

「ストクロ Ver.2013」「ヴァンパイア リザレクション」で新たなステージを迎えるカプコン格ゲー。「格闘秋祭り」会場で“その先”について綾野Pに聞いてみた

 ストリートファイターシリーズと鉄拳シリーズがコラボレーションすることで話題を呼んだ「STREET FIGHTER X 鉄拳」PlayStation 3 / Xbox 360,以下ストクロ)。そのPlayStation Vita版が2012年10月25日に発売となった。また発売から半年が経過したPS3/Xbox 360版も,その最新バージョンである「ストクロ Ver.2013」の開発が明らかとなり,新たな展開が期待される。

 今回4Gamerでは,先日(10月20日)行われた公式全国大会「ストリートファイター25周年 公式全国大会 格闘秋祭り」の会場にて,プロデューサーを務めるカプコンの綾野智章氏(以下,綾野P)に,この新展開についてのインタビューを行った。
 大きな盛り上がりを見せた「格闘秋祭り」の感想から,新たなステージを迎えるストクロの話題,また同日日本での発売が発表された「ヴァンパイア リザレクション」PS3 / Xbox 360)についてもお話をうかがっている。

カプコン 綾野智章氏
画像集#001のサムネイル/「ストクロ Ver.2013」「ヴァンパイア リザレクション」で新たなステージを迎えるカプコン格ゲー。「格闘秋祭り」会場で“その先”について綾野Pに聞いてみた

「STREET FIGHTER X 鉄拳」公式サイト

ストリートファイターシリーズ公式ブログ

「ヴァンパイア リザレクション公式サイト



新たな時代の到来を予見させる「格闘秋祭り」ストクロ部門


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。先ほどストクロ部門の優勝者が決まったところですが,本当にもの凄い試合でしたね。さっそくですが,今大会の感想からお聞かせください。

※本インタビュー時点では,まだストIII 3rd部門とストIV AE部門については,結果が判明していなかった。

綾野智章プロデューサー(以下,綾野P):
 もの凄く盛り上がりましたね。ストクロの対戦シーンも,ついにここまで来たか,というのが今の率直な感想です。だいぶ時間がかかってしまいましたが,ストクロの本当の姿を,ようやく多くの人に見てもらえたというか。

4Gamer:
 とくにゆきむら選手の活躍がすごかったです。なにより,リュウ/一八というキャラクターの構成がいい。まさにストクロのコンセプトに通じるチームじゃないですか。とくに開発の方なんかは,喜びもひとしおだろうなあ,なんて思いながら試合を見ていました。

綾野P:
 いやもう,あれは嬉しかったですね。リュウと一八は個人的にも一押しで,ストクロ発売直後から,僕も使っていたチームなんです。

4Gamer:
 それでかつ,あの試合内容ですからね。まさしく新世代のプレイヤーと呼ぶに相応しい活躍でした。

格闘秋祭り,ストクロ部門を盛り上げた立役者といえるゆきむら選手(写真左)。主人公タッグで強敵に立ち向かう姿に,会場やニコニコ動画でファンになった人も少なくないだろう
画像集#002のサムネイル/「ストクロ Ver.2013」「ヴァンパイア リザレクション」で新たなステージを迎えるカプコン格ゲー。「格闘秋祭り」会場で“その先”について綾野Pに聞いてみた

綾野P:
 ゆきむら選手はストクロの申し子なのかもしれませんね。
 これまでの格闘ゲームシーンの流れって,あくまでメインはアーケードで,有名なプレイヤーは皆,そこでの蓄積で勝ってきたわけじゃないですか。だけどゆきむら選手は,オンラインであそこまで強くなって,そして今回のオフラインの大会に出てきてくれた。これって僕等がそうあって欲しいと願っていた,逆流のパターンそのままなんです。

4Gamer:
 ゆきむら選手は,アーケードでのプレイ経験は少ないプレイヤーなんですね。

綾野P:
 話を聞いてみると,彼は本当にオンライン対戦だけでここまでうまくなったらしいです。優勝したときどさんは,こういってはなんですがプロですし,彼が強いことは皆知っています。だけどゆきむら選手は,ストクロで初めて出てきてくれたプレイヤーじゃないですか。

