紹介記事
日本正式サービス開始から3000日を迎えたMMORPG「黒い砂漠」。いま世界で盛り上がりを見せている理由とは?
最新アップデート「朝の国」による盛り上がり
6月に実装された新地域「朝の国」は,朝鮮王朝の時代をフィーチャーした東洋の国である。黒い砂漠はどちらかと言うと「いわゆる中世ヨーロッパ」がベースとなっているので,そこから船旅で時間をかけて到着すると,まさしく「見知らぬ異国にやってきた!」という気持ちになる世界観だ(条件を満たせばワープでも移動可能)。
[プレイレポ]「黒い砂漠」の新地域「朝の国」を先行体験。本格的なアジア風地域には強力なボスが待っていた!
PC向けMMORPG「黒い砂漠」で,6月14日に新地域「朝の国」が実装される。朝の国は,韓国の地域や伝統的な文化をモチーフにした,アジアンテイストな新地域となる。今回,テストサーバーにて先行体験できたので,その内容を紹介しよう。
音楽についても新たな挑戦が行われている。例えば,韓国の伝統楽器を3か月以上かけてサンプリングし,さらに韓国の国立国楽院の協力を得て伝統音楽の録音資料を利用。これまでの黒い砂漠の世界とは一線を画す,民族的なサウンドに仕上がっている。
また,朝の国では黒い砂漠の主な戦闘コンテンツである「モンスター狩り」の新たな狩り場は用意されていない。その代わりに,ボス戦闘コンテンツの「黒い祠」が追加されており,家庭用ゲーム機で見られる「ボスとの1vs.1を楽しむアクションゲーム」のような楽しみ方が提供されたのだ。執筆時点では各ボスに7段階の難度が用意されており,初心者からベテランまで楽しめるようになっている。
朝の国は既存コンテンツの続きではあるものの,復帰プレイヤーなどが遊びやすいように,新規作成キャラクターの開始地点として選択できるのも特徴だ。
世界に向けての精力的な発信とユーザーコミュニケーション
さて,この朝の国アップデートで開発チームが懸念していたのは,東洋的世界観に不慣れな海外のサービス地域で,受け入れられるかどうかだったはずだ。
それもあってか,2022年12月には海外では初となる「カルフェオン宴会」がアメリカ・ロサンゼルスで行われた。文化的に遠いであろう北米市場に対して,朝の国の出身キャラクターである「ウサ」や「メグ」,そして韓国の伝統文化を題材にした世界観を発表し,アピールする必要があったのだろう。
このイベントでは,黒い砂漠の総括プロデューサーであるキム・ジェヒ氏が新コンテンツを発表するだけでなく,現地のプレイヤーたちとのコミュニケーションも行ったのだが,ジェヒ氏の写真を撮ったりするためにプレイヤーが列を作るほどの人気ぶりだったそうだ。
新規コンテンツを発表するキム・ジェヒ氏 |
現地プレイヤーとのコミュニケーションの時間も設けられた |
続いて,7月8日にフランスのパリで開かれたTwitchConにも黒い砂漠は出展された。ここではトラック型の目立つブースを設営し,中にはPCを設置,ボス討伐コンテンツ「黒い祠」がプレイできるようになっていた。家庭用ゲーム機で遊べるような戦闘と似た黒い祠は,欧州でも好評だったようだ。
TwitchConに出典されたトラック型ブース。朝の国のボス「ドゥオクシニ」がデザインされている |
トラック型ブースの内部。黒い祠を完了するとクーポンも配布されたそうだ |
こういった精力的な取り組みは功を奏して,Pearl Abyssの直接運営になった2021年7月以降,黒い砂漠の利用者数は全世界で過去最多を達成したという。Steamの北米地域では同時接続者数3万3546人,「最多販売(Top Seller)」も前週比50段階上昇した13位を記録。欧州圏最多販売記録もベルギー4位,ノルウェー5位,ドイツ8位などと活躍している。
なお,Steam版のほか,Pearl Abyssが直接提供するクライアント版も別にあり,プレイヤーはそちらのほうが多いと思われるので,これがすべてではないだろう。
また,映画やゲームなどの評価を行う専門サイトMetacriticで,「朝の国」アップデートが81点と高い評価を受けている。韓国内でも同様に好評のようで,プレイヤーが殺到して新規冒険者のための専用サーバーが1個から7個に,シーズンサーバーは5個から13個に増えた。それでも,だいたいのサーバーが「非常に混雑」と「混雑」という状態が続いているようだ。
世界的に見ても,ゲーム順位サイトの上位圏に上がったり,メジャーなゲームストリーマーが黒い砂漠を実況配信したりと,ここ最近は特別な盛り上がりだ。グローバル最大のコミュニティであるRedditでは,世界各地のサーバーの飽和状態について,「初めて体験すること」「南米サーバーも飽和状態だ」など共感するコメントも見られた。
「毎週アップデート」がもたらす継続的な変化と改善
ここからは筆者が日本人プレイヤーとして感じた,「黒い砂漠の成功のポイント」を考察していきたい。
