プレイレポート
「鬼武者Soul」は,城下町作りにこだわり出すと止まらない箱庭系シミュレーションRPG。「戦国体験 第弐陣」のプレイレポートを掲載
プレイヤーは戦国大名の一人となり,“内政”で城下町を築き,ほかの国と“合戦”で争いつつ,“鬼物語”で新たな仲間を集めて領地の異変を解決していくことになる。また,400人以上もの武将が登場し,31人もの声優陣がボイスを吹き込んでいる点も,本作の注目ポイントだ。
今回は,2012年6月1日から6月4日にかけて行われた「戦国体験 第弐陣」(クローズドβテスト)に参加してきたので,本作の概要をプレイした印象とともにお伝えしていこう。
「鬼武者Soul」プロモーションサイト
お館様の鬼武者ライフ・巻の壱
「すべての基本は城下町にあり」
また本作では,各都道府県に固定のご当地武将が設定されている。これも,拠点を選択する際の決め手の一つになるだろう。
筆者は,自分の地元を選んで「鬼武者Soul」デビューをしようと考えていた……が,伊達政宗の容姿とボイス(CVは沢城みゆきさん)に心を奪われ,自分とは何の縁もない,宮城県(陸前)・鬼陣営で鬼武者ライフをスタートした。
なお本作では,プレイヤーをサポートする小姓が用意されている。以前掲載したインタビュー記事で紹介したように,幻魔陣営の女性小姓を井上喜久子さん,人陣営の女性小姓を小林ゆうさんが担当するなど,豪華声優陣によってボイスが吹き込まれている。
ゲーム内では「内政」「鬼物語」「合戦」それぞれに“行動ポイント”が設けられ,ポイントがゼロになると,リアルタイムの時間経過でポイントが回復するまで,行動できない。「内政」「合戦」「鬼物語」をバランス良く進めるのが,効率的にゲームを進めるのには向いているだろう。もちろん,自分のペースでプレイしてもかまわない。
ゲームを始めると,まずは城下町作りを行うことになる。何もない更地に城や各種施設を建設して発展させていくのだ。
一連の手順では覚えることも多いのだが,オブジェクトの効果や使い方など,チュートリアルで詳しく説明してくれるので,プレイしながら自然と覚えていけるようになっている。
城下町に配置できる施設は,同じ物を自動的に生産するタイプ,生産するものを選択できるタイプ,他の建築物に影響を与えるタイプと,大きく3つに分類される。
同じものを生産するタイプは,兵法書や経験値を獲得できる「城」や米を生産できる「水田」など,生産を終えると次の生産を自動的に始めるタイプの施設で,安定した資源の供給を見込める。
生産するものを選択できるタイプには「畑」「植林地」「たたら場」などがあり,完成までの時間や収穫量の異なる資源を,必要に応じて選んで生産できる。
ほかの建築物に影響を与えるタイプの施設は,主に「農家」「商家」「長屋」といったものが該当する。これらの施設で直接生産は行えないが,多く設置すれば強い兵法書が手に入るなど,城で生産される兵法書の量や質を左右する。合戦に力を入れるプレイヤーならば,領地内に多く設置しておきたいところだ。
そのほか,「道」「堀」「草」「木」といったオブジェクトの設置も可能だ。「道」は建築物同士を結ぶことによって生産効率をあげる効果が含まれているが,どちらかというと,城下町の見栄えを良くするための観賞用オブジェといった趣のほうが強い。
自分の頭の中で城下町に設定を設け,ここは職人街,稽古場,農地――と,理想の城下町を築いていく過程は面白く,箱庭系のシミュレーションゲームが好きな人なら,城下町作りにはきっとハマるはずだ。
筆者の場合,城を設置したら周りに水堀を築き,住居が作れるようになったら長屋街を作る。畑には農家をセットで配置して,少し離れた位置には飯屋を建ててと,時代劇に出てきそうな風景に仕上げるべく,つい時間を忘れて城下町作りに没頭してしまった。
なお,領地に設置するオブジェクト類は,自由に再配置が可能。作った城下町に“リセット”がかかることもないので,思う存分“自分だけの城下町”を作れる。
道を作れば,城下町を人が歩くようになる,というように,領地が賑わっていく様子がビジュアルでも確認できる。堀を作れば城らしさが増し,湖や木を設置すれば,城下町らしさがさらに増していく |
本作では,フレンドとなったプレイヤーの城下町へ出かけることができるので,フレンドのために「ヨウコソ!」という文字を堀で作ってみた。あくまで自己満足の領域だが,マイ領地に来たフレンドのためにネタを仕込むのも楽しい |
お館様の鬼武者ライフ・巻の弐
「城下に住まう民を救うのが領主の定め」
チュートリアルで城下町作りを一段落させたあとは,報酬で入手した武将で部隊の編成を行えるようになる。
部隊を編成したら,「鬼物語」に出かけてみよう。鬼物語の基本は,クリックで探索ルートを進んで進捗度を上げ,道中で出会う幻魔を討伐しながら,ボスを目指すというものだ。
道中では,自分の配下にできる武将と遭遇することもある。合戦でともに戦う仲間として戦力を増強できるだけでなく,内政にもボーナスが発生するので,できるだけ多くの武将を集めておきたいところだ。