4Gamer:
 しかも,最速風神拳をゲームパッドで繰り出して。海外だとパッドで凄い操作をするプレイヤーもいますが,国内であれだけ“動ける”人は珍しいですよね。

綾野P:
 そう(笑)。だから僕等にとって,これほど嬉しいことはないんですよ。

4Gamer:
 ニコニコ動画で大会を見ていた人は,当然今回はときど選手MOV選手ももち選手あたりに注目していて,ゆきむら選手が来るとは予想してなかったと思うんですよ。そこであの試合ですからね。逃げる“アイスエイジ”を追い詰める主人公コンビとか,もう熱くならないわけがない(笑)。

※アイスエイジ……“MARDER-FACE”と並ぶ,ときど選手の通り名の一つ。徹底した勝ちへのこだわりから,戦況によっては「逃げ」や「待ち」など“寒い”と言われる手段の選択も辞さない,同選手のプレイスタイルがその由来。ときど選手にとっては“寒い”という表現さえ,褒め言葉になるのだろう。

画像集#003のサムネイル/「ストクロ Ver.2013」「ヴァンパイア リザレクション」で新たなステージを迎えるカプコン格ゲー。「格闘秋祭り」会場で“その先”について綾野Pに聞いてみた
綾野P:
 そうですね(笑)。ニコニコ動画を見ていても,Loser'sファイナルのMOV選手vs.ゆきむら選手のとき,最初はMOV選手を応援するコメントがやっぱり多かった。だけど試合が進んでいくうちに,ゆきむら選手への応援も増えていって。グランドファイナルでは,ゆきむら選手の側につく人も,かなり増えていたみたいですね。

4Gamer:
 今回は残念ながら準優勝という結果でしたが,世界大会に向けて,個人的にもぜひ頑張ってほしいです。……というわけで,海外大会についても少しお話をお聞きしたいんですが,まず見どころは?

綾野P:
 25年のストリートファイターシリーズの歴史総まとめということで,企画された大会です。ストクロ部門以外の日本代表はこれから決まるところですが,まさにすべてのタイトルが見どころだと思います。世界各国で予選を行っていますし,各タイトルの最先端の戦いが見られるはずですよ。

※インタビュー収録後,「STREET FIGHTER III 3rd STRIKE ONLINE EDITION」(以下,ストIII3rd OE)部門はMOV選手,「ストリートファイターIV アーケードエディション」部門はウメハラ選手とふ〜ど選手がそれぞれ日本代表として決定した。

4Gamer:
 そういえば,今回の格闘秋祭りの決勝トーナメントはダブルエリミネーション方式のトーナメントでしたが,国内の公式大会でダブルエリミネーションというのも初ですよね? これはやはり世界大会を意識されてのものなんですか?

※ダブルエリミネーション方式……プレイヤーが2つのライフを持ち,1度までの敗北なら,優勝のチャンスが残される,というトーナメントルール。1度の負けが許容されるため,いわゆる“事故“による敗退が減るものの,カードの総数が増えることで,イベント全体が長時間になるデメリットもある。

綾野P:
 そうですね。海外ではダブルエリミネーションがメジャーですし,「一番強い奴を決める」には,やはりこの形が最適だろうと。

4Gamer:
 格闘ゲームはキャラ相性もあるので,一度負けてもまだ這い上がれるチャンスがあるのは魅力的ですよね。どんなドラマが生まれるか今から楽しみです。

綾野P:
 25年のシリーズに,また新たな歴史が刻まれる大会になるはずですので,ぜひ期待していてほしいですね。


Ver.2013でストクロは何を目指し,どう変わるのか


4Gamer:
 では,ここからは今回発表されたストクロの新バージョン「Ver.2013」について,お聞きしていきたいと思います。2012年12月中旬頃の配信予定とのことですが,調整のコンセプトなどについてお聞かせください。

綾野P:
 はい。調整のコンセプトは,PS3版/Xbox 360版を発売したときに,プレイヤーの皆さんから寄せられたご意見をできる限り反映することです。例えば,ラウンド開始時に出る“Fight!!”の文字が邪魔であるとか,ジェムが発動すると画面に集中できなくなるといった意見への対応などが,今回のパッチで反映されます。

4Gamer:
 おおまかな修正内容は存じています(関連記事)。公式ブログでも詳細な情報が出ていますが(その1その2その3その4),かなり大規模な調整になるようですね。個人的には,投げの発生フレームが7Fから5Fに変更されるなど,基本システムにまで手を入れていることが驚きでした。

投げの発生が早くなり,投げを絡めた駆け引きがより重視されるように
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綾野P:
 そうですね。その辺りは,我々としても慎重に調整しています。個々のキャラクターについても全キャラにメスを入れていますし,これまでのアップデートに比べ,さらに一歩踏み込んだアップデートになると思います。

4Gamer:
 ということは,ジェムやパンドラの性能などにも手が入ると?

