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「Unit 13」は「携帯ゲーム機用TPS」というジャンルの未来を拓く1作。オフラインモードのファーストインプレッションを掲載
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印刷2012/03/08 00:00

プレイレポート

「Unit 13」は「携帯ゲーム機用TPS」というジャンルの未来を拓く1作。オフラインモードのファーストインプレッションを掲載

画像集#001のサムネイル/「Unit 13」は「携帯ゲーム機用TPS」というジャンルの未来を拓く1作。オフラインモードのファーストインプレッションを掲載
 ソニー・コンピュータエンタテインメントから,PlayStation Vita用ソフト「Unit 13」が2012年3月8日に発売される。本作は,「MASSIVE ACTION GAME(MAG)」や「SOCOM」シリーズの開発で実績を持つZipper Interactiveが手がける,新作TPSだ。

 Unit 13で気になるのは,やはり「携帯ゲーム機でどこまでTPSが遊べるのか」ということだろう。
 FPSやTPSといえば,PCで遊ぶゲーム……だったのは昔の話で,現在ではPlayStation 3やXbox 360など,家庭用ゲーム機で遊ぶ人が多数派となっている。昔は「コントローラでFPSやTPSなんて遊べるわけがない」などと思っていた人もいるかもしれないが,蓋を開けてみれば,コントローラの「2本のアナログスティックとボタンでプレイするスタイル」は,今日,当然のものとなっているわけだ。

 このスタイルでゲームをプレイするには,当然2本のアナログスティックが必要になるが,アナログパッドが1つしか搭載されていなかったこれまでの携帯ゲーム機では,どうしてもFPSやTPSの操作には無理があった。しかし,PlayStation Vitaであれば左右2本のアナログスティックを使える。家庭用ゲーム機同様の操作が,携帯ゲーム機でも可能になるのだ。
 今回その気になるプレイフィールを確認すべく,発売前に製品版サンプルをプレイさせてもらった。前置きが長くなってしまったが,ファーストインプレッションをお届けしよう。

画像集#002のサムネイル/「Unit 13」は「携帯ゲーム機用TPS」というジャンルの未来を拓く1作。オフラインモードのファーストインプレッションを掲載



シングルミッションは全36種類
目標がランダムになるモードを搭載でリプレイ性は高い


 今回サンプルを触ったのが発売前だったこともあり,プレイできたのはオフラインモードのみ。発売後であればCo-opやオンラインランキングの機能も利用できるが,オフラインプレイの場合,メインとなるのは「シングルミッション」モードとなる。

ミッションを1つクリアすると,隣接するミッションがアンロックされていく。腕に自信があれば,いきなり高難度ミッションに挑んでみても良いかもしれない
画像集#003のサムネイル/「Unit 13」は「携帯ゲーム機用TPS」というジャンルの未来を拓く1作。オフラインモードのファーストインプレッションを掲載
 シングルミッションでは,NATOが秘密裏に設立した特殊部隊「ASAU」,別名「Unit 13」のメンバーを操作して,さまざまなミッションに挑戦していく。ミッションは全36種類あり,それぞれで難度や長さ,目標,マップのシチュエーションなどが異なる。36種類というのを多いとみるか少ないとみるかは人によると思うが,筆者がプレイした限り,トライ&エラーを繰り返した結果,序盤でさえ30分ほどかかったミッションもあったので,オフラインプレイだけでもなかなかボリュームはありそうだ。
 しかも,それぞれのミッションとマップは同じだが,難度や敵の配置,さらにクリア目標までもがランダムで決定される「ダイナミック」モードが用意されているため,ミッションのリプレイ性も非常に高く思える。

左の画像が,殺し屋「ファティ」と「ファウジ」を排除するミッション「サドン・ヒート」。このミッションをダイナミックモードでプレイしてみたところ,殺し屋の2人は出現せず,「あちこちに設置された爆弾を解除しながら,敵を全滅させる」という内容に変化した
画像集#004のサムネイル/「Unit 13」は「携帯ゲーム機用TPS」というジャンルの未来を拓く1作。オフラインモードのファーストインプレッションを掲載 画像集#005のサムネイル/「Unit 13」は「携帯ゲーム機用TPS」というジャンルの未来を拓く1作。オフラインモードのファーストインプレッションを掲載

