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この雰囲気は,何よりも実際に体験してみてほしい。thatgamecompanyの新作「風ノ旅ビト」プレイレポート
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印刷2012/03/15 15:00

プレイレポート

この雰囲気は,何よりも実際に体験してみてほしい。thatgamecompanyの新作「風ノ旅ビト」プレイレポート

 ソニー・コンピュータエンタテインメントが本日(2012年3月15日)発売した,PlayStation 3用のオンライン配信専用ソフト「風ノ旅ビト」。本作は「flOw」や「Flowery」(原題:Flower)を手がけたアメリカのデベロッパthatgamecompanyが開発を担当しており,独創的なグラフィックスや世界観が発売前から話題となっていた。
 今回,その発売に先駆けて,本作を体験する機会を得たので,そのインプレッションと,日本版のローカライズ担当者にいただいたコメントをお伝えしていこう。

風ノ旅ビト


“ゲームらしさ”が徹底的にそぎ落とされたthatgamecompanyのタイトル


 まずは,風ノ旅ビトの開発元であるthatgamecompanyという会社の,過去作について簡単に触れておきたい。
 PS3用のオンライン配信専用タイトルとして2007年にリリースされたflOwは,同名のFlashゲームを元に開発されたもので,ジャンルは「Zen」(禅)と銘打っている。そのゲーム内容は,魚とも微生物ともとれるようなプレイヤーキャラを動かして,周りの生物を捕食し成長していくというもので,コントローラを傾けることでプレイヤーキャラを操作できるのが特徴だ。グラフィックスは非常に記号的で,サウンドにも主に環境音が用いられている。

 続く2009年のFloweryは,空中を舞う花びらを操作し,3Dフィールド上に花を咲かせていくというもの。flOw同様,本作もコントローラを傾けることでの操作がメインとなっており,傾けによる視点変更と[○/×/△/□]ボタンのいずれかで前進という,至ってシンプルな操作方法である。
 グラフィックスは「花」がテーマになっているだけあって,非常に彩り豊かに作り込まれており,花びらが群れとなって草原の中を駆けていく様は,PS3のスペックを存分に活かしたものだ。

風ノ旅ビト

 これら2作,そして今作「風ノ旅ビト」にも共通する,thatgamecompany作品の特徴は“言葉による説明が最小限にとどめられている”という点だ。基本の操作方法こそ簡単なアイコンと言葉によって説明されるが,それ以外に言葉が出てくる場面といったら,タイトルロゴとスタッフクレジットぐらいのもの。ストーリーや目的が明確に語られることもなく,いわば,プレイヤーがゲーム内に“放り出される”形になるのだ。
 さらに,ストーリーのみならず,ゲームでは当たり前とされている要素もthatgamecompanyのタイトルでは極力省かれている。スコアやプレイヤーキャラのステータスを示すインタフェース類が画面内に一切存在せず,ゲームオーバーの概念もない。また,セーブはすべてオートで行われるため,プレイヤーがセーブ/ロード画面を開くということもないのだ。

 こうした特徴をもつthatgamecompanyのタイトルは,ゲームというより,アートと言えそうな内容である。ゲームらしさを留めている部分といえば,自分でキャラクターなどを操作できることと,クリアの概念がある,というぐらいだろうか。とにかく,風ノ旅ビトもthatgamecompany作品「らしい」独創的なタイトルである,ということを念頭に置いた上で,以下のインプレッションを読み進めてほしい。


シンプルな操作ながらも,絶妙な爽快感が味わえるプレイフィール


風ノ旅ビト
 風ノ旅ビトは,広大な砂漠の中でプレイヤーキャラクターがひとり立ち尽くしている状況から幕を開ける。キャラクターは,人型のシルエットをしているが,頭から膝のあたりまで衣服ですっぽりと覆われており,年齢,性別,名前などはすべて不詳(本稿では便宜上「旅ビト」と表記する)。外見上の特徴といえば,首の後ろから伸びるマフラーのようなものぐらいだろうか。

 画面に表示されるアイコンと文字により,左スティックによって旅ビトの移動,コントローラの傾き,もしくは右スティックによってカメラ操作ができることがわかるが,それ以外の説明は一切ナシ。カメラで周囲を360度見渡しても,旅ビトの周りにはひたすら砂漠が広がるばかりだ。

 右も左もわからないままとりあえず砂漠を進んでいくと,石碑らしきものを発見。その前で舞っている光の帯(?)に触れてみると,旅ビトのマフラーの長さが少しだけ伸びた。どうやら,このマフラーの長さが旅ビトの成長度合いを示しているようだ。