黒い砂漠は,かなり頻繁に,それこそ毎週のようにアップデートが行われている。これは一種の「アジャイル」的な開発手法ではないかと筆者は考える。要は,小さなコアとなるものを作り,それをブラッシュアップして完成に持っていくスタイルだ。
誤解を恐れずに言えば,黒い砂漠では,さまざまなコンテンツや機能について,リリース時はやや大味な状態で実装されることも少なくない。新機能も最初は使い勝手が今一つで,プレイヤーからの評価も低いことがある。しかし,プレイヤーのフィードバックを受けて必要な機能を整え,短い時間で洗練させていく……というのが,黒い砂漠らしさでもあるのだ。
例えば,2022年3月に実装された「遺物」という装備は,いろいろなビルドを作ることができる新たな装備部位だが,「既存のバッグに遺物がどんどん増えて困る」というプレイヤーの声が多かった。その後,5月には遺物専用のバッグが追加され,その中に収納できるように改善されている。
最初からこうであれば,と思うプレイヤーはもちろんいるだろう。一方で,まずはベースとなるシステム,今回で言う遺物で“変化”を起こし,プレイヤーからのフィードバックを受けて(もしくは,ある程度想定していたのかもしれないが),素早く“改善”するという手法は,プレイヤーを待たせず新要素を体験させられるし,プレイヤーが望む形の最終形へと導きやすいという意図もあったのではないだろうか。
近年では,そうした改善をゲームバランスであったり,使い勝手であったりまで広めている。その結果が,2022年の「最も改善されたMMORPG」としてノミネートされた理由でもあるのだろう。
ソロプレイヤーに優しいゲームデザイン
サービス初期から変わらない部分もある。それは,「ソロプレイヤーでも問題なく,自分のペースで遊び続けられるゲームデザイン」ということだ。
例えば,同じメンバーで一緒に進めていくようなゲームだと,しばらく不在にしてから復帰すると,仲間と進行度が合わなくて一緒に遊びづらくなってしまう。黒い砂漠はこれを避けるため,メインのストーリーラインから装備強化,ボスの討伐まで,徹底して「ソロ」で遊べるように作られている。そのため,ゲームに戻ってきたときも,ほかのプレイヤーの進捗に影響されることがない。
人それぞれに楽しめる多様なコンテンツ
黒い砂漠が長期的には何をするゲームなのか?というと,「お金を稼ぐゲーム」だと思う。強い装備などのアイテムのために,取引所でお金を出して買う必要があるからだ。これはソロプレイヤーもギルドなどに所属するプレイヤーも変わらず,逆に言えばソロプレイヤーでもコツコツお金を貯めれば,最高クラスのアイテムを購入できるのだ。
そして,お金稼ぎには大きく分けると「戦闘」と「生活」のコンテンツがある。アクションが好きな人は「戦闘」が楽しめるだろうし,じっくり思考型の人は,「生活(生産)」に面白さを感じるだろう。
実際にプレイしてみないと,どのコンテンツにハマるか分からないものだ。生活コンテンツをプレイしようと思った人が,スタイリッシュな戦闘に魅了されることもあれば,戦うために始めたのにいつのまにかエクセルで帳簿をつけるほどのガチ農民になってしまった……なんてこともある。いずれにせよ,膨大なコンテンツに支えられて,黒い砂漠はあらゆるプレイスタイルを許容する,懐の深いゲームに仕上がっている。
生活コンテンツの中でも「狙撃銃」のようにアクション性が高いものもある |
FPSのように動物を狙ってハンティング。倒した動物の素材をそのまま売ってもいいが,料理をして更に価値を上げれば高い収益になる |
8月30日までの期間限定で「幻想馬」がもらえる! 夏のイベント「水宮」も開催
最後に,この夏の主要なイベントを紹介したい。
まずは,「幻想馬」の配布だ。幻想馬はグライダーのように飛べる「アドゥアナート」,足場の悪い砂漠地帯を疾走できる「ディネ」,炎を纏って高速で走ることができる「ドゥーム」の3種類が存在する。このうち1種類を,クーポンを入力すればすぐ入手可能だ。幻想馬はガッツリとプレイしないとなかなか手に入らないので,これをゲームスタートから利用できるのは,とても貴重だと言える。なお,初心者にはアドゥアナートがとくにおススメだ。この機会に貴重な馬を獲得してほしい。
[EV] 水着選択箱などがもらえるクーポンも公式サイトで発行中だ(2023年9月5日23:59まで)。夏らしい装いが楽しめる。
そして,今年はまったく新しい夏のイベントとして,8月2日アップデートより「水宮」が開催中だ。その内容をティザー動画で確認して,涼しげな夏のイベントを楽しもう。
「黒い砂漠」4Gamerサテライトサイト
「黒い砂漠」公式サイト
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