 プレイヤーが操作できるのは,「突撃兵」「特技兵」「ポイントマン」「重火器兵」「スパイ」「スナイパー」の6兵科だ。それぞれで使用武器や体力,スピード,敵からの見つかりやすさなどが違っているので,ミッション内容に合わせて適切な兵科のメンバーを投入していく。
 いずれの兵科も,ミッションをこなすにつれて経験値を獲得し,一定まで貯めればレベルアップする。それに合わせて,新たな武器やスキルがアンロックされていくので,この点でもやり込めそうだ。

左がスナイパーの「アラバマ」,右が重火器兵の「パイソン」。見てのとおり,アラバマは体力が非常に低い。スナイパーライフルは強力だが,撃たれると本当にあっさりやられてしまうので,玄人向きかも
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装備確認画面。銃,銃のオプション2種,グレネードを任意のものに変更して,ミッションに持ち込める。銃は各兵科ごとに8種類前後から選択可能だ
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操作感は予想以上に快適
歯ごたえある難度で遊び甲斐もある


 では,実際のプレイフィールはどのようなものなのか。先に結論から述べてしまうが,筆者の感想としては「携帯ゲーム機でここまでTPSが遊べるんだ,すげえ!」というのが,正直なところだったりする。

タッチスクリーンでボタンの少なさをカバーしているだけでなく,むしろ押しやすくなっている。携帯ゲーム機でTPSを開発するにあたって,操作周りは練りに練ってこの仕様にしたのではなかろうか
画像集#011のサムネイル/「Unit 13」は「携帯ゲーム機用TPS」というジャンルの未来を拓く1作。オフラインモードのファーストインプレッションを掲載
 まず操作のキモであるアナログスティックだが,2本搭載されているだけあって,左スティックで移動,右スティックで視点移動という操作は,家庭用ゲーム機と同じような感覚で行える。
 そして,もう1点,操作面で感心するのがタッチスクリーンの使い方だ。PlayStation Vitaは,基本的にスティックやボタンがPlayStation 3のコントローラに近い配置となっているが,[R2][R3][L2][L3]にあたるボタンは存在しないので,実質,ボタン数は4個少ないことになる。Unit 13は,その弱点を「タッチスクリーンにボタンのようなアイコンを用意する」ことで解決しているのである。

 例えば,画面右下の武器アイコンをタッチすればマガジンをリロードできるし,左下のグレネードアイコンをタッチするとグレネードを投擲できる。また,爆弾の設置や障害物を乗り越えるアクションも,タッチスクリーン上のアイコンで操作できるようになっている。
 これらのアイコンは,[○/△/□/×]ボタンや方向キーよりもアクセスしやすい場所にあり,操作感はすこぶる良好。とくに,頻繁に行うリロードがここにあるのは快適だ。このタッチスクリーンの使い方は,今後PlayStation VitaでFPSやTPSを出すのなら本作を見習うべきと思えるほどなのだ。

アナログスティックによる移動,視点操作は,家庭用ゲーム機でFPSやTPSをやっていれば戸惑うことはないだろう。PCゲーマーからすると「家庭用ゲーム機と同じぐらい操作しにくい」とも言えるが,家庭用ゲーム機のFPSを同じような理由で毛嫌いしていた筆者としては,慣れれば意外となんとかなると思った。いや,ほんとに
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スクリーンショットの拡大画像は粗く見えると思うが,PlayStation Vitaの画面で見るよりも引き延ばされているので,実際のグラフィックスクオリティはより高く感じる
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 PlayStation Vitaの特徴といえば,グラフィックスクオリティの高さも挙げられるが,TPSというジャンルとの相性も非常に良い印象だ。家庭用ゲーム機並のクオリティ……とまではさすがにいかないものの,有機ELパネルによる発色のよさ,そして家庭用ゲーム機と比べてディスプレイが目の前にあることにより,高い没入感が味わえるのである。少なくとも筆者は,「携帯ゲーム機なだけに,見た目がしょぼい」とはまったく感じなかった。

