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Futuremark,3DMarkとPCMarkのロードマップを更新。3DMarkはMantle&DX12対応,そして新しいモバイル端末向けテストを実装へ
イベント開催直前に実施された,FuturemarkのOliver Baltuchプレジデントに対するグループインタビューで得られた情報も交えつつ,Mantle対応や,DirectX 12対応,モバイル端末への対応について語られた「3DMark」の話題などをお伝えしてみたい。
UL傘下となったFuturemarkはどこへ向かうのか
4Gamer読者が最も気になるのは「今後どうなるのか」ということだと思うが,氏は,買収によって,活動に大きな変化が生じたりはしないと強調した。
本社オフィスは買収後もフィンランドに置かれ,社員数もこれまでどおり約40人のまま。今後も主要スタッフに大きな変更予定はないという。しかし,ULは世界規模で展開している企業であり,支社も入れると約1万2000人もの研究者やプロスタッフがいる。そのため,そうした人材と連携できる仕組みは構築していきたいとのことだ。
またBaltuch氏は,業界の関係各社がFuturemarkに対して直接意見を述べたり,あるいは技術協力を行ったりできる,透明性の高いベンチマーク開発を今後も継続していくことを改めて宣言していた。Futuremarkはソースコードの公開やテストアルゴリズムの公開を積極的に行っており,この部分が,「GFX Benchmark」や「Antutu Benchmark」などといった,3DMarkや「PCMark」の競合となるベンチマークアプリケーションとの違いだと,Baltuch氏は述べている。
PCMarkはWindows 10に合わせて「PCMark 10」に
3DMarkの話が気になるだろうが,Baltuch氏はイベントで,先にPCMarkのロードマップを明らかにしたので,そちらから紹介したい。
現行製品はWindows 8環境に向けた「PCMark 8」だが,Futuremarkでは,Windows 10のリリースに合わせて,「PCMark 10」のリリースを計画中だと明らかにした。
PCMark 10は,従来のPCMarkと同様,Windows環境で一般ユーザーや企業ユーザーが活用,あるいは導入を検討しているような主要なアプリケーションを動作させ,その負荷から,調査対象となるPCの性能やバッテリー駆動時間を推し量るものになる。
ただし,「テスト内容は,Windows 10そのものに関係するため」(Baltuch氏),テスト項目についての紹介は一切なかった。ただ,氏が「今後もPCMarkは,基本的にOS(=Windows)の新版に同期してリリースしていく」と語っていたことは述べておきたい。
3DMarkはMantleに対応。さらにDX12版や次世代モバイル版も
というわけで,3DMarkだ。
3DMarkでは,2014年6月,COMPUTEX TAIPEI 2014のタイミングで,開発コードネーム「Balboa」こと「Sky Diver」が発表され,さらにDirectX 12へ対応する計画も明らかになっていたが(関連記事),AMD独自のグラフィックスAPIであるMantleへの対応が明らかになるなど,いくつかのアップデートがあった。
まずはMantle対応だが,これは,“Mantle版3DMark”が登場するのではなく「Feature Test」(機能テスト)の1つ,具体的には「Draw Call負荷テスト」として実装することで実現されるという。
つまり,実在するゲームライクなベンチマークではなく,シンプルな処理内容を物量で押すタイプの負荷テストになるということだ。
現在の仮称は「Mantle vs. DirectX 11 Feature Test」で,「1フレームあたり約5万体の建造物が天地に配置されたシーンが,奥行き方向に飛んでいく」という内容になっている。
Mantleに対応したテストをFeature Testに留めた理由は,「MantleとDirectX 11の違いが,基本的にはCPUオーバーヘッドの違いしかないから」(Baltuch氏)。ユーザーの関心もそこに集中するだろう,とのことだった。
仮に,Mantle対応の新しいテストを追加した場合,Mantleに対応するRadeonが搭載されたシステムが検知され,自動的にMantleが有効になると,Radeonの3DMarkスコアが押し上げられてしまうことになる。そしてこれは当然のことながら,NVIDIAやIntelに対して不公平となるため,ひとまずはこういう実装形態を取ることになったのだろう。
なお,このMantle vs. DirectX 11 Feature Testは,2014年内に提供される予定とのこと。さらに,2015年にDirectX 12が正式リリースされた後は,「Mantle vs.DirectX 11 vs. DirectX 12」という,3つのAPIを比較するテストへと拡張される予定だという。ただし,こちらのリリース予定日は当然のことながら未定である。
では,DirectX 12への対応は,このビル群描画負荷テストだけで終わりなのかというと,そんなことはない。6月の時点で存在だけ明らかになっていたDirectX 12版テストは,開発コードネーム「Dandia」と呼ばれるゲーム風のものであることが明らかとなった。
Dandiaは,「廃墟となった博物館を,過去の様子が見られる拡張現実型タブレットで探索していく」という内容で,多量のオブジェクトが配置される廃墟の「現在」と,廃墟となる前の華やかだった「過去」とがシームレスに描かれ,非常に描画負荷の高いテストとなるようだ。
ここで重要なのは,DandiaがMantleに対応しないとされたところで,Futuremarkとしては,あくまでもDirectX 12が次世代の業界標準APIになるという認識をしている。
なお,上で示したロードマップに記載されていないが,COMPUTEX TAIPEI 2014のタイミングで少し語られた(関連記事),モバイルプラットフォームを横断してテストする,現行の「Ice Storm」に代わるテストについても,Baltuch氏はアップデート情報を明らかににしてくれた。
今日(こんにち)のモバイルデバイスからすると負荷が低すぎるという指摘の多いIce Stormを置き換えるのは,開発コードネーム「Arken」になるという。
知っている人も多いとは思うが,Op
しかし,このArkenは,SIGGRAPH 2014のレポートでも触れた,「Op
この,Google AEP対応後のArkenは,GPUが使う機能的にはPC版Sky Diverと同等になる予定。そのとき,晴れてIce Stormに代わるプラットフォーム間横断テストとなる見込みだ。
「3DMarkは今後も,新技術や新APIの登場などに合わせて,アップデートや新テストの追加が行われるだろう」とBaltuch氏は述べていた。