インタビュー
アニメ版「ディバゲ」における少年Kの役割とは? アクワイアの高野康太氏,マーベラスの小浜 匠氏,ガンホーのミスター☆ディバイン氏に制作の裏話を聞いた
本作の制作は,「東京喰種トーキョーグール」や「おそ松さん」を手がけたstudioぴえろで,監督は「幽☆遊☆白書」「BLEACH」「アルスラーン戦記」などを手がけた阿部記之氏が担当している。
今回4Gamerでは,「ディバインゲート」のアニメ化に際し,アニメ版のプロデューサーであるマーベラスの小浜 匠氏,原作ゲームのクリエイティブディレクターであるアクワイアの高野康太氏,そして“四次元広報”として「ディバインゲート」のプロモーション活動を一手に担うガンホー・オンライン・エンターテイメントのミスター☆ディバイン氏の3人に話を聞いてきた。
すでにアニメを視聴した人の中には,ゲームで描かれている物語と少し違う部分があることに気付いた人もいるだろう。果たしてそれらがどういう意図で作られたのかなど,作品の裏側に込められた意図をじっくりと語ってもらったので,ぜひ最後まで読み進めてほしい。
なお,アニメの放送済み回については,ニコニコ動画のディバインゲートチャンネルで,第1話および最新話(記事掲載時点では第2話)が無料配信中だ。アニメをまだ見ていないという人は,本稿と合わせてチェックしてみてはいかがだろうか。
ニコニコ動画「ディバインゲート」チャンネル
TVアニメ「ディバインゲート」公式サイト
「ディバインゲート」公式サイト
「ディバインゲート」ダウンロードページ
「ディバインゲート」ダウンロードページ
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
今回は,アニメ「ディバインゲート」の話を中心に聞かせていただければと思います。まずはあらためてとなりますが,企画立ち上げの経緯を教えてください。
ミスター:
もともとの経緯からお話させてもらいますと,弊社社長の森下※が,ぴえろさんと懇意にさせてもらっていて,ガンホーのIPでアニメ化が実現できないかという話を,2014年頃からしていたんですね。その流れで,アニメとの親和性が高いIPとして「ディバインゲート」が候補に上がったんです。
決定に関して大きなきっかけになったのは,2015年の初めに森下が母校で行った講演なんですよ。
※ガンホー・オンライン・エンターテイメント代表取締役社長・森下一喜氏。「ディバインゲート」のエグゼクティブ・プロデューサーでもある。
4Gamer:
その講演で何があったんですか?
普段の講演だと,男子生徒からの「パズル&ドラゴンズ」に関する質問が多いんですが,そのときは,ある女性生徒から「ディバインゲート」の質問が出たんですね。森下は,キャラクターのデザイン面などに興味を持っている女性層がいるとリアルに感じられたことが,すごく嬉しかったそうです。
女の子に人気があるというのは,キャラクター性やドラマ性がしっかりしていることの表れだと見ることもできますから,アニメでもそれは十分に活かせるだろうと。つまり,その女子生徒の発言が,「ディバインゲート」アニメ化の最終的な決定に大きな影響を与えたわけです。
それから,委員会を組成していく流れの中で,マーベラスさんと組ませていただくことになりました。
小浜氏:
今こういう話ができるのも,その女子生徒さんのおかげですよね。
4Gamer:
高野さんが話を聞いたのは,いつ頃ですか?
僕が話を聞いたのも,2015年の初めですね。急に森下さんに呼ばれたので行ってみたら,「アニメをやろうと思うんだけど」って言われたんですよ。話を聞く前は説教されると思い込んでいて,「なんかやらかしたかな」って考えていたんですけど(笑)。
そのときはもう,監督さんをはじめとした主要なスタッフも決まっている状態だったので,自分のことなのに実感がないというか,「おお,やるんだ」みたいな,他人事のような不思議な驚きがありました。
ミスター:
制作スタッフについては,ゲームの「ディバインゲート」が持っているバトルの要素,多数のキャラクターが入り乱れる群像劇の要素を踏まえて,ぴえろさんから監督に阿部記之さん,シリーズ構成作家に高橋ナツコさんを提案していただきました。
阿部監督はバトルものに強いですし,キャラクターのドラマをうまく魅せてくれる非常に実力のある方ですから,名前が出た瞬間に,安心してお任せできるなと思いましたね。
我々としてもぜひこの布陣でお願いしたいとお伝えして,あとはトントン拍子に決まっていった感じです。
小浜氏:
僕なんかが言うのもおこがましいですけど,阿部監督は「さすがだな」と思うところがいっぱいあるんですよ。
すごく実力のあるベテランの監督さんで,観ていて安定感があるのはもちろんですが,それと同時に,今のアニメの新しさと言いますか,尖ったもの作りみたいな部分もすごく持っていらっしゃるクリエイターさんです。
今回は,監督が阿部さんという背骨ができたことで,それ以外の部分で冒険できるようになったのが大きかったですね。
4Gamer:
冒険というのは?
