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AMD,R9 290シリーズを除くRadeon R9&R7シリーズのスペックを公開。R9 280X以下は基本的にHD 7000系のリフレッシュ
今回は,GPU14 Tech Dayイベントの情報を基にしつつ,いくつか追加で明らかになった情報も交えながら,Radeon R9 290シリーズ以外のスペックをまとめてみたいと思う。
Radeon R9 280X以下のスペックが明らかに
その正体は従来製品のリフレッシュ
数字が従来の4桁から3桁に変わったのは,純粋に「従来の型番表記ルールでは,OEM向けを入れると8000まで到達してしまい,“数字”が足りなくなってきたから」(AMD)。100番台ではなく200番台からのスタートになっている点に深い意味はなく,末尾2桁は,R9やR7といった同一グレード内における相対的な性能イメージになるという。こちらも,数字の大きいほうが,より性能は高いというわけだ。
なお,3桁数字の後ろに付く「X」は,「同じ位置づけのGPU内で,より高い性能が得られるものに与えられる」そうなので,ざっくりとしたイメージ的には,4桁型番時代の末尾2桁「50」が「X」なし,「70」が「X」あり,といった理解でよいようである。
というわけで以下,製品型番の大きな順に,製品概要を確認していこう。
■Radeon R9 280X
今回情報開示のあったモデルとしては最上位となるのが,Radeon R9 280Xだ。北米市場における搭載カードの想定売価は299ドルとされている。
仮想敵は「GeForce GTX 760」となるようだ。
シェーダプロセッサ「Stream Processor」(以下,SP)の数は2048基で,理論上の単精度浮動小数点演算性能値は4.1 TFLOPS。GPUコアクロックは最大1GHz。容量3GBのグラフィックスメモリは384bitインタフェースで接続され,メモリクロックが6GHz相当(実クロック1.5GHz)のため,メモリバス帯域幅は288GB/sに達する。
PCI Express補助電源は8ピン+6ピンで,公称典型消費電力は250Wだ。
対応APIはDirectX 11.2,OpenGLと,先に発表された「Graphics Core Next」アーキテクチャ専用の「Mantle」が挙げられている。一方,「TrueAudio」には対応しない。
なお,採用されるGPUコアは,28nmプロセス技術を用いて製造されるSouthern Islands(サザンアイランド)世代の「Tahiti」(タヒチ)であることが公然の秘密になっている。「Radeon HD 7970 GHz Edition」の動作クロックなどをチューンしたバージョンだという理解でいいだろう(表1)。GPU業界でよく聞く言葉を使って言い換えるなら,リネーム(もしくはリブランド)品,ということになる。
■Radeon R9 270X
AMDによれば,Radeon R9 270Xは,PCゲームを1920×1080ドットのフルHD解像度で,最も高いグラフィックス設定で楽しむためのGPUとのこと。仮想敵は「GeForce GTX 660」あたりとされている。
SP数は1280基で,理論上の単精度浮動小数点演算性能は2.69 TFLOPS。GPUコアクロックは最大1.05GHzだ。グラフィックスメモリは256bitインタフェースで2GBもしくは4GBのGDDR5が組み合わされる。メモリクロックは5.6GHz相当(実クロック1.4GHz)で,メモリバス帯域幅は179.2GB/sである。
PCI Express補助電源コネクタは6ピン×2で,対応APIはRadeon R9 280Xと変わらない。
Radeon R9 270XでもAMDはGPUコア名を公表していないが,こちらもベースとなるのはSouthern Islands世代の「Radeon HD 7870 GHz Edition」と見られている(表2)。「Pitcairn」(ピトケアン)コアベースのリファイン版として認識しておけばいいだろう。
■Radeon R7 260X
AMDはRadeon R7 260Xの性能を,「PlayStation 4やXbox OneのGPUと同等」と位置づけているが,その根拠は,PlayStation 4に採用されたAPUの統合型GPUコアが理論上の単精度浮動小数点演算性能で1.84 TFLOPSなのに対し,Radeon R7 260Xが同1.97 TFLOPSと,近いことにあるようだ。「PlayStation 4やXbox Oneとマルチプラットフォーム展開されるゲームタイトルなら,Radeon R7 260Xがあれば,だいたい似たようなグラフィックス品質でプレイできますよ」というメッセージであり,分かりやすいセールストークだとはいえる。
対応APIはDirectX 11.2,OpenGL 4.3とMantleで,これは上位2モデルと同じだが,今回スペックが明らかになったGPUのなかで唯一のTrueAudio対応GPUである点は押さえておきたい。
GPUコアは「Radeon HD 7790」と同じ「Bonaire」(ボネア)というのがこちらも公然の秘密となっている(表3)。リネームモデルのなかでRadeon R7 260XだけがTrueAudioに対応することから,Radeon HD 7000シリーズ中,Radeon HD 7790だけが異なる設計のGPUコアだったと,ここで判明した格好だ。
■Radeon R7 250
搭載カードの北米市場における想定売価が89ドルとされるRadeon R7 250は,エントリー市場向けのGPUとなる。AMDは公式には仮想敵を明らかにしていないが,私見で述べさせてもらうなら,「GeForce GTX 650」あたりの対抗だろう。
Radeon R7 250。キャッチコピーは「みんなのためのGraphics Core Next」 |
「ATI Radeon HD 5770」並みの性能を89ドルで実現するとされる |
対応APIは上位モデルと変わらずで,TrueAudioには対応しない。
一般PCユーザー向けのRadeon HD 7000シリーズで,SP数が384基のGPUは登場していないが,OEM向けGPUであるRadeon HD 8000シリーズには,最大384基の「Oland」(オーランド,もしくは「Öland」と書いてエーランド)が用意されている。つまり,今回のRadeon R7 250はそれのリネームモデルということになる(表4)。
■Radeon R7 240
Radeon R7 250よりもさらに下の市場を狙うエントリー市場向け製品となるのがRadeon R7 240だ。SP数は320基で,コアクロックは最大780MHz。理論上の単精度浮動小数点性能は499 GFLOPSとなる。
組み合わされるグラフィックスメモリは容量1GBのGDDR5もしくは同2GBのDDR3で,メモリインタフェースは128bit。GDDR5メモリ搭載時のメモリクロックは4.6GHz相当(実クロック1.15GHz)で,そのときのメモリバス帯域幅は73.6GB/sとなる。Radeon R7 250と同じく,こちらも補助電源は不要だ。公称典型消費電力は30Wと,上位モデルと比べてかなり低い。
Radeon R7 250の下位モデルということもあり,GPUコアも同じOland世代となっている(表5)。
本命は詳細未公表の
Radeon R9 290シリーズ
もっとも,製品名だけ明らかにして何か月も引っ張るというのは(「New Zealand」という“前科”はあるにせよ)あまり考えづらい。解禁日は近づいていると見ていいだろう。期待して待ちたいところである。
なお,4Gamerでは,今回スペックが明らかになったGPUのうち,Radeon R9 280XとRadeon R9 270X,Radeon R7 260Xのレビューを掲載しているので,興味がある人はそちらもぜひチェックしてみてほしい。
「Radeon R9 280X」「Radeon R9 270X」「Radeon R7 260X」レビュー。AMDによる“2013年秋のリネーム祭り”は侮れない
AMDのRadeon R9シリーズ予告ページ(英語)
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Radeon R9 200
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