インタビュー
「NAVYFIELD2」は海戦の面白さをより多くの人に伝えるべく,「分かりやすさ」と「戦略性」を重視。開発チームへのインタビューを掲載
4Gamerではクローズドαテストの開始間もない3月23日のタイミングで,開発元のSDEnterNETにて本作のプロデューサーを務めるジョン・スンホ氏,そして企画チーム長を務めるオ・チュンミン氏にインタビューする機会を得たので,その模様をお届けしよう。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
クローズドαテストが始まったばかりのタイミングということで,まだNAVYFIELD2がどのようなゲームか体験できている人は少ないと思われます。そこで,「そもそもNAVYFIELD2とは?」といったところからお聞きできればと。
分かりました,よろしくお願いします。
4Gamer:
NAVYFIELD2は現在日本でクローズドαテストが実施されています(※)が,海外でも何度かテストは行われているんですか?
※クローズドαテストは2012年4月4日に終了。
ジョン・スンホ氏:
いえ,今回が初めてです。ほかの国では,まだαテストも行っていません。
4Gamer:
では,日本のテスターが初のプレイヤーということになるわけですか。日本で初のテストを行う意図は,どういったものになるのでしょう。
ジョン・スンホ氏:
もともと,NAVYFIELD2の開発にあたって意識していた市場が,日本とアメリカだったのです。ただ,地理的に(韓国から見ると)日本のほうが近かったことと,前作「NAVYFIELD」の日本での評判が良かったことを考え,最初にテストを実施する国を日本にしました。
4Gamer:
ではなおのこと,「NAVYFIELD2がどのようなゲームなのか」という点が,気になっている人は多いのではないかと思います。そもそも,NAVYFIELD2の開発が始まった経緯はどういったことからだったのでしょう。
ジョン・スンホ氏:
NAVYFIELDの面白さを,より多くの人に伝えたい,というところから始まっています。そのため,開発の根底にある考えは,前作よりも分かりやすく,そして初心者であっても楽しめるゲームにしようということです。NAVYFIELDでは,操作が難しいという意見が多く寄せられていましたので,そこを改善したゲームを作ろうと思っていました。
それと,前作はプレイ時間が長ければ長いほど強くなれる仕組みだったので,時間をかけたプレイヤーに立ち向かうには,同じように時間をかけて強くなるしかありませんでした。そこを改善すべく,今回はアクション性や戦略性といった部分が中心になるよう調整しています。
4Gamer:
戦略性というのは,具体的にはどういったものになるのでしょう。チームワークを重視しましょうとか,そういう話ですか?
ジョン・スンホ氏:
一番大きなところは,船の編成です。前作は使用できるのが1隻だけで,時間をかけてもっと強力な船を手に入れて……という流れでした。これがプレイ時間の長い人ほど有利になる原因にもなっていたので,NAVYFIELD2では,1プレイヤーが3隻の船を使えるようになっています。これにより,プレイヤーは3隻の船の中から戦況やゲームルールに合わせて,使う船を決められるというわけです。
例えば,今作には拠点の占領を目的とするゲームルールがありますが,ここで敵船への攻撃が得意な戦艦を使うか,それとも火力はないけれど拠点の占領が得意な戦艦を使うか,といった選択ができるのです。
4Gamer:
なるほど。プレイ時間に頼らず,戦略を練って戦えるようになったわけですね。
逆に,前作からのプレイヤーに向けて,変えないように意識した部分はありますか。
ジョン・スンホ氏:
絶対に維持しなければならないと考えて調整したのは,何よりも撃ち合いの感触や爽快感です。ここは戦闘の面白さのキモになる部分なので,妥協はできません。
4Gamer:
αテストで実際に撃ち合いを体験しましたが,確かに気持ちよかったです。着弾時の打撃感,敵の進路を予測して直撃させたときの“してやったり感”といったものがしっかり感じられるので。
ジョン・スンホ氏:
そう言ってもらえると嬉しいです。
4Gamer:
あと,これは前作からそうだったんですけれど,艦船のディテールにもかなりこだわりが感じられますよね。
ジョン・スンホ氏:
そこは力を入れて作っていますよ。艦船というものは,人類が作った最も大きな武器です。その格好良さ,存在感がしっかり描写されていて,それを用いて対戦できることが,NAVYFIELDにとって一番の魅力ですから。
4Gamer:
前作よりも間口が広がったということなのでお聞きしたいのですが,前作に触れたことがなく,これからNAVYFIELD2をプレイしようという人に,開発チームとして注目してほしいポイントは,どこになるのでしょうか。
ジョン・スンホ氏:
まずは何より,海戦ゲームならではの雰囲気といいますか,“男臭さ”みたいなものを体験してほしいですね。あとはやはり,戦艦のディテールや動き,そして撃ち合いの面白さです。
初めてプレイされる場合,1人で戦おうとするでしょう。そこは周りのプレイヤーと協力して,戦略的に遊んでもらえると,より楽しめるのではないかと思います。
4Gamer:
逆に,前作も遊んでいたベテランプレイヤーに注目してもらいたいポイントはどこになりますか? NAVYFIELDは国内サービスが終了しますし,前作のファンはNAVYFIELD2への移行を考えているのではないかと思います。
ベテランの皆さんに注目してもらいたいのは,生まれ変わった戦闘面ですね。どの船を使うのか。どの敵にどの攻撃を仕掛けるのか。前作と違って,仮に強力な戦艦を手に入れられたとしても,潜水艦の前では海の藻屑となってしまうことでしょう。戦略を生かして戦う必要の出てきた新たなNAVYFIELDを,ぜひ楽しんでみてください。
それともう一つ,前作で修正してほしいと要望のあった点も,できるだけ改善しているので,そこもポイントになります。
4Gamer:
プレイヤーの声で入った修正とは,具体的にはどういったものでしょう。
ジョン・スンホ氏:
分かりやすいのは,「戦闘中に撃沈された後どうなるか」ですね。前作は使える船が1隻だけだったので,撃沈されると戦闘終了までずっと待っている必要がありましたから。
4Gamer:
ああ,なるほど。今回は3隻のうちの“生き残り”で再出撃できるんですね。
今後,クローズドβテストやオープンβテスト,正式サービスなども実施されると思いますが,どういった内容が追加されるのでしょう。現段階でお話いただけるもので構いませんので,お聞かせください。
ジョン・スンホ氏:
まだ詳しいことは申し上げられませんが,クローズドβテストでは実際の海戦を体験できるような,ミッションコンテンツを追加する予定です。
前作では第2次世界大戦を題材にしていましたが,NAVYFIELD2には第1次世界大戦も含まれているので,いろいろなミッションが用意できると思いますよ。例えば,今後実装を予定している「三笠」のミッションなどは,日本のプレイヤーに興味を持ってもらえるのではないでしょうか。
4Gamer:
お,三笠ですか。ということは,おそらく日本海海戦ミッションですよね。それは人気を集めそうです。
オ・チュンミン氏:
ほかにも,「もしも歴史がこうなっていたら?」という,“if”の展開を描くミッションも実装できるよう準備を進めています。
正式サービス後は,コミュニティ周りを充実させられるよう,クラン同士で競争できるコンテンツなども実装します。もちろん,さまざまな艦船も随時追加していきますが,今のところお話できるのはこのぐらいまでになるでしょうか……。
4Gamer:
分かりました,楽しみにしています。
ところで,内容が内容なので,NAVYFIELD2はきっと“濃い”人達が作っているゲームなんだろうという気がしますが,開発中の面白いエピソードなどはありませんか?
