連載
「そうだ アニメ,見よう」第17回:志倉千代丸氏原作の「Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-」は謎めいた物語が魅力の怪奇グラフィティ
2017年1月スタートの冬アニメは,「GRANBLUE FANTASY The Animation」や「チェインクロニクル 〜ヘクセイタスの閃〜」「スクールガールストライカーズ Animation Channel」など,ゲーム系のアニメが目白押し。年末には長編TVアニメスペシャルとして「Fate/Grand Order -First Order-」も控えているので,見逃さないようにしたい。
さて,第17回となる今回のタイトルは「Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-」。原作は「STEINS;GATE」や「ROBOTICS;NOTES」など,科学ADVシリーズでお馴染みの志倉千代丸氏の同名小説だ。アニメ制作はA-1 Pictures,監督は「四月は君の嘘」や「ランス・アンド・マスクス」のイシグロキョウヘイ氏が務めている。
「Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-」
そんなある日,女子高生占い師としてネット上で人気を集める「みゅう」こと相川実優羽(CV:吉田仁美)が,同じ高校の生徒だということに気づいた悠太達は,彼女の元を訪れる。悠太の姿を見た実優羽は「あなたのことを……待ってたんです」と意外なことを告白。ブログのスタッフになってほしいという悠太の要請を受け入れた。
スタッフが増強されたことを機に,稜歌と実優羽は黒魔術師代行業を営む紅ノ亞里亞(CV:沢城みゆき),悠太はオカルトを肯定する大学教授・橋上諫征(CV:石川英郎)の元へネタ集めの突撃取材を敢行。アポなしで橋上教授の研究室を訪れた悠太はそこで,何者かに殺害された教授の死体を発見した。パニックに陥る悠太に,亡き父の形見であるBCLラジオ“スカイセンサー”から謎の女性の声が助言を与える。その声に導かれるまま,悠太は橋上教授の奥歯に仕込まれた鍵を回収。逃げるようにその場をあとにした。
そして数日後,近所の井の頭公園の池で256人の水死体が発見されたことがニュースで大々的に報じられ,物語は急展開していく。
悠太の目的はアフィブログで稼いで悠々自適の生活を送ること |
悠太の使い魔だという稜歌。とにかく胸が大きい |
実優羽は未来をビジョンとして見ることができる |
死んだ兄と1年暮らしていた亞里亞 |
オカルト雑誌「ムムー」記者の桐子 |
「Occultic;Nine」には,前述の悠太,稜歌,実優羽,亞里亞のほかにも,橋上教授の息子である橋上サライ(CV:石川界人),オカルト雑誌「月刊ムムー」の記者・澄風桐子(CV:伊藤 静),幽体離脱ができる男・日下部吉柳(CV:谷山紀章),女性向け同人漫画を執筆する西園梨々花(CV:能登麻美子),武蔵野警察署に勤務する森塚 駿(CV:柿原徹也)と,メインキャラクターが5人登場し,ザッピング形式でそれぞれのストーリーが展開していくのだ。
各キャラクターのエピソードに散りばめられた情報を拾い集めて,橋上教授の殺人事件と井の頭公園の大量水死体事件の謎を紐解いていく。このパズルゲームのような考察作業が,本作の最大の魅力ではないだろうか。
事件の手がかりとなる同人誌を描いた梨々花 |
銭形刑事に憧れる駿 |
悪魔と名乗り亞里亞に協力する吉柳 |
サライは「キリキリバサラ」でも有名人だ |
膨大な情報量で視聴者を翻弄
ところが,この考察作業もひと筋縄ではいかない。というのも,本作は9人のキャラクターがそれぞれ別の場所で行動しているので,当然場面転換も多く,1シーンのカット数もかなりの量にのぼる。第1話「たくさんの人 Underwater」などは,説明回ということもあり,通常のアニメの倍以上のカット数を使っていると感じられた。
さらに,コトリバコやニコラ・テスラといったオカルトならではの専門用語に加え,演出なのであろう,登場キャラクター達の会話のテンポも速く,耳から入ってくる情報もかなりの量になっている。
この大量の情報の中のどこに,事件の秘密を解くための鍵が隠されているのか。正直なところ筆者は毎回頭が追いついていかず,あとで他人の考察を見て「なるほど〜」と分かったような気分になっていることがほとんどだ。
専門用語を調べて,録画したアニメを見返す。一見面倒な行為に見えるが,「Occultic;Nine」はそうすることで物語を100%以上に楽しめる,珍しい作品だといえそうだ。
サブタイトルにも隠された謎が?
