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触ってみたぞNVIDIA「SHIELD」。コンシューマゲーム機と遜色ない使い勝手のAndroid端末
会場内では「League of Legends」「StarCraft II: Heart of the Swarm」「World of Tanks」を中心としたゲーム大会が行われたほか,NVIDIAをはじめとしたハードウェア・ソフトウェアの各関連企業がブースを出展。それらのなかでも最大の注目を集めていたのは,NVIDIA初の携帯ゲーム機型Android端末「SHIELD」だ。会場でプレイアブル出展されていたほか,イベントの会期中にプレス向けカンファレンスも開催されるなど,北米地域における6月発売に向けて,大詰めに差し掛かってきていることがうかがえた。
4Gamerでは,これまでSHIELDの各機能については何度も記事化しているので,今回はそういった基本情報は省いたうえで,実機を遊び倒して分かったことや感じたことを中心にレポートをお届けしたい。
携帯型ゲーム機でありながらAndroidのメリットを丸ごと享受。融合による相乗効果は大きい
さて,いきなり結論めいたことから始めるが,SHIELDの使い勝手は,コンシューマ系の携帯ゲーム機や,据え置き機のゲームパッドと比べて,決して劣るものではない。SHIELDがNVIDIAにとって初の携帯ゲーム機であることを踏まえると,これはかなりすごいことだ。
「ゲーム&ウオッチ」や電子ゲーム(LSIゲーム)の頃から携帯型ゲームを使っていた筆者は,長年の刷り込みもあってか,SHIELDを手に取った瞬間,「これはコンシューマ系の新しい携帯ゲーム機なんだ」と脳内で自然と認識していた。ゲームを少し遊んでみても,その認識は変わらない。
だが,じっくり触っていくうちに「これはAndroid端末でもある」と否応なしに気付かされた。このときの驚きは,事前に想像していたのとはまるで違う次元のものであった。
このハードウェアがAndroid端末であることを分かりやすい形でアピールしているのが,本体の真ん中に配置されたNVIDIAのロゴ入りの「Tegra Zone」ボタンと,その右下に配置された「Androidのホームボタン」である。
例えば,Androidのホームボタンを押すと,まぁ当たり前だが,電源が入っていれば,いついかなる場合でもAndroidのホーム画面に切り替わる。ゲームで行き詰まったら,そのバックグラウンドでWebブラウザを起動し,攻略サイトを調べたりできるわけだ。もちろん,そのほかのAndroid機能やアプリも全部使えるし,音楽や動画は,SHIELDに搭載される高品質なステレオスピーカーで楽しめる。
折り畳んだときの厚みを減らすためか,SHIELDのアナログスティックの高さはあまりないが,それによる遊びにくさは感じなかった。ゲームパッドの各ボタンが並んだ面は,筐体中央に向けて少しずつ凹んでいく形状になっており,それがスティック近辺で最も深いデザインだからだろう |
筐体の塗装は基本的にマット仕上げで,側面などの一部で光沢仕上げとなっている。握っている最中に滑ったり,逆にベタ付いたりはしなかった |
アナログスティックに関していうと,“端を”押さえて倒すと指先が軽くぶつかる(挟まれる)のが少々気になった。しかしスティックの中央をきちんと押さえることを心がければ大丈夫だ |
液晶パネル部分は基本的にAndroidタブレットとしても扱える。(アナログスティックなどの一部を除き)ゲームの操作をタッチで行え,画面上から下へスワイプすればタスク一覧も表示される |
そういった数多くある機能のなかでも,従来型の携帯型ゲーム機に対する強烈なアドバンテージといえるのが,Tegra ZoneやAndroidマーケットなどを通じて提供される,膨大なゲームアプリや一般アプリの存在だ。さらにPCストリーミング機能を使えば,PCゲームまでがその中に含まれる。
たとえハードウェアとしての完成度がどれだけ高かろうと,実際に遊べるゲームが少なければ,ゲーマーにとって魅力的とはいえない。一概に数だけを比べるのはいささか飛躍しすぎだが,SHIELDのローンチタイトルは少なく見積もっても10万本以上だ。
また,近年のコンシューマゲーム機はスペック上昇と共に開発費が大きく高騰している。今年は据え置き型ゲーム機の次世代機が登場する予定だが,それとて例外ではないだろう。マルチプラットフォームといえども,それぞれ作り直す手間だって決して少なくない。
その点に関しても,開発会社はAndroid用に一度作れば,SHIELDに完全対応させるための手間はそれほど掛からない(ゼロではないが)。SHIELDのリリース後のゲーム供給の面においても,ゲーム専用機と比べて明るい兆しが見えそうである。
Sony Ericssonの「Xperia Play」やArchosの「GamePad」など,ゲームパッド的な入力系を持ったAndroid端末というものは,いくつか存在していた。ただ,手に持ったときの「コンシューマ系携帯ゲーム機」感は,SHIELDが圧倒的だ。それに,Androidとしての各機能が凝縮され,一つのハードウェアとして仕上げられている。これはゲーム業界において唯一無二の存在ではないかと思う。
筆者は最新ハードだからといって無闇に飛びついたり,極端にガジェット好きというわけでもない。根っからのゲーマーで,ゲームハードは結局は遊べてナンボだと思っている。それでも,今こうやってホテルで原稿を執筆していても,SHIELDが欲しくて欲しくてたまらない。
日本はコンシューマゲーム大国ということもあり,携帯ゲーム機に対して筆者のような固定イメージを持っている読者は多いだろう。それだけに,今回の取材で受けた衝撃は,テキストだけではなかなか伝えきれないと思う。北米地域でのリリースを控えているが,もし機会があれば迷わず手に取り,筆者の驚きを共有してほしいと思う。
SHIELD公式Webページ(英語)
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