インタビュー
オープンβテスト開始! 次世代ブラウザゲーム「セイクリッド シュヴァリエ」。運営チームへのインタビューからそのゲーム内容が明らかに
これまで4Gamerでは,気鋭のイラストレーター陣が描くシュヴァリエ(英雄)の情報をメインにお伝えしてきた。ゲームファンに馴染みのある有名イラストレーターによる書き下ろしイラストが多数公開され,ビジュアル面での魅力は十分に伝わっているのではないだろうか。
今回は,本作のディレクターである宮島朋之氏に話を聞き,ビジュアル面以外のゲーム内容についてより突っ込んだ紹介をしていきたい。
昨今はブラウザゲームにも力を入れているガマニアだが,セイクリッド シュヴァリエは主力タイトルとなりうるのか。クローズドβテストプレイ時に気になっていたことや,今後の展望なども運営チームに聞いているので,オープンβテストをプレイする際に読んでいただければ幸いだ。
ブラウザゲームの基本を押さえつつ,より没頭できるやり込み要素も
ゲームの流れは,自分の居城&領地となる天空城自体を育成して資源や兵力を補充するところから始まる。そして,フィールド上を移動してクエストをクリアしたり,敵と戦ったりして経験値を稼ぎ,戦闘で使用するシュヴァリエを強化していく。やがて,レベルが一定以上になると別のフィールドへ行けるようになるという仕組み。
セイクリッド シュヴァリエの世界には,バルドル帝国とレジーア連邦という2つの勢力が存在しており,レベルが上がってマップを移動していくと,次第に敵対勢力に近づくことになるため,その分,対人戦も増えるという感じになっている。
プレイヤーの分身である「領主」とシュヴァリエは,戦闘を繰り返すことでレベルアップし,レベルアップ時に入手したポイントを使って各ステータスを上昇させることができる。同様にスキルも自由に選んで,習得/レベルアップが可能なので,自分好みのキャラクターを作り出すことができるのだ。
さらに一般的なMMORPGと同じように武器/防具/装飾品といった装備品も存在する。これらは戦闘の報酬としてやクエスト達成時に入手できるが,強力な装備を一式揃えるにはかなりのやり込みが必要そうだ。
天空城内の施設をレベルアップさせていくことも,成長という点においては重要なファクターだ。
施設は軍事施設(図A)と農業施設(図B)の2種類に大別でき,それぞれ手持ちの資源を使ってレベルアップすることができる。「村ゲー」という単語にピンとくる人には説明不要と思うが,序盤は農業施設を先にレベルアップしていかないと,資源が枯渇し何もできなくなってしまうこともある。各農業施設のレベルをある程度上げてから,軍事施設に手を付けるのが無難だ。
ちなみに「建築ツリー」というものが存在していて,上位の施設を作るためには下位の施設のレベルが一定以上であることが必要となる。
図A:兵士を雇用する施設やシェヴァリエが現れる酒場など,軍事施設を中心に建築する画面 |
図B:農場では数種類の資源が徴収できる施設を建築できる。レベルを上げれば,その分収穫量は増える |
それでは特徴的なバトルシステムについて紹介していこう。
天空城からは,プレイヤーが自由に操作できる「戦艦」を発進させることができるのだが,この戦艦には,戦闘に参加する最大6名の英雄を収容できる。
ただ,駆け引きのある戦いは面白いのだが,どうしても時間が掛かってしまうのが難点。そんなときは,自動でユニットを動かして戦ってくれる「自動戦闘」や,瞬時にバトルが終わる「クイック戦闘」を活用すればいい。「クイック戦闘は一瞬で勝負が付きますが,内容的には自動戦闘と同様に,ユニットの移動や攻撃をすべてシミュレートした結果が反映されます」(宮島氏)という。序盤をサクサク進めるにはこれでいいのだが,NPCが強くなってくる中盤以降では,格下の相手でないと自動/クイック戦闘は厳しくなってくるとのこと。逆に,手動操作で上手く戦えば,格上の相手にも勝機はある。なお,対人戦時のクイック戦闘は,双方が選択した場合のみ適用される仕組みになっている。
運営チームへのインタビューからセイクリッド シュヴァリエの詳しいゲーム内容に迫る
本日はよろしくお願いします。
まず,どうしてこの「セイクリッド シュヴァリエ」というタイトルをガマニアのラインナップに加えようと考えたのでしょうか。