オ・チュンミン氏:
うーん,本当にいろいろあったので,何を話せばいいのか迷ってしまいますね(笑)。
ジョン・スンホ氏:
実際,SDEnterNETの社員は濃いですからね。男性ばかりですし,戦艦の模型なんかも会社にたくさん置いてありますし。
オ・チュンミン氏:
企画チーム長としては,スタッフの皆が濃いだけに,チーム内で本当にいろいろな意見が出てしまって,それをまとめるのに苦労したことをよく覚えています。自分が「NAVYFIELD2はこうあるべき!」と主張しても,相手はそう考えていないので意見がぶつかったり。なんとか意見をまとめてここまで作ってきましたが,すごくやりがいのある仕事ですよ。
ジョン・スンホ氏:
個人的には,開発中の内部テストが進むにつれ,最近入社した数少ない女性社員もハマり出したことが印象的でした。最初は業務として遊んでもらっていたんですが,途中から熱中してくれていたのを見て,密かに喜んでいましたよ。
4Gamer:
艦船が題材ですし,女性がプレイしているのは意外ですね。どういった面を魅力に感じたのか,その人に聞いてみたいです。
ジョン・スンホ氏:
シンプルな操作でアクション性の高い戦闘を体験できることや,キャラが成長していく様子を見て,楽しくなってきたみたいです。新規プレイヤーを意識して作っているのは先ほどお話ししたとおりですが,「普段ミリタリー系に興味のない女性でも熱中できるような分かりやすさ」をうまく取り入れることに成功したからこそ,ハマってもらえたのだと思います。
4Gamer:
やっぱり韓国でも,戦艦や機械,ミリタリーといったジャンルは,男性が好むものなんですか? 日本では,あるロボットゲームの男女比が99.8:0.2なんて話もあったりしますが。
ジョン・スンホ氏:
そうですね。韓国だけではなくて,アメリカも中国も,世界共通でそういうものだと思いますよ。ただ,私は前作から合わせると10年近くNAVYFIELDに関わっていますが,少しずつ女性プレイヤーも増えている気はします。
個人的には,いつか女性にもウケるタイトルを作ってみたいですけどね。ネクソンさんの「メイプルストーリー」や「マビノギ」などでは,女性ファンからプレゼントや差し入れがあったりするというんですよ。我々は男性からしかもらえないので,ちょっと寂しい(笑)。
4Gamer:
女性からも欲しいですよね(笑)。
では最後に,NAVYFIELD2に期待している日本のプレイヤーに向けて,メッセージをお願いします。
ジョン・スンホ氏:
いろいろあって開発に時間はかかってしまいましたが,ようやく皆さんに触ってもらえる形になりました。またまだ足りない点,不安定な点はありますが,今後のテストで修正していきますので,ご意見を送っていただけると嬉しいです。
オ・チュンミン氏:
αテストでは,予想以上に多くの方に関心を持っていただけたので,すごく嬉しいです。今後も全力で皆さんの意見を反映していきます。とにかく楽しんでいただけるゲームにしますので,期待していてください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
前作よりも新規プレイヤーが遊びやすい環境,そしてより戦略的な戦闘に注力しているというNAVYFIELD2。日本でのαテストが世界初ということで,あと一歩調整の足りない点も見られたが,より良いゲームにしていくため,今後のテストで調整を続けていくという。NAVYFIELDファンは,次なるテストの続報を楽しみに待つとしよう。
なお,今回のインタビューはαテスト中に実施したものだったので,プレイヤーの反響などについては聞けなかったのだが,テスト終了後に別途コメントをいただいている。その内容を最後に掲載しておくが,クローズドβテストのタイミングでは,カスタマイズ性の向上などが図られるようだ。
・クローズドαテストに参加したプレイヤーの反応はどういったものでしたか。
前作と比べて,進化したグラフィックスや,戦略性を盛り込んだ戦闘,世界観に第一次世界大戦も取り入れたことなどが好評でした。
ただ,不足している部分も多くご指摘いただきました。とくに多かったご意見は以下の項目です。
- 艦船のカスタマイズ性の向上
- 艦船速度が調整できず不便である
- 潜水艦が他の艦に比べ強い
- より戦略性の高いコンテンツやPvEがほしい
そのほかにも課題は多く残っていますが,今後のテストやアップデートで,ご満足いただける内容にできるよう努力していきます。
・テスターに向けて実施したアンケートからは,どういった印象を受けましたか。
やはり,プレイヤーは男性ばかりですね(笑)。
日本でテストを行っただけあって,艦長の国籍は日本を選んだ人が圧倒的に多かったのも特徴です。
・現段階で,クローズドβテストでの導入が決まっている内容はどういったものがありますか。
ご指摘のあったカスタマイズ要素を向上させるべく,「改装システム」の実装を予定しています。これは艦船を攻撃強化型や防御強化型など,好みのタイプにパワーアップさせるか,もしくは高性能な別の姉妹艦へと変更できるというものです。
「NAVYFIELD2」公式サイト
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