作品作りって,皆ベテランでガチガチにまとめればいいわけではないんです。新しい血を入れる場所を作って,僕ら自身もどうなるか分からない,楽しみになる部分がないと,内容が膨らんでいかないんですね。
シリーズ構成の高橋ナツコさんが描き出す世界を土台に,キャラクターデザインの夘野一郎さん,音楽をお願いしている尾澤拓実さんもそうなんですが,意外なご提案をいただくこともあって,僕らの想定を超えた素敵な絵や音楽を上げてくれています。
それらを阿部監督が,作品としてきちんとより合わせてくれているという感じです。
ミスター:
もともと高野が作っていた世界観やストーリーに,いろんな才能が集まって化学反応が起きています。脚本も高野がしっかり監修して,前向きに調整されていますよ。
小浜氏:
最初にお話をいただいたとき,ストーリーにすごくポエティックな部分があったり,心情に寄り添っていたりと,作品性が強くて手触りがドラマ向きだなと感じたんですけど,ものすごく奥が深いんですよね。
洞窟に入ったら網目のようにつながっていてなかなか全貌が見えなくて,「まだ奥があるの?」みたいな感じで(笑)。
4Gamer:
確かに,「ディバインゲート」の世界には多数の勢力が存在していますし,キャラクターの相関関係もすごく入り組んでいますよね。
「ディバインゲート」公式サイト内,ユニット相関図ページ
小浜氏:
洞窟の中のどこを拾って,1本のアニメーションとしてつなげていくのかについては,阿部監督,高橋さん,高野さんの3人でかなり綿密に話し合ってもらいました。
具体的なアニメ化の話が出てから夏過ぎくらいまで,ずっとその話をしていたくらいですから,密度は相当濃くなっていると思います。
ミスター:
「ディバインゲート」とはどういったものか,というところから始めましたからね(笑)。「ディバインゲート」の話をそのままアニメにすることはできないので,いかに最大限の“らしさ”を出していくか,相当時間をかけて詰めていただきました。
原作がマンガや小説である場合でも,アニメでは何を取って何を残すかという話に絶対なるんですけど,それは時間が限られているからという訳ではなくて,構造的に1本のシナリオラインにしなきゃいけないからなんです。
マンガや小説だと,表に出ている明らかなストーリーがあって,皆がその一つのストーリーを共有するみたいな形になりますから,アニメでも基本的な構造は変わりません。
でも「ディバインゲート」の場合,原作ストーリーのボリュームがかなりあるうえに,その複数が同時に進行しています。ユーザーが共有しているストーリーの深さもそれぞれで違いますから,1本の線として物語を提示するのがすごく難しいんです。
高野氏:
いろんなキャラクターのエピソードを読まないと物語が分からないですし,きっと大変だったと思います。
小浜氏:
「ディバインゲート」でまず思ったのが,単純に出来事だけを並べても,ストーリーをうまく1本の線に描けなくてパンクするだろうということでした。
どの出来事を取り上げて1本のストーリーにするかという話をするには,まず,作品の背骨となるエッセンスが何なのかが見えていないと判断できません。
今回は出来事よりも気持ちの部分がエッセンスじゃないのかと考えて,そこを大事にしていこうという作り方にしたんです。
4Gamer:
もう少し具体的に教えてもらえますか。
小浜氏:
例えば,アーサーがある出来事に立ち会ったとき,その出来事自体の描写よりも,彼は何を思ってこの行動を取ったのか,という部分にスポットを当てていくということですね。
ですからアニメでは,「ディバインゲート」の世界で起きているさまざまな出来事の中で,「何があってこうなった」という事実よりも,登場人物のそのときの「想い」のトーンを描き出すシーンを積んでいっています。それを表現するために必要なものを拾って,それ以外の枝になる部分は拾わない,という取捨選択をしました。
4Gamer:
時系列の事象ではなく,人物にまつわる事象を軸にしたわけですね。
小浜氏:
もちろん,「ディバインゲート」という洞窟の中には僕達の探検していない場所がたくさんありますから,そこがどうなっているのか,高野さんに教えていただいたうえで判断しています。
高野氏:
今回のアニメでは,これまで僕が考えていたことと,アニメのスタッフさんが上げてくれたものがうまく組み合っている感じです。自分が思っていた以上に素敵なエピソードが上がってきていますし,より魅力的なものに仕上がっているんじゃないかなと思います。
キャラクター性やその心情に関しては,自分とは異なる目線で解釈をされていることもあったんですよ。
4Gamer:
例えば,どのようなことでしょう。
「ドロシーって,どんな子なんでしょう?」という話になったときは新鮮でした。
僕の中では,ドロシーにはオズがいるし家族のこともあるので,ミドリより一段成長していて,過去のことはミドリほどは引きずっていないという解釈で作っていたんですよ。
だけど,ドロシーについての話し合いのときに,ドロシーはずっと根に持っているという風な受け取り方をされていたんです。確かに,普通のドラマとして考えたら,突き放されたらずっと根に持っていてもおかしくないよなと思えて。
小浜氏:
多分それは,ドラマを作るときの視点の違いなんですよ。
ゲームでは複数の視点を並行的に扱っていますから,ミドリの視点とドロシーの視点でそれぞれの物語が進んでいるじゃないですか。そうすると,ドロシーにはドロシーの人生があるので,昔悩んでいたことが今はそうでもないというのが,リアルで自然な流れに感じられると思うんです。