宮島朋之氏(以下,宮島氏):
ガマニアでは,「ルーセントハート」や「DIVINA(ディビーナ)」といったクライアント形式のMMORPGを中心に展開しているわけですが,より手軽に遊べるゲームでもっと市場を開拓したいということで,最近はブラウザゲームにも力を入れています。しかし,弊社が手がけたブラウザゲームは,シンプルなものが多いので,もっと皆様に没頭して楽しんでもらえるようなタイトルを探していました。そこで,このセイクリッド シュヴァリエを選択したわけです。プレイ感覚としては,オウガバトルシリーズなどとも雰囲気が近いので,コンシューマゲームプレイヤーにも気軽に楽しんでいただきたいです。
4Gamer:
確かに,このゲームはかなりたくさんの要素が入っていますね。ブラウザゲームでも,本格的なゲームをプレイヤーに提供したいということですか。
宮島氏:
昨今はブラウザゲームが数多く登場していますが,似たようなゲームばかりではプレイヤーの皆さまに飽きられてしまうだろうと考えていました。そんな中,ゲーム内でいろいろなことができる本格的なシミュレーションゲームとして,このセイクリッド シュヴァリエを問うてみたいというわけです。
また,同種のゲームよりもRPG要素が強いタイトルですので,個性的なシュヴァリエを育成してもらって,より強いNPCと戦ったりほかのプレイヤーさんと戦ったりして楽しんでもらいたいです。
4Gamer:
ガマニアさんの戦略として,メインでクライアント形式のMMORPGなどがあって,それに競合しないような手軽なブラウザを提供しているようなイメージがあったのですが。
宮島氏:
位置的には,簡単なブラウザゲームと本格的なクライアントゲームの中間だと思ってください。セイクリッド シュヴァリエの場合は,ブラウザゲームではありますが,クライアント形式のゲームに近い本格的な部分もあります。これがプレイヤーの皆さまに受け入れてもらえるのか否かは,私個人としても会社としても興味深い部分です。
4Gamer:
やり込み要素の強い本格的なシミュレーションRPGという分野が,ブラウザゲーム市場で求められているのかどうか,ということですね。
宮島氏:
現在のブラウザゲームが,シンプルなものだから人気なのか,それとももっと本格的なものも求められているのかというのが問題です。それ次第で,弊社の今後の展開も変わってきますので。
4Gamer:
そのテスト的な意味もあるタイトルですか。最初は,シュヴァリエのビジュアルが前面に押し出されていましたので,実はクローズドβテストをプレイするまではトレーディングカードゲームなのかと思っていました。
宮島氏:
シュヴァリエの魅力をアピールしていたのは確かです。日本向けにローカライズするにあたって,シュヴァリエのイラストは一新しました。40名を超えるたくさんのイラストレーターさんに描いていただいているので,バラエティに富んだラインナップになっているのではないでしょうか。ゲーム開始時は約100種類,今後のアップデートでもっと増えていきます。
4Gamer:
先日クローズドβテストを実施しましたが,そのときのプレイヤーの反応をお教えください。
宮島氏:
天空城や戦艦を自分で動かせる点は楽しいという評価を受けました。天空城と戦艦のどちらもマップ上に表示されるので「人がいる感じ」があって,オンラインゲームらしい賑やかなところが評価に繋がったのでしょうか。また,シュヴァリエについても高評価をいただきました。ビジュアル面の評価と,天空城内の酒場でシュヴァリエを雇用する際に課金アイテムを必要としない点が好評だったようです。お気に入りのシュヴァリエを雇用できたら,思う存分レベルアップさせて楽しんでいただければと思います。
4Gamer:
特徴的な戦闘システムについてはどんな意見がありましたか。
既存のブラウザゲームでは,指定した場所へ兵士を派遣して,あとは結果だけが表示されるものが多いのですが,ユニットごとのターン制バトルということで,考えながらプレイできるのが楽しい,と。「ながらプレイ」という点では,兵士を派遣して帰ってくるまで何分とか,そういうのもよいと思うのですが,セイクリッド シュヴァリエの自分の本拠ごと移動して,すぐ戦闘というテンポのよさは多くの人に支持されたようです。
