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Naughty Dogの新たな挑戦。「The Last of Us」プレミアムセッションのレポート&インタビューを掲載
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印刷2012/09/25 16:53

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Naughty Dogの新たな挑戦。「The Last of Us」プレミアムセッションのレポート&インタビューを掲載

 ソニー・コンピュータエンタテインメントは,2012年9月24日,同社が2013年に発売を予定しているPlayStation 3用ソフト「The Last of Us」および「BEYOND: Two Souls」のプレス向けプレミアムセッションを,ソニー本社特別会場で開催した。
 本稿では,同セッションにて行われた「The Last of Us」のプレゼンテーションの模様と,デベロッパであるNaughty DogのArne Meyer氏に対して行ったインタビューをお届けしよう。

Quantic Dreamの最新作「BEYOND: Two Souls」。デモプレイの内容と,エグゼクティブプロデューサーのインタビューをお届け

“Naughty Dogらしさ”を追求した,これまでにないサバイバルアクションを目指す


画像集#002のサムネイル/Naughty Dogの新たな挑戦。「The Last of Us」プレミアムセッションのレポート&インタビューを掲載
Naughty Dog Community Strategist Arne Meyer氏
 「The Last of Us」のプレゼンは,Naughty Dog Community StrategistのArne Meyer氏によって行われた。氏によれば,同タイトルは“Naughty Dogらしさ”を重要視して企画されたという。ここでいう“Naughty Dogらしさ”とは,まず,キャラクター主導で,かつプレイヤーの行動によってリアルタイムにストーリーが展開していくことを指す。それに加え,ミッションの内容やステージ構成がバラエティに富んでいること,そしてハードの性能を最大限に引き出し,圧倒的なクオリティのグラフィックスを実現することも,含まれているそうだ。そしてMeyer氏は,“Naughty Dogらしさ”を「“プレイする映画”体験」であるとまとめた。

 新規IPである「The Last of Us」を企画するにあたり,影響を受けたのは映画や小説,コミックだったとMeyer氏は語る。例えば映画「ノーカントリー」からは,キャラクター同士の緊迫した心理描写を参考にしたそうだ。参考作品はほかにもあるが,それらに共通しているのは,しっかりとしたストーリーテリングと強いキャラクター性だ。
 その一方で,Meyer氏は,書籍「人類が消えた世界」のようなノンフィクションや,1940〜50年代に北米で流行したポリオを扱ったドキュメンタリーなどからもインスピレーションを受けたと語る。

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 その結果,生まれたアイデアが,“人類滅亡後の世界を描く”ことだった。よくある世界の終わりのイメージとは異なり,「The Last of Us」では,人類の滅亡から長い歳月が経ち,廃墟には植物が生い茂っている。Meyer氏は,人類だけがいなくなった街並みに,美しい自然が広がる構図は,暗く緊迫したシリアスな同タイトルのコンセプトと対になっていると説明した。

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 Meyer氏は,「The Last of Us」を「Naughty Dogの考える,新しいサバイバルアクション」と表現し,そのポイントとして“説得力のあるキャラクターが主導するストーリー”“フィクションだからこそ描けるリアルな世界設定”“生々しく緊張感のある戦闘シーン”を挙げた。

 具体的なストーリーや世界感を紹介すると,同タイトルにおける人類滅亡の原因は,20年前に発生したパンデミックだ。ちなみに,本作におけるパンデミックとは,昆虫に寄生する菌類(いわゆる冬虫夏草)のように,人類に影響を及ぼす寄生菌によって引き起こされている。感染者は理性を失い,次々にほかの人々を襲っては,感染者を増やしていったのである。

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 それから20年後,かろうじて生き残った少数の人類は,独自に構築したコミュニティや,軍が統制する検疫区域で生活しており,少ない物資をめぐって互いに対立していた。

 そんな状況の中,ブラックマーケットで“運び屋”を生業としている主人公のジョエルは,14歳の少女・エリーを,別の避難区域へと“運ぶ”仕事を引き受け,二人は廃墟と化したアメリカを旅することとなった。
 ジョエルは,繁栄していたかつての世界を知る40代後半の男で,パンデミックで生じたゴタゴタにより家族を失い,現在は生きるため非情に徹した人間として生活している。

