「風ノ旅ビト」のサウンドトラックが第55回グラミー賞にノミネート

　thatgamecompanyが2012年3月にリリースした「Journey」（邦題：「風ノ旅ビト」） のサウンドトラックが，第55回グラミー賞の「Best Score Soundtrack For Visual Media」部門にノミネートされたことが，主催者であるThe Recording Companyから発表された。

「風ノ旅ビト」公式サイト

オースティン・ウィントリー氏

　Journeyの作曲を担当したオースティン・ウィントリー（Austin Wintory）氏は，Twitterで仲間と話しているときにノミネートのことを知り「言葉にならないな。たった今，グラミーにノミネートされた」と書き込んでいる。ウィントリー氏はこれまで，いくつかのインディーズ映画やthatgamecompanyの前作「flOw」，そしてPocketwatch Gamesのタイトル向けの作曲を行ってきた人物だ。

　グラミー賞については，2011年に「Sid Meier's Civilization IV」のオープニングテーマ「Baba Yetu」が合唱曲に与えられるBest Instrumental Arrangement Accompanying Vocalists部門で受賞し，さらに同年は「Guitar Hero: Warriors' Rock」に収録されたメガデスの「Sudden Death」がBest Metal Performance部門で受賞しているが，主に映画音楽に与えられる上記の部門にゲーム音楽がノミネートされるのは初のこと。
　しかもこの部門は，名前を変えながらも1959年から続いてきた，最重要賞の1つで，1989年には坂本龍一氏が「ラストエンペラー」で受賞して大きな話題になった。


　ただ，今回はライバル達も相当なもので，すでにアカデミー賞を始め各種映画祭の音楽部門を総ナメにしている映画「アーティスト」の作曲を担当したルドウィック・ブールス氏を本命として，同部門で過去10回も受賞している巨匠ジョン・ウィリアムズ氏，映画「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで2003年から3年連続の受賞を果たしたハワード・ショア氏，そして2009年の「ダークナイト」で受賞した経験を持つハンス・ジマー氏と，大御所の名前が並んでいる。
　また，初ノミネートとなる「ドラゴン・タトゥーの女」のトレント・レズナー氏も，ナイン・インチ・ネイルズという人気バンドのメンバーであり，「Call of Duty」シリーズなどでゲーム業界との関わりも深い，北米音楽業界の有名人だ。

　ゲーム音楽としては非常にレベルが高いといわれるウィントリー氏のJourneyだが，上記のような錚々たるビッグネームを相手に無事受賞できるのか，2013年2月10日に開催されるグラミー賞授賞式を楽しみにしたい。



「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」
John Williams, composer（Sony Classical）

「アーティスト」
Ludovic Bource, composer（Sony Classical）

「ダークナイト ライジング」
Hans Zimmer, composer（WaterTower Music）

「ドラゴンタトゥーの女」
Trent Reznor & Atticus Ross, composers（Null/Madison Gate）

「ヒューゴの不思議な発明」
Howard Shore, composer（Howe Records）

「風ノ旅ビト」
Austin Wintory, composer（Sony Computer Entertainment America）