インタビュー
サービス開始から3周年を迎えた「戦国IXA 千万の覇者」。運営スタッフに本作の現状と,今後の展開について聞いてみた
そんな本作は,着実にアップデートを重ねて,PCブラウザ版戦国IXAとは違った独自の進化を遂げている。その一方で,現役プレイヤーをターゲットにしたイベントやキャンペーンが中心で,ゲームの外にはあまり情報が届いていなかった。では,現在本作はいったいどのような状況になっているのか。今回4Gamerでは,開発/運営のキーマンであるプロデューサー山下英貴氏,ディレクター早乙女真哉氏,そしてプロモーションディレクター田所 宰氏にインタビューし,ゲーム内の現状や今後の展開について聞いてきた。
山下英貴氏 |
早乙女真哉氏 |
田所 宰氏 |
「戦国IXA 千万の覇者」公式サイト
面白さの軸を変えずに続けた3年間
一強状態という“りーぐ戦”に下克上は起こるのか?
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。サービスイン直後のタイミングにもインタビューしていますが,あれから運営体制が替わっていますよね。そこで最初に,皆さんがどういった形で本作に関わっているのかから教えてください。
前任から引き継ぎ,2014年の4月からプロデューサーになりました。実は立ち上げ当初から,アシスタントプロデューサーとして本作には関っていて,現在に至ります。
ディレクター早乙女真哉氏(以下,早乙女氏):
ディレクターの早乙女です。千万の覇者には企画の段階から,ところどころ参加させてもらいましたが,山下がプロデューサーに就任したタイミングで,本格的に運営に関わるようになりました。
プロモーションディレクター 田所宰氏(以下,田所氏):
プロモーションを担当していますが,いちプレイヤーとしても千万の覇者を遊んでいますので,本日出席させていただきました(笑)。
4Gamer:
全員サービス開始から本作をよく知っているんですね。
山下氏:
ええ。実は早乙女と私は,最初はPCブラウザ版「戦国IXA」を担当していて,千万の覇者の立ち上げに関わることになったという経緯があります。
4Gamer:
サービス開始が2012年4月23日ですから,3年以上運営が続くタイトルになりましたが,振り返ってみて,率直な感想はいかがでしょうか。
山下氏:
最近まで実務的な作業に追われることが多く,あまり新しいイベントを企画・実施できませんでしたが,運営スタッフも増えましたので,これからがんばっていきます。
4Gamer:
本作ではサービス開始当初から“同盟”というシステムで作られるコミュニティを中心とした,プレイヤー間の協力をフィーチャーしていましたよね。それは,いまも変わらないのでしょうか。
山下氏:
ソーシャルゲームの流行は変わっていくものですが,本作で同盟が軸になるという点は変えていません。千万の覇者は,ソロで遊ぶことも十分可能なのですが,同盟員として活動することで,遊び続けるモチベーションが増すと思います。この点も開始当初から変わっていませんし,これからも変わることはないと思います。
システム面はプレイヤーの皆さんに受け入れられていますので,基本に大きく手を入れるようなことはしていません。イベントや新機能などで,皆さんに面白がってもらえるものを提供していこうという方針です。
4Gamer:
新しい機能としては,「りーぐ戦」が導入されましたよね。
早乙女氏:
りーぐ戦はまだまだ未完成のコンテンツですが,毎日楽しんでもらえるようにしていきたいです。同じようなタイミングで導入した「防衛決戦」も,改良を重ね,いずれは主要コンテンツのひとつにしたいと考えています。
4Gamer:
以前は,クエストを回って大殿を出現させ,これを同盟のメンバーで協力して倒すことと,イベントでマップを攻略していくという遊び方がメインでしたが,遊べるコンテンツはどんどん増えていくのでしょうか。
早乙女氏:
基本的な遊びのサイクルはあまり変わらないと思うのですが,バリエーションは増やしていくべきだと考えていて,イベントでそのバリエーションを模索しているところです。
4Gamer:
イベントなどではアンケートも行っていますよね。プレイヤーの反応はいかがですか?
