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GeForce GT 600
  • NVIDIA
  • 発表日:2012/05/15
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「GeForce GT 640」レビュー。「GK107」コアを搭載したデスクトップPC向けGPUの存在意義を探る
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印刷2012/06/11 00:00

レビュー

「GK107」コアを搭載したデスクトップPC向けGPUの存在意義を探る

GeForce GT 640
(ZOTAC GeForce GT 640)

Text by 宮崎真一


 日本時間2012年6月4日,NVIDIAは,とくにプレスリリースを出すことのないまま,GeForce 600世代のデスクトップPC向けエントリーGPU「GeForce GT 640」(以下,GT 640)を市場投入した。

ZOTAC GeForce GT 640(型番:ZTGT640-2GD3R001 / ZT-60201-10L)
メーカー:ZOTAC International
実勢価格:1万〜1万2000円程度(※2012年6月11日現在)
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 GeForce GT 600の製品型番を冠したPC自作市場向けGPUとしては,すでに「GeForce GT 630・620・610」が登場しているが,これらはいずれも,Fermiアーキテクチャを採用したGPUのリネーム品。それに対して今回のGT 640は,Keplerアーキテクチャを採用したデスクトップPC向けGPU初の低価格モデルということになる。

 「GeForce GTX 680」(以下,GTX 680)などを高嶺の花と諦めていた人にとって,GT 640は福音となるのか。今回4Gamerでは独自にZOTAC International(以下,ZOTAC)製の搭載カード「ZOTAC GeForce GT 640」(型番:ZTGT640-2GD3R001 / ZT-60201-10L)を入手したので,その検証結果をお伝えしたい。


2基のSMXから成るGK107コアを採用

グラフィックスメモリはDDR3のみのサポート


 さて,結論めいたことから先に述べると,GT 640は,ノートPC向けの「GeForce GTX 660M」および「GeForce GT 650M・640M」と同じ「GK107」コアを採用したGPUである。

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GT 640リファレンスカードのイメージ
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GT 640 GPU。入手した個体だと,ダイ上の刻印は「GK107-301-A2」となっていた
 GK107というコアは,早い話が,GTX 680などで採用されている「GK104」を4分の1の規模にしたものだ。
 TSMCの28nmプロセス技術を用いて製造されるKeplerアーキテクチャのGPUは,192基のCUDA CoreとL1キャッシュ,16基のテクスチャユニット,1基のジオメトリエンジン(「PolyMorph Engine 2.0」)などをひとまとめにした「Streaming Multiprocessor eXtreme」(以下,SMX)とし,2基のSMXで“ミニGPU”たる「Graphics Processing Cluster」(以下,GPC)を構成する。

 そしてGK104の場合には,このGPCを4基搭載し,8基1パーティションのROPユニットを4パーティション,64bitメモリコントローラを4基搭載するデザインになっているところが,GK107では,GPCが1基で,2つのROPパーティション,2基の64bitメモリコントローラと組み合わせられている。つまり,CUDA Core数384基,テクスチャユニット数32基,ROPユニット数16基,メモリインタフェース128bitという構成になるわけだ。

GK104のブロック図を基に改変した,GK107のブロック図(※一部筆者推測)。カードベンダー関係者の話によると,L2キャッシュ容量は,GPUコアの規模縮小に合わせ,GK104の512KBから256KBに削減されているという
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 GK107ではGPUコアの規模がGK104の4分の1となった一方,足回りはGPUあたり2倍ある計算だが,しかしここで注意が必要なのは,GT 640で組み合わせられるグラフィックスメモリチップがDDR3に限られていることだ。カードベンダー関係者の話によると,GDDR5メモリを組み合わせた製品は別型番で用意される可能性もあるようだが,少なくとも当面の間,GT 640はDDR3メモリとのみ組み合わせられることになるのではなかろうか。

 なお,リファレンスのメモリクロックは1.8GHz(実クロック900MHz)なので,メモリバス帯域幅は28.8GB/sと,GTX 680などの192.26GB/sと比べると15%程度にまで抑えられている計算だ。

 表1は,そんなGT 640のスペックを,Fermiアーキテクチャで192基のCUDA Coreを搭載する「GeForce GTX 550 Ti」(以下,GTX 550 Ti)や,GeForce GT 630(以下,GT 630)に改名されたGeForce GT 440(以下,GT 440),競合のエントリーミドル市場向けGPU「Radeon HD 7750」(以下,HD 7750)およびエントリー市場向けGPU「Radeon HD 6670」と比較したものになる。

