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[COMPUTEX]NVIDIAの「SHIELD」最終製品版が初公開。ハードウェア仕様とストリーミングできるPCゲームの条件を総チェック
1月の2013 International CESで発表されて以降(関連記事),4Gamerでは3月のGPU Technology Conference 2013に最初の試用レポートをお届けしていたが(関連記事),ようやく量産原型となる最終製品版が公開されるに至ったわけだ。
NVIDIAでTegraのテクニカルマーケティングマネージャーを務めるSridhar Ramaswamy(スリドハー・ラマスワミー)氏によると,最終製品版では3月に披露された開発途上版と比べても,さまざまな部分で細かく改良が入っているという。さっそくその改良点をチェックしてみた。
左が開発途上版で,右が最終製品版のアナログスティック。背が低くなり,4つの突起が追加されている |
スティックに関するβテスターからのフィードバックには,「2本あるアナログスティックが中央に寄りすぎている」という意見もあったそうで,最終製品版では両スティックの配置を,それぞれ数mmほど外側へ移動させたという。実際,隣に置いて新旧SHIELDを見比べてみると,それがはっきり分かるほどだ。
Ramaswamy氏によると,「握ったとき指に暖かい風が当たって不快に感じたり,特定の部位が熱くなって持ちにくくなることはない」そうだ。
排気孔と各種インタフェースは,左右トリガーの間に配置されている(左)。右は本体底面のグリップ部 |
なお,ハードウェアスペックやボタン,インタフェース類に変更はない。
本体天板部のカバー(左の銀色部分)はマグネットで取り付けられており,簡単に取り外せる(右)。カバーは銀色のほか,黒色と,カーボンファイバー調のものが用意されるという |
ゲームのストリーミングは“基本的に”全タイトル対応
4Kビデオ再生のデモも
まずGPUには,デスクトップPC向けの「GeForce GTX 650」以上が必要とのこと。SHIELD向けのゲームストリーミングでは,KeplerアーキテクチャGPUに統合されるビデオエンコーダ「NVENC」によるH.264リアルタイムエンコード機能を使って,映像を生成している。それゆえに,「Kepler世代が必須」なのは容易に想像できるのだが,現時点では単にKeplerというだけでなく,GeForce GTX 650以上と決めうちされている。
ノートPC用GPUでのサポートについてRamaswamy氏は,サポートの可能性があることは示唆していたが,しばらく先の話ということになりそうである。
ストリーミング配信できるゲームの条件だが,NVIDIAが言うには,原則的にはすべてのPCゲームが配信可能であるという。GeForce Experienceにリストアップされている必要があるとか,特定パブリッシャのものでなければダメだとか,そういう縛りはいっさいないと明言された。
SHIELDの右スティックはマウスカーソル操作に対応しているが,それ以外のボタンはキーボードの特定キーに割り当てられているわけではないし,SHIELD側でキーマップのカスタマイズ機能を用意しているわけでもない。そのため,XInput対応のゲームパッドで操作できるタイトルでなければ,満足にプレイできない可能性がかなり高い,というわけである。「PCゲームをプレイできるモバイルゲーム機」を謳うなら,今後の改善を期待したいところだ。
4Kビデオの再生といっても,やっていること自体はシンプルで,SHIELD側のHDMI出力と4Kテレビ側のHDMI入力を,一般的なHDMIケーブルで接続しているだけだ。見たところ再生映像には目立ったコマ落ちもなく,3840×2106ドットの映像を30Hz(30fps)で問題なく出力できていた。
SHIELDと84インチ4Kテレビによる4Kビデオ再生デモ。右の写真に見えるテレビ側の「2160p 30Hz」という表示がその証。両者はHDMIケーブルでつながれている |
NVIDIAの担当者が言うには,「SHIELDで動かしたAndroidゲームを4K出力することも技術的には可能だが,3Dグラフィックスゲームを4K解像度で,しかも現実的なフレームレートでプレイできるように表示するのは難しいかもしれない」とのことだ。逆に言うと,2Dグラフィックスで高いフレームレートを要求しないゲームであれば,それなりに動かせるということだろうか。もっともNVIDIAは基本的に,「SHIELDでの4K表示はビデオ再生時に利用するもの」という態度であるのだが。
最後に,最も気になるSHIELDが日本で販売されるのかについては,今回は言及されなかった。4Gamerでは以前に,NVIDIAが国内発売に向けて動いているという情報をお伝えしているが(関連記事),NVIDIA Japanの担当者は「どういう方法で販売するのがいいでしょうか」と日本の報道関係者へ意見を求めていたくらいだったので,北米市場とほぼ同じタイミングで日本にも投入……という可能性は低いと思われる。
SHIELD公式Webページ(英語)
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