早乙女氏:
「うまく作り込めば,楽しいイベントになりそう」という前向きな意見が多く,我々としては手応えを感じています。
4Gamer:
スマホ向けのゲームは,画面だったり,操作性だったり,いろいろと制限がありますから,独自色を出すことはなかなか難しいですよね。
早乙女氏:
そうですね。それに千万の覇者は,スマホ向けゲームの中では古参でもありますし,ずっとプレイされている方も多いので,独自色を出すために急に大きな変更は行えませんから。
4Gamer:
では,いま本作のプレイヤーがモチベーションにしているものは,何になるのでしょうか。やはり良いカードが欲しいとか?
早乙女氏:
強いカードが欲しいというのもあると思いますが,それ以上に,いままで構築した人間関係,居心地の良い同盟を維持したいと考えている方が多いようです。
4Gamer:
たしかに,ゲーム内の掲示板が活用されていますし,誰がどの同盟に入ったとか,プレイヤーの動向も話題に上がることが多く,コミュニティが活発な雰囲気があります。
田所氏:
ただ,いまは同盟のバランスが一強状態なんですよね。そこを倒すべく,新しい同盟が結成されることを期待しているのですが。
山下氏:
一強の同盟,Yahoo!ゲーム版の「魁!!男塾」さん,dゲーム版の「☆BASAR∀☆」さん,Ameba版の「❖野武士精鋭村❖」さん(※)にしてみれば,強いことがモチベーションになっているとは思うのですが……一方で,ライバルがいないと,それも停滞してしまうと思います。ですから,ぜひその一強を打倒するような同盟が出てきてほしいです。
※2015年4月実施の同盟ランキングイベントにおいて,各プラットフォームで1位になった同盟
4Gamer:
戦国時代といえば,やはり下克上ですからね(笑)。
山下氏:
ええ。下克上を成すためにも,りーぐ戦でそうした強い同盟に挑んでみてほしいです。いままでの積み重ねでは敵わないかもしれませんが,一週間,一か月といった期間であれば,良い勝負ができると思います。我々としては,同盟間の対決というのは重要視したいと思っているので,今後,より良い報酬を提供していく予定です。
プレイヤーを楽しませる一風変わったイベントとは?
レア度「覇」カードが入手できるイベントも
4Gamer:
イベントというキーワードが出たところでお聞きしたいのですが,3周年記念のイベントで「千万学園」が行われましたが,こちらの評判はいかがでしたか。千万学園校長に織田信長,生徒会長に明智光秀と,個人的には楽しませてもらったのですが(笑)。
えーとですね,新機軸になりそうなイベントを模索していて出た企画なんですが,プレイヤーの皆さんの意見としては「楽しいけれど設定に無理がある」という声が多数でした。もちろん,純粋に面白がってくれた方もいましたが……。
4Gamer:
やはり戦国モノのタイトルだけに,史実寄りのイベントの方が求められているわけですね。となると,もう学園モノのイベントは見られない可能性も?
