インタビュー
「チェインクロニクル3」ストーリーインタビュー第5弾。リヴェラ伝で描いたこと,第3部9章までの解説を,松永氏ら8名に聞いてきた
今回は,昨年の目玉コンテンツとなったリヴェラ伝の話題からはじまり,メインストーリー6章と7章における一区切り,さらに物語後半戦の口火をきった8章と9章について迫っていく。話を聞いたのは,総合ディレクターの松永 純氏,シナリオチームリーダーの西 次郎氏,各主人公のシナリオ担当ライター5名,さらに新顔1名となかなかの大所帯だ。
これらのインタビュー範囲に伴い,本稿のボリュームも“相当なもの”になっているので,気合が入ったタイミングで読んでいただけると幸いである。
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アリーチェ篇:9章
エシャル篇:9章
セレステ篇:9章
アマツ篇:9章
※本稿は「チェインクロニクル3」の第3部メインストーリー9章までの内容を含んでいます。ネタバレが気になるという人は,プレイ後にあらためて読んでください。
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みんなに聞いた,リヴェラ伝
4Gamer:
約1年振りとご無沙汰しましたが,どうぞよろしくお願いします。今回もかなりの大人数ですので,それぞれの名前と担当パートをあらためて紹介してもらえますか。
松永 純氏(以下,松永氏):
松永です。チェンクロの総合ディレクターをやらせてもらってます。
西 次郎氏(以下,西氏):
西です。ライターチームのリーダーをやっております。
S氏:
Sです。アリーチェ篇を担当しております。
白沢戌亥氏(以下,白沢氏):
白沢です。セレステ篇の担当です。
海富 一氏(以下,海富氏):
海富です。アマツ篇をやっています。
吉川 光氏(吉川氏):
吉川です。エシャル篇を担当しています。
風術師氏:
風術師です。ヘリオス篇を担当させていただいています。
錬金王氏:
錬金王と申します。昨年の2018年4月から,主にイベントやコラボのストーリーを担当させてもらっています。
4Gamer:
もう,自己紹介の時点で長い。
(一同笑)
4Gamer:
さて,今回の新顔となります錬金王さんですが,これは昨年からイベント系のシナリオ制作を切り分けたということですか?
西氏:
いえ,そういうわけじゃないです。メインストーリーの担当者もイベントシナリオなどを書いていますし,メインと密接に関わるようなものなら,できるだけ該当ルートの担当者が書くべきだと思っています。人数を増やした理由はすごく単純で,シナリオ関連の作業量がいかんせん大変なことになってきたからですね。
海富氏:
メインを抱えつつ,伝承篇も抱えつつ,さらにイベントやキャラクターのストーリーもとなると状況的にきつく,「やべー!」と思ってきたタイミングで錬金王さんがチーム入りしたんですよ。今ではイベント周りをかなり書いてもらっていて,そのおかげでメインストーリーの執筆にも時間をかけられるようになって,すごく助かっています。もし「最近のメインストーリー,さらに面白くなってるな」と感じてくださっている方々がいらっしゃったら,それは錬金王さんのおかげです!
錬金王氏:
いやいやいや。ここは全員の頑張りということで……(笑)。
4Gamer:
そういうことでしたか。では謎も解けたので「リヴェラ伝」の話からスタートしますが,まず,今になってリヴェラのことを書こうと思った理由から教えてもらえますか。
松永氏:
すでにいろいろな場所でお話ししていることですが,リヴェラはチェンクロにおいて非常に大切な存在ですので,「年末年始などの大きなタイミングでリヴェラのことを書く」というのは前々から決めていました。想像するだけでも,書きたい場面はたくさんありましたしね。そして昨年になって制作に踏み切り,ライター陣とスケジュールの都合を相談して,白沢君に大筋を書いてもらうことになりました。まあ,最終的に「僕(白沢氏)が全部書きますよ!」ってなりましたが(笑)。
白沢氏:
やらせていただくことになりました(笑)。
4Gamer:
外から見ていると「リヴェラ伝のための伝承篇」「伝承篇あってのリヴェラ伝」といった,鶏と卵の構図も思い浮かびましたが,どちらが先とかはあったんですか。
松永氏:
構想自体は完全に別々でした。ただ,リヴェラのことを描くなら「やっぱり過去からだろう」と考えていたのと,人気キャラクターの過去を掘り下げる伝承篇プロジェクトも同時期に動きはじめていたので,両者を合致させたわけです。
西氏:
結果的に,すごく良い形でお届けできましたよね。ちなみに余談ですが,伝承篇を誰が書くのかは,僕や松永さんからの指名ではなく,ライター陣からの「挙手制」で決めていたりします。
4Gamer:
となると,S氏がアリーチェ篇を書いているからといって,魔法兵団学生伝も書くことが決まっているわけではないと。
西氏:
はい。もちろん,メインストーリーとの関りが強い所属の話は,その担当が挙手することが多いですが。基本は“熱意優先”です。
4Gamer:
なるほど。では,リヴェラ伝はどのような物語を目指したのでしょう。簡潔にまとめると,幼少期のリヴェラを主役に,穏やかであった生活が一変し,母の最期も看取れぬ悲壮な旅に出る彼女の姿。そして人々の尽力も空しく,黒の軍勢によって蹂躙される年代記の大陸が描かれました。話が現代に移ると,平穏を取り戻していた大陸に,突如現れた白き異形。そして物語は第3部へ――といった流れになっていましたが。
S氏:
すごい説明パート感(笑)。
4Gamer:
すみません(笑)。個人的にはリヴェラの過去の物語というより,「リヴェラたち家族の物語」になっていたのが印象的です。
松永氏:
そこはリヴェラ伝で一番こだわった部分ですので,ぜひとも白沢君に語ってもらいましょうか。
白沢氏:
分かりました。まず,チェンクロの主人公と言えば義勇軍の隊長が挙げられますが,ご存じのとおり隊長はプレイヤーの分身であり,パーソナルの情報も多くはありません。そのぶん,ヒロインであるフィーナについては彼女自身のみならず,彼女の家族が物語の主軸にいて,プレイヤーの皆さんにはそれらに感情移入してもらっていたかと思います。
4Gamer:
覚えがあります。
白沢氏:
そういった“身近な存在に感じてもらうための部分”を,隊長のぶんまで肩代わりしていたのが,フィーナとその姉のリヴェラと言えます。だから,リヴェラ伝をやるならそこを深掘りするのが正攻法だと思いましたし,彼女たちの過去を詳しく描くのは,それ自体がチェンクロの物語そのものに近づいてもらうことでもあります。もちろん,リヴェラの人気は言わずもがなですから,単体でも物語は成り立つだろうとも考えていました。
4Gamer:
一時期は「フレンド欄が全員リヴェラ」も珍しくなかったですしね。
西氏:
そういうときもありましたね(笑)。それくらい,チェンクロの世界観やストーリーを背負っているキャラクターなんだと思います,リヴェラは。
4Gamer:
争いの種を投げるわけではありませんが,ライター同士で「俺が書きてえ!」はなかったんですか。
西氏:
ああー,それは……はい。
海富氏:
普通にありました(笑)。みんなが「書きたい!」って言いましたね。ただスケジュールの都合もあって,あのタイミングで最も腰を据えて書けたのは白沢さんしかいなくて。それに僕らとしても,リヴェラは迂闊に触れないキャラクターというか,そういう存在感のあるキャラクターです。やると言うからには,相応の意気込みは必要でしたよね。
吉川氏:
リヴェラはメインストーリー上では,第2部の物語後半で活躍します。つまり,ゲームの深い部分で活躍しているキャラクターなので,彼女を好きなファンも“そこまで遊んでくださっている熱いプレイヤーさん”だったりしますしね。
風術師氏:
そうなんですよねー。これまでのキャラクター性をしっかりと掴みながら,目新しい舞台も整えたうえで,さらにより美味しく調理しなければならないという。
S氏:
私にとってはシュザ様と同じくらい触れられないキャラです(笑)。
吉川氏:
ただ,僕は白沢さんがリヴェラ伝を書くと聞いたとき,正直羨ましかったです。白沢さんとは別の形でしたが,書きたいこともいろいろありましたし。
松永氏:
うん。吉川君は「絆の新大陸 Sequels リヴェラ篇」を書いていたから,あらためて描きたい部分もいろいろあったはずだよね。
吉川氏:
はい,だからこそ余計にですね。でも,僕があの当時に書いたのが“カリスマのリヴェラ”だったとしたら,リヴェラ伝はそこからも情報を取り上げつつ“等身大のリヴェラ”になっていて,完成稿を読ませてもらったとき,「ああ,この面白さは,白沢さんだからこそだな……」って……。
西氏:
ちょっと! なんか変な感じが出ちゃってますよ!