総じて,運営としてセイクリッド シュヴァリエで推したい部分というのは,プレイヤーの皆さまに喜んでいただけたのではないかと感じています。
4Gamer:
「ここを改善してほしい」といった要望はありましたか。
宮島氏:
シュヴァリエに関してはイラストをすべて書き下ろしたのですが,プレイヤーの分身である領主のイラストは,中国版と同じものだったんですね。プレイヤーの皆さまから,「シュヴァリエのイラストは魅力的だが領主のイラストは雰囲気に合わない」といった意見をいただいています。これはオープンβテストか公式サービス開始時までには一新したいと思っています。(※オープンβテストでは一新されている)
バランスに関わる部分では,「戦闘や都市の発展を自分のペースで行いたい」といった意見も多く寄せられました。全体的に資源不足で,クローズドβテスト中は,運営側から資源を配布することでゲームの進行を妨げないよう調整しましたが,それがない状態で考えると厳しいのではないか,という意見ですね。
あとは「レベル10台中盤になると急に敵が強くなる」といった意見も多かったです。上手いプレイヤーさんだとクローズドβテスト中にレベル50を超えるような方もいらっしゃったのですが,プレイ時間が短い方や,ターン制バトルの戦闘に慣れていない方などは苦戦していたようです。
4Gamer:
それらの意見に対してどういった改善を行っていきますか。
宮島氏:
開発側とも相談しつつ,寄せられたプレイヤー様の意見を参考に,より遊びやすい形へと変えていくつもりです。
4Gamer:
私自身ブラウザゲームをよくプレイするのですが,スマートフォンを使って出先からチェックすることも多々あります。美麗なグラフィックスは人を引き付ける魅力である半面,スマートフォンでは重くて動かないといったデメリットもありそうです。
宮島氏:
私も実際に動くかどうかスマートフォンで確かめましたが,正直,プレイに耐えうるレベルでは動かないですね。PCだとスペックはそれほど問わないのですが……。実は,弊社としてもスマートフォンが伸びていることには注目しており,開発に「スマートフォン用に軽量化したものを用意できないか?」と相談したこともあります。しかし,セイクリッド シュヴァリエの魅力の1つでもあるグラフィックスの美しさが損なわれるのでは本末転倒ではないかとの結論から,スマートフォンに合わせたゲームにすることは現状では考えていません。
4Gamer:
まあ,動かないわけではないですので,スマートフォン側の進化で解決される問題かもしれませんね。
続いて,ゲーム内容について,より突っ込んだ質問をしたいと思います。まず2つの勢力がありますよね。これは違う勢力同士でのみ対人戦が行えるということですか。
宮島氏:
占領した拠点を使えば同勢力間でも戦うことはできますが,戦艦で天空城を攻撃するといった直接的な戦闘は異なる勢力間のみです。
世界マップ(図C)を見てもらうと分かるのですが,各陣営が占領している場所は,帝国が青,連邦が赤,両陣営が進駐していない中立地帯は黄色に塗られているんですね。境界のエリアでは,お互いに領土を取り合え,激しい対人戦が頻発しています。
純粋に戦闘だけを楽しみたい方には,闘技場というシステムもありますので,そちらを活用していただくのもよいと思います。
4Gamer:
領土を取ることで何かメリットがあるのでしょうか。
宮島氏:
そのエリアにある施設が使えます。難度の高いエリアは施設も高レベルですので,強い兵士ユニットを雇用できたり,レベルの高い英雄が登場したりします。また,まだ実装されていませんが,特定の場所を占拠すると魔法陣が現れて,資源が多く採れるようなバフや特殊なスキルが使えるといったメリットもあります。
4Gamer:
どちらか一方の勢力が陥落すると1シーズンが終わり,勝ったほうに報酬が配られたりするのですか。
当社の「キングダムサーガ」や「Web 恋姫†夢想」のように,ある一定期間でデータがリセットされるタイプではなく,ずっと続いていくタイプです。ちなみに,各勢力の首都エリアだけは攻め落とせないようになっています。