でも,アニメで1本のストーリーにするときは,両方の視点を等分に扱えないので,片方の視点を軸にしていく必要があります。
アニメではミドリの視点に立っているので,ドロシーがどんな経験をしてきたのか知らないミドリの心情では,ドロシーとの関係は当時のまま止まっています。なので,根に持った思いが濃くなっている,という理解のほうが自然になるんですよね。
ミスター:
高橋さんやその回の脚本を担当する方が女性だったので,女性ならではの想いが反映されているかもしれませんね。
小浜氏:
念のためお伝えしておきますが,アニメでもベースになっているのはあくまでも高野さんの解釈で,アニメのスタッフが独自に作品を解釈して進めたりはしていません。まずは僕らが解釈して,それを高野さんとキャッチボールするという手順を踏んでいますが,それがとても重要なんですよ。
高野氏:
そういえば,ミドリとドロシーの関係は,小浜さんが面白い例え話をしていましたよね。別れた恋人と再会したとき,男は気まずいと思うけど,女はそうでもないとか。
小浜氏:
ドロシーとミドリの最初の関係が,すごく恋愛に似ているなと思ったんですよ。
どっちかというと,振った場合も振られた場合も,男のほうが引きずることが多いって言われるじゃないですか。久しぶりに会ったときに,変にぎこちなくなって,しどろもどろになっちゃうみたいなところがあるのかなと(笑)。
高野氏:
自分達と重ねるというわけじゃないんですけど,そういった何気ない日常で起こり得ることだったり,生まれる対人関係だったりと,人間同士のドラマになっていると思います。
ミスター:
森下の方針で,今回のアニメ化はただ原作を渡すのではなく,ゲームを作るように皆で作っていこうというスタンスにしているんですよ。
森下を中心にアニメの定例ミーティングを行って,ゲームの中で設定が確立されていないものについても,アニメならこういう形が向いていて「ディバインゲート」らしい,というように喧々諤々と話し合ってきました。
最終的なジャッジは阿部監督の力に頼るところが大きいですし,ぴえろさんには相当頑張ってもらっていますけど,そういった意味では,ガンホーらしいアニメになっているんじゃないかなと思います。
例えば,世界評議会のビル一つを取っても,具体的な絵にすると「それを一般の人は,どういうものとして見ているのか」とか,関連して考えなきゃいけない出来事が芋づる式に出てきちゃうんですよね。
そこは僕らが勝手に作れない部分なので,まず高野さんと,どこにも明かされていない根っこの設定を含めてやり取りをさせていただきました。
ですから実は,アニメで説明されなくても,その中に詰め込まれている要素ってすごくたくさんあるんですよ。そんなことをしているから,作業が大変になるんですけど(笑)。
ミスター:
アーサーはこういう性格だからこういう部屋だよね,みたいな掘り下げもあって楽しかったです。“ディバインゲート”もアニメ1話から出ていますよね。
小浜氏:
あれがディバインゲートかどうかは分かりません。今の時点だと「ゲートのように見えるけど,実はどうなのかな……」みたいな感じです(笑)。
4Gamer:
今後の展開に注目ですね。
アニメの設定でゲームと違う部分には,どんなものがありますか。
ミスター:
一番大きな構成の変更としては「アカデミー」ですね。原作のゲームでは,主人公達はばらばらで冒険に出ていたので。
小浜氏:
世界評議会の下部組織であるアカデミーに,アカネ,アオト,ミドリ,ヒカリ,ユカリ,ギンジが集まって,同時にゲートを目指していくという設定になっています。
ミスター:
初めは,メインキャラの幼少時代を描いた「アーリーデイズもの」にしたほうがいいんじゃないかとか,アーサー中心の話にするとか,いろいろな方向性も検討していました。
でも,主人公を出してアーサーのこともしっかり描きたいということで,今の形に収まった感じです。ゲームの主人公は6人ですけど,アニメはアカネ,アオト,ミドリの3人が中心なんですよ。
小浜氏:
アカネはパブロフ,アオトはアリトン,ミドリはドロシーと,それぞれの過去が扉を目指す理由になっています。そこに独自のモチベーションで扉を目指すアーサーが加わって,その4つのシチュエーションがどう重なっていくのか,という感じですね。
4Gamer:
主人公が6人いる中で,アカネ,アオト,ミドリの3人にしたのは何故でしょう。
こういう主人公が複数人いる作品って,真ん中にいる主役が絶対必要になるんですよ。
今の能力では解決できそうにない困難に直面したときに,「理屈じゃなくても行くんだよ」って仲間を説得できるのが主役で,その力を持っているのは多分アカネなんですね。これがアオトだったら,きっと理詰めの話になっちゃうと思います。
PVの最後に,アカネの「行くぜ!」というセリフが入っているのは,前に進むためのエンジンはアカネだという,僕らのコンセプトを出しているんです。もちろん,違うところに焦点を置けば,ヒカリ,ユカリの物語を背骨にした物語にもできたとは思います。
4Gamer:
第1話の内容から,アオトが主役かと思っていたんですけど,アカネが活躍するのはこれからなんですね。
小浜氏:
そうです。皆がどうしようもないときに,アカネがそこにいる,ということはとても重要です。
アオトとミドリについては,すごく個人的な理由を引きずっている心情を持った人物がほしいということで,アカネの横に置いたという感じですね。アオトは,過去の事情が凄惨すぎて一番可哀想な人なので,心情面で追いかける時間が割と長いと思います。
4Gamer:
ちなみにですけど,主役がギンジという話はなかったんですか?