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 一方のエリーは,パンデミック後に生まれた,強気で感受性の強い少女で,ずっと検疫区域内で生活してきた。
 それぞれが世界を見る視線はまったく異なっており,そのことが二人の関係に独特の緊張をもたらす。しかし旅の途中,ほかの生存者や感染者と遭遇するといった数々の困難を乗り越えていく中で,二人は信頼関係を築いていく。それは愛や忠誠,そして相手のためには自ら犠牲になることもいとわないといった,いわば“親子”の間柄にも似た関係である。

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 また「The Last of Us」のゲーム部分における大きな特徴となるのは,優れたAIシステムだ。このAIにより,エリーはプレイヤーが操るジョエルをサポートし,敵はジョエルとエリーとを取り巻く状況に応じて攻撃を仕掛けてくる。さらに,敵の行動パターンを,ジョエルの持つ武器や残弾数,被ったダメージなどの状況に応じて変動させるという。
 同じくゲーム部分の特徴としては,ジョエルが使う「ダイナミックステルスシステム」が挙げられる。これは,そっと敵に忍び寄ったり,逆にわざと音を立てて敵の注意を惹いたりするアクションのことで,不利な状況を切り抜けたり,チャンスに変えたりすることが可能だ。

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 さらにマップ上を探索すると,素材アイテムを入手することもある。これらの素材からは,回復効果を持つアイテムなどを作り出すことが可能だ。しかし素材アイテムは,基本的には危険とされる区域に配置されているため,入手にはそれなりの覚悟が必要となる。

 “死の匂いのする街並み”と“再生していく美しく豊かな自然”,“生存するための残酷な行為”と“ジョエルとエリーの間に生まれる絆”,人間が持つ“良い面”と“悪い面”……。Meyer氏は,「The Last of Us」には,そうしたさまざまな対比が存在していると述べた。

会場では,約15分間にわたる実機プレイが披露された。このデモプレイでは,移動や戦闘に加え,ジョエルが肩を貸してエリーを高所に登らせ,梯子を手に入れるシーンなどが見られた
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 プレゼンの最後には,「The Last of Us」の日本版がフルローカライズ/フルボイス仕様となることも明かされた。キャストについては未定だが,豪華声優陣を起用するとのことだ。


Naughty DogのArne Meyer氏にショートインタビュー


 プレゼン後,Arne Meyer氏に,短い時間ではあるが「The Last of Us」について話を聞くことができた。以下にその模様を掲載する。

4Gamer:
 「The Last of Us」の企画の発端をあらためて教えてください。

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Arne Meyer氏(以下,Meyer氏):
 ディレクターを務めるBruce Straleyと,クリエイティブディレクターのNeil Druckmannの二人が,これまでのNaughty Dogタイトルにはなかったジャンルのゲームに挑戦しようと,企画を立ち上げました。チームでさまざまな議論を交わし,今回はダークで,大人向けの内容にしようと構想を固めました。プレゼンでもお話したように,映画や書籍などを参考にしながらイメージを膨らませていったのですが,決定打となったのはBBCのドキュメント「Planet Earth」の昆虫に寄生する菌類の特集です。

4Gamer:
 ダークで大人向けというのもそうですが,とくに“人類に寄生する菌類”というアイデアが,今までのNaughty Dogタイトルとは違って,サイエンスフィクションっぽいと感じました。

Meyer氏:
 確かにSFのように思えるかもしれません。しかし調査してみると,菌類が間に寄生し,行動に影響を及ぼした実例があります。また細菌が空気感染していくパンデミックの可能性も,常にあります。生物学的に考えても,細菌類は常に進化していますから,決して荒唐無稽な絵空事ではなく,いつ起きてもおかしくないリアリティのある設定と言えるんじゃないでしょうか。

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4Gamer:
 なるほど。それでは主人公のジョエルとエリーについて教えてください。