どんな場面にヒントが隠されているのか。ネタバレになるので多くは語れないが,何気ない通行シーンや,登場人物が身だしなみを整える場面などに注目してほしい。そこに驚くべき真実が隠されていることに気づくはずだ。見返すことが重要という意味もそのときに分かる。
ちなみに,サブタイトルの後ろの英文は,有名な歌のタイトルが引用されている。第1話の「Underwater」はビートルズ,第2話「My Cold Dimension」はWhite Heavenの楽曲だ。これがどんな意味を持つのか不明だが,考察してみると面白いかもしれない。
スカイセンサーから語りかけてくる“ゾン子” |
一連の事件の手がかりとなる同人誌 |
謎の白い少年。夜道で出会わないことを祈る |
千代丸メイドのオープニング&エンディングに注目
オープニングとエンディングの映像にも,さまざまなヒントか隠されているのではと,ファンの間で話題となっている。とくにイメージ映像のようなエンディングは,なぜ,稜歌は鳥かごのようなところで囚われているのか,カラフルなビー玉は登場人物達を表しているのでは,といった感じで妄想をかきたてる内容になっている。
どちらも公式サイトで視聴が可能なので,気になる人はチェックしておこう。
現在第9話まで放送されているが,すでに第7話の時点で,実は原作小説の内容を追い越してしまっている。小説版では登場していなかった,サイコメトリー能力をもつ女子高生FBI捜査官・鬼崎あすな(CV:明坂聡美)や,謎の八福神の会など,物語の核心に迫る人物達が見え隠れし始めた。
いよいよクライマックスを迎える「Occultic;Nine」が,どのような結末となるのか,残り少ない話数を楽しんでみよう。
「Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-」公式サイト
放映データ |
---|
2016年10月〜 |
キャスト | |
---|---|
我聞悠太:梶 裕貴 | 成沢稜歌:佐倉綾音 |
橋上サライ:石川界人 | 相川実優羽:吉田仁美 |
澄風桐子:伊藤 静 | 紅ノ亞里亞:沢城みゆき |
日下部吉柳:谷山紀章 | 西園梨々花:能登麻美子 |
森塚 駿:柿原徹也 | 鬼崎あすな:明坂聡美 |
和泉公平:津田健次郎 | 川畑千津:長縄まりあ |
スタッフ |
---|
原作:志倉千代丸(オーバーラップ文庫刊) |
原作イラスト:pako |
監督:イシグロキョウヘイ |
シリーズ構成:MAGES.森田と純平 |
キャラクターデザイン:高瀬智章 |
助監督:黒木美幸 |
プロップデザイン:道下康太 |
美術設定:塩澤良憲 |
美術監督:薄井久代 |
色彩設計:中島和子 |
撮影監督:関谷能弘 |
3Dディレクター:小野竜太 |
編集:三嶋章紀 |
音響監督:明田川仁 |
音楽:横山 克 |
オープニングテーマ:「聖数3の二乗」いとうかなこ |
エンディングテーマ:「Open your eyes」亜咲花 |
制作:A-1 Pictures |
製作:Project OC9 |
■Blu-ray & DVD情報
Occultic;Nine -オカルティック・ナイン- 1
Blu-ray & DVD 発売中
完全生産限定版
Blu-ray:7000円+税(ANZX-12441)
DVD:6000円+税(ANZB-12441)
本編ディスク+特典ディスク:2枚組
収録話
Site 01:たくさんの人
Site 02:運命を変える力なんて無いから
完全生産限定版特典
・イベントチケット優先販売申込券
出演:梶 裕貴、佐倉綾音、石川界人、吉田仁美 ほか
【締切:2017年1月17日(火)23:59】
・特典CD:オリジナルサウンドトラック
・高瀬智章 描き下ろしジャケット
・特製ブックレット24P
・エンドカードピンナップ2枚
・特典音声:キャスト&スタッフオーディオコメンタリー
[イシグロキョウヘイ監督×梶裕貴×佐倉綾音×福島祐一プロデューサー]
・特典映像:ノンクレジットOP/ノンクレジットED
- 関連タイトル:
STEINS;GATE
- この記事のURL:
キーワード
(C) 2009-2013 MAGES./5pb./Nitroplus