データがリセットされないことで,プレイヤーはレベルがどんどん上がっていって,行けるエリアが広がっていきます。MMORPGでもレベルが上がって新しいエリアに到達したとき,わくわくした気持ちになると思いますが,セイクリッド シュヴァリエでもそういった感覚を味わっていただきたいと思います。
4Gamer:
ゲーム内でギルドが作成できますが,同じギルド員が共同して戦ったりすることもできるのですか。
宮島氏:
今の状態では,対人戦は1対1のみになっており,ギルド対ギルドの大きな戦いというのは実装されていません。ギルドに関しては本格始動していないといいますか,まだ足りない部分が数多くあると思います。今後の予定としては,ギルド員同士で協力し,特定の敵を倒すといったクエストを追加する予定です。それを行うことでギルドのになんらかのメリットを与える予定です。
4Gamer:
すごく細かい部分なんですが,英雄のHPを回復する術が分からなくて困りました。HP回復のポーションがランダムでしか入手できず,安定して回復するには課金のアイテムが必要なのか,ひどい仕様だなとか思ってしまいました(笑)。
宮島氏:
同じことを開発の人にいいました(笑)。英雄のHPに関しては,オープンβテストでは自動回復するように仕様が変わります。時間で回復しますので,英雄がたくさんいるなら交代で休ませ,英雄が少ない場合でも,寝て起きたらHPが回復しているといった感じになると思います。休まずにずっとプレイしたいという場合は,課金の回復ポーションを使っていただくといいと思います。
4Gamer:
プレイするうえでは,課金アイテムというのがやっぱり気になってしまいます。無課金でもプレイに大きな支障が出ない範囲が個人的にはよいのですが……。
宮島氏:
課金アイテムは,時間や手間を低減させるためのもの,と弊社では考えています。例えば,酒場に現れるシュヴァリエの能力はランダムになっているわけですが,販売アイテムを使えば能力が高めのシュヴァリエが出現しやすくなるといった感じですね。シュヴァリエの特殊能力,これも酒場に現れたときにランダムで設定されているのですが,それを再抽選させるアイテムとかも考えています。あとは,建築時間を短縮したり,収穫量をアップさせるような一般的なブラウザゲームに見られるようなアイテムもあります。
4Gamer:
検討段階でもよいので,今後考えている新しいシステムのようなものがあれば教えてください。
企画段階ではありますが,シュヴァリエ同士を合成することでシュヴァリエが成長するようなシステムや,マップ占領以外で両陣営が競争するような仕組みの実装を検討しています。あとは,漫画やアニメなどとタイアップして,登場人物をシュヴァリエにするといったことも考えてます。
4Gamer:
最後にセイクリッド シュヴァリエを楽しみにしているプレイヤーにメッセージをお願いします。
宮島氏:
クローズドβテストに参加してくださった皆さまから,たくさんのご意見をいただきまして,本当にありがとうございます。皆さまの声は,必ずよりゲームを面白くするために活用していきますので,引き続きオープンβテストを楽しんでいただければと思います。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
ブラウザの侵略型シミュレーションゲームは,手軽さを売り文句にしながらも,実は1日中PCの前に張り付いていなければならないものが多い。しかし,セイクリッド シュヴァリエは自分の勢力の首都エリアに本城となる天空城を移動させていおけば,敵国から侵略を受けることもなくなるので,自分のペースで遊びやすいゲームといえるのではないだろうか。
本格を志向するがゆえの取っ付きにくさはあるものの,シミュレーションRPGの醍醐味ともいえるお気に入りのキャラクターを育成して戦わせる感覚は十分に味わえる。宮島氏も語っていたが,コンシューマのシミュレーションRPGを普段から遊んでいるプレイヤーには,ぜひともプレイしてもらいたいタイトルである。
セイクリッド シュヴァリエに興味を持った方は,ぜひオープンβテストに参加してみよう。データリセットがないとのことだったので,始めるなら正式サービス開始前の今が絶好のチャンスだ。
- 関連タイトル:
セイクリッド シュヴァリエ
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