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 Keplerアーキテクチャでは,Fermiアーキテクチャ時代に採用されていた,CUDA Coreを倍速で動作させる「シェーダクロック」が廃止されているため,GTX 550 Tiと比べた場合,乱暴にまとめるなら,「シェーダプロセッサ数が倍増した一方で,“シェーダクロック”は半分になった」と言うこともできるだろう。
 ちなみに,GT 640には,GPUコアクロックと動作電圧を自動的に調整する自動クロックアップ機能「GPU Boost」が用意されていなかった。これはGK107コアを採用するノートPC向けGPUと同じだ。


145mm長とコンパクトなZOTAC製カード

メモリクロックはリファレンスよりわずかに低め


GIGA-BYTE TECHNOLOGY製のGTX 550 Tiカードで,カード長実測208mm(※突起部除く)の「GV-N550OC-1GI」と並べて比較したところ
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 というわけで,入手したZOTAC GeForce GT 640を見ていこう。
 このカードは秋葉原のPCパーツショップで購入してきたものだが,カード長は実測145mm(※突起部含まず)で,「GeForce GT 430」のレビューで取り上げた「ZOTAC GeForce GT 430 1GB DDR3 PCIE 1slot FAN」(型番:ZT-40602-10L)」の同143mmとほぼ同じ。GTX 550 Tiだとカード長は180〜210mm程度の製品が多く,また,HD 7750やHD 6670のリファレンスカード長は170mm前後なので,ZOTAC製カードはかなりコンパクトなサイズに仕上がっていることとなる。

カードサイズから想像もできると思うが,補助電源コネクタは用意されていない。SLIブリッジコネクタも非搭載だった
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 GPUクーラーは1スロット仕様で,カードからはみ出したりもしないタイプ。ファンは55mm角の薄型モデル相当だ。

GPUクーラーを取り外したところ
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 GPUクーラーの取り外しはメーカー保証外の行為であり,取り外した時点で保証は受けられなくなるため,その点は注意してほしいが,外してみると,GPUパッケージを8枚のグラフィックスメモリチップが取り込んでいるデザインなのが分かる。容量は合計2GBだ。
 メモリチップはMicron TechnologyのDDR3-1866「MT41J128M16JT-107」。NVIDIAコントロールパネルから確認すると,メモリクロックはリファレンスより若干低い1782MHz相当(実クロック891MHz)だったので,若干のクロックマージンが設けられている計算になる。

電源周りは見る限り2+1フェーズ構成で,エントリーモデルらしく,かなりスッキリした印象を受ける。グラフィックスメモリチップとして採用されていたのはMicron Technology製のDDR SDRAMだった
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メモリクロックをリファレンスに揃えてテスト

GTX 550 TiやHD 7750などとの比較を実施


 では,テスト環境の構築に話を移そう。
 前述のとおり,ZOTAC GeForce GT 640のメモリクロックは,NVIDIAコントロールパネルによると若干低いため,今回のテストにあたっては,MSI製のオーバークロックツール「Afterburner」(Version 2.2.1)からメモリクロックを1800MHz相当に引き上げることとした。
 余談だが,ZOTAC GeForce GT 640のGPUコアクロックは,Afterburnerだけでなく,EVGA製のオーバークロックツール「Precision X」(Version 3.0.2)を使っても,変更が反映されなかった。現状のツールがGPU Boostを想定しており,GK107コアでは正常に動作しないのかもしれない。

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NVIDIAコントロールパネルから「システム情報」を開いたところ。メモリクロックは1782MHz相当となっていた
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そこで,メモリクロックを引き上げた。「GPU-Z」(Version 0.6.2)から,1800MHz相当になったのを確認できる

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 話を戻すと,今回比較対象として用意したのは,表1でその名を挙げたGPUだ。できれば「GeForce GTS 450」(以下,GTS 450)も用意したかったのだが,今回はスケジュールの都合と,実勢価格ではGTX 550 Tiが9000〜1万1300円程度,GTS 450が8000〜1万1500円程度(※いずれも2012年6月11現在)でかなり被っており,かつ,GTX 550 TiのほうがGT 640の実勢価格に近いことから,GTX 550 Tiのほうを採用している。GTX 550 Tiのレビュー記事でお伝えしているとおり,GTX 550 TiはGTS 450よりも概ね15〜20%ほど3D性能が高いので,その点を踏まえながら読み進めてもらえれば幸いだ。
 今回用意したGTX 550 TiカードであるGV-N550OC-1GIはメーカーレベルのクロックアップモデルだったため,やはりAfterburnerから動作クロックを落としている。この点はあらかじめお断りしておきたい。