Meyer氏:
 ジョエルはパンデミックにより,すべてを失っており,心を閉ざしています。しかも,この世界で生き残るためには,手段を選んでいる余裕はありませんでした。
 一方,エリーは,パンデミックのあとに生まれた世代で,軍が統制する隔離されたキャンプで生活してきました。そのため,パンデミック以前の世界もキャンプの外のことも,他人や文献から見聞きした以外は,基本的に何も知りません。

4Gamer:
 血のつながっていない二人が,旅を続けていく中で,親子のような信頼関係を築いていくんですよね?。

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Meyer氏:
 エリーを護ることにより,ジョエルには,かつて彼が家族を救えなかったことに対する償いの感情が生まれます。またエリーは,これまで上手に大人達と接することができなかったのですが,ジョエルには“頼ってもいい”という気持ちになっていきます。そういった感情の変化により,二人の間には親子のような絆が生まれるのです。

4Gamer:
 トレイラーでは,エリーがナイフで感染者を刺すシーンが登場しますよね。彼女は,感染者以外の敵──つまり,敵対する人間に対しても攻撃を加えることはありますか。

Meyer氏:
 エリーは,音を立てて敵の注意をそらすなど,ジョエルのサポートをします。ジョエルが危険に晒されているような状況だと,彼女は人間に対しても攻撃します。例えば,敵に対してブロックを投げたり。

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4Gamer:
 ゲームでは,エリーのような幼い女の子だと,かよわく,主人公に護られるだけの立場で描かれることが多いですよね。なぜ,エリーを行動的な女の子に設定したのでしょうか。

Meyer氏:
 それには二つの理由があります。まず,エリーを常に護ってあげなければいけないような存在にすると,プレイヤーはゲームに集中できません。そこでエリーをある程度自発的に行動できるようにすることで,プレイヤーの意思や行動を阻害しないようにしました。
 もう一つの理由は,エリーがこれまで極限の世界で生き抜いてきた女の子だということです。女の子でも,強くなければ生きていけない世界なんです。

4Gamer:
 エリーは,基本的にAIで自動的に動くわけですが,プレイヤーがエリーに指示を出すことはできるのでしょうか。

Meyer氏:
 シーンによって異なります。特定のシーンでは,エリーに指示を出して,何かを行わせることがあります。しかし,例えば通常の戦闘では,AIがエリーの行動を決定します。

4Gamer:
 ちなみにE3で披露されたムービーなどで,動くエリーを見た日本のゲーマーからは,「可愛い」という感想が挙がっていました。

Meyer氏:
 見た目も含めて,親しみやすいキャラクターとして作っていますから,「女の子だから」という理由に留まらない魅力を感じ取ってもらえたのではないでしょうか。

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4Gamer:
 それではゲームシステムについても教えてください。ジョエルの状態に応じて,敵の行動パターンが変化するということですが,具体的に説明してもらえますか。

Meyer氏:
 例えばジョエルが武器を持っていて,敵が持っていないケースでは,敵側は警戒して攻めて来ません。
 しかし逆の場合では,敵が強気で攻めてくるようになります。敵の人数が圧倒的に多いときも同じですね。

4Gamer:
 そうなると,アクションゲームがあまり得意でない人にとっては,難度が高くなってしまいませんか。例えば落ちている武器をうまく拾えなかったりしたら,丸腰の状態で戦闘に入ることになり,敵もどんどん攻めてくるわけですよね?

Meyer氏:
 武器がなければ,ステルスで戦闘を避けることもできます。敵はジョエルの状態に応じて行動を変えますが,プレイヤーもまたジョエルや周囲の状況を踏まえて,プレイスタイルを変えればいいというわけです。

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4Gamer:
 分かりました。それでは最後に「The Last of Us」に期待する日本のゲーマーに向けて,メッセージをお願いします。

Meyer氏:
 Naughty Dogでは,これまでアクションゲームやコミカルなタイトルを開発してきましたが,今回は新しいジャンルに挑戦しました。「Naughty Dogがサバイバルアクションを作るとこうなる」という部分を,ぜひ楽しみにしてください。

4Gamer:
 期待しています。ありがとうございました。

「The Last of Us 」公式サイト

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