吉川氏:
素直な感情が漏れ出ちゃいました……。
4Gamer:
それもまた切磋琢磨ということで(笑)。
西氏:
たしかに,これまでのリヴェラは人間離れした“強キャラ”的な存在感を放っていましたが,今回でガラッと印象が変わった方々も多いんじゃないでしょうか。リヴェラ伝では父,母,フィーナやセレンといった周囲の登場人物とともに,彼女を幼少期から描いていくことで,今までとは違う彼女の一面を見せられたと思うので。
4Gamer:
作中でも言われていましたが,明察なものの脳筋っぽさがある,リヴェラのガキ大将っぷりがよかったです。リヴェラ伝では終始,彼女の弱味が先立っていたこともあって,決して万能じゃない,最強でもない,だからこそ仲間たちとの助け合いが光る。そんな人間臭い彼女の雰囲気がとても魅力的でした。なんで私が論じてるんでしょう。
風術師氏:
いえいえ,プレイヤー側からの感想は大変ありがたいですよね(笑)。
白沢氏:
私としましては,プレイヤーの皆さんの中に「お姉ちゃんで」「超強くて」「ひとりでもなんでもできちゃう」みたいなイメージがあると仮定して,ならば“そういう人間になれるまでにどのような成長や過程があるべきか”を考えていき,下から物語を積み上げて,最終的に現在の「みんなの中心にいるリヴェラ」になるようにと書いていきました。
4Gamer:
その考え方は面白いですね。キャラクターの成長や背景が,ただの設定文として先行しているわけではないというか,「今がこうだから昔はこうだったかもしれない」みたいな流れで人格を形成していくのが,まさに生きたキャラクター作りみたいというか。
吉川氏:
伝承篇はそういった方向性からキャラクターを掘り下げられる,キャラクターをより生き生きと見せられる題材ですよね。実際,書いていて面白いですし。
4Gamer:
ただ,あえて難癖をつけるならば,年代記の面々が出てくるとですね,読めないんですよ。神器の名前が……。ルビが振られてる「時乃鑢(ときのやすり)」はまだしも,未だに「ほかのはどう読むんだよ!」って首を傾げていたり(笑)。
西氏:
すみません(笑)。読み方もすべて設定してあるので,機会があればどこかで公開してもいいんですが,今さら感もあったりして。
白沢氏:
第2部を制作していた当時,各自で命名したものも結構ありますよね。「神器の名前はもはや読めなくてもいいから」と言われ,字面のかっこうよさ重視で,読む人が笑わなければいい,ってくらいのルールで。
海富氏:
漢字の雰囲気だけで命名しましたよね(笑)。
松永氏:
あと,リヴェラ伝の物語をどのようなエピソードで構成していくのかは,あらかじめ白沢君と相談したうえで決めたんですが,そこからプロットを起こして,実際に書いて,監修に回してもらうまで,白沢君にはほぼ口出しせずでした。その後のチェックにしても「リヴェラは本来こうだから」みたいな手入れは,僕も西君もほとんどしていません。
西氏:
口を出したのは,第1部から第3部までの時系列や整合性に関わる描写など,設定部分のつじつま合わせだけでしたね。なので,リヴェラ伝は最初から最後まで,白沢さんの中で迷いなく,持ち前の熱量で書いてもらったと言えるんじゃないかと。
松永氏:
うん。監修役としては,例えば「黒の王になる父親の描写」とか。メインストーリー第1部は,当時プレイしていて感じた印象と,あらためて読み返したときの印象が結構違っていたりしたので,「きっと多くのユーザーさんはこう解釈してるから,こう描こう」を注意していました。逆に言うと,そういう深いレベルのつっこみしかしなかったです。
海富氏:
「ここまで書くか!」と思うくらいの踏み込みは,白沢さんの葛藤と決断の末だったんだろうと,傍から見ていて思いました。ボリュームも通常の伝承篇とは違って,白沢さんから「もっと書きたい!」と相談されて,気づけば全11話になっていましたし。
4Gamer:
プレイヤーからの評価を大別すると「面白い」「泣いた」「長い」に集約されていましたね(笑)。
白沢氏:
ほかの部署の人からも「リヴェラ伝,書くの?」と聞かれるくらい,社内でも注目度が高かったので,書きはじめるまでは見えないプレッシャーに怯えていました。でも,書きはじめていったらもう「殺せ! これがダメなら殺せ!」の気持ちでやっていました。監修に回すときも「殺せ! これがダメだと思うなら殺せ!」の姿勢で。
松永氏:
あっはっは(笑)。でも実際,そこまでの覚悟を感じ取れたよ。
海富氏:
中身については,内々で「まったく問題ない」と認識し合っていましたし,想定というと変ですが,プレイヤーさんから出てくる感想も大きく外れないだろうと,同僚ながら確信していました。これまで随所に散りばめていた細かな情報に肉付けして,具体的なエピソードにしていくのが主だった作業とも言えますが,単語でしかなかったものを物語にして,変えられない結末に進めていく流れは,大河ドラマ的で非常に楽しめましたよ。
4Gamer:
知ってはいたものの,セレンがあれだけ存在感を放つとは。
風術師氏:
セレンも深掘りしてあげる意義がある,美味しい設定のキャラクターでしたからね。それをこういうふうに見せられたのが,白沢節といったところでしょう。
4Gamer:
まぁ,エティスに関してはさっぱり忘れていたので,強いことは言えませんが。
西氏:
エティスについては第2部の時点で仕込んでいたからこその描写でしたが,当初は「リヴェラ伝でエティスのことまで書くかどうか」で意見が割れたんですよ。
松永氏:
そこも白沢君が「ここがチャンスなんです!」と推したところだったよね。これまでの出し渋りは,彼女を出すタイミングで“リヴェラたちの父母をきちんと描けないようなら出す意味がない”そういう判断の元でした。でも,エティスを出したいと聞いて,物語のプロットを読んだとき,「これなら出すべきだ」って気持ちになったので,ここだなと。そういえば,白沢君的に力を入れたシーンとかはあったの?
白沢氏:
書きたかったところで言うと,「黒騎士とセレンがちゃんと会っていた」という事実を表すシーンです。あくまで分かっている人たち向けのものではありますが,私も長いことチェンクロを遊んできたファンのひとりとして,ここは譲れない場面でした。
吉川氏:
白沢さんがリヴェラ伝を書いていたころ,僕はレジェンド版イシュチェルのキャラクターストーリーを書いていたんですが,白沢さんから「イシュチェルをこんなふうに活躍させたいから,こういう情報を盛り込んでほしい」と相談を受けて,それを踏まえて描いたので,個人的にイシュチェルに注目していました。そしたら,作中ですごくかっこうよく描かれていて,メインどころ以外もぬかりがないのはさすがだなって思いました。
海富氏:
白沢さんはとくに群像劇が得意なんですよね。リヴェラチームの面子も生き生きして見えましたもん。ひとりひとりの美味しい場面に抜けがないというか。
4Gamer:
たくさんの感想が出ていますが,チームの皆さんから直々にこういった感想はもらっていました?