 比較対象としてGT 440を用意したのは,前述したとおり,リネームによってGT 630となったため。今回用いるGALAXY Microsystems製カード「GF PGT440/512D5」は,容量こそ512MBながら,動作クロックが3200MHz相当(実クロック800MHz)のGDDR5メモリが組み合わされた製品だ。
 また,競合からHD 7750とHD 6670を選んだのは,前者の実勢価格が9500〜1万3000円程度(※2012年6月11現在)とGT 640に近かったためだ。HD 6670は,HD 7750の下位モデルということで選択した次第である。

 そのほかテスト環境は表2のとおり。グラフィックスドライバは,テストを開始した6月5日時点の最新版となる「GeForce 301.42 Driver」および「Cataltst 12.6 Beta」を用いている。
 GT 440はPCI Express 3.0動作をサポートしているが,GeForce 301.42 DriverはIntel X79 Express環境だとPCI Express 3.0動作が有効にならないため,PCI Express 2.0接続になっていることを付け加えておく。

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 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション12.2準拠。解像度は1600×900ドットおよび1920×1080ドットを選択した。現在のところ,バージョン12.2のベンチマークレギュレーションは公開していないが,「Battlefield 3」(以下,BF3)のアップデートによってセーブデータの互換性が失われたことに対応しただけで,ベンチマークスコアは従来と変わらないため,その点は安心してほしい。バージョン12.2は近々公開の予定だ。

 なお,これはいつもどおりながら,テストに用いるCPU「Core i7-3960X Extreme Edition/3.3GHz」では,テスト時の状況によって自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」の効果が異なる可能性を考慮して,同機能をマザーボードのUEFI(≒BIOS)から無効化している。


HD 6670を若干上回る程度の3D性能

メモリ周りの“足枷”は小さくない


 では,テスト結果を順に見ていこう。グラフ1は「3DMark 11」(Version 1.0.3)において「Performance」と「Extreme」の両プリセットにおける総合スコアをまとめたもの。GT 640のスコアは対GTX 550 Ti&HD 7750で85〜87%程度のところに収まっている。「補助電源コネクタを持たないグラフィックスカード」としてのポテンシャルは,HD 7750のほうに軍配が上がりそうだ。
 一方,HD 6670に対しては26%程度,GT 440(=GT 630)に対しては70〜73%高いスコアを示している。

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 「S.T.A.L.K.E.R.:Call of Pripyat」(以下,STALKER CoP)の公式ベンチマークアプリケーションで用意される4つのテストシークエンスから,最も描画負荷の低い「Day」と,逆に最も高い「SunShafts」のスコアがグラフ2〜5となる。

 まずDayから見ていくと,GT 640のスコアは「標準設定」時にGTX 550 Ti比で74〜75%程度,HD 7750比では80〜82%程度,「高負荷設定」時にGTX 550 Ti比64%程度,HD 7750比74〜75%程度と,3DMark 11と比べてギャップが大きくなっている(グラフ2,3)。GTX 550 Tiとの違いがより大きくなっていることからしても,メモリバス帯域幅が28.8GB/sに留まるという,GT 640で抱える足回りの制約が“効いて”いると見ていいだろう。
 3DMark 11と比べた場合,対GT 440とのスコア差が縮まっているのも気になるところだが,これは今回用いているGT 440カードがGDDR5メモリを採用し,メモリクロックが3200MHz相当に達していることと無関係ではないはずだ。HD 6670とのスコア差が縮まっているのも同じ理由によるものと思われる。

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 描画負荷が高くなり,いきおい,メモリ周りの性能がよりスコアを左右することになるSunShaftsだと,果たして,GT 640とGTX 550 Ti&HD 7750の差はさらに広がり,逆にHD 6670&GT 440との差はさらに縮まることになった(グラフ4,5)。
 絶対的なフレームレートは15〜32fps程度で,最新世代の3Dゲームタイトルを高いグラフィックス設定でプレイするのは難しいことも,ここでの結果からは見て取れる。

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 BF3における結果をまとめたグラフ6,7だと,GT 640のスコアは対GTX 550 Tiで68〜73%程度,対HD 7750で79〜88%程度。基本的にはSTALKER CoPのDayシークエンスと似たような傾向にまとまっている印象だ。
 GT 440だと,ベンチマークレギュレーションが合格点とする平均35fpsに遠く及ばないのに対し,GT 640なら標準設定の1600×1500ドットでクリアできている点は評価していいように思われる。