高野氏:
ギンジの線はないですね(笑)。でも多分,ある意味ギンジらしいおいしさは,きっとアニメでもあると思います。
4Gamer:
主人公達以外で登場するキャラクターは,どのように決めたのでしょう。
小浜氏:
まず,「この話をやりましょう,主軸になるのはこのキャラクター達です」とシリーズ構成の大枠を作ってから,具体的な登場人物を決めていく感じですね。
高野氏:
キャラクターの選定に関しては,自分からも積極的に提案させていただきました。というのも,ゲーム同様にキャラクターをいっぱい出してしまうと,アニメだけ見る人が消化不良になってしまうんじゃないかと思ったので。
アニメの中では一つの物語をしっかりと見せたかったので,基本の流れは崩さず,ドラマとして成立すると思ったところは登場人物をあえて削って,代わりにほかのキャラクターがその役割を担う形でいかがでしょうか,と提案させていただきました。
ミスター:
それでもキャラは多いんですけどね(笑)。
小浜氏:
ドラマ性を理解していただいて,高野さんのほうから提案していただけるのは,作る側としては非常にありがたいですね。
4Gamer:
ゲームでストーリーを追いかけている人は,ドラマに関わるキャラがゲームと違っているところがあったら,深読みする楽しさが出てきそうですね。
高野氏:
今お話したようなところは,ゲームのユーザーならすぐに分かると思います。
小浜氏:
ゲームを知っていれば知っているほど,玄人な見方はできると思います。それを一つ一つ説明まではしないですけど(笑)。
意図的に変えている部分でいえば,ドライバが原作と若干違うんですよね。
高野氏:
そうですね。アニメではドライバの形態が進化しないので,第1形態から第4形態までを踏襲したような,アニメならではのデザインを新たに起こしていただきました。
小浜氏:
演出を考えて僕らが提案したものに対して,高野さんがそれを膨らませてくれています。それから,ドライバを出す前の,普段持ち歩いている形態も新しく作っているんですよ。
ミスター:
普段の生活で,ギンジがヤシャヒメをあのまま持ち歩いていたら捕まりますからね(笑)。
4Gamer:
まあ,間違っても携帯向きじゃないですよね(笑)。
ほかに,ゲームとアニメで違う部分はどんなものがありますか?
高野氏:
ゲームというか,僕のイメージと違っていて意外だったのがシルフなんです。
僕の中では,シルフは女の子の中では背が高いほうのイメージだったんですけど,上がってきた絵は,すごくちっちゃくて可愛らしかったので,「あ,こういう風に見えていたんだ」って。
絵だけを見て判断したわけではなくて,アニメでの役割や設定,デザインの意図などをおうかがいして,その話にとても共感できたので,こっちで行きましょうと。
こういう話は,ほかにもいっぱいありますよね。
ミスター:
多すぎですよ(笑)。
4Gamer:
例えば,どんな話ですか?
パーシヴァルのズボンの丈がどのくらいかっていう。どのくらいだとダサくて,ギリギリかっこいいかな,みたいな(笑)。
4Gamer:
ハート柄のシャツにサンダルですもんね。
高野氏:
でも本人は,きっとかっこいいと思って着ているんだろうなって。
僕はキャラクターを作るときに,「きっとこいつだったら,ほかの服装でもこうだよね」みたいなイメージがあるんです。
なのでアニメでも,ゲームのイラストとは違う服装で登場するようなキャラクターについては,「もうちょっとこうしたほうが本人らしいかなと思います」みたいな感じで,お話させていただいたこともあります。
ミスター:
ゲームには出てこない設定で言うと,ドロシーの小さい頃の浴衣姿なんかも,高野と相談しながら作っている感じですよね。
4Gamer:
服装では,どんなところにこだわったんですか。
高野氏:
例えば,ユカリのストールとか,張り込みがあるとアニメ的にたいへんじゃないですか。でも,ユカリのストールは非常に大切なアイテムなので,そういうところはそのままにできないかって話をさせていただいています。
そういう意味だと,ミドリの服の迷彩柄もデザインとしては大切ではあるんですが,重要なポイントは緑色のジャケットを着ていることなので,迷彩であることに固執はしませんでした。
そういう感じで,アニメに合わせて設定を変えたところもありますね。
4Gamer:
設定画ではキャラクターごとに,靴の裏のパターンまで決まっているんですね。
小浜氏:
映像にするってそういうことなんですよ。
足元を映すカットが出てきたときに,「靴の裏はどうなっているの」って,いちいち議論していたら話が進みませんから,あらかじめ全部決めておかないといけないんです。
ミスター:
アニメーターさんや作家さんに共通の認識を持っていただけるように,アニメで使わなくても作っておく設定もありますよね。
4Gamer:
設定といえば,公式ニコ生で設定画が公開されたとき,キャラクターの誕生日のみならず,好きな食べ物や嫌いな食べ物まで決まっていましたよね。そういった設定が,アニメで生かされることはあるんですか?