白沢氏:
いや,ほぼなかったです。
4Gamer:
「ふむふむ。ふーん……」みたいな?
白沢氏:
大体そんな感じです(笑)。
西氏:
僕は監修時にちゃんと「これええやんけ!」って言いましたよ!
松永氏:
僕もちゃんと「超泣いた。三回泣いた!」って言いましたよ!
4Gamer:
大切です,人は褒めないと伸びませんから。私も個人的な感想を言わせてもらうと,「こんなもん見せられたら,これまで以上のハッピーエンドじゃねえと許せねえ!」みたいな気持ちですかね。どうぞファンの意見として,ご参考いただければと。
松永氏:
そこはもちろん,この先の物語にご期待ください(笑)。
4Gamer:
それに,リヴェラもラストでは第3部の時間軸で活動していて,レジェンド版の衣装に衣替えしていましたが,もう本編に出さないわけにはいかないですよね?
松永氏:
ここまでやっといて第3部のキャラクターとの絡みがなかったら,逆におかしいくらいですからね!
4Gamer:
ですよね。ついでに,リヴェラが相当な人気を引っ提げて,第3部に乗り込むであろう状況ですが,義勇軍の隊長の帰還と同じく「ええー,新しい主人公とかいるのー?」みたいな懸念には陥っていませんか?
西氏:
そこもあれですよ。我々,チェンクロのシナリオチームを信用していただければ! プレイされている皆さんにはご存じのとおり,義勇軍の隊長が帰還してからも,新主人公たちはしっかりと活躍していますし!
4Gamer:
それを聞きたかった。ってなところでリヴェラ伝はおしまいとして,本題の第3部メインストーリーに進んでいきましょう。長くなりますよ,これ。
松永氏:
不安だなあ(笑)。
みんなに聞いた,メインストーリー6章〜7章
4Gamer:
第3部メインストーリーについてはだいぶ前ではありますが,物語前半戦の一区切りとなった6章と7章から振り返ります。いかかでしたか,あそこまで長かったとかは。
西氏:
ちょうど1年前くらいなので,その感想を語るにも「あれ? あの当時って,どうだったっけ……」となってきてしまっています(笑)。チェンクロは毎月リリースするシナリオ量がすごく多いので,記憶も物量と一緒に押し流されていくというか……。
4Gamer:
すみませんが,捻り出してください……(笑)。
海富氏:
とにかく6章,7章は全員野球でしたよね。
風術師氏:
そうですね。大変でした。
海富氏:
主人公たちの合流後の物語の大筋は,これも白沢さんに書いてもらったものでしたが,その原稿にそれぞれのライターが手を入れていくので,加筆して,修正して,追記して,見直してを何回も繰り返したんです。
S氏:
校正用のWordファイルがどんどん大きくなっていって,修正するだけでも「うわぁ……」ってなってましたよね(笑)。
西氏:
我々はシナリオチェック時にWordの校正機能を使って,各自で修正箇所の履歴を残していくんです。でも,6章と7章は5ルートの担当者に加え,僕や松永さんもあちこち加筆修正をしたり,あわせてコメントを残したりしていったので,履歴が徐々に増えていってしまい,最終的に誰がなにを書いているんだかも分からないくらいになっていき(笑)。
4Gamer:
校正欄がグッチャグチャだったんでしょうね(笑)。実際の作業としては「ここはヘリオスが喋るから,風術師さんが書く」といった感じですか。
S氏:
そこまで細かくではなかったのですが,結果的にそうなっていた場面もあったり。
吉川氏:
一応,各主人公ごとの担当箇所が分かりやすい構成になってはいたんですけどね。
海富氏:
白沢さんが考えてくれた台詞を,各自が「俺の主人公はこうだ!」と直していると,すぐに原型がなくなっていくという。
4Gamer:
白沢さんは「あの人なら,ああ書く」みたいなエミュレートを意識していたりは。
白沢氏:
意識はしていましたが,それよりも「この場面で,この主人公なら,こう動く」を第一優先として厳守してました。台詞などは“どうせこうなる”と予想していたので,ぶん投げたりはしませんでしたが,細部や過程はお任せだった部分もありますね。
4Gamer:
じゃあ,6章と7章の完成度は最高だったとしておきつつ,各々の手応えはどうでしょう。「ああしとけば」「こうしとけば」と,合流前に考える要素は多かったはずですが。
風術師氏:
7章は全体の物語としても一区切りをつけましたが,ヘリオス篇に関して言えば,一通りやるべきことをやったうえで,区切りがついた感はまったくなかったですね。まだまだ出すべき情報が山積していて……(笑)。
西氏:
ヘリオス篇はむしろ,7章で謎が増えましたからね。解消したぶん積み上がったというか。
吉川氏:
私が合流以前に「こらっ」っと言われたのは,エシャル篇が徐々にクロニクルや白き異形といった“第3部の主軸”から外れてしまっていたところでした。聖王国で起きる騒動との関係性に,もっと寄り添う必要があると。単独の物語として個性を出しつつ,チェンクロという大きな木のひとつの幹であることは守る,そのバランスに苦慮しました。
4Gamer:
口で言っているよりも難しいことなんでしょうね。
吉川氏:
油断していると,砂の薔薇の都合ばかりを優先して,全体の主軸からどんどん離れていってしまいます。だから,エシャル篇は6章と7章の一区切りと,8章の再スタートを強めに意識していました。
海富氏:
アマツ篇も結構それに近いですね。仕切り直しの意味合いは。
S氏:
私はただの学生であるアリーチェをどうやって王都に向かわせるか,そして白の預言者との決戦までに学生たちだけを残すため,「フィリアナ先生をどうやって退場させよう……」で悩みました(笑)。
白沢氏:
セレステ篇は,騒動の中心にいるヘリオスが精霊島にいてくれたので,彼らに付いていく理由から考えられたため,それほど苦労しませんでしたね。
松永氏:
6章,7章のときは「各主人公のシーンごとの活躍度リスト」みたいなのを作ったよね。このパートで,この主人公がもうちょっと活躍しないと,他よりも沈んじゃう。この主人公だけ,関係ないふうに考えているから,ちゃんと白の預言者のことも考えて,とか。そういうのをひっくるめたリスト。
4Gamer:
主人公側の目的もそうですが,さらにボス側の動向も考えて,主人公たちをいかに牽引させるかも分析していくとなると,頭がこんがらがりそうです。
松永氏:
そこも,執筆に入る前に「王都周辺の位置や時間軸を把握できる図面」を用意したんですよ。
西氏:
「このキャラはここにいて,このタイミングでこっちに行って,その間そっちのキャラはそこにいて」は常に分かるようにしていました。そうしないと大変すぎて。
海富氏:
それでも「うちのボスと白の預言者の関係性」は試行錯誤しましたよ。まだ作中では書いていないことも多いのですが,あのときにボス同士の関わりをあらためて理由付けして,楔を打っておかないと,それから先で間違いなく躓くはずでしたので。
松永氏:
「各ボスの時間軸表」も作ったよね。かなり膨大なの。なんかいろいろ作ったなあ。
吉川氏:
そういうのたくさん作りましたねえ。
松永氏:
最初は主人公ごとの目的も,彼らを王都に集めるボスの動向も,全然かみ合ってなかったんですよ。なので物語をまとめる立場からすると,集まったあとに活躍させる7章より,みんなを集めなきゃならない6章のほうが遥かに大変だったのを憶えています。
海富氏:
個人的には「主人公全員の初合流」もわりと不安でした。この5人が集まって,ちゃんと動けるのかが。そしたらそれほど示し合わせることもなく,意外とできちゃいましたね。普段は弄られ気味のアマツが,5人で集まると“お兄ちゃん的な雰囲気”になっていたりと書いていて新鮮でした。男衆はこれまでと違う味が出せたよね?
風術師氏:
そうですね。ヘリオスも男の子らしさを存分に押し出せたと思っています。プレイヤーの皆さんからも「新鮮な感じだった」といったご意見をいただけて,嬉しかったです。
錬金王氏:
僕がチームに入ったのも,皆さんが6章と7章で苦戦されていた時期でした。僕は当時はまだ不慣れで,キャラクターを3人同時に動かすのにも苦心していましたが,風術師さんに「ヘリオス篇はどうですか?」って聞いたら,「今パーティメンバー15人くらいいるよ」って言われたんですよ。嘘やろ? って思ったのを今でも記憶しています(笑)。
4Gamer:
本編でも増える一途ですもんね(笑)。
海富氏:
パーティメンバーで言うと,6章と7章では主人公チーム以外のレジェンドキャラクターもワンサカ出たじゃないですか。そしたら白の預言者との戦いも最後のほうとか,レジェンド勢が攻撃しまくってて,「ここまで集めたらフルボッコすぎない?」って思いましたもん。同時にボスの硬さも思い知りましたが(笑)。
白沢氏:
登場させる面子はリスト化していましたが,キャラクター名がズラーっと並んでいて「こんなにいる!?」って言われましたね。
海富氏:
いやでもあれ,「もうちょっと抑えてもいいんじゃないですか?」って言っても,白沢さんが「いやー……出したい!」って押し通したからじゃないですか(笑)。「ああ,このキャラいたね!」と思ってしまうくらい,渋いチョイスも混ざっていましたし。
白沢氏:
まあ,そうなんですけどね(笑)。
海富氏:
最初は止めようと思っていたんですよ。こんなに出しても収拾がつかないんじゃないかって。でも,最終的にリヴェラ伝のエティスと同じように,「ここで出さなきゃ,いつ出すんだ!」の気持ちに共感できたので,僕らも覚悟を決めました。
白沢氏:
盛り上がるときに盛り上がるキャラクターがいる。それが大切だと思ったんです。第3部も長くなってきましたから,一区切りとなるこの章を,ずっと遊んでくれているプレイヤーさんにより楽しんでもらうために,それまでの積み重ねも見せるべきだと。それと義勇軍の隊長がいなくなり,みんなが散らばって,でも隊長が戻ってきたから,みんながまた集まってと,「隊長いるところ義勇軍あり」も絶対にやりたかった展開です。
西氏:
6章ラストの義勇軍が駆けつけるシーンは,第3部の中でも“超重要かつ絶対に盛り上げなくてはいけない場面”だったので,そのぶんの苦労も大きかったですね。結果,しっかり仕上げられてホッとしました。
白沢氏:
「所属が違っていて,うまく絡ませられない組み合わせ」といったキャラクターにしても,今回見せ場が多かったソーニャとフリージアのように“ちゃんと本章で表現してあげたい”と思っていました。それもあって,連鎖的に人数が増えていって……(笑)。
4Gamer:
ファン目線がうまく作用している感じです。
風術師氏:
白沢さんのチェンクロ愛があふれた結果ですよね。
4Gamer:
中間点ながらも大団円的な展開を見せてもらえましたが,話をその先に進めると,それぞれの8章に関してはこの1年,いいスタートをきれたと思っていますか。まだまだ謎が隠されているにせよ,舵取りはうまくいったのか。
松永氏:
滑り出しはうまくいったと思います。6章と7章で物語を一本道にした価値は十分にあったと思いますし,あそこで散らばっていた伏線をまとめて,新たに配置し直したことにより,物語全体を整えられました。それと吉川君が言っていたような,各主人公の目的とチェンクロの主軸とをより密接に近づけられたことで,その後の方針を引き締められたのも大きいです。おかげで,今現在もうまく進められていると感じています。
4Gamer:
それならなによりです。それではようやく,本日の本題であります,ストーリーインタビューをはじめましょうか……(笑)。
松永氏:
今からがスタートですか……(笑)。
4Gamer:
引き続き,お付き合いくだされば。あっ,その前にひとつだけ。第3部はこれまで6章「集いし欠片たち」,7章「英雄の旗の下に」など,各章には副題が付けられていましたが,8章以降は「新たなる絆」で統一されるのでしょうか?
松永氏:
ええ,8章以降の現状「新たなる絆」として,大きな一括りにしています。これに関しては不変というわけではなく,プレイヤーの皆さんに物語のメッセージ性をより強く伝えたいと思ったタイミングで,派手に変えていくつもりです。
4Gamer:
憶えておきます。では順番は前回と同様,アリーチェ篇からはじめていきます。ここからは物語の簡潔なあらすじを話していきますので,それにちなんだ解説を聞かせてください。伝承篇については盛り込むとなるととんでもなくなるため,また今度で(笑)。
S氏:
分かりました(笑)。
S氏に聞いた,アリーチェ篇(8章〜9章)
4Gamer:
アリーチェ篇の8章では,王都から帰還中のアリーチェが,メルティオールに連れ去られていたアマツと再会し,2人はクロニクルの欠片の調査のため,なぜか戦うことになってしまいました。
S氏:
相変わらず,メルティオールさんの話を動かす力は強く……(笑)。
松永氏:
ちょっと便利すぎるんですよー。
風術師氏:
松永さんからよく「メルティオールは使いすぎないように」と注意されますしね。
錬金王氏:
コラボストーリーでも大活躍していますし(笑)。
松永氏:
話の都合はもちろん考慮しますが,最近は「使い方が面白いかどうか」も判断基準になってきました。雑に使うなと。しかし,そうなるとみんな「よし! じゃあ! とにかく面白く使ってやろう!」としてくるので,結局止まらなくなってますね(笑)。
S氏:
8章については執筆前,海富さんより「今まで交差してこなかったので,アリーチェとアマツを一緒に動かしたいです」と相談を受けて,そこからスタートしたんですよね。
海富氏:
そうなんですよ。あのタイミングじゃないと,アマツがアリーチェと会えそうになかったので,九領に戻る前にやっておきたくて。でもアマツたちの目的を考えると,賢者の塔に行く理由が見当たらなかったため,「だったら強制的に連れていってもらうしかない」と考え,ちょうどあった欠片の問題と合わせて調整してもらいました。つまり,本来はアマツ篇からのお願いだったんですが,アリーチェ篇のほうが先に公開されたので,そういう見られ方になってしまったといいますか。
松永氏:
でも,後続組は助かったよね。7章でフィーナから「クロニクルの欠片の問題」が提起されたことで,主人公と欠片の関係性は拾っていくべきテーマになっていました。もし,7章ラストでそのまま解散していたら,それぞれきっかけから見つけなければならなかったので,メルティオールによって欠片のことを,アリーチェとアマツにまとめて突きつけられたのは本当によかった。
S氏:
そもそも物語の前例としても,三賢者が欠片のことを調べないわけがないですからね。もしも調べていなかったら,そっちのほうが賢者じゃない(笑)。
4Gamer:
6章での話も踏まえると,チェンクロのシナリオは多方面への影響や調整もあり,集団的なゲームシナリオの制作って感じが色濃いんですよね。
松永氏:
どうでしょう。影響はしあうんですが,集団作業というよりかは,個々の気持ちのぶつかり合いなので,集団バトル的な制作って感じかもしれません(笑)。
4Gamer:
この調査により,アリーチェの欠片はなりたい自分になるための「妄想を顕在化する力」と判明します。能力はイメージによって変質し,最初は漠然と考えていた“強力な魔法”を放っていたところ,刻印で生かされているという疑いから“刻印者の自分”に変化し,刻印が増幅を司ると知ってからは“マナを魔力に変換する能力者”になってと……納得しましたし,うまい設定を仕込んでいたもんだと感心しました。
S氏:
ああ,ええ,はい……もちろんです(笑)!