山下氏:
うーん,プレイヤーの皆さんの声を聞きながら,少し考えさせてください(笑)。
早乙女氏:
プレイヤーの皆さんにサプライズをお届けするという意味では,成功したとは思うのですが(笑)。ガチガチの戦国ゲームでありながら,つねに新しいことがあるゲームだと認識していただけるとありがたいですね。
4Gamer:
直近ですと「駿府楼」というイベントも行われました。
早乙女氏:
駿府楼は,リリース当初に行った同名のイベントをリメイクしたものです。基本的にイベントは個人で進めて,出現する大殿を同盟のメンバーが協力して倒す形が多いのですが,駿府楼はイベントを進めるのも同盟単位になっているのが特徴です。つまり,協力することに重点をおいたイベントなんですね。
山下氏:
イベントのイラストも新しくしましたので,ただ復刻しただけのイベントではないんですよ。
4Gamer:
当時の記憶を思い出しながらイベントに参加できる点は,面白い試みかもしれません。イラストでいうと,PC版IXAとは違った追加の仕方になってますよね。
早乙女氏:
カード追加の頻度が,ブラウザ版IXAは月一回,スマホ版が週一回なので,PC版と合わせることは難しく,カードの管理はそれぞれ別個に行っているんですよ。また,PC版は戦国時代を意識したイラスト,スマホ版は多少のファンタジー要素を含んだイラストといった形にもなっているので,そのあたりも注目して見比べてみると面白いかもしれません。
4Gamer:
更新頻度が高いとはいえ,クオリティが高いイラストが多いですよね。そういえば,すごく細かなことなのですが,レアリティの「極」は,実際はどう読むのが正しいのでしょうか? きょく/ごく/きわみと,呼び方が人それぞれで。
山下氏:
公式には「きわみ」になります。
4Gamer:
分かりました。ではレアリティに関連して,「覇」のカードが登場しました。千万の覇者では風/林/火/山という4種の属性がありますが,覇は全属性ですよね。ちょっと強すぎるのではと思ったのですが。
今年の2月にいままで最上位だった「天」の上のレアリティとして,覇を出しました。性能はおっしゃるとおり強めに設定していますが,同一カードは同じ部隊に入れられない仕様ですので,覇を一枚持っていれば最強かというとそうではないです。ほかのカードとの組み合わせが重要ですから。
山下氏:
実は,覇のカードは一部のイベントに参加することでも入手できるようになっています。ソーシャルゲームというと,お金を払わないと強いカードが手に入らないという印象をお持ちの方もいると思いますが,きちんとイベントに参加していれば,運は絡みますが強い部隊を作ることが可能となっています。
4Gamer:
覇カードは同盟のメンバーにも影響を与える強力なものですから,がんばって手に入れたいですね。
早乙女氏:
えーっとですね,これはまだ極秘の情報なのですが,実は今後イベントでしか入手できない新しい覇カードを入れる予定です。課金ガチャでは手に入らないものですね。
4Gamer:
極秘……書いていいんですか?(笑)。それはイベントでポイントをためて手に入れるというものでしょうか。
早乙女氏:
イベントでチケットを手に入れ,それでガチャを引いて運が良ければ……という流れを予定しています。
4Gamer:
イベントのみで強いカードを配布するというのは珍しいですね。
早乙女氏:
我々としても新しい試みです。まだ,いつリリースするかは確定していないのですが,良いカードになると思いますので,ご期待ください。
新しい遊び方の提案と新規プレイヤーの獲得が今後の課題
4Gamer:
では,今後のことについても教えてほしいのですが,次のアップデートでは,どういった方向性を考えているでしょうか。
先ほどもお話したように,同盟という軸は崩さず,遊び方の幅を広げていくようなアップデートをしていきます。たとえば,大殿討伐のバリエーションを増やすなどですね。ただ皆で大殿を攻撃するだけではなく,もう少し戦略的に戦えるような仕掛けがあってもいいかなと。
早乙女氏:
まだアイデア段階ですが,同盟のメンバー全員でエネルギーをためて一気に放出するような遊び方も楽しいかなと考えています。同盟レベルを上げるために,あまったカードを献上するシステムがありますが,そのシステムを利用する形で皆でエネルギーをためて,同盟戦などでそれを使うイメージですね。
4Gamer:
なるほど,既存のシステムを使えば,実装も難しくなさそうですね。
早乙女氏:
ええ。システムを大きく変えなくても,演出だったり切り口だったりを変えることで,新鮮さやサプライズ感は出せると思うんですよ。
山下氏:
あとは,同盟間で連合を組んで,大規模な対戦を行うのも良いかなと考えてます。
早乙女氏:
現状ですと,基本的に一対一の対決となるので,連合を組んだり,プレイヤー全員を半分に分けて戦うようなシステムも入れたいですね。
4Gamer:
東西に分かれて戦う,いわゆる関ヶ原的な大規模な合戦のイメージでしょうか。
早乙女氏:
そんな感じですね。千万の覇者では,カードの所属として十二の“家”を用意していますが,どの家に所属するかを決めて戦うのも面白いかもしれません。
田所氏:
現状だと豊臣秀吉が強力なので,豊臣家に人数が偏ってしまうようなことも起きそうですが。
4Gamer:
たしかに強い家に集まるという可能性はあると思います,そのあたりのバランス取りはどう考えているのでしょう?