余談だが,flOwでは捕食を繰り返すたびにプレイヤーキャラの体長が伸びていったし,Floweryでも,ゲームを進めるにつれて花びらの群れの長さが伸びていった。この“成長すると伸びていく”という要素も,thatgamecompanyのゲームの共通点といえるかもしれない
風ノ旅ビト

 旅ビトのマフラーが伸びたところで,画面上に「×ボタンをホールド」という指示が出現。この指示に従ってみると,旅ビトが空高くジャンプした。ただし,いつでも×ボタンを押せばジャンプできる,というわけでもないらしく,もう一度飛び上がろうとしてもうまくいかない。
 どうすれば飛べるのかと,石碑の前に舞っている小さな短冊状の布きれ(?)に近付いてみたところ,旅ビトのマフラーが光り出した。どうやら,マフラーが光っている状態でなければ,ジャンプはできないようで,わかりやすく説明するならば,短冊の群れに近づくと,ジャンプするための力をチャージできる,といったところだ。

 また,[○]ボタンをホールドすると,旅ビトの身体を中心に,白い光が球状に放たれるのだが,これを短冊の群れがいるところで使うと,短冊達を呼び寄せられる。この光が当たった短冊は,旅ビトの身体を高く飛び上がらせてくれるので,この状態からジャンプすれば,通常よりもさらに高い位置へと登れるのである。

 基本操作を整理すると,左スティックで移動,コントローラの傾け/右スティックでカメラ操作,[×]ボタンでジャンプ,[○]ボタンで光を放出のみとなる。「flOw」や「Flowery」よりはゲームらしい操作が増えているが,それでも非常にシンプルだといえよう。

風ノ旅ビト 風ノ旅ビト

 操作方法を確認してさらに砂漠を進んで行くと,旅ビトの背丈以上の高さがある,色あせた布の帯を発見できた。この帯の前で[○]ボタンを押してみると,旅ビトから放たれた光によって,布の帯が鮮やかな色を取り戻し,スッと消えてしまう。すると,足元から無数の短冊が出現。布の帯は,旅ビトが光を放出することによって,フィールド内のさまざまな仕掛けを作動させられる,スイッチのようなものらしい。
 何となくではあるがゲームの進め方を把握したところで,ゴール地点らしき石碑を発見。その先に進んだところで,最初のステージはクリアとなった。筆者はてっきり,本作がひたすらオープンワールドの砂漠を探索するゲームだと思っていたので,これは予想外だった。

 ネタバレを避けるため詳細は伏せておくが,今回筆者は全体の半分ほどにあたるステージまでクリアしている。これまで公開された情報から,本作に登場するのは広大な砂漠ばかり,うろうろと探索する内容だと思っている人もいるかもしれないが,それは序盤のステージの話であり,実はステージのシチュエーションはバラエティに富んでいる。
 中には,海をイメージしたようなフィールドや,スピード感のあるフィールドも存在するというと,意外に思ってもらえるだろうか。

風ノ旅ビト 風ノ旅ビト
風ノ旅ビト 風ノ旅ビト
風ノ旅ビト 風ノ旅ビト

 さて,プレイした中で,筆者が特に印象的に感じたのは,操作感とサウンドにおける“緩急の付け方”だ。
 広大な砂漠では,旅ビトが歩こうとしても砂に足を取られてしまい,その歩調は遅く,もたつきが感じられる。だが,短冊から力を得た旅ビトが空へ飛び上がると,非常になめらかな動きで移動できるのだ。
 また,砂の上を歩いているときでも,下り坂では旅ビトがザザザッと勢いをつけて滑り降りていくのだが,普段の歩行のペースが遅いこともあって,飛行中や滑り降りている時の操作が非常に気持ち良く感じられる。

風ノ旅ビト
 一方で,この“緩急の付け方”の巧さはサウンドについても同様だ。基本的に砂漠を歩き回っている場面では,環境音や風の音など,音楽というよりも効果音が静かに流れている。しかし,旅ビトが長い斜面を一気に滑り降りるような場面だと,ストリングスによる軽快なメロディが流れるのだ。
 旅ビトを操作するときの感触と,そのバックで流れるサウンド。いずれも緩急の付け方が自然で効果的なので,操作方法自体はシンプルでありながらも,緊張感と爽快感を存分に味わえる。この感覚は,言葉で説明されてもなかなかピンと来ないと思うが,実際にコントローラを手にとってプレイすれば,この“緩急の付け方”の巧さが直感的に理解できるはずだ。