高野氏:
ほとんどは絡んでこないですね(笑)。
小浜氏:
ストーリーの中で,誕生日パーティーを始めるようなことはないですし,あるとしても,アオトがサバに関する食べ物を食べるくらいです。
だけど,そういう設定があるとキャラクターがより具体的になるじゃないですか。親近感が湧く楽しみがあるということで,高野さんに考えていただきました。
高野氏:
パーシヴァルの好きな食べ物と嫌いな食べ物は,個人的にお気に入りです。
ミスター:
パーシヴァルって,塩が好きで砂糖が嫌いなんだっけ(笑)。
アニメ版円卓勢のキャラクターデザインが上がってきたときに,ユーウェインとパーシヴァルがすごく好みだったんですよ。「すごい良いクズ2人が上がってきた」ってニヤニヤしていました。
それで,好きな食べ物などの設定になったとき,自分の中のパーシヴァルに問いかけたら,ぶっきらぼうに「塩」って返ってきたので(笑)。そういったインスピレーションが湧いたときは,自分が作ったキャラクターの理解がまた深まったな,と思いましたね。
少年KのKは鍵(Key)のK。その存在意義はアニメを見続ければ分かる?
4Gamer:
アニメのキャストは,どのような感じで決めたんですか?
小浜氏:
メインキャストの6人はオーディションですね。もちろん,高野さんにもオーディションに参加していただいて,ご意見をいただきました。
高野氏:
皆さん素敵でしたけど,中でも印象的だったのは,ミドリ役の伊藤かな恵さんですね。たまたま最後に受けていただいたのが伊藤さんだったのですが,「これは……!」という空気が流れたのを感じました。
オーディションの時点では,全員が演技する「こういうキャラクターだ」という理解は,すべてが正解であり得るんです。あとは,誰の理解を選択するかという,僕ら側の問題なんですね。
「ミドリってこういう人だ」って僕らが思っていることと,原作ユーザーが想定しているであろうイメージ,それと伊藤かな恵さんが提示したものが,僕ら的にしっくり来たんじゃないかと。
4Gamer:
主人公以外のキャラクターについてはどうでしょう。
小浜氏:
アーサー役の中村悠一さんをはじめ,脇を固めているキャストは指名で選んでいるケースが多いです。
まず,ゲームのユーザーにはキャラクターのイメージがあるでしょうから,かけ離れたイメージで残念なことにならないよう,すごく考えています。また,僕個人の想いとしては,実力がある人にお願いしたいというのがありました。
さっき話に出たように,「ディバインゲート」はすごく難解な部分がある作品ですし,心情をつなぎ合わせてストーリを紡ぐという作り方をしています。ですので,役者さん自身の経験からキャラクターの心情を作れる人じゃないと難しいだろうと。
アフレコも何話か進んでいますけど,割と実力派揃いのキャスティングができて,いい感じになっていると思っています。
ミスター:
ユーザーがイメージしている方に近かったと思いますけど,アーサー役の中村悠一さんはじめ,オズ役に石田 彰さん,ロキ役に遊佐浩二さん,サンタクローズ役に櫻井孝宏さんなど,本当にそうそうたるメンバーにやっていただいています。
アーサー |
オズ |
ロキ |
サンタクローズ |
小浜氏:
僕らが考えているキャラクター像と役者さんが考えてきたイメージが違うとき,それをこと細かに説明するのって難しいんですよね。
でも力量のある方は,「例えばこうなんです」って一つ例を挙げるだけで,表面的な言い回しだけじゃない,人物像の理解を変えてくれるんですよね。このあたりがやっぱり素晴らしいと思います。
ミスター:
石田さんのアフレコを聞きましたけど,オズの持っている屈折した負け犬根性みたいな感情が出ていて,ものすごく良かったですね。何パターンか試してもらううちに,「あ,オズだ」とイメージがぱっと浮かぶくらいしっくりきていましたから(笑)。
高野氏:
僕は,円卓勢が会議しているシーンがすごく記憶に残っていますね。円卓勢のキャストさんって,年配の方から若い方まで幅広いですけど,すごく感じが出ているなって思いました。
小浜氏:
卓を長年囲んできた人達のチーム感みたいなのが,会話ににじみ出ているんですよね。
高野氏:
皆,仲が悪そうに見えるんだけど,仲が良さそうというか。あの微妙な距離感が非常に素敵でした。
ミスター:
ケイとユーウェインのやり取りとか良かったよね(笑)。
原作のエッセンスを入れるために,高野が本読みから入ってガッツリやっています。アニメの中で100%は出せないかもしれないですけど,登場するそれぞれのキャラクターにはドラマがあって,セリフ一言の中にもキャラクターのすべてが入っていますので,コアなファンにも安心して見ていただけると思います。
4Gamer:
アニメ用の設定を作っていく中で,新しく生まれたアイデアなどはありますか?
