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「ムーアの法則」50周年記念展示が科学技術館で今夏に開催。8086や80486,Pentiumなどが一堂に会した記者説明会レポート
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印刷2015/04/21 16:28

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「ムーアの法則」50周年記念展示が科学技術館で今夏に開催。8086や80486,Pentiumなどが一堂に会した記者説明会レポート

Gordon Moore氏(Cofounder,Intel)
画像集 No.002のサムネイル画像 / 「ムーアの法則」50周年記念展示が科学技術館で今夏に開催。8086や80486,Pentiumなどが一堂に会した記者説明会レポート
 「ムーアの法則」という言葉を聞いたことはあるだろうか。コンピュータそのものに関心のある人なら,意味は知らなくても言葉くらいは聞いたことがあるだろう。ムーアの法則とは,Intelの共同創業者であるGordon Moore(ゴードン・ムーア)氏が1965年に学会誌「Electronics」で発表した論文の中から生まれた,半導体製造に関するある種の経験則を示したもので,一般的には「チップに集積可能なトランジスタの数は,12か月ごとにおよそ2倍に増える」と書かれることが多い。
 要は,「半導体製造技術が進化していくにしたがって,プロセッサやメモリに集積可能なトランジスタはどんどん増えていく」といった意味で,コンピュータの発達を分かりやすく示したものと考えればいい。もっとも,半導体製造技術の進化がスローダウンしていくのにつれて,「○か月ごと」の数字は徐々に増えており,Intelは現在「24か月ごと」と表記したりする。
 いずれにしても,私たちがプレイしているコンピュータゲームの進化は,ムーアの法則に則ってプロセッサが高性能かつ低価格になっていくことで実現されているわけだ。

ムーアの法則が示された論文の日本語訳と,法則をグラフ化したイメージ。ちなみに,発表当時は「ムーアの予測」と呼ばれていたそうだ
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 さて,2015年という年は,ムーアの法則が発表されてちょうど50年めに当たる。それを記念して,Intelの日本法人であるインテル(以下,Intel)は,東京都千代田区の科学技術館にて,「『ムーアの法則』50周年記念展示」を2015年の夏休みシーズンに行うと発表した。日程はまだ未確定であるものの,7月くらいから約2週間行われるとのこと。
 2015年4月21日には,科学技術館にて,この記念展示の概要やムーアの法則とIntelの歩みについての記者説明会が開かれた。直接ゲームに関係する話題ではないのだが,その概要をレポートしたい。


第5世代CoreプロセッサはIntelの初代CPU「4004」と比べて3500倍速い


Intel取締役兼副社長執行役員 技術開発・製造技術本部本部長の阿部剛士氏
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 ムーアの法則とIntelの歩みに関する説明を担当した,Intelの取締役兼副社長執行役員の阿部剛士氏は,ムーアの法則はテクノロジーだけでなく,経済,そして社会的な領域にも影響を与えたと述べる。ムーアの法則は単に「コンピュータは高性能になります」と述べているだけでなく,コンピュータが安価になり,消費電力も低減されることを見通したものであるからだ。

ムーアの法則が発表された当時から,性能の向上だけでなく,小型化(≒省電力化)や低コスト化も予見されていたことを示したイラスト。中央の屋台では,手に載るサイズの家庭向けコンピュータを販売している。今ならさしずめスマートフォンの路上販売のようなものか
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 阿部氏によれば,Intel製の初代CPUである「4004」と比べた場合,現在最新の第5世代CoreプロセッサのCore i5(型番未公開)は,性能で3500倍以上,電力効率は9万倍以上に向上しており,しかもコストは6万分の1に縮小しているのだという。さらに阿部氏は,「もし,自動車がムーアの法則どおりに進化したなら」という例を挙げ,スピードは時速48万km/h,燃費は1リットルあたり約85万km,そして価格はたったの4セント(約4.8円!)になっただろうと,ユーモラスに説明した。プロセッサはそれくらい極端な進化を遂げていて,しかも,その進化は今も進行中というわけだ。

※半導体レベルでの比較。Core i5が1クロックで複数の命令を同時に処理できるのに対して,4004は1命令の実行に数クロックかかっていたので,実際の性能差はもっと大きい。