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 一方,「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,Call of Duty 4)のテスト結果であるグラフ8,9を見ると,GT 640のスコアが芳しくない。
 Call of Duty 4は旧世代のDirectX 9タイトルであるがゆえに,テクスチャフィルタリング性能がフレームレートを大きく左右する。それだけに,GT 640がGTX 550 TiやHD 7750の68〜77%程度のスコアに留まり,HD 6670とほとんど同じスコアに留まっているのは,足回りの弱さが原因と見てまず間違いないはずである。
 もっとも,Call of Duty 4で高負荷設定の1920×1080ドット設定において平均60fpsを超えてきているので,世にある大半の3Dオンラインゲームは問題なくプレイできるとは言ってもいいだろう。

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 高解像度テクスチャパックの導入により,メモリ周りの負荷が極めて高くなっている「The Elder Scrolls V: Skyrim」(以下,Skyrim)のスコアをまとめたグラフ10,11でも,GT 640はHD 6670にかなり詰め寄られている。また,GT 550 Tiと比較した場合は57〜65%程度の平均フレームレートしか示せておらず,HD 7750に対しても64〜71%程度であり,なかなか苦しい。

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 グラフ12,13は「Sid Meier's Civilization V」(以下,Civ 5)の結果だが,GTX 550 TiとGT 640の差は,高負荷設定でやはり開く傾向にある。
 また,KeplerアーキテクチャはCiv 5の「Leader Benchmark」を苦手としているのだが,ここではついにGT 640がHD 6670の後塵を拝したことを指摘しておきたい。

 なお,高負荷設定でGT 440のスコアがN/Aとなっているのは,今回のテスト環境だと,何度試してもテストが途中で強制終了してしまったためだ。

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 グラフ14,15に示した「DiRT 3」だと,傾向は,STALKER CoPとSkyrimの中間,といったところだろうか。GT 640の平均フレームレートは,GTX 550 Tiの71〜76%程度,HD 7750の74〜81%程度,HD 6670の111〜117%程度となっている。

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HD 7750と同等以下の消費電力

GPUクーラーはシンプルだが温度も低い


 ノートPC向けGPUとしても用いられているGK107コアを採用したGPUだけに,GT 640の消費電力がどの程度低いのかは気になるところだ。今回も,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を測定してみよう。

前述のとおり,ZOTAC GeForce GT 640の電源部は,見る限り2+1フェーズ構成である
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 テストにあたっては,ゲーム用途を想定し,無操作状態が長く続いた場合にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時とすることにした。

 その結果はグラフ16のとおり。アイドル時こそさほど大きな違いは見られないものの,各アプリケーション実行時だと,GT 640を搭載したシステムの消費電力は156〜187Wと,HD 6670を確実に下回っている。Civ 5を除いては,HD 7750よりも低く,消費電力の低さは魅力だ。

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 今回テストに用いたグラフィックスカードはいずれもメーカー独自のクーラーを採用しているため,横並びの比較には適さない。また,そもそもの話として,GPUのアーキテクチャが異なる以上,温度センサーの挙動も異なるのだが,参考までに,GPU温度を計測した結果も示しておきたい。

 ここでは,テストにあたっては3DMark 11の30分間連続実行時点を「高負荷時」とし,アイドル時ともどもGPU-ZからGPU温度情報を取得することにした。テスト時の室温は24℃で,システムはPCケースに組み込まず,いわゆるバラック状態においてある。
 その結果がグラフ17で,GT 640,というかZOTAC GeForce GT 640のGPU温度はアイドル時に37℃,高負荷時が59℃と,1スロット仕様の割にはけっこう低めだ。ただ,今回のテストを通じて,ファンの回転数は“GPU-Z読み”で30〜45%の範囲内に収まったのだが,45%にまで達すると,ファンが小さいためか,高周波が多少耳に付いた点は指摘しておきたい。

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消費電力の低さは魅力だが,いかんせん力不足

3Dオンラインゲーム用として割り切れる人向けか


ZOTAC GeForce GT 640の製品ボックス
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 以上のテスト結果を踏まえるに,「GeForce GTX 600シリーズに続く,Keplerアーキテクチャ採用GPU,待望のエントリーモデル!」と紹介するには,GT 640は非力に過ぎると言わざるを得ない。おそらく多くのゲーマーは,GTX 550 Ti並みとは言わないまでも,同じ「補助電源なしグラフィックスカード」として,HD 7750に対抗できる3D性能を求めていたのではないかと思われるが,その観点から見ると,GT 640は明らかに期待外れだ。

 とはいえ,これまでリネーム品でお茶を濁されてきたGeForce 600シリーズの下位モデルに,Keplerアーキテクチャの製品が登場し,従来世代比で消費電力を大きく下げてきたという意味において,GT 640には相応の存在意義が認められる。3Dオンラインゲーム用と割り切り,選択肢が増えてきたMini-ITXマザーボードと組み合わせたりして使っていく分には,選択肢になり得るGPUとまとめられるだろう。

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