今回のアニメでは,物語の背骨を作るために「少年K」という,ゲームにはいなかったキャラを作りました。この設定には,阿部監督,高橋ナツコさん,高野さんでけっこうやり取りがなされています。
ちなみにKは,鍵(Key)のKです。
ミスター:
本当に,3人が力を合わせて考え出したという感じですね。
小浜氏:
ドラマにおいては,アカネ,アオト,ミドリ達,それからアーサーもそうですけど,いろんな物を抱えてゲートを目指す人達をゲートに導く,一つの鍵になるようなキャラクターがやっぱり必要だったんです。
少年Kが何者であるかは謎だし,何の力によって出現して,どんな力で彼らを導くのかは分からないけど,何かを象徴しているキャラクターなんです。
もちろん僕らはそれを分かっているけど,今は言いません(笑)。
4Gamer:
せめて,ヒントだけでも教えてください!
小浜氏:
そうですね……。
まず,ゲートを目指す彼らの感情の,ある部分を象徴しているものを,視覚的に見える人物にしたいというのがあったんですね。それを抽象的なままにしておくと,ドラマがちょっと不親切になりすぎるので。
感情が具現化した人間である「少年K」は,いろんなキャラクターの間をつないでいったり,あるいはキャラクターを引っ張ったりしていくことで,キャラクターの中から,その気持ちを引きずり出す役目を担っているんです。
ちなみに,これはまったくのオリジナルではなくて,ゲームの中にあるネタをヒントに作っているんですよ。
高野氏:
少年Kのセリフも非常に印象的です。ある意味,彼が一番大きな意味での「ディバインゲート」らしいセリフをしゃべっているかもしれないですね。
小浜氏:
先ほどお話したような,出来事そのものよりも,それに立ち会ったときのキャラクターの心情を大事にすべき,という作り方を選ぶと,少年Kが必要になってくるんです。とくにアオトは逡巡するシーンが多いので,それに対する少年Kのセリフは,けっこう印象に残ると思います。
多分,多くのユーザーは,少年Kって誰なんだと思うでしょうけど,アニメを見続けてもらえれば,出てくる意味とか,どういう存在なのかが分かってくると思います。
高野氏:
少年Kはなんでこういうことを言うのか,その意味や理由とかも,毎話毎話考えながら楽しんでもらいたいですね。
小浜氏:
それから,一つ変わった仕掛けとして注目してほしいのがナレーションです。
いわゆるナレーションって,第三者視点で全体を俯瞰的に説明するのが普通ですけど,全然そうじゃないんです。そのときの主人公だったり,あるキャラクターであったり,登場人物のすぐ横に寄り添って何かを囁くようなナレーションなので,僕らはポエムって呼んでいます(笑)。
説明的じゃない,すごくポエティックな言葉で,緒方恵美さんが語ってくれるので,それを深読みする楽しさもあるんじゃないかなと。
高野氏:
僕も最初,アニメのスタッフさんから作中にポエムを交えるというご提案をいただいたときには,ちょっとびっくりしました。
でも,実際に収録をして絵を作っていくのを見て,新しいという言葉が適切かどうかは分からないんですけれども,非常に“ディバインゲートらしさ”を感じました。
小浜氏:
それがないと,やっている意味がないですからね。
阿部監督が,一番のベテランな割に,そういうチャレンジには一番積極的で,いろいろな案をやろうとしているのを見ると,懐が深いなと思いますね(笑)。
4Gamer:
オープニング曲とエンディング曲を歌うアーティストは,どうやって選んだんですか。
ミスター:
最初の段階で,「ディバインゲート」をスタイリッシュでかっこいいアニメにしたいという森下からのオーダーがあったので,オープニングとエンディングでそれに合ったアーティストを,マーベラスさんサイドで選んでもらいました。
アーティストは,若い人に刺さる,エッジの効いたサウンドを持っている人達がほしいと思っていました。楽曲については,世の中と自分の想いのズレを感じてしまうとか,胸に溜まった想いみたいな部分がフィットする,思春期的な世界観を持っていたらいいなと。
そういう相談をしていたときにちょうどヒトリエさんの音を聞いて,話がまとまった感じです。メンバーさん達も入れ込んでくれて,曲を書き下ろしてくれました。
高野氏:
デモ版をいただいたときに,いい意味で引っかかる曲調だなとすごく感じました。
リズムとかリフがけっこう特徴的で,さらっと聴けるというよりは難解なところがありますよね。歌詞の表現も,「私はあなたを愛しています」みたいな分かりやすいものじゃなくて,オブラートに何枚も包んだような,解釈が人それぞれで違うんだろうな感じで。
そういったところは,「ディバインゲート」と非常に親和性は高いじゃないかなと思いました。
4Gamer:
エンディング曲はいかがでしょう。
エンディングも同じような感じなのですが,vistlipさんとはアニメのタイアップを何度かやっていて,その手腕は分かっていたので安心して任せられましたね。ヒトリエさんとは方向性がまったく全然違うバンドでありながら,「ディバインゲート」の世界観に合うエッジな感じを持っているので,非常にうまく行ったかなと。
高野氏:
vistlipさんのエンディングも,アニメの脚本や設定を読んで歌詞を書いていただいたということで,「ディバインゲート」らしさにもつながっているという印象を受けましたね。
