プレイレポート
「Unit 13」は「携帯ゲーム機用TPS」というジャンルの未来を拓く1作。オフラインモードのファーストインプレッションを掲載
Unit 13で気になるのは,やはり「携帯ゲーム機でどこまでTPSが遊べるのか」ということだろう。
FPSやTPSといえば,PCで遊ぶゲーム……だったのは昔の話で,現在ではPlayStation 3やXbox 360など,家庭用ゲーム機で遊ぶ人が多数派となっている。昔は「コントローラでFPSやTPSなんて遊べるわけがない」などと思っていた人もいるかもしれないが,蓋を開けてみれば,コントローラの「2本のアナログスティックとボタンでプレイするスタイル」は,今日,当然のものとなっているわけだ。
このスタイルでゲームをプレイするには,当然2本のアナログスティックが必要になるが,アナログパッドが1つしか搭載されていなかったこれまでの携帯ゲーム機では,どうしてもFPSやTPSの操作には無理があった。しかし,PlayStation Vitaであれば左右2本のアナログスティックを使える。家庭用ゲーム機同様の操作が,携帯ゲーム機でも可能になるのだ。
今回その気になるプレイフィールを確認すべく,発売前に製品版サンプルをプレイさせてもらった。前置きが長くなってしまったが,ファーストインプレッションをお届けしよう。
シングルミッションは全36種類
目標がランダムになるモードを搭載でリプレイ性は高い
今回サンプルを触ったのが発売前だったこともあり,プレイできたのはオフラインモードのみ。発売後であればCo-opやオンラインランキングの機能も利用できるが,オフラインプレイの場合,メインとなるのは「シングルミッション」モードとなる。
しかも,それぞれのミッションとマップは同じだが,難度や敵の配置,さらにクリア目標までもがランダムで決定される「ダイナミック」モードが用意されているため,ミッションのリプレイ性も非常に高く思える。
プレイヤーが操作できるのは,「突撃兵」「特技兵」「ポイントマン」「重火器兵」「スパイ」「スナイパー」の6兵科だ。それぞれで使用武器や体力,スピード,敵からの見つかりやすさなどが違っているので,ミッション内容に合わせて適切な兵科のメンバーを投入していく。
いずれの兵科も,ミッションをこなすにつれて経験値を獲得し,一定まで貯めればレベルアップする。それに合わせて,新たな武器やスキルがアンロックされていくので,この点でもやり込めそうだ。
操作感は予想以上に快適
歯ごたえある難度で遊び甲斐もある
では,実際のプレイフィールはどのようなものなのか。先に結論から述べてしまうが,筆者の感想としては「携帯ゲーム機でここまでTPSが遊べるんだ,すげえ!」というのが,正直なところだったりする。
そして,もう1点,操作面で感心するのがタッチスクリーンの使い方だ。PlayStation Vitaは,基本的にスティックやボタンがPlayStation 3のコントローラに近い配置となっているが,[R2][R3][L2][L3]にあたるボタンは存在しないので,実質,ボタン数は4個少ないことになる。Unit 13は,その弱点を「タッチスクリーンにボタンのようなアイコンを用意する」ことで解決しているのである。
例えば,画面右下の武器アイコンをタッチすればマガジンをリロードできるし,左下のグレネードアイコンをタッチするとグレネードを投擲できる。また,爆弾の設置や障害物を乗り越えるアクションも,タッチスクリーン上のアイコンで操作できるようになっている。
これらのアイコンは,[○/△/□/×]ボタンや方向キーよりもアクセスしやすい場所にあり,操作感はすこぶる良好。とくに,頻繁に行うリロードがここにあるのは快適だ。このタッチスクリーンの使い方は,今後PlayStation VitaでFPSやTPSを出すのなら本作を見習うべきと思えるほどなのだ。
さて,肝心のゲーム内容はどうかというと,こちらも携帯ゲーム機だから云々,ということはなく,本格的なTPSとしてしっかり作られている。上述したとおり,ミッション内容はそれぞれでかなり変わってくるのだが,いずれもなかなか歯ごたえある難度の戦闘が楽しめるのだ。
かといって,理不尽に撃ち殺されるわけではなく,敵をしっかり確認して慎重にミッションを遂行すればなんとかなるため,失敗しても「今のはうかつな行動を取ったのが悪かった,次こそは!」と,再挑戦へのモチベーションも得やすい。ミッションの遊びやすさとやり応えは,いい塩梅に調整されているのではないだろうか。
ちなみに,その加減が絶妙に作用していて熱中できるのが,「エリート」という内容のミッションだ。エリートのミッションは,「途中にチェックポイントがなく,死んでしまうと最初からやり直し。しかも戦闘中,体力が自動回復しない」という難度の高い内容になっているのだが,上記のようなバランスのゲームなだけに,トライ&エラーで少しずつ進められるのがかなり面白い。
エリートのミッションでダイナミックモードを選択すれば,敵の配置やクリア条件を変えられるので,ついつい繰り返し遊んでしまう。
携帯ゲーム機向けTPSというジャンルの未来を拓く1作
正直にいえば,「PlayStation Vitaとはいえ,しょせんは携帯ゲーム機。満足にTPSを遊ぶのはさすがに難しいのでは?」などと考えていたのだが,それはまったくの思い違いだったと反省しきりだ。予想以上によくできたTPSである。
Unit 13に触れてみて強く感じたのだが,「携帯ゲーム機でFPSやTPSというのも,これならアリではないか」ということ。このクオリティで遊べるのであれば,Unit 13以外のいろいろなタイトルにも,ぜひ登場してもらいたいものだ。将来的に,はやりの“狩りゲー”のような感じでPlayStation Vitaを持ち寄って,LANパーティよろしく,みんなでワイワイFPSといった遊び方ができれば,かなり楽しいのではないかと思う。
もし,Unit 13の購入を悩んでいるPlayStation Vitaユーザーがいれば,少なくとも体験版を触ってもらいたい。体験版でプレイできるのはチュートリアルとシングルミッション1ステージのみだが,それでも「携帯ゲーム機用FPS(TPS)」というジャンルに,今後も期待が持てるだけのクオリティを持ったゲームであることがしっかりと伝わるはずだ。
「Unit 13」公式サイト
- 関連タイトル:
Unit 13
- この記事のURL:
キーワード
(C)2012 Sony Computer Entertainment America LLC.