綾野P:
 そうですね。ジェムについては,数値の修正を視野に入れています。パンドラは……今は使う機会がないと言われていますよね。

4Gamer:
 現時点の性能では,使いどころが難しいシステムですね。実際に,今大会でもパンドラの発動は一度も見ませんでしたし。

綾野P:
 パンドラについては,実は開発内部でも何度か強化を検討したのですが,そうすると「パンドラゲー」になってしまうんですよね。手を加えれば加えるほど,パンドラ発動したら勝ち,というゲームになってしまう。

4Gamer:
 先に発動させたもの勝ち,ということですか。

綾野P:
 そうです。ということは,パンドラを発動させるためにわざと殴られて体力を減らすとか,それが正解になってしまいます。でもそれって,格闘ゲームとしてはどうかと思うんですよ。ただ,プレイヤーさんからの声を考えると,やっぱりパンドラには何かしら手は加える必要があると思っています。

4Gamer:
 せっかくの逆転要素ですし,もう少し活用できるといいですね。

綾野P:
 なので,今のところパンドラは時間を延長する方向で考えています(10月24日,公式ブログにて効果時間を7秒から10秒に延長することが発表された)。パンドラに関連したジェムの公開も予定していますので,そこでバランスを取っていきたいと。

一発逆転要素であるパンドラ。しかし実戦で使いこなすのはかなり難しい。ストクロ Ver.2013では持続時間が延長されるとのことだが,果たして……
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4Gamer:
 個人的には,試合の展開によってタイムオーバーが多くなりがちという面が気になっています。クロスアーツなどの演出時のタイマー進行を止めるなどすれば,また違ってくるような気がするんですが……。

綾野P:
 おっしゃるとおりで,タイマー進行の停止も検討しました。他にも単純にタイマーを伸ばすなど,ほかにも色々なアプローチがあるんですが……。今日の試合を見ていると,タイムオーバーによる決着って,あんまりなかったですよね?

4Gamer:
 確かに,あまり多くはなかったですね。

綾野P:
 ご覧のとおりコンボの火力が高いゲームですし,開発ではジェムによる攻撃力の上昇なども鑑みて,現状のタイマー設定を行っています。なので,問題はジェムを絡めた戦略の魅力を僕らが伝えきれていないことにあると,現状では考えています。

4Gamer:
 結果的に研究が進まなかったために,タイムオーバーになっていたと?

綾野P:
 もちろん,先に話も出たアイスエイジ的な戦い方をすれば,タイムオーバーになる試合は必然的に増えます。でも,それはどのタイトルでも同じですし,単純にタイマーを伸ばして解決できるわけじゃないじゃないですよね。

4Gamer:
 うーん,確かにジェムの扱い方に慣れる前に,やめてしまった人は多い気がします。しかしトッププレイヤーが動かして,初めてバランスがとれるというのでは……。

綾野P:
 それはそのとおりです。なので,この件については開発でも重視していて,テコ入れはするつもりです。

4Gamer:
 現在発表されている調整案を見ると,技のダメージを低く抑える傾向が強いようですが,火力の低下によって,タイムオーバーもより起こりやすくなると思えます。

綾野P:
 あまりに高火力だった部分は,やはり抑えざるを得ませんが,その分,別のところで勝負が決着しやすいように調整しています。
 例えば,リカバリアブルダメージの回復スピードが遅くなっていますし,スペシャルゲージの増加量も抑えています。そのためガードキャンセルやキャンセルチェンジなど,低リスクな交代は,これまで以上に高コストな行動になるでしょう。

4Gamer:
 なるほど……。今回発表されたストクロ Ver.2013のアップデート内容は,これでFixなんでしょうか。
 
綾野P:
 いえ,そういうわけではありません。発表した内容への反響を見て判断しようと思っています。アップデートは12月中旬と公言しましたが,場合によってはリリースを遅らせても,多くの方が納得する形にしたいと思っています。
 もちろん会社との兼ね合いもあって僕の一存では決めらませんが,早くリリースすべきなのか,それとも完成度を高めるべきなのかは,一度ジャッジにかけた上で判断するつもりです。