タイトルの「CONTRAST」も,「ディバインゲート」の表の感情と裏の感情の対比を連想させますし,歌詞も素直な表現じゃなくてちょっと見方が変わっています。曲調も爽やかな感じで終わっていて,エンディングでありながら非常に疾走感があります。
ミスター:
森下がオープニングにもけっこうこだわっていたんですけど,「ディバインゲート」らしい変化がある感じに仕上がっていますね。
4Gamer:
ちなみに,放送局や放送日などは,どうやって決めているんですか。
小浜氏:
放送局に関しては非常にシンプルで,僕らとしては,なるべく広い地域で放送してほしいという一言に尽きます。
あと「ディバインゲート」は,説明していない難解な部分はあるにせよ,実は入り口としては入りやすい,間口の広い作品だと思っているんです。ですから,幅広い層に見てもらえるように,時間帯をあまり深夜過ぎない,なるべく早めの時間にしたいと考えていました。
それと,放送日にはSNSなどで皆が盛り上がってほしいと思っていたので,地域によって放送日が変わるのは避けたかったんです。深夜27時とかになる地域もありますけど,一応は全部金曜日の夜に揃えることができたので,これはすごく良かったなと思っています。
ミスター:
金曜日を選んだのには,ゲームのイベントを金曜日の11時から始めることが多いので,連動がしやすいという理由があります。
高野氏:
ゲームのほうが昼なので先になりますが,システムボイスでアニメキャラクターの声が聞けるといった感じで,アニメのネタバレ的なものはないので安心してください。
4Gamer:
「ディバインゲート」に限った話ではありませんが,放送が始まってからアニメを見たくなった人など,第1話を見逃したときの対応策はありますか。
小浜氏:
まずは見逃さずに見ていただきたいとお願いしたいのですが,見逃してしまった方や放送エリア外にお住まいの方のために,動画配信サイトなどでも視聴できるような施策を打っています。
アニメ「ディバインゲート」公式サイト内,放送局一覧/配信情報ページ
4Gamer:
アニメとしては,オンタイムで見ることが大事なんですか?
小浜氏:
作り手の気持ちとしては,やっぱり一刻も早く見てほしいですね。さすがに,27時過ぎからの放送になる方には,無理してまでオンタイムで見てほしいとまでは言えないのですが。
ミスター:
我々としては,このプロジェクトをやるうえで,アニメが成功するのがもちろん大前提なんですけど,同時に,アニメを通じてゲームを盛り上げていくことも非常に重要だと考えています。
アニメの放送開始に合わせて,ゲーム内でイベントを開催しますので,アニメで「ディバインゲート」に興味を持った方にはぜひ,ゲームを遊んでもらいたいですね。
今だと,レベル80のキャラ8人が報酬で手に入るWEGOコラボを1月29日まで,アカネ,アオト,ミドリの育成をサポートする期間限定ミッションを2月5日まで開催しています。
それから,アニメのメインキャラクター達がボスとして登場するエリアを随時配信していくのですが,カウントダウンなどのシステムボイスを,各キャラクターがしゃべるという特別なイベントエリアになっています。今後はアーサーがカウントダウンしてくれるエリアも配信する予定なので,ぜひ楽しんでください。
それから,毎日4回,特定の時間に配信されるカジノダンジョンでは,3月いっぱいまで,めたぼん役の吉田有里さんのシステムボイスになっています。カウントダウンが「ぼん」「ぼぼん」としか言わないので分かりにくいですが,そこが憎たらしいめたぼんらしくて,とても可愛くなっていると思います(笑)。
同時に500万ダウンロード記念イベントも開催しているので,ゲームを始めやすいタイミングだと思います。
ミスター:
500万ダウンロード記念イベントでは,★6の第3段階まで進化済みのヒカリ,ユカリ,ギンジが獲得できるイベントエリアも配信しています。キャラクターがかなり育った状態でゲームを始められるので,こちらもオススメです。
小浜氏:
僕は,アニメを入り口にして,ゲームのほうの洞窟を探検してほしいと思っています。どこまで行くかはその人次第でいいわけですから,そこはいろいろ選択の幅があると思うので。
ミスター:
ゲームオンリーのときは,あのストーリーをユーザーにどう伝えるかで一番苦労していたので,そこはアニメのおかげでだいぶ楽になるかな(笑)。
高野氏:
公式運営サイトのデカい相関図を見て,「これを理解しないとストーリーを楽しめないの?」って引いちゃった方も,アニメなら非常に分かりやすくなっているので,きっと物語を楽しめます(笑)。
ゲームならではの楽しみがありますので,アニメを見て興味を持っていただけたらゲームもぜひ,という感じですね。
小浜氏:
4月13日から順次発売されるBlu-rayとDVDには,Android版限定のシリアルコードを付けさせていただきました。初回仕様限定となりますが,Vol.1は「【聖学】ダンテ」,vol.2は「【聖学】クロウリー」が特典になります。
4Gamer:
今回のアニメでは取り上げられなかった物語など,今後も「ディバインゲート」のアニメを見たい人にとっては,第二期やOVAなどがどうしたら実現するのか気になると思います。
やはりそういうときは,Blu-rayやDVDの売上が伸びたら一番可能性が高くなるんですか?