 さて,肝心のゲーム内容はどうかというと,こちらも携帯ゲーム機だから云々,ということはなく,本格的なTPSとしてしっかり作られている。上述したとおり,ミッション内容はそれぞれでかなり変わってくるのだが,いずれもなかなか歯ごたえある難度の戦闘が楽しめるのだ。

エイム時に自動でアシストがかかり,ある程度あいまいに敵を狙ってもサクサク倒せる。そのぶん,こっちもサクサクやられるので,バランスは取れている印象だ
画像集#012のサムネイル/「Unit 13」は「携帯ゲーム機用TPS」というジャンルの未来を拓く1作。オフラインモードのファーストインプレッションを掲載
 その要因としては,本作が敵陣に突っ込んでバリバリ倒しまくるようなゲームバランスではなく,カバーアクションを駆使して敵の配置や行動をうかがいつつ,1人ずつ確実に仕留めていくべきバランスになっていることが挙げられる。被弾しても一定時間が経つと体力は自動で回復するので,体力の多い重火器兵であればある程度ゴリ押しできなくもないが,体力の低いスパイやスナイパーは,少し被弾しただけでもあっさり死んでしまうのである。
 かといって,理不尽に撃ち殺されるわけではなく,敵をしっかり確認して慎重にミッションを遂行すればなんとかなるため,失敗しても「今のはうかつな行動を取ったのが悪かった,次こそは!」と,再挑戦へのモチベーションも得やすい。ミッションの遊びやすさとやり応えは,いい塩梅に調整されているのではないだろうか。

ミッションはやり応え十分。筆者は最初のミッションが難度「イージー」だったので,楽勝だと思ってスナイパーで適当なプレイをしていたら,3回やられてしまった。「撃たれるとあっさりやられる」というバランスに気付けば,後述する「エリート」以外はたいていなんとかなるのだが
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 ちなみに,その加減が絶妙に作用していて熱中できるのが,「エリート」という内容のミッションだ。エリートのミッションは,「途中にチェックポイントがなく,死んでしまうと最初からやり直し。しかも戦闘中,体力が自動回復しない」という難度の高い内容になっているのだが,上記のようなバランスのゲームなだけに,トライ&エラーで少しずつ進められるのがかなり面白い。
 エリートのミッションでダイナミックモードを選択すれば,敵の配置やクリア条件を変えられるので,ついつい繰り返し遊んでしまう。

エリートのほかには,時間制限付きの「デッドライン」,敵を倒しつつ施設の破壊などを目標とする「急襲攻撃」,できるだけ敵に発見されないように進む「潜入」などがある。エリート以外はミッション中にチェックポイントがあるので遊びやすいが,個人的にはシビアなエリートがお気に入りだ
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携帯ゲーム機向けTPSというジャンルの未来を拓く1作


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 筆者は割とコアなFPSファンであることを自負しているが,Unit 13は,家庭用ゲーム機用のFPSやTPSを好む人であれば,操作,グラフィックス,内容のいずれも満足できる1作と言える。
 正直にいえば,「PlayStation Vitaとはいえ,しょせんは携帯ゲーム機。満足にTPSを遊ぶのはさすがに難しいのでは?」などと考えていたのだが,それはまったくの思い違いだったと反省しきりだ。予想以上によくできたTPSである

 Unit 13に触れてみて強く感じたのだが,「携帯ゲーム機でFPSやTPSというのも,これならアリではないか」ということ。このクオリティで遊べるのであれば,Unit 13以外のいろいろなタイトルにも,ぜひ登場してもらいたいものだ。将来的に,はやりの“狩りゲー”のような感じでPlayStation Vitaを持ち寄って,LANパーティよろしく,みんなでワイワイFPSといった遊び方ができれば,かなり楽しいのではないかと思う。

 もし,Unit 13の購入を悩んでいるPlayStation Vitaユーザーがいれば,少なくとも体験版を触ってもらいたい。体験版でプレイできるのはチュートリアルとシングルミッション1ステージのみだが,それでも「携帯ゲーム機用FPS(TPS)」というジャンルに,今後も期待が持てるだけのクオリティを持ったゲームであることがしっかりと伝わるはずだ。

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