1971年に登場した4004と,2015年のCore i5の進化を比較したスライド(左)。右のスライドは,仮に同じペースで自動車が進化していた場合,どんなことになるかを示したもので,スペックだけなら自動車というよりSF的な宇宙船といったレベルだ
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 こうした進化は,Intelと半導体製造技術におけるパートナー企業によるたゆまぬ努力の賜物だ。阿部氏は近年のIntel製CPUに採用された半導体技術の進化をスライドで示した。たとえば,90nm世代では「歪みシリコン」,45nm世代では「Hi-kメタルゲート」,そして22nm世代では「3次元トライゲート・トランジスタ」といった技術が導入されている。そして,現行14nm世代の先となる,10nm世代や7nm世代の実現に向けた技術開発も進行中であるという。

半導体製造技術の進化による価格と消費電力の低減を示したグラフ(左)。右写真は,Intel製CPUで導入されたさまざまな半導体技術を示したスライド。ただ,90nm世代は漏れ電流が激しく,動作クロックを上げようとすると消費電力が激増するという問題点があったりもした
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 また,Intelのプラットフォーム戦略について説明した,同社執行役員 技術本部本部長の土岐英秋氏も,ムーアの法則を継続させるべく,Intelとパートナー企業が半導体製造技術の革新に向けて取り組んでいることを訴え,とくに,いわゆる「ナチュラルインタフェース」の発展などにより,今後もコンピュータは進化していくだろうとの見方を示した。

技術本部本部長の土岐英秋氏(左)。土岐氏が掲げているのは,CPUを薄いフィルムの上に実装した「Tape Carrier Package」(TCP)を使ったモバイル向けのPentiumである(右)
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Intelの半導体製造技術ロードマップ。第5世代Coreプロセッサで14nm世代に到達しており,現在は次の10nm世代の技術を開発中とのこと。すでに実現の目処も立っているようだ
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昔懐かしいIntel CPUが一堂に

いくつ使ったことがありますか?


 記者説明会の会場では,4004から最新の第5世代Coreプロセッサまで,Intel製CPUの実物が並べられた展示も行われていた。同じようなものは,50周年記念展示でも披露されるだろう。
 以下に,展示されていたオールドCPUの写真をまとめて掲載しておこう。ベテランのPCユーザーは,これらを見て,昔使ったPCの思い出話に花を咲かせるのも一興だ。実物を見てみたい人は,記念展示にぜひ足を運んでみることをお勧めする。

1971年の4004から2015年の第5世代Coreプロセッサまでの,Intel製主要CPUを貼り付けたパネル
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4004(左)の実物。Intel社員の机から発掘されたものとのこと。8086(右)はPC-9801シリーズ(以下,98)に採用された,x86 CPUの偉大なご先祖。ただ,当時の98ユーザーは,8086よりも80186互換CPUのNEC製「V30」を使っていた人のほうが多いだろう
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左写真は80286。筆者はこのCPUを搭載した「PC-9801RX21」を使っていたが,当時は80386世代が主流となりつつあったので,ゲームの動作がやや遅かったことを覚えている。右写真は80386DXの16MHz品。こちらもPC-9801シリーズで多く使われた
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左は80486DXの25MHz品。この頃から,Intelは互換CPU対策のため,数字を並べただけの名称から脱却していく。右はPentium。当時の性能指標だった「iCOMP 2 100」の文字が見えるので,120MHz品らしい。Pentiumは,初期に出荷された製品に「FDIVバグ」と呼ばれる浮動小数点演算時に発生するバグがあったため,Intelは最終的にバグ有りCPUを正常なものと交換するという対策を余儀なくされた。しかし,その危機を乗り越えて同社をさらに成長させたのもPentiumだ
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左はPentium Pro。巨大なパッケージの中には,CPUのダイ(半導体そのもの)とL2キャッシュのダイが収められていた。右はPentium IIのカートリッジ型パッケージ。当時は「ファミコンのカセットか!」と言われたものだが,今やそのジョークが通じる人は,30歳以上ということに……
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カートリッジ型パッケージを採用したPentium III(左)。カートリッジの中には,CPUとL2キャッシュが載った基板が入っている。右はPentium IV。2000年代前半のCPUだが,Windows XPとともに普及したので,これが載ったPCがまだあったり,まだ動いていたりする人もいるのではないだろうか
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左はCore 2 Duo。「まだ現役で使っている」という人も少なくなさそう。右はお馴染みCore i7。初代が登場したのは2009年と,すでに6年も前になる
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ムーアの法則の50年 公式Webページ

Intel 公式Webサイト


  • 関連タイトル:

    Core i7・i5・i3・M(Broadwell)

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