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[COMPUTEX]ワイヤレス技術への取り組みから「Skylake」搭載AiOまで,多くの話題が語られたIntel基調講演レポート
なお,講演に合わせて発表されたBroadwell-Hについては,2日に掲載した速報記事を参照してほしい。
ナチュラルUIやワイヤレス充電への取り組みを強めるIntel
Skaugen氏がまず取り上げたのは,いわゆる「Internet of Things」(モノのインターネット,以下,IoT)の話題だ。Intelの予測によると,2020年には500億ものデバイスがインターネットに接続して,扱うデータ量は現在の200億倍という,「天の川の星の数よりも多い」(Skaugen氏)量に達する見込みだという。
IoTデバイスが家庭内やさまざまな場所で増加すると,それらをインターネットにつなぐ窓口に当たるゲートウェイが重要になる。そのためIntelは,IoTゲートウェイ製品ファミリーを拡充して,Intel製CPUやSoC(System-on-a-Chip)を採用したゲートウェイ機器を作りやすくするためのリファレンスデザインも提供していくとのことだった。
単にデジタル機器が増えるだけでなく,スマートウォッチのようなウェアラブル製品とテクノロジーの融合も,500億という莫大なデバイスの増大を支える部分になるという。「Intelはこうした新たなデバイスの登場に,技術革新で貢献していきたい」とSkaugen氏は述べた。
Intel製CPUやSoCを使うIoTゲートウェイ製品の拡充を目指す。デバイスが使うプラットフォームとしては,Windows以外もサポートする |
IoTデバイスのひとつとして紹介されたウェアラブル端末の例。スマートウォッチは,有名ファッションブランドの参加も予定されているとのこと |
1つめのNatural User Interfaceは,聞いたことのある人も多いだろう。ジェスチャーや音声といった手段でコンピュータを操作できるという機能のことだ。ステージでは,3Dカメラ技術「RealSense Technology」(以下,RealSense)に対応したカメラ機能搭載PCを使い,画面に表示されているCGオブジェクトを「持つ」ように手をかざして動かすと,それを手で動かしているかのように回転させたり変形させたりできる,というデモビデオが披露された。
RealSenseは,距離測定機能を備えたカメラモジュールをPCやスマートフォン,タブレットに搭載して,撮影された映像を解析するという技術なので,たとえば人の顔をさまざまな方向から撮影して合成すれば,比較的簡単に立体的な人物像をCGとして構築できる。
ステージで披露されたデモでは,RealSense搭載タブレットを使ってSkaugen氏の顔をぐるっと360度撮影。それをゲーム風のデモアプリに取り込んで,キャラクターの顔として設定する,という様子が披露された。Xbox 360用のKinect対応ゲームでは,自分の顔を取り込んでゲーム内に登場させられるものがあったが,それより少し高度なことが,PCやスマートフォン,タブレットでもできるうようになるわけだ。
そのほかにも,表情の変化をリアルタイムに検出して,ビデオチャットで表示するアバターに同じ表情や動きをさせる,といったデモも紹介された。こうした実例をもとに,すでに多くのアプリケーションがRealSenseに対応していることをSkaugen氏はアピールしていた。
Intelの傘下でセキュリティ技術を手がける企業True Keyは,顔認証といった生体認証技術をPCやスマートフォンと組み合わせることで,パスワードの代わりにユーザーの顔で認証する技術を提供している。また,Windows 10でも,「Windows Hello」という名称で生体認証技術がサポートされる予定であるなど,パスワードに変わる手段として生体認証技術が使われる機会は増えていきそうだ。
ステージでは,Windows 10をインストールしたRealSense搭載タブレットを使って,顔認証で素早くWindowsにログオンするというデモが披露された。RealSenseによって奥行き方向の判定も可能であるため,顔写真をカメラの前にかざしてもログオンできないなど,安全性の高い技術に仕上がっているようだ。
Skaugen氏は,生体認証を活用した認証プロトコルの標準化団体「FIDO Alliance」にIntelが加盟したことを明らかにしており,今後は,Windows 10とRealSense対応カメラを使うことで,インターネットのWebサービスに顔認証でログインすることが可能になるという。オンラインゲームのログインに顔認証が使えるようになると,パスワードを間違えたり忘れたりといったトラブルも防げるようになるだろう。
ワイヤレス充電技術にはいくつかの規格があったが,「ReZence」という規格を推進する団体「Alliance for Wireless Power」(A4WP)と,「Powermat」という規格を推進する団体「PowerMattersAlliance」(PMA)が統合されることで,ワイヤレス充電技術の標準化が進展する見込みとなったのは,ユーザーにとっても喜ばしい話題だろう。
ちなみに中国では,2015年後半にワイヤレス充電が可能なテーブルを備えたレストランもオープンするそうだ。
Atom x3搭載のAcer製ゲーマー向けタブレットや厚さ8mmのSkylake搭載AiOが披露
基調講演の後半では,コンシューマー寄りの話題も多く取り上げられている。Skaugen氏は,開発コードネーム「Broadwell-H」と呼ばれていた第5世代Coreプロセッサの新製品を発表(関連記事)。AcerやASUSTeK Computerからのゲストとともに,メーカー各社の新製品を披露した。
第5世代Coreプロセッサに関連した興味深いデモの1つに,PCで「360度全周ビデオ」(関連記事)を作成するというものがあった。これは,ウェアラブルカメラとして名高いGoProのカメラを16台並べて360度の映像を撮影するというものだが,撮影した映像を処理するためには高い処理性能が必要ということで,第5世代Coreプロセッサと統合型グラフィックス機能の「Iris Pro」の出番となる,という話だった。
基調講演のステージでは,35インチサイズでアスペクト比21:9の液晶パネルを採用したディスプレイ「Predator Z35」や,17インチ液晶パネル搭載のノートPC「Predator 17」などが披露されたが,「最もエキサイティングなもの」としてアピールされた注目の製品が,Androidタブレットの「Predator 8」だ。本体の四隅それぞれにスピーカーを搭載するという奇抜なデザインのタブレットで,搭載SoCのAtom x3と合わせて,モバイルゲーム環境を強化できるとのことだ。国内発売も期待したい。
講演の最後にSkaugen氏は,開発コードネーム「Skylake」こと,第6世代Coreプロセッサにも言及した。当然ながら,CPUそのものについての具体的な説明はなかったが,Skylakeを搭載する液晶ディスプレイ一体型PC(以下,AiO)のリファレンスデザインモデルは,なかなか面白いマシンだった。
4K解像度の液晶ディスプレイ部分は,厚さがわずか8mmということで,既存のAiOとはかなり異なった印象を受けるマシンとなっている。これを参考にしたAiO製品が登場してくれば話題を呼ぶことだろう。
IntelのCOMPUTEX特設Webページ(英語)
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