4Gamer:
 では,意見はどんどん送ってほしいと。

綾野P:
 もちろん。発表した調整内容にご意見がありましたら,公式ブログのコメント欄にどしどしお寄せください。


カプコンの格闘ゲームが,次に目指すもの


4Gamer:
 では,ここからはストリートファイターシリーズ,ひいてはカプコン格闘の“次”についてうかがっていきたいのですが……。その前に,先ほどのお話にもあった,PS Vita版ストクロについて教えてください。インタビューの掲載時には,すでに発売となっていると思いますが,改めてウリなどをお話いただければと。

綾野P:
 まずPS3版のストクロの面白さが,PS Vitaの画面で完全に再現されていることですね。キャラクターは,DLCで後から追加されたものも含め,最初から全キャラが使用可能になっていますし,さらにPS Vitaの機能を活かした「遊び」も用意しています。格闘秋祭りのステージでも紹介しましたが,タップ&フリック操作だけで遊べる「カジュアルスタイル」もその一つです。

タッチスクリーン&背面タッチパッドの操作だけで対戦が楽しめる「カジュアルスタイル」。ジャンプやガードなどの移動系の操作はCPUが行い,プレイヤーはタップやフリックを行うだけで,さまざまな技を繰り出せる
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4Gamer:
 ステージでカジュアルスタイルのミス春麗と対戦していましたね。あれは連続技とかも,タップとフリックだけで出せるんですか?

綾野P:
 できます。連続技がつながる状況なら,連続タップするとクロスラッシュまでバシっとつながりますよ。

PS Vitaでカジュアルスタイルを使うミス春麗と,アーケードスティックを接続したPS3で対戦する綾野P
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4Gamer:
 それはすごい。でもあえて意地悪な聞き方をしますが,それって格闘ゲームとして面白いんでしょうか?

綾野P:
 駆け引きの楽しさを追求するという意味では,それはやっぱり違うものだと思いますよ。でもカジュアルスタイルは,まず必殺技と通常技の使い分けを覚えようという,そこに辿り着く前の階段だと考えているんです。PS3版でも「簡単コマンドジェム」を搭載してハードルを下げる試みをしていますが,カジュアルスタイルはその,さらに一つ前のステップです。

4Gamer:
 カジュアルスタイルで攻撃に種類がある事を覚えてもらって,その次に簡単コマンドジェムでキャラクターを動かしながら戦ってもらう。

綾野P:
 そう。それに慣れたら,今度はトレーニングモードで本格的に練習しよう,とかね。

4Gamer:
 うーん,なるほど。でも元々うまい人がカジュアルモードを使いこなしてしまって大変なことに……みたいなことになりませんか。

綾野P:
 キャラクターの移動が自動制御なので,それはないと思います。僕はさっきミス春麗に負けちゃいましたけど,本当に強い人が相手なら,カジュアルスタイルで勝つのは相当に難しいハズです。東京ゲームショウ2012での話になりますが,実際にときど選手にカジュアルスタイルで対戦を挑んだら,見事に負けてしまいましたし(笑)。

4Gamer:
 では仮にPS Vita版の全国大会があったとして,その予選にカジュアルスタイルで参加するのはアリだとお考えですか?

綾野P:
 もちろんアリですよ。カジュアルモードで遊んでくれているような人が大会に参加しようと思ってくれたなら,それはもう僕らの勝ちですよね(笑)。


4Gamer:
 なるほど。PS Vita版には,ほかにも色々な新要素がありますが,やっぱりPS3版とのクロスプレイが気になります。PS Vitaだと,どうしてもワイヤレス環境でのプレイになると思いますが,遅延などは大丈夫なんですか?

綾野P:
 そこは頑張ってチューニングしていますのでご心配なく。さすがに3G回線だと,環境次第で遅延は出ちゃいますが……。

4Gamer:
 え,ランクマッチも3G回線でできるんですか?

綾野P:
 できますよ。推奨はしませんけど(笑)。あくまで推奨はWi-Fi環境です。

4Gamer:
 PS Vita版とPS3版で,マッチングのフィルタリングはできるんでしょうか?