 また,グラフィックスの素晴らしさも本作の特筆すべき点だろう。前作Floweryにおいても,草花のグラフィックスは,その描写に目を奪われるほどの美しさだったが,風ノ旅ビトでは砂漠の美しさに注目してほしい。
 「色鮮やかな草花ならともかく,茶色いだけの砂漠のどこが美しいんだ?」と思われるかもしれないが,本作の砂漠の描写がひと味違うのは,砂漠がただの地面ではなく,“砂の粒の集まり”であることが感じられるところにある。砂の粒のひとつひとつが太陽の光を照り返していたり,旅ビトが歩いた跡にうっすらと窪みができていたり,強風に煽られて波打っている様子がみられたりと,PS3の性能をふんだんに活かした細やかな描写が詰まっているのである。

風ノ旅ビト

 ちなみに,先にも述べた通り,本作ではストーリーの内容が明確に語られることはないが,フィールドとフィールドの合間に流れるデモシーンや,フィールドの随所に設置された謎の壁画など,世界観に関する意味深なヒントが,ゲーム内にいくつも散りばめられている。明確に答えはなくとも,いろいろと推理してストーリーや世界観を想像できるのも本作の魅力といえるだろう。

 もう1つ,今回は発売前のタイミングだったので体験することができなかったが,ネットワークプレイの機能についても触れておこう。
 本作はネットワークプレイに対応しているのだが,その内容は,一般的なものとは大きく異なっている。通常,ネットワークプレイといえば他のプレイヤーと対戦したり,一緒に協力したり,互いのIDを交換してチャット等のやり取りをするのが基本だ。だが,本作のネットワークプレイに関しては,そういった要素が一切省かれているのである。

 本作では,ネットワークに接続した状態でプレイしていると,“いつの間にか”ほかのプレイヤーが自分と同じフィールドに合流してくるのだという。ただし,相手のIDなどは一切判らず,チャット機能もないため,交流する手段といえば,歩き回ったり○ボタンで光を放ったりすることだけで,何となくの意思疎通を図るしかない。目の前にいるのは,たまたま同じ時間に同じフィールド上でプレイしている世界の誰かだが,相手の国籍や性別,年齢などを知る術はないのである。
 何の目的もなく,偶然その場で出会った“誰か”と同じ世界を共有する。ただそれだけの機能ではあるが,thatgamecompanyらしいアプローチの,不思議なネットワークプレイといえるかもしれない。

風ノ旅ビト


ライト層からコアゲーマーまで,まずは実際に体験してほしい


岩瀬尚子氏
 今回の体験プレイの終了後,本作のローカライズを担当したソニー・コンピュータエンタテインメント JAPANスタジオ エクスターナルデベロップメント部 アソシエイトプロデューサーの岩瀬尚子氏から,コメントをいただく機会を得た。

 まずは,原題が「Journey」である本作の日本版タイトルが「風ノ旅ビト」となった経緯について。岩瀬氏は当初,日本版でも原題をそのまま使いたかったが,商標などの関係により「Journey」というタイトルを使うことはできなかったのだという。
 そのため,「Journey」とほかの単語を組み合わせたタイトルなども候補として考えたが,結果としては日本語のタイトルをあらためて考案することになった。そこで岩瀬氏は「本作では“旅”だけでなく,“風”も重要な要素として描かれているのではないか」という考えから,「Journey」を意味する「旅」と組み合わせて,「風ノ旅ビト」というタイトルに至ったのだという。
 なお,なぜ「風の旅人」ではなく「風ノ旅ビト」となったかは,「“風の旅人“ではひとかたまりの言葉になってしまうため,“風”と“旅”を目立たせたかった」ことと,ゲームの無国籍感を出すために「日本語らしさを無くすためにカタカナを用いた」という2つの理由によるものだそうだ。

 また,本作は企画者が「あまりゲームを知らない自分のおばあちゃんでも手にとってプレイできるものにしたい」という意図をもって開発したらしく,「あまりゲームをプレイしない人にも手にとっていただきたい」と岩瀬氏は述べる。また,その一方で「“オンラインゲームとはこうである”という固定観念を壊してくれるため,ゲームにおける新しい切り口の発見があるのでは」と,コアゲーマーにとっても楽しめるタイトルであることを強調していた。
 最後に,岩瀬氏は「一番最初のシーンから世界にグッと入っていけるゲームになっているので,まずは遊んでみてください」とコメントしていた。

風ノ旅ビト

 さて,ここまで「風ノ旅ビト」の内容について述べてきたわけだが,正直,いくら言葉で説明したところで,本作の魅力ある世界観や雰囲気は,実際に体験しなければ理解しづらい。そのため,少しでも興味を抱いた人には,岩瀬氏もコメントで述べていたように,まずはプレイしてみてほしい。

 少なくとも,過去のthatgamecompanyのタイトルが気に入っている人ならば間違いなくオススメできるし,また,「ICO」「ワンダと巨像」といった上田文人氏の作品のように,作り込まれた世界観や雰囲気を好む人ならば,充分に楽しめるのではないかと思う。

「風ノ旅ビト」公式サイト

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