山下氏:
平均的にバランスを取るより,家ごとに特徴があるほうが攻略要素にもなって面白そうだと思っています。
早乙女氏:
いずれにせよ,まだ企画段階ですので必ず入るとはお約束できないのですが,プレイヤーの皆さんに「共に歩んでいる」と思っていただけるような開発/運営を続けていきます。ご意見,ご要望には必ず目を通しますので,熱い想いを送っていただければと思います。
プロモーション担当として,プレイヤーの皆さんにお聞きしたいのは,「オフラインイベントに興味はありますか?」ということですね。プレイヤーの皆さんと運営が綿密に絡んでいけるような場を設けたいと思っているのですが,もし「公式でオフラインイベントをやります」と告知して誰もこなかったら寂しいので(笑)。
4Gamer:
そこは,ぜひ公式のアンケート機能を利用してもらって……(笑)
早乙女氏:
弊社の例で言うと,「ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト」でカフェをオープンしたりと,外に向けてのPRを行っています。千万の覇者でも何かそうした企画を立てたいと考えているのですが。
4Gamer:
たとえば,お茶屋さんとコラボして,お茶と“おやき”を提供してみる……とか?
早乙女氏:
考えておきます(笑)。これを考えるきっかけになったのは,3周年記念のときに配布したオリジナルカードでした。これまでグッズのような現物を作ることがなかったのですが,このカードが思った以上に好評で,こうしたリアルのPRも続けていきたいと考えたのです。こうして外に情報を発信することで,新規のプレイヤーも獲得したいですし。
4Gamer:
プレイヤーとしては,やはり新しい人にも入ってきてほしいでしょうね。
早乙女氏:
これまでのイベントでは,主に既存プレイヤー向けのものが多数でしたが,現在,新規に向けたイベントというのも企画中です。
4Gamer:
それは,どのような内容になるのでしょうか。
早乙女氏:
新しく入ってきたプレイヤーの成長の手助けをすると,何か報酬がもらえるようなイベントですね。
4Gamer:
なるほど,既存プレイヤーには報酬を用意して,新規プレイヤーには遊びやすくなる環境を作るというわけですか。
早乙女氏:
はい。新しい人を増やしてほしいという声が大きかったので,ゲーム内外でいろいろと企画を立てていきます。
田所氏:
一時休止している方の復帰も促進したいですね。カード運用のポリシーとして,古いカードであっても極力価値を損なわないような方針にしていますので,イベントなどでふらっと帰ってきても,以前の資産で継続してプレイしていただけると思います。
4Gamer:
今後のアップデートと千万の覇者らしい(?)イベントにも期待しています。では最後に,千万の覇者のプレイヤーと4Gamerの読者に向けてメッセージをお願いします。
山下氏:
4年めに突入した千万の覇者ですが,まだまだ新しい企画を用意して,4周年,5周年とプレイヤーの皆さんと共に歩んでまいります。より一層満足していただけるよう,開発/運営スタッフ一同がんばっていきますので,よろしくお願いします。
早乙女氏:
タイトルを成長させるには,制作スタッフも学び,成長していく必要がありますが,それ以上に,千万の覇者はプレイヤーの皆さんに育てられている部分が大きいタイトルだと思います。これからも,皆さんの意見を取り入れつつ,長く楽しめるタイトルにしていきますので,末永く千万の覇者とお付き合いください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
Yahoo!ゲーム版「戦国IXA 千万の覇者」スマートフォン専用公式サイト
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