綾野P:
 プレイヤーサーチ時に,PS3とPS Vitaのフィルタリングができます。

4Gamer:
 ああ,それならちょっと安心ですね。あとは……PS Vita版にも,ストクロ Ver.2013のアップデートは適用されるわけですよね。
 そのほかにも,シリーズの今後の予定などがありましたら,お聞かせください。

綾野P:
 ストクロ Ver.2013は,PS3とXbox 360,PS Vitaの各プラットフォームで,同時に適用される予定です。そのほかDLCでのジェム配信なんかも,引き続き行っていく予定ですよ

4Gamer:
 その……,さらなる追加キャラとかって,可能性はないんでしょうか。定番ですが,R.ミカとか,かりんとか。

綾野P:
 今でも結構なキャラクター数なんですけど,まだ足りないですかね(笑)。でもそういう声があるのは把握していますし,もしストクロ Ver.2013の評判が良ければ,次もあるかもしれないです。

ヴァンパイア リザレクション
画像集#005のサムネイル/「ストクロ Ver.2013」「ヴァンパイア リザレクション」で新たなステージを迎えるカプコン格ゲー。「格闘秋祭り」会場で“その先”について綾野Pに聞いてみた
4Gamer:
 うーん,分かりました(笑)。期待したいと思います。期待といえば,日本でも「ヴァンパイア リザレクション」の発売が発表されましたね(関連記事)。こちらについて何かお話をいただけることはあるでしょうか。

綾野P:
 そうですね。海外からの情報が先行してしまい申し訳なかったんですが,ついにネットワーク対戦を備えたヴァンパイアシリーズが,しかもHDグラフィックスに生まれ変わって登場します。リザレクションは,シリーズの「復活」という意味を込めたタイトルなので,これを機にヴァンパイアシリーズの新たなステップが作れればいいなあ,と考えています。

4Gamer:
 このHDグラフィックス化というのは,ストIII3rd OEとほぼ同じ形式と考えて良いのでしょうか。

綾野P:
 そうですね。ストIII3rd OEと同じ技術と考えてもらっていいと思います。さらにチューニングを加え,より高い完成度を目指しました。ぜひご期待ください。

4Gamer:
 それは楽しみですね。……ちなみに最初に発表されたニューヨークの「Comic-Con 2012」では,3Dグラフィックスによるプロモーションムービーが流されたと聞いています。あれは……いったいなんだったのでしょうか。

綾野P:
 よくご存じですね(笑)。実はあれはヴァンパイア リザレクションを紹介する前に,ヴァンパイアシリーズはまだ死んでませんよ,ということをアピールしたくて作った,専用のPVなんですよ。だからあれ以上でも,あれ以下でもありません。

4Gamer:
 ああ,それで“Darkstalkers Are Not Dead”なんですね。あくまでヴァンパイア リザレクションの発表記念ムービーだったと。

綾野P:
 そうですね。発表ステージの演出として作られたものです。もちろん,いちプレイヤーとしての僕は,3Dグラフィックスで作られた新しいヴァンパイアが見たいって,常に思っていますけどね(笑)。

4Gamer:
 その想いは,皆一緒ですよね。ではヴァンパイア リザレクションの成功が,ヴァンパイア・ブランド復活ののろしになると。

綾野P:
 ぜひそうあってほしいですね。皆さん,応援をどうかよろしくお願いします。

4Gamer:
 分かりました。しかしストIII 3rd OEを皮切りに,ヴァンパイア リザレクション,「ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産 HD Ver.」PS3 / Xbox 360),そして残念ながら日本での配信はありませんが,海外では「MARVEL VS. CAPCOM ORIGINS」も発売されたりと,カプコン格闘のリメイクが次々と実現していますね。そろそろ「ジャスティス学園」とか「スターグラディエーター」とか,あってもいいんじゃないですか?

綾野P:
 またそんな(笑)。でも格闘ゲームの火を消したくない思いはありますし,ストリートファイターやヴァンパイア以外にも,面白い格闘ゲームがたくさんあることは知ってほしいです。復活を望む人は,ぜひ声をあげていただければと。

4Gamer:
 どうでしょう,セガから「MODEL2 COLLECTION」が発表されたことですし,CPS3コレクションとか。第1弾はぜひ「ウォーザード」で!