なおカードゲームのように,手に入る武将が“かぶる”こともあるが,かぶった武将は“進化”に使えるので,あまりデメリットにはならないのも嬉しいところだ。
武将を集めたら,部隊強化へ。部隊は「攻撃」「防御」「内政」の3部隊を編成する。他プレイヤーの領地を攻めるときは「攻撃部隊」,他プレイヤーから合戦を申し込まれたときは「防御部隊」が応戦する。「内政部隊」は,城下町での収穫や金銭獲得ボーナス付与に貢献してくれる。
武将を強化するには,合成によって経験値を獲得してレベルを上昇させていく。最大レベルはレベル50だが,グレードを上げる「進化」を行えば,それ以上に成長させることも可能だ | |
「進化」でグレードを上げると,武将の見た目が変わることがある。能力値が上がるほか,レベルの高い相手との合戦には不可欠な「技」を開眼する |
お館様の鬼武者ライフ・巻の参
「油断は大敵,魅せる戦が勝利のカギ」
基本的には,戦う武将の攻撃値と防御値によって勝敗が決まるのだが,兵法書を使ったり武将の技が発動したりすれば,戦局はがらりと変わる。相手の配置を読んでチームの戦力配分をしたり,兵法書の使いどころを考えたりといった戦略を駆使すれば,自分よりも強い相手に勝つことも十分可能なのだ。
プレイ経験を積めば,合戦相手の部隊にいる武将のレベルやパラメータなどを読み取って,だいたいのグレードを予測できるようになる。どの順番で武将を配置すれば,5戦のうち3勝できるかという戦略を考え,それが見事にハマって格上の相手に勝利したときの達成感は病みつきになる。
ただ,武将の技の開眼が済んでいなかったり,手持ちの兵法書の数が少なかったりする場合は,単なるパワーゲームになりがちなので,不用意に合戦を申し込まないほうがいいだろう。
本作では戦闘シーンをスキップすることが可能だが,なかなか勝てないという人は,戦闘シーンをじっくり見たほうがいい。というのも,スキップすると,どんな兵法書を使用したのか,武将がどのようなスキルを発動させたのかなど,相手の戦略を理解できないまま決着が着いてしまうからだ。
なお本作では,BGMをはじめ,戦闘シーンの派手な演出/効果音も相まって,戦いにドキドキ感を与えてくれるので,見ていて飽きないものになっている。
今回のテストに参加して感じたのは,「鬼武者Soul」は城下町作りのシステム/グラフィックスともにしっかりと作り込まれており,箱庭系ゲーム好きならばドップリとハマってしまうであろう魅力を秘めているということだ。
施設を大量に設置したときには,収穫や生産などの手間が増えるため,若干煩わしく感じるところがあったが,資源を集めれば施設を増やせ,施設が充実すれば生産できる資源の種類が増える。グレードが上がれば生産できる資源の質と量が上がるし,さらに見た目も変化するのだ。プレイヤーの数だけ生まれる城下町の様子を,眺めているだけで幸せになれるのがとても印象的だった。筆者もすっかり城下町作りにハマってしまい,プレイ時間の多くを城下町作りに費やしてしまったほどだ。
残念だったのは,主に合戦部分のマッチングである。先に,戦略次第では格上の相手に勝つこともできると書いたが,それはグレードの高い武将と兵法書を持っていることが前提だ。
それらがない場合,レベルが低い武将で格上の相手に勝つのは難しい。とくに今回のテストでは,相手のレベルに関係なく戦勝ポイントが均一だったため,レベルの低い相手を狙う風潮があったようにも感じられた。
そのように初心者プレイヤーにとって面白くない状況が続けば,コミュニティが活性化するとは考えにくい。マッチング機能の調整や,得られる戦勝ポイントの変更など,ゲームバランスの改善に期待したいところだ。
本作は当初6月28日に正式サービスが開始される予定だったが,公式プロモーションサイトで告知されているように,残念ながら10月19日へ延期されてしまった。その理由としては,「ネットワーク部分の負荷対策」が挙げられている。
なお今後は,コンテンツの開発を進めながら,以下のような日程で“第伍陣”までテストが実施される予定だ。
戦国体験 第参陣(7月13日〜7月17日):戦国体験 第弐陣のリファイン中心
戦国体験 第四陣(8月24日〜8月27日):ネットワーク負荷チェック,「大合戦」実装
戦国体験 第伍陣(10月5日〜10月9日):「国政」の実装,正式サービスへ向けての仕上げ
テスト終了後には,前回の「戦国体験 初陣」同様,テスターから寄せられた要望に対するフィードバックを公式メンバーサイトで公開するなど,本作の開発スタッフが,テスターの声を取り入れ,より理想に近づけようとしている意気込みが感じられる。今回のテストのフィードバックを受け,次回以降のテストでどのように進化するのか,今後の展開にも注目していきたいタイトルだ。
「鬼武者Soul」プロモーションサイト
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