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MMORPGはここからが勝負――「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」ローンチ直前,プロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏インタビュー
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印刷2013/08/27 00:00

インタビュー

MMORPGはここからが勝負――「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」ローンチ直前,プロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏インタビュー

画像集#024のサムネイル/MMORPGはここからが勝負――「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」ローンチ直前,プロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏インタビュー
 2012年11月11日に「旧ファイナルファンタジーXIV」(以下,旧FFXIV)がグランドフィナーレを迎えてから約9か月。いよいよ,2013年8月27日に「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」PC / PS4 / PS3 以下,新生FFXIV)がローンチを迎えることになる。

 一度失敗したMMORPGを立て直すというのは,通常では考えられない茨の道だ。しかし,プレイヤーの信頼を取り戻すべく,スクウェア・エニックスは全社をあげてこのプロジェクトに力を注いできた。その全貌はオープンβテストに相当するβテストフェーズ4(8月17日〜19日)や,アーリーアクセス(8月24日〜)という形で世界中に披露されており,すでにプレイに励んでいる読者も多いだろう。今回は,いよいよ正式サービスを迎える本作のプロデューサー兼ディレクターである吉田直樹氏に,ローンチへの心境を聞いてみた。
 また,新バトルクラスの「巴術士」やその派生ジョブ「召喚士」「学者」のほか,新生FFXIVプレイヤー必携と言いたくなるスマートフォンアプリ「ライブラエオルゼア」の詳細も聞いているので,お見逃しなく。


ついに迎える,新生FFXIVのローンチ

MMOはここからが勝負


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。いよいよローンチを迎えるわけですが,吉田さんのいまの心境をお聞かせてください。

画像集#004のサムネイル/MMORPGはここからが勝負――「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」ローンチ直前,プロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏インタビュー
吉田直樹氏(以下,吉田氏):
 そうですね。ようやくスタートだな……という感じですね。
 この仕事を引き受けることになった瞬間は,新生なんて考えてもいなかったですし。ですから,一番最初のインタビューをお受けしたときも,とにかくまずは調査から始めますと言っていたと思います。

4Gamer:
 そうでしたね。

吉田氏:
 その2か月半後にすべて作りなおそうという話をして,そこから本当によくここまできたなという感覚だけがあります。すでに先のパッチまで計画していて,エクスパンション(拡張)のプロットも1回書いていますし,直近のパッチ「2.1」「2.2」「2.3」ぐらいまでは,具体的な落とし込みに入っています。忙しくて,日にちの感覚がまったくないんです(笑)。

4Gamer:
 まだまだ続いているような感じでしょうか。

吉田氏:
 そう,MMOはまさしくローンチからが勝負です。それこそ4Gamerさんは,立ち上がっては萎んでいく作品を数多く見てこられたと思いますが,そうならないようにしていかなければなりません。MMOはアップデートの遅れや,エンドコンテンツ不足でつまずきがちなので,やはりここが終着点だと思わないことが大事です。まだ,しばらくはフルスピードでいきます。

4Gamer:
 では,ローンチを迎えても,そこで一区切りという気分ではないと。

吉田氏:
 ないですね。半年ぐらい経って,プレイヤーのみなさんと何か交流できるイベントがあったら,そのときに初めて実感するのかな? という気がします。少なくとも僕はプロデューサーなので,やはり最初の課金日を越えないと,なにも実感は湧かないと思います。
 でもフェーズ3では,ワイプ前提のクローズドβテストにも関わらず,1時間以上プレイしてくれた人達が約50万人もいたんですよ。その50万人の平均プレイタイムが約30時間。これは,やっぱりとても嬉しかったです

4Gamer:
 1時間以上プレイした人は,そのままゲームにハマったわけですね。

吉田氏:
 はい。さらに300時間を越えている人もいて。トータルで13日間しかサーバーを開けていないのに。

4Gamer:
 300時間……って,最初からずっとログインし続けていたわけですか(笑)。

吉田氏:
 そうなんです。それは極端な例としても,普通,データがワイプされるクローズドβテストの平均プレイタイムは2〜3時間です。ですが,50万人以上の人が30時間も遊んでくれました。コンソールゲームなら1〜2本はクリアできる時間ですよね。

4Gamer:
 ワイプ前提のβテストに費やす時間としては,破格だと思います。

吉田氏:
 それぐらい楽しんでもらえているというのは,僕らにとってとても心強かったことです。なんだかんだいって,数字は嘘をつきません。
 このまましっかりと,ボリューム感のあるローンチをするので,ぜひ時間の許す限り,体力のもつ限り,遊び尽くしてください。そしてその先も,遊びきれないぐらいにアップデートもかけていきます。

4Gamer:
 それは楽しみです。ところで「2.1」「2.2」といったアップデートはどのくらいのペースで実施される予定でしょうか。

吉田氏:
 およそ3か月に1回です。コンテンツを単独でアップデートするようなことはせず,複数を一気に入れていきます。ダンジョンもパッチごとに増やしていきます。

4Gamer:
 そのローンチ後の計画ですが,ロードマップ的なものを公開する予定はありますか。

吉田氏:
 「ファイナルファンタジーXIV」(以下,旧FFXIV)のときにやっていたスタイルを考えています。「2.3」ぐらいまで,だいたいこんなペースでいきますというのを1回出します。あとはプロデューサーレターやプロデューサーレターLIVEで進捗状況をお伝えする感じですね。
 でも,プロデューサーレターLIVEを頻繁にやろうという話もしているので,月1回のペースで配信して,そこで映像を見せながらお知らせしていくほうがいいのかなという気もしています。

4Gamer:
 プロデューサーレターLIVEは続けていくんですね。

吉田氏:
 はい。実はロードマップの作成は,テキストを作るのが結構大変で……(苦笑)。翻訳をする必要もあって,そうなると公開日よりかなり前に僕がまとめなければいけないんです。

4Gamer:
 なるほど。

画像集#005のサムネイル/MMORPGはここからが勝負――「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」ローンチ直前,プロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏インタビュー
吉田氏:
 新生FFXIVでは,1つのパッチのボリュームが旧FFXIVの比ではないので,それを全部やっていたらシャレにならないと思っているので,やり方は少し考えます。いずれにせよ,開発進捗状況はレターだったりLIVEだったりを通じてしっかりとお伝えしていきます。

4Gamer:
 分かりました。あとプレイヤーの中には,吉田さんがいつまで開発チームを率いてくれるのか……と心配されている方も多いようですが,その点はいかがでしょう。

吉田氏:
 そんなに不安がっているんですか?(苦笑)
 僕自身は,離れるような発言はしていないと思うんですが……どこからその話が始まっているのかが分からないんですよ。でも,そうですね,最低でもあと5年とかは必須なのかなと。そもそもモルボル(※FFXIVコミュニティチーム 室内俊夫氏)に,近々でチームから抜けるなんて言ったら「はぁ!?」という感じだろうし(笑)。

(※モルボル氏うなずく)

吉田氏:
 後釜をどうするか,僕が抜けた後どうするかなんて,まったく考える余裕すらなくて,ここまで突っ走ってきました。そんなことを考えていたら,大規模なアップデートなんて連続してかけていけませんから。だから僕の生活は先ほどお話したとおり,おそらくローンチしてから1年近くは何も変わらないでしょうし。

4Gamer:
 きっと話の出どころは,「ドラゴンクエストX」(Wii / WiiU / PC 以下,ドラクエX)の生放送番組内で「こっちに戻ってくるんだよね?」と言われていたことでは,と思うのですが。

吉田氏:
 あー……。いやいや,あそこはドラゴンクエストXのお客様が大勢見ている場ですから,あの会話のなかで「いや,戻りませんよ」なんて言えるわけもなく,確かに中途半端でしたかね(苦笑)。

4Gamer:
 ごもっともです(笑)。

吉田氏:
 一方で,「戻ることもあるかもね!」なんて言ったら,新生FFXIVプレイヤーのみなさんも見ているわけですから,「はぁ!?」となりますし。あの場合,僕はどっちを答えても反逆者になるわけで,藤澤さん,そんな質問しないでよ……と思いました(笑)。あと,プロデューサーレターLIVEを14回まではやりたいね,と言ったのも影響しているのかな。14回やったらこいつ抜ける気だな? と。そんな簡単にやめられないです。

4Gamer:
 みなさん,ひと言ひと言を勘ぐりすぎているわけですか。

吉田氏:
 もちろん,それはありがたいことでもあるのですが。FFXIVは,すごく特殊なプロジェクトですから,もともとプレイヤーの目から見える部分を一人に集約させたかったんです。非常に厳しい状態からのスタートでしたので,仮に批判されたとしても,批判されるのは一人でいい,よかったと言われるのも一人でいい,言葉を発するのも一人のほうが結果的にしっかり伝わるんです。

4Gamer:
 それが吉田さんだったわけですよね。

吉田氏:
 そうです。でも,選んだ戦術がこうなっただけであって,ゲームなんて一人では作れません。開発のコアメンバーがいて,サポートがいて,宣伝がいて,開発チームではないところからの社内支援もあって,そして今の新生FFXIVが生まれています。それに,まだやれることは山ほどあるし,これだけ苦労したんですから,これからのほうが楽しみですよ。だから安心してください!

4Gamer:
 そこまで力強く公言してもらえると,不安はなくなりそうですね。

吉田氏:
 とはいえ,僕がなにか失敗したら,評価はあっさり変わると思いますし,これからも慎重にがんばります(笑)。

4Gamer:
 あー……いまの期待が大きいだけに,そうなったら落差も大きくなりそうではありますが。

吉田氏:
 当然ですが,お客様あってのものなので,そういう意味だと僕が続けるもやめることになるのもみなさん次第です。みなさんに望まれているうちは幸せなので,続けていけると思っています。
 後先は本当に何も考えていないですが,やっとみなさんに楽しんでもらえるところまで来ましたからね。プロデューサーレターLIVEも20回だろうが30回だろうが,いいんじゃないですか。それこそ14回やってから考えますよ。

4Gamer:
 14回目で重大発表! とか。

吉田氏:
 XIVというナンバリングを外して,「ファイナルファンタジーオンライン」にタイトル変更します! みたいなこともあるかもしれないですね(笑)。

4Gamer:
 えええ,それはアリなんですか?

吉田氏:
 別に,アリかなと思っています。「ファイナルファンタジーXV」(PS4 / Xbox One)が出たら,ナンバーとしてXIVは古くなります。例えば友達に「XIVやろうぜ!」と言われても「だってもうXV出てるじゃん」となりますし,それよりは常に最新作のほうがいいかなと。前に進んでいくんだったらナンバーを外して,唯一無二のタイトルにしてしまったほうが,きっと新規の人達にも分かりやすいのかも,なんてことも思ってます。
 まあ,そんなことまで考えているぐらいなので「ローンチしたから,僕は2.3のパッチで終わります!」みたいなことはないです。

4Gamer:
 吉田さんはやめる気がないということで,今後も大いに期待したいです。

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