1996年にカプコンがリリースしたアーケードタイトル「ウォーザード」。格闘ゲームでありながらレベル制の成長要素を持ち,自分の育てたキャラクターをパスワードで保存することができた(そしてメモした紙ごとよく紛失した)。後のストIIIにもつながる美麗なドットグラフィックスは,今見ても色あせない魅力がある
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綾野P:
 ストIII 3rdとジョジョは,もうあるじゃないですか(笑)。

4Gamer:
 でもウォーザードにはRPG的な成長要素があるぶん,ストクロに通じる部分があるような気がしませんか? ジェムでキャラクターをカスタマイズしていくような。

綾野P:
 逆に聞いてみたいんですが,そういう成長要素のある格闘ゲームって,ありだと思いますか? レベル5のリュウとレベル99のリュウがいて,体力も攻撃力も全然違う状態で対戦できるとか。それはそれで面白い気もするんだけど……。

4Gamer:
 オンラインゲームのPvPみたいな感じですよね。うーん……スキルツリーのような感じで,一定のリソースをどう割り振るか,みたいなのは面白いかもしれませんね。波動拳を強化していくとリュウになって,逆に昇龍拳を重視するとケンになるとか。あるいは「俺は昇龍拳いらないから,代わりに当て身技を覚えるぜ!」とか。ゲームバランスをとるのが,ものすごく大変そうですけど。

綾野P:
 今の格闘ゲームって,どうしてもアーケードの延長でしかなくて,オンライン要素を追加しても,やってることはオフラインと変わらないじゃないですか。格闘ゲームが,これからもっと先に進んでいくためには,なにかそういう新しい要素が必要なんじゃないかって,常に考えているんですよ。レベル制の是非はともかくとしてね。

4Gamer:
 なるほど。では新しい格闘ゲームのアイデアを思いついた人がいたら,こっそり綾野さんに教えてあげるといいかもしれません(笑)。

綾野P:
 こっそりと言わず,ぜひ公式ブログに投稿してください(笑)。

4Gamer:
 分かりました。ではシリーズ25周年に向けたコメントを,最後にいただけますでしょうか。

綾野P:
 はい。10月25日のPS Vita版ストクロの発売に,12月のストクロ Ver.2013のリリース決定と,ようやくここまで来ることができました。とくにPS Vita版は,僕が一からプロデュースさせてもらった初のタイトルでもあるので,ご意見などがありましたら,どんなものでもいいので,ぜひお送りいただければと思います。
 ストリートファイターはこれから50年,100年と続いていくシリーズだと思っています。皆さんぜひ応援をお願いします。僕も25周年で止めを刺すようなプロデューサーにはなりたくないですから(笑)。

4Gamer:
 ありがとうございます。そういえば小野Pはお元気ですか? 一時期は体調を崩されて大変だったようですが。

綾野P:
 めっちゃ元気ですよ。今日も世界大会の切符を届けに会場に来ていますし。当時はさすがに忙しすぎたんでしょう。飛行機に乗りすぎて,リアルストリートファイターになってましたからね。

4Gamer:
 常に世界中を飛び回ってましたから。カプコン格闘の今後のためにも,お二方とも体調には気をつけてください。今後のご活躍にも期待しています。本日はありがとうございました!



 25周年という節目を迎え,次の一歩を踏み出そうとしているストリートファイターシリーズとカプコン格闘。その火はまだまだ消えることなく,我々を熱くしてくれることだろう。
 だがそのためには,シリーズを支えるプレイヤー/コミュニティの存在と,その声に耳を傾けるメーカーの存在が不可欠だ。インタビュー中に綾野Pが語ったように,決して順風満帆の出だしとはいかなかったストクロだが,「格闘秋祭り」のステージで我々が目にしたように,プレイシーンの成熟は,同作を新たなステージに導きつつある。そしてVer.2013の登場によって,シーンはさらに新たな展開を迎えることになるだろう。

 カプコン格闘のこれからに期待するファンは,新しい気持ちで,今一度本作に目を向けてみてもいいのではないか。そしてその感想をカプコンまで届けてみよう。きっとそれが,カプコン格闘の次の10年につながる第一歩であるはずだ。
 ストクロ Ver.2013とヴァンパイア リザレクション,そしてそれに続くだろう,新たなカプコン格闘ゲームの登場に期待しよう。

画像集#013のサムネイル/「ストクロ Ver.2013」「ヴァンパイア リザレクション」で新たなステージを迎えるカプコン格ゲー。「格闘秋祭り」会場で“その先”について綾野Pに聞いてみた

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