小浜氏:
はい!(笑) もちろん,本来的な尺度はユーザーさんの感想,評価といったものなんですが,端的にそれを図る物差しがないんですよ。Blu-rayやDVDを購入していただければ結果としての数字が残るので,とても後押しになるということですね。
4Gamer:
確かに売上などは,ビジネス的な面の評価ですもんね。
作り手の気持ちとしては,どの作品だって長く続けて,たくさん作りたいに決まっているんですよ。ただ,僕ら作り手が,アニメが良かったと思ってくれている人からの感想を直に聞ける場ってなかなかないんです。
例えば,僕らはいつも百点満点の作品を皆さんに提示したいと思って作っていますけど,マイナス20点で80点という評価だったとします。その場合,やはりどうしてもマイナス20点の部分についての話が多くなりますし,80点の部分はあって当たり前というか,あまり触れられないことが多いんです。
4Gamer:
そこはゲームでも同じようなところがありますね。プレイヤーが満足しているときは音沙汰がなくても,不満があるときはものすごい反応があるという話をよく聞きます。
小浜氏:
もちろん,いろいろなご意見があって当然なので,どんな声もありがたいと思っています。その中で,もしちょっとでも良いと思っていただけたところがあったなら,その部分についても皆さんの声を発信していただけると嬉しいです。
そういう感想は,頑張っているアニメスタッフにとっては一番の励みになるので。
高野氏:
作り手としては,結果も当然大切なのですが,「感触」を大事にしているところがあります。
ビジネスの話を抜きにすれば,作り手とユーザーがそれぞれ,「作品を喜んでもらえたな」「このアニメがもっと見たいな」という感触を得られたら,きっと二期を作ろうっていう気持ちにつながるんじゃないかなと。
小浜氏:
そうですね。次の一歩を踏み出せるか否かは,皆さんの声が大きな力になるのは間違いありません。もし良いなと思っていただけたら,どこかでアクションをしていただけると嬉しいです。
ミスター:
最初にお話したように,「ディバインゲート」のアニメ化は,森下が講演した母校の女子生徒の発言がきっかけでしたから,もしかしたら,誰かがそういった声を上げることで,次につながるかもしれません。
4Gamer:
それでは,シリーズを通しての見どころを教えてもらえますか。
小浜氏:
アニメでは,キャラクターの心情を拾って追いかけていますが,すべての説明はわざとしないという,視聴者に優しくない作り方をしています。このご時世に「ここまで脳内補完アニメでいいんだろうか?」と思うところもありますけど(笑)。
普通なら,間に「なぜそうなったのか」という説明を入れて,分かりづらくならないようにするものなんですけど,「ディバインゲート」では説明をそぎ落とすことで,想像の余地を残しました。
というのも,高野さんの監修を受けて,僕らなりに理解したものをアニメとして提示していますが,解釈はいろいろあると思うんです。皆さんが導き出す解釈のほうが正解かもしれませんし,ぜひ考察していただきたいです。僕らはそれをニヤリとしながら見守るので(笑)。
高野氏:
僕は,キャラクター同士の会話に注目してほしいですね。
アカネは自分の気持ちを伝えたり,アオトは自分の気持ちを閉ざしたりと,割と分かりやすいのですが,ロキやオズやアーサーといった大人達は,大人達の世界でなんだかよく分からない話をしています。
実は大人達の会話は,キャラクターによっては二歩先,三歩先の話を同時にしているみたいな内容になっているんです。そういった言葉の意味を考えながらアニメを見ると,もう一段階深い楽しみ方ができるんじゃないかなと。そうなると多分,シリーズを通してアニメが気になってくると思います。
もちろん,そこまで深読みしなくても「なにやら意味深だな?」と気にしてもらえれば十分ありがたいのですが(笑)。
4Gamer:
残念ながらそろそろ時間いっぱいとなってしまったので,最後に,読者に向けてメッセージをお願いします。
小浜氏:
ゲームユーザーの方には,ゲームを遊んだ知識や情報をもとに,より深く,玄人的な見方をして,こういうことだったんだなとか深読みしたりしながら,アニメを楽しんでほしいなと思います。
アニメから入った方は,このアニメの独特さ加減をぜひ楽しんでいただいて,面白いと思ってもらえたら,ゲームの洞窟に足を踏み入れてみてはいかがでしょうかと(笑)。ぜひ応援してください。
ゲームのユーザーには,最初はちょっと設定的に戸惑うこともあるかもしれないんですけど,「これはディバインゲートだな」と必ず思ってもらえる作品になっていますので,最後までしっかり楽しみにしてほしいです。
ゲームでは,アニメよりも多くのキャラクターが登場して,さまざまな人間ドラマが描かれています。
アニメの独特な雰囲気を気に入っていただけたら,ゲームの持っている雰囲気もきっと気に入ると思うので,気軽に手を伸ばしていただけたらと思います。
僕らは胸を張って,素敵な作品を作っていると思っていますので,アニメを見ている人も,胸を張って好きだと言ってほしいですね。よろしくお願いします。
ミスター:
アニメ化というのは,ディバインゲートをスタートする時からチーム全体の夢だったんです。それが実現したのはすごく嬉しいですし,作品としても本当に面白いものができ上がっていると言い切っちゃいます。ぜひ最終話まで見てください。後悔はさせませんよ!!
4Gamer:
シーズンの結末も気になりますが,アニメがヒットして次の“扉”が開くことにも期待しています。本日はありがとうございました。
TVアニメ「ディバインゲート」公式サイト
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「ディバインゲート」ダウンロードページ
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