連載
“こんや、12じ、だれかがしぬ”スマートフォン向け「かまいたちの夜 Smart Sound Novel」を紹介する「(ほぼ)日刊スマホゲーム通信」第435回
スマートフォンには相当な数のゲームが存在しているが,「じゃあ,どれが面白いの?」「そもそも,数が多すぎて好みのタイトルが探せない!」と思っている人も少なくないはず。 そんな問題を解決すべく,スタートした連載が「(ほぼ)日刊スマホゲーム通信」だ。話題の新作タイトルからネタ要素多めのオモシロ系まで,スマートフォンのゲームを片っ端からプレイして(ほぼ)毎日お届けする。
1994年にスーパーファミコン用ソフトとして発売され,今なお根強い人気を誇るサウンドノベルの金字塔「かまいたちの夜」。そのスマートフォン版「かまいたちの夜 Smart Sound Novel」(iOS / Android)が,2013年12月18日から2014年1月26日23:00まで,500円のディスカウント価格で販売されている。
「かまいたちの夜」に深い思い入れがある筆者は,これはいい機会とばかりに早速ダウンロード。本日の「(ほぼ)日刊スマホゲーム通信」でも紹介させていただく。
iOS版「かまいたちの夜 Smart Sound Novel」ダウンロードページ
Android版「かまいたちの夜 Smart Sound Novel」ダウンロードページ
「かまいたちの夜」といえば,ミステリー作家の我孫子武丸氏による脚本で話題となったが,ゲームシステムも当時としては非常に画期的だった。本作の存在がその後数々のサウンドノベルゲームを生んだと言っても過言ではない。
先日4Gamerに掲載された,アドベンチャーゲームのクリエイターによる座談会でも話題になったが,本作では,ゲームの進行管理にフラグがほとんど使用されていないという。バッドエンドを経験(=フラグを立てる)せずとも,プレイヤーの推理力が優れていれば,いきなり真相にたどり着くことも可能というシステムなのだ。
このシステムはゲーム開発者にとってかなり衝撃的で,それが後のサウンドノベル作品に大きな影響を与えたという。
プレイヤーの立場では,そういった面はあまり意識しないかもしれないが,そのほかにも,メインとなるミステリー編を一度クリアすると,オカルトもの,スパイものなど,まったく別ジャンルの話にも展開可能となるシナリオや,人物をシルエットで表現する手法なども斬新だった。当時はまるで映画かドラマを見ているかのような気分でプレイしたものだ。
昔話はこれくらいにして,本作未プレイの人に向けて,本作のプロローグを紹介しよう。
プレイヤーはしがない契約社員の透となり,なかば一方通行な愛を捧げている女性,真理に誘われる形でペンション「シュプール」を訪れる。当初はほかの宿泊客と和やかに交流していたが,一通の手紙が宿泊客の元に届いた辺りから,にわかに雰囲気が変わっていく。その手紙に書かれていたもの,それは「こんや、12じ、だれかがしぬ」というものであった……。
シチュエーションとしてはミステリー小説などで非常にオーソドックスな「クローズド・サークル」と呼ばれるもので,吹雪のせいでペンションに閉じ込められてしまった密室が舞台となる。ぜひ攻略サイトなど見ずに,最後まで楽しんでいただきたい。
背景はすべてHD解像度の写真に。ペンション「シュプール」が美しく蘇る |
ただし,登場人物のシルエットはなし。SFC版のプレイヤーとしてはかなり残念…… |
SFC版では少しずつ文字が表示されていき,文字が画面いっぱいになったらボタンを押して次のページへ,というシステムだったが,今作では一定量の文章が最初から表示され,画面を上にフリックして文章を滑らせながら読むという,電子書籍に近いスタイルになっている。
個人的にはじっくりと文字を追いかけるあのスタイルが好きだったので,最初は不満だったが,プレイするうちにあまり気にならなくなった。ただし,文字を読むのが速い人だと,エンディングまであっという間にたどりついて,拍子抜けかもしれない。
選択肢が表示されたときは,選びたいほうをタップすればOK。なお,一度選択したものはグレーで塗り潰され,「前にどの選択肢を選んだか分からない」という状況にならずに済むのがとてもありがたい。
さらに,下に向かってフリックするか,画面左上をタップすることでいつでも前のページに戻ることが可能になっている。選択肢を間違えたとしても,前のページに戻ってやり直せるのだ。若干緊張感に欠ける気もするが,快適さではこちらが上だろう。
二本指でタップするとメニュー画面を呼び出せ,ここからシナリオに設けられた区切り(=章ごとの先頭)まで移動できるほか,セーブも可能だ。自分の推理をやり直したいというときや,もう一度あの場面が見たいというときは,活用するといいだろう。
なお,本編となる「ミステリー編」で見事犯人を突きとめてクリアすると,「スパイ編」「悪霊編」といったシナリオが楽しめるようになる。中には徹底してコメディーなタッチで描かれる「Oの喜劇編」など,さまざまなシナリオが隠されているので,ぜひすべて楽しんでいただきたい。
シナリオや背景,BGMなどすべて一級品なので,サウンドノベルだけでなく,読書好きにも自信を持ってオススメしたい。
オリジナル版のファンにしてみると少し物足りなさを感じるかもしれないが,ペンション「シュプール」の新たなグラフィックスを確認することもでき,また違う興奮に包まれるはず。年末年始にじっくり楽しんでみてはどうだろうか。
著者紹介:トリスター/目代将規
ゲームやアニメの書籍企画,編集,シナリオライティングや広告制作なども手がける編集プロダクション「トリスター」所属。スマートフォンならではのゲームや,一瞬で遊べてしまうゆるいゲームが大好物。好きなゲームのジャンルはRPGとアドベンチャー。“モンハン”好き。
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「サウンドノベル」は、株式会社スパイク・チュンソフトの登録商標です。
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