4Gamer:
なるほど。なるほど。大丈夫です,私の耳には「すべてはこのときのために考えていました」と聞こえました。
S氏:
最初はそれこそ,なんかすごい力というだけで,どんな刻印なのかも未定で,でも「乙型刻印」自体はよろしくない成り立ちの刻印という設定なので,とにかくすごいリスクのある能力じゃなきゃいけなくてと……ええ,最初からぜーんぶ考えていました(笑)。
海富氏:
僕は腑に落ちましたよ。欠片によって機能していたかのように見えていた刻印が,実は1度も起動していなくて,アリーチェにとってただの力の象徴であったというのが。彼女が“望んでいない刻印”という負の力を利用していなかった事実があるからこそ,これまでの展開で彼女の善性が汚されていなかったとも言えるので,すごくよかったです。個人的にもアリーチェ大好きなので!
S氏:
ありがとうございます(笑)。アリーチェは今回,乙型刻印がいいものではないと分かっていながらも,刻印を持っていないことへの後ろめたさを感じていて,それを持つベルタとカーリンを内心で羨ましく思っていたのかもしれないと,自分自身の微妙な感情にぶつかってるんですよね。
4Gamer:
乙型刻印の非人道性はこれまで説かれていただけに,センシティブな悩みです。
S氏:
その一方で,ベルタとカーリンには制限術式をかけて,より安全に刻印の力を引き出せるようになってもらいました。「制限解除」のおまけつきで。
4Gamer:
2人の制限解除の演出には「v2絵の差し替え」が採用されていましたね。
S氏:
西さんと相談したんですよね。「ここぞという場面でv2絵を出しましょう!」って。ただ,3分って時間制限はうっかりしがちで……プレイヤーさんになるべく「もう3分以上経ってない?」と思われないよう,今後は気をつけなくてはいけません(笑)。
4Gamer:
それもまたお約束ですので(笑)。それから学園祭の時期になると,フロスはデルフィーナのお菓子を売ることになりました。しかし大盛況の当日,アリーチェとカーリンはちょっと外出したところ,いつの間にやら学園最強の座をめぐる「非公式闘技大会」に参加することになってしまいます。学園No.2の「ユージェニー」といきなりの試合です。
S氏:
学園祭は題材として,1度はどこかでやっておきたかったんです。今後しばらくはシリアスなお話になるはずだったので,その前にと,わちゃわちゃ回をやることに決めました。それと,作中に登場させられていないキャラクターをちょいちょいストックしていたのもあり,学園生活を膨らませるために,ほかの学生も出しておきたいと考えていて。
海富氏:
身内の輪も,徐々に広がってきましたよね。
S氏:
幼馴染や先生といったフロスの関係者だけではなく,リューリィみたいな学園の友達がいると,より学生感が出てくるんですよね。結果的にユージェニーやオレイユは9章でも活躍させることができて,友達みんなでアリーチェを助ける形を描けて,満足です。
4Gamer:
「オレイユ」のグネグネしたヘッドホンいいですよね。
S氏:
あれ可愛いですよね(笑)。
4Gamer:
ちなみにユージェニーやオレイユのように,未登場のままストックしているキャラクターはシナリオ判断で投入されるのでしょうか。
松永氏:
ケースはいろいろです。チェンクロはストーリーを大切にしていますが,その中心にいるのは“キャラクター”なので,キャラクターこそが最上位にいるとしています。だから,世界観として存在させたいキャラ,物語のためにほしいキャラ,イベントを盛り上げるキャラもそうですし,それらを提案する人もキャラクター担当だけではなく,いろいろな人がアイディアを出し合って,その都度実装したりしてきました。
S氏:
友達ってところだと,フォルテナータが大好きで,とにかく書きやすいです。初期の設定と比べると,ほんとデレデレになっちゃいましたが。
海富氏:
お付きの2人(ヴィニアとティニア)もいいキャラしてますよね。
S氏:
括弧書きで「(フォルテナータ様、お可愛らしい)」とか弄ってますからね(笑)。フォルテナータはフロスの4人とは違い,アリーチェ篇が学園物であることを強調してくれる存在なので,彼女のような友人たちが,アリーチェたちの助けになる展開は,これからも描いていきたいと思っています。
4Gamer:
続く場面では,2人を探しにきたベルタとデルフィーナが加わり,フロスはリーゼロッテ率いる「魔女っ娘軍団」と戦いました。苦戦を強いられたことで刻印の力を使おうとするフロスでしたが,そこにフィリアナが現れます。先生に「これまでの勉強を活かせ」と助言されると,純粋な魔法戦で勝利できました。王道感のある戦法でしたね。
S氏:
フィリアナ先生に助っ人してもらっちゃいました(笑)。
海富氏:
魔女っ子軍団も言ったら,レジェンド勢ですから。
風術師氏:
(第2部の)最終決戦にもついていった英雄ですし。
松永氏:
普通に戦わせたら「そりゃね」となっちゃうから,ああいうの大事だよね。
4Gamer:
その後,フォルテナータとの決勝戦の直前,巨大ゴーレムが出現して大会は中止になります。その避難中,フロスはエステラに襲撃され,アリーチェは力の濫用で気を失い,連れ去られてしまいます。彼女を心配するベルタとカーリンは思い詰めたまま動き出そうとしましたが,周囲にはすでに,手助けをしてくれるたくさんの友達がいました。
S氏:
8章と9章では,とにかくベルタとカーリンをかっこよくしてあげたかったんです。8章前半でカーリンはアドヴェルサスのことを警戒しまくっていて,能天気なアリーチェに対しては若干,過保護なくらいになっていましたから。とくにヒーローみたいにしてあげようと。v2のSPストーリーみたいなかっこよさを目指して(笑)。
風術師氏:
カーリンv2のSPストーリーは構成が珍しかったのもそうですし,「カーリンが王子様感ある」ってプレイヤーさんからの評判も良かったですよね。
4Gamer:
ベルタたちがアリーチェを探して聖王国へ向かうと,途中でヘリオスたち義勇軍と出会い,手助けしてもらうことになりました。しかし,道中で「謎の集団」に襲われた一行は二手に分かれ,ベルタたちは当初の目的地に向かいます。そこで見つけたアリーチェはなんと洗脳されており,フロスの面々は返り討ちにあって,撤退せざるをえなくなり。
S氏:
洗脳アリーチェは,わざわざ目からハイライトを取ってもらっちゃいました!
4Gamer:
例えば,エシャルも記憶に悩まされている人物ですが,アリーチェの場合はそれと違い,人造人間的というのか,改造手術的な生々しさがあって,今回のような事態でちょっと間違えると,記憶がコロッと消失してしまいそうな危うさがありますよね。
S氏:
刻印で記憶もいじっちゃう。アドヴェルサスもウチのラスボスである以上,ただの変態マッドサイエンティストではないところを見せつけないといけませんから!
吉川氏:
エシャルの記憶は大きな謎を含んでいるにせよ,彼女の才能の根本につながるものなので,アリーチェとは悩みのベクトルが異なっていますね。ただ,今なんとなく思ったのは,アリーチェとエシャルは境遇が似ていると言われてきましたが,物語にまつわる記憶や過去の取り扱いは,わりと真逆なんですよ。
S氏:
エシャルが思う「過去を知りたい」とはニュアンスが違っていますね。アリーチェの記憶はトラウマなので,向き合い方が異なっているんだと思います。今はさらに,記憶の大元をコネコネされてしまっていますし……(笑)。
4Gamer:
アリーチェを心配しつつ,賢者の塔に戻ってきたベルタたちのもとには,敵であるはずのエステラが現れました。彼女は「アリーチェを助けてほしい」と頼んだうえで,その身を人質として差し出します。いい子ですが,やはり,これでもまだアドヴェルサスに肩入れするんですね。
S氏:
その秘密ですが,まさに10章で明らかになります(2019年1月16日に公開済)。楽しみにしていてください!
4Gamer:
おっ,そうなんですか。なら話もラストまで進めると,洗脳されたアリーチェとの再戦では,ベルタたちが巧みな魔法戦で優位に立ちます。アリーチェは目の前の敵を一掃すべく,最大火力の魔法を放ちましたが,エステラがその身でみんなを庇い,倒れ伏しました。エステラを傷つけたショックで記憶を取り戻したアリーチェは,嫌いだった自分の魔法を思い出し,自分の「ありったけ」を見せる――ここで10章へ。ニクいですねえ。
S氏:
これまで心がセーブしていた魔力,クロニクルの欠片が呼応した力,さらにフィリアナ先生の教えも合わせて,次の場面ではアリーチェが自身のすべてを引き出します。学生として成長してきた彼女の「ありったけ」を,10章でぜひとも見てほしいです。
4Gamer:
「ありったけ」という表現がまたいいです。全力全開感があって。
S氏:
必殺技ボイスの「このありったけ、持ってけー!」から使わせてもらいました。プレイヤーさんが実際に耳で聞けるボイスでもあるので,ここぞというときに使いたいと考えていて。この台詞はえーっと,誰が考えたんでしたっけ?
西氏:
いや,僕もちょうど思い出そうとしてたんですが,どなたでしたっけ? キャラクター数が1000人以上ともなると,こういうことを覚えきれなくなってきていて……キャラごとの個性や口調なんかは,不思議と忘れないんですが。
4Gamer:
では,これを読んでいるどなたかに思い出してもらうとしましょうか。それでは10章への期待も膨らんだところで,次はセレステ篇の話題へと移りましょう。
白沢氏:
はい,よろしくお願いします。
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