プレイレポート
「Total War: Arena」が,Wargamingの台湾イベントでプレイアブル展示。日本語版も予定されている本作の現状について話を聞いた
「Total War: Arena」公式サイト
そんな「Total War: Alena」が,台湾で開催されたイベント「Wargaming.net League APAC Season 2 Final 2016-2017」でプレイアブル展示され,合わせて関係者に話を聞くことができたので,その模様をお伝えしたい。
本作が一般向けにプレイアブル展示されるのは,2015年にドイツで開催されたgamescom,そして今年初めにロシアで行われたイベント以来となるとのこと。これまで発表された情報と重複する部分もあるかもしれないが,RTSファンはぜひチェックしてほしい。なお,ゲーム画面の撮影は禁じられており,掲載したのは提供されたオフィシャルフォトだ。
Creative Assemblyが開発する「Total War」シリーズは(例外もあるが)ターン制の戦略パートとリアルタイム制の合戦パートによって構成されるゲームで,戦略パートで内政や外交,技術開発などを行い,合戦パートで敵の軍団と戦いに挑むというもの。PCのRTSといえばマルチプレイがメインだが,「Total War」シリーズは,どちらかといえば対CPU戦を楽しんでいる人が多いという。
膨大な数の軍勢が平原で激突する様子はシリーズの華であり,ズームアップすると1人1人の兵士が確認できるというグラフィックスの緻密さにも相当な力が入っている。
ただ,一部を除いてシリーズ作品は日本語版がリリースされておらず,日本ではやはりコアゲーマー向けのPCタイトルという雰囲気だ。
Wargamingがサービスを発表した「Total War: Arena」は,そんな「Total War」シリーズから戦略部分をバッサリ落とし,マルチプレイでの戦いに特化したゲームとして開発が進められている。開発は引き続きCreative Assemblyが行っており,Wargamingはオブザーバーという立場だ。
最大で10人対10人のプレイヤーが2つの勢力に分かれて戦うというシステムで,現在はαテストのフェイズ6が行われており,近々,フェイズ7に進む予定だという。プレイヤーは3つのユニットを操作でき,各ユニットには100人の兵士がいるので,マップ全体では3000人vs.3000人の兵士がぶつかる,「Total War」シリーズらしい壮大なバトルが繰り広げられるわけだ。
現在のところ勝利条件は,敵の部隊を全滅させるか,拠点を制圧するというものになっている。
試遊台のクライアントには,「Roma」(ローマ),「Greek」(ギリシャ),そして「Barbarian」(バーバリアン)という3つの勢力が用意されており,それぞれの勢力の2人〜3人のコマンダーのうちから1人を選択して戦場に挑む。
コマンダーとしては,ローマがGermanicus(ゲルマニクス),Scipio Africanus(スキピオ・アフリカヌス),Julius Caesar(ユリウス・カエサル),ギリシャがCynane(キュナネ),Leonidas(レオニダス),Miltiades(ミルティアデス),そしてバーバリアンがArminius(アルミニウス),Vercingetorix(ウェルキンゲトリクス)という顔ぶれになっている。戦国時代やナポレオン戦争,さらにファンタジー系の作品まである「Total War」シリーズだが,「Total War: Arena」はこのように,ギリシャ・ローマとそれに続く時代がメインになっており,勢力およびコマンダーは正式サービス開始後も上記のものが引き継がれる予定だ。
勢力の特徴としては,ローマが攻城兵器や投石機などのユニットに優れ,またギリシャは映画「300 〈スリーハンドレッド〉」のように,長い槍を持った重装歩兵が特徴となる。そしてバーバリアンは,馬を使った機動戦が得意で,高速性を活かした奇襲攻撃に威力を発揮する。もちろん,それぞれのユニットには長所と短所があり,例えばローマの投石機は,弓兵をはるかにしのぐ長射程を誇るが,兵士の攻撃にはもろく,移動速度もゆっくりめというアンバイになるようだ。
ちなみに攻城兵器はあるものの,マップ上に城塞は(今のところ)存在していない。ただ,バリケードのようなものを設置することは可能だ。
マップは現在のところ4つ用意されており,例えばユリウス・カエサルのルビコン川や,レオニダスのテルモピュライのように,コマンダーにまつわる土地がモチーフになっている。とはいえ,完全にそのままというわけではなく,ゲーム向けにアレンジされている。
コマンダーにはそれぞれアビリティとTierが設定されており,プレイを重ねることでそれらを伸ばし,新たな部隊をアンロックしていくというのがゲームの基本的な流れ。このあたりは,「World of Tanks」や「World of Warships」など,Wargamingのゲームをプレイしている人には理解しやすいはずだ。
ユニットもまた,戦いを重ねて得られたポイントを使い,能力や装備をアップグレードできる。
また,「World of Tanks」や「World of Waships」と同様,本作もFree-to-Playのビジネスモデルが設定されており,プレミアムユニットやユニット購入のためのゲーム内通貨などを販売するはずだ。 ただ,Garcia氏によれば,マネタイズについては現在のところあまり詳しく考えておらず,まずはクオリティの高いゲームを完成させることに傾注しているという。
戦闘シーンはさすがの迫力で,「Total War」シリーズ作品と同様,1人1人の兵士が剣をふるい,弓を引き,倒されていく様子が描かれている。地面に生えた草が風になびく様子など,グラフィックスにも気合が入っている。個人的には,視点の移動が難しく,また,部隊が行けるところと行けないところがよく分からないという気がしたが,αバージョンなので今後,良くなるはずだ。Wargamingはしつこいほど調整を入れてくるメーカーですし。
Garcia氏によれば,「Total War: Arena」は,操作の簡単さとプレイのしやすさに重点が置かれて開発が進められているという。上記のように,ビギナーにとっていささかハードルの高かった「Total War」シリーズのマルチプレイだが,本作は,歴史やRTSに詳しくない人でも楽しめるようにすることが目的になっている。ユニットはそれぞれに個性的で,あるユニットでさっぱり勝てなくても,編成を変えると楽になったりするという。いろいろなユニットや戦法を試して,自分の戦い方を見つけてほしいとのことだった。
正式サービスの開始日については,現在のところ未定で,しばらくはテストが続きそうだ。同社の他のタイトルと同様,各リージョンに合わせたサービスが行われる予定であり,もちろん日本語版も用意されている。
ちょっと気の早い話だが,サービス開始後の予定を聞いたところ,上にも書いたように,現在はゲームの完成が優先で,先のことについては何も約束できないという。とはいえ,「Total War」シリーズには日本の戦国時代をテーマにした作品が2つもあるし,ナポレオン時代の戦いを好むプレイヤーがいることも理解している。戦象,チャリオット,さらに時代が進んで,大砲や種子島(銃)など,多くのプレイヤーが望めば,登場することになるという。Garcia氏自身も,個人的に侍はほしいそうだ。
サービス開始前後にはプロモーションも行われるはずで,各地域のマーケティング担当者はすでにその準備にも入っているという。日本の場合,「World of Tanks」や「World of Warships」がアニメとのコラボでプレイヤー数を伸ばしたという実績もあるので,「Total War: Arena」でもそうしたプロモーションが考えられるとのこと。ギリシャ・ローマ時代を描くアニメやコミックスは寡聞にしてよく知らないが,ここだけの話,Garcia氏はマンガの「テルマエ・ロマエ」を考えているようだった。うーむ,微妙に違うような気がするけど面白いかもしれないという気もする。
手軽に楽しめるRTSを目指して開発が進む「Total War: Arena」。もうちょっと詳しいことが発表されたら,お知らせしたい。
「